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原子力発電所の安全対策の強化等を求める意見書
第322回(平成23年5月)定例会
提出議案【議員提出の部】
原子力発電所の安全対策の強化等を求める意見書
去る3月11日に発生した国内最大のマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とこれに伴う巨大津波は、東北地方を中心に数多くの尊い命を奪い、沿岸地方に壊滅的な被害をもたらした。
加えて、東京電力株式会社福島第一原子力発電所では、地震発生時に運転していた原子炉は自動停止したものの、想定を大きく上回る津波によって非常用電源設備が全て失われた結果、原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能が喪失し、大量の放射性物質が放出され、我が国で初めて原子力災害対策特別措置法に基づく「原子力緊急事態宣言」が発令された。
さらに、原発事故の深刻度が「国際原子力事象評価尺度(INES)」による暫定評価で最悪の「レベル7」に引き上げられ、大地震から2か月を経た今も、周辺地域では広範囲な避難指示の下、多くの住民が避難生活を余儀なくされているほか、農作物の汚染や風評被害も深刻化している。
とりわけ、原発立地地域住民の不安と疑念は深刻であり、四国唯一の原子力発電所が立地する本県においても、近く発生すると予測されている東南海・南海地震による被害が懸念され、また、伊方発電所の前面海域に中央構造線断層群が存在していることから、今回の震災を受けて県民の不安は高まっている。
現在のエネルギー事情を踏まえ、原子力発電所について、徹底した安全対策を早急に構築し、不安の払しょくに努めることは国の責務である。
よって、国は、福島第一原子力発電所の事故の一刻も早い収束と原因究明はもとより、国内すべての原子力発電所の周辺住民の安全・安心を確保するため、次の事項について、特段の措置を講じるよう強く要望する。
記
- 今回の事故原因の詳細な調査を踏まえ、耐震設計審査等の安全指針について見直しを行うこと。
- 地震対策、津波対策などの安全対策について、改めて点検を行うとともに、抜本的な対策を講じ、国民の安全・安心の確保に努めること。
- 原子力の安全確保等に関する情報公開、住民への説明、広報の充実強化を図ること。
- 今回の事故を受け、国の防災基本計画や原子力防災指針等の見直しを早急に行うこと。
- 今回の事故による風評被害を防止し、特に輸出品や観光などへの海外からの懸念を払しょくするよう万全の対策に努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年5月11日
愛媛県議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
内閣府特命担当大臣(防災)
内閣官房長官