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エイズとHIV感染は同じではありません。
エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)に感染して起こる病気です。HIV感染後、体の中でHIVが増殖し、身体を病気から守る免疫機能が破壊され、普通は感染しない病原体に感染し易くなり、様々な感染症(日和見感染症)を発症する状態を「エイズ」といいます。
HIVは感染しても症状が現れるまでの期間(潜伏期)が長く、数ヶ月から10年以上も発病しないことがあります。近年、薬の開発が進み、発病を遅らせることができますが、エイズを完治することはできません。
感染を予防することが最も重要ですが、ウイルスの感染を早く見つけ、発病をおさえる治療を行うことが大切です。
全国における令和5年のHIV感染者及びエイズ患者の新規報告数*(確定値)は960人で、7年ぶりに増加に転じました(*血液凝固因子製剤による感染例は除く、以下同様)。内訳は新規HIV感染者が669人(令和4年:632人)、新規エイズ患者報告数が291人(令和4年:252人)で、いずれも前年より増加しました。
愛媛県では平成12年以降増減を繰り返しながら年7人程度で推移していました。令和2年からは年3~4人と例年に比べ低い水準で推移していましたが、令和6年は11月6日現在で7人(HIV感染者5人(うち1人は外国籍)、エイズ2人)と、すでに過去5年では最多となっています。
中国・四国ブロックのHIV感染者及びエイズ患者の人口10万人当たり患者報告数は12.5人で、関東・甲信越ブロック32.9人、近畿ブロック26.3人と比較すると報告数が少ないブロックと言えます。
中国・四国ブロックの県別にみると、岡山県15.3人、広島県14.2人、高知県14.1人、香川県14.0人、徳島県12.8人、愛媛県12.2人、山口県8.7人、鳥取県7.8人、島根県5.2人の順になっています。
HIV感染者及びエイズ患者の診断時点(届出時点)での症状について、図4に示しました。
診断時点で既にエイズを発病していた割合は、全国31.0%、愛媛県39.0%と愛媛県の方がやや高くなっています。
これまでに報告のあったHIV感染者(青色)及びエイズ患者(赤色)の年齢分布を図5に示しました。
HIV感染者及びエイズ患者の総数は、全国では30歳代の報告数が最も多く、20歳代~40歳代が79.8%を占めています。愛媛県も同様に30歳代が最も多く、20歳代~40歳代が82.5%を占めています。
エイズ患者の割合は年齢が上がるにつれて増加し、全国では50歳代の51.0%、60歳以上の52.9%をエイズ患者が占めています。愛媛県では50歳代の81.3%、60歳以上の70.0%を占めており、50歳以上の年齢層では全国と比べて発見時に既にエイズを発症している割合が特に高くなっています。
「エイズを発病して初めて感染に気づく」ということは、早期治療・発病予防の機会を逃すだけでなく、知らない間に感染を拡大させている可能性があります。エイズを発症する前に検査を受け、早期に発見することが重要です。
HIV感染者及びエイズ患者の性別は男性が多く、全国では94.9%、愛媛県では95.5%を占めています。
HIV感染者及びエイズ患者の感染経路は、男性では全国、愛媛県ともに性的接触による感染が8割以上を占めています。女性では、性的接触による感染は全国では8割弱、愛媛県では6割弱を占めています。
男性では同性間性的接触による感染が多く、全国で65.0%、愛媛県で59.9%を占めていますが、愛媛県では異性間性的接触が全国よりもやや多くみられます。
一方、女性では同性間性的接触はほとんどみられず、異性間性的接触の割合が高くなっています。
HIV感染者及びエイズ患者の感染地域は主に国内で、全国では83.9%、愛媛県では85.1%を占めています。
以上のことから、愛媛県におけるHIV感染者、エイズ患者の特徴は、次のとおりです。
HIVの感染力は弱く、性行為以外の社会生活の中でうつることはまずありません。HIVは主に3つの経路で感染します。
性行為による感染はもっとも多い感染経路です。HIVは主に血液や精液、膣分泌液に多く含まれています。HIVは感染者の血液・精液・膣分泌液から、その性行為の相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口を通ってうつります。性行為におけるコンドームの正しい使用は、エイズや他の性感染症予防にとって有効な手段です。
HIVが存在する血液の輸血や、覚せい剤などの依存性薬物の“回しうち”による注射器具の共用などによって感染します。日本では、現在、献血された血液は厳重な検査により最高水準の安全が確保されていますが、現在の技術ではきわめて稀とはいえ、感染の可能性を完全には排除できません。なお、血液凝固因子製剤については加熱処理が行われているので、現在の血液製剤で感染する心配はありません。
母親がHIVに感染している場合、妊娠中や出産時に赤ちゃんに感染することがあります。母乳による感染の例もあります。日本では、お母さんがHIVの治療薬を飲むことや母乳を与えないことで、赤ちゃんへの感染をほぼおさえることができます。
(参考ホームページ)財団法人エイズ予防財団 エイズ予防情報ネット(API-Net)<外部リンク>
エイズについて不安や疑問をお持ちの方は保健所で相談窓口を設置していますのでご連絡ください。またエイズ検査は無料・匿名で実施しています。
保健所名 |
所在地・電話番号 |
検査受付日時(祝祭日、年末年始を除く) |
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四国中央市三島宮川4-6-55 |
水曜日(要予約) |
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西条市喜多川796-1 |
月曜日 |
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今治市旭町1-4-9 |
火曜日(要予約) |
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松山市北持田町132 |
水曜日(要予約) |
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八幡浜市北浜1-3-37 |
月曜日(要予約) |
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宇和島市天神町7-1 |
火曜日 |
検査(スクリーニング検査)は迅速検査法により行いますので、その日のうちに結果が判明します。ただし、追加・確認検査が必要となった場合は、結果は後日となります。
エイズ検査はHIV抗体を測定します。感染直後はHIV抗体が十分につくられていないため感染していても検査をすり抜けることがあります。感染の可能性のあった時期から3ヶ月以上たってから検査を受けてください。
松山市保健所でも相談・検査を実施しています。お問い合わせください。
(参考)松山市保健所ホームページ(松山市ホームページへのリンク)<外部リンク>
検査結果を知ることは、大切な人を守るだけでなく、感染者本人にとっても、早期治療を開始すれば発病を遅らせることができるので大変重要です。