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木材の価格安定と需要拡大等を求める意見書
第328回(平成24年9月)定例会
提出議案【議員提出の部】
木材の価格安定と需要拡大等を求める意見書
森林は、国土の3分の2を占めており、林産物の供給はもとより、水源かん養、山地災害の防止等の多面的な機能の発揮を通じ、国民生活にさまざまな恩恵をもたらす「緑の社会資本」である。
戦後に植栽された人工林は、その多くが50年生を超えており、資源の活用期にあるものの、スギ、ヒノキの木材価格は、リーマンショック以降の住宅着工戸数の減少や建築工法の変化等により低迷し、更に最近の円高基調から輸入材の価格競争力が増したことにより、下落傾向に拍車がかかり、本年6月には、かつて経験したことのない価格まで落ち込んでいる。
現在、木材価格は回復傾向にはあるものの、いまだ低位に留まっており、このような状態が続けば、森林所有者の森林経営に対する意欲の低下とともに、未整備森林が増加し、ひいては、地球温暖化防止等森林の有する多面的機能の発揮に影響を及ぼすことが懸念されるほか、森林整備を担う森林組合等林業事業体においては、現場労務者の継続的な雇用が困難な状況に陥り、担い手となる優秀な人材の確保と育成にも支障を来すことが危惧されている。
今後、国産材の需要を拡大し、木材価格の安定を図るためには、7月から施行された再生可能エネルギーによる固定価格買取制度などを活用し、木材を直接的に利用し、自給率向上を実現することが必要である。
よって、国においては、現下の経済情勢を踏まえ、危機的状況にある森林・林業・木材産業の活性化を図るため、次の事項を実施するよう強く要望する。
記
- 木材需給の変動に対し、弾力的に対応するとともに、地球温暖化防止等森林吸収源対策の着実な実行を図るため、森林管理・環境保全直接支払制度を見直し、条件不利森林などでの保育間伐への支援の拡充と雇用機会の確保を図ること。
- 公共施設の木造化等に加え、個人住宅改修への木材利用に対する支援や木質バイオマスの利用促進を図る施設整備への支援など、国産材の更なる需要拡大と価格の安定に向けた出口対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年10月12日
愛媛県議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
環境大臣