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国家戦略特区による今治市への獣医学部新設について国民が求める疑惑解明に説明責任をはたすことを求める意見書
第354回(平成29年12月)定例会
提出議案【議員提出の部】
国家戦略特区による今治市への獣医学部新設について国民が求める疑惑解明に説明責任をはたすことを求める意見書
文部科学省は、大学設置・学校法人審議会答申にもとづき、加計学園の今治市への獣医学部新設を認可したが、国民・県民から向けられた疑惑は何ら解明されていない。これに至る間、内閣府は、2015年6月の国家戦略特区・ワーキンググループへの加計学園の出席を隠し、発言も含めた議事録の公開など国民が求める情報開示に応じる姿勢が見られないことや、国家戦略特区諮問会議決定に至る経過の中で官邸の意向が働いたとの疑惑も払拭されていない。
また、大学審議会が公表した意見内容では、5月の段階で抜本的な見直しが必要だとする「警告」を示し、修正できなければ不認可になる問題点が7点もあったことも明らかになった。加計学園は当初、ライフサイエンス研究分野などの獣医師養成に関し、需要動向すら示すことをせず、家畜を多く扱う公務員獣医師不足解消に不可欠の牛の解剖や病理解剖を当初は計画していなかったなど、是正を求められる事態になった。さらに、高齢の専任教員が多いこともあげられ、将来にわたって実習などが円滑に実施されるのか危惧される。
しかも、同審議会は「法人の中長期的な経営の見通しを踏まえつつ、設置経費の財源である借入金の償還の見通し」についても説明を求める意見を述べている。獣医学部新設にあたっては、巨額の建設費用が見込まれ、その半額を上限に今治市と愛媛県が補助する内容を含んでおり、主権者として看過することはできない。
安倍首相は「丁寧に説明する」と繰り返しつつも、自ら説明責任を果たしているとは言い難い状況が続いている。国民の理解も広がらない。加計学園の加計孝太郎理事長や、和泉洋人首相補佐官をはじめ関係者を国会に招致し、証人喚問を行うなどによって、国民への説明責任を果たすことを強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年12月13日
愛媛県議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣