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石油供給の過疎地対策に関する意見書
第320回(平成22年12月)定例会
提出議案【議員提出の部】
石油供給の過疎地対策に関する意見書
近年の石油業界では、原油価格高騰を受け、石油製品の需要が大幅に落ち、倒産・撤退がさらに進んでいる。
一方、地下タンクや関連設備は老朽化が進み、漏洩等の危険物事故の増加が顕著になっている。こうした事態に国は、関係法令を改正(平成23年2月1日施行)し、老朽化タンクの修繕措置を求めているが、これらの措置には一店あたり数百万円の費用負担となり、95%以上が中小零細企業のガソリンスタンド業界にとって過大な負担となっている。
特に過疎地にとっては、極めて深刻な状況で、消防法の改正とともに、同時多発的に老朽化タンクを地下に残したまま閉鎖され、危険物が放置される可能性も高い。
国は22年度予算においては、「タンク撤去費用の2/3の補助」「供給不安地域に限り地下タンク補強修繕費の1/4~1/3の補助」を実施したが、実際には、閉鎖する事業者に対して金融機関が残額を融資する可能性は極めて少ないと思われ、一方営業を継続するガソリンスタンドも、消防法改正に伴う自己負担額を背負うことになり、このままの状態では、老朽化したタンクを放置したまま廃業するケースが増えるなど、安全・安心の生活を脅かされかねない。
近い将来、農村山間部での民間ガソリンスタンドは皆無になるという事態に陥りかねない。経済産業省は、その後の石油供給問題を「SS過疎化問題」ととらえ具体的地域を設定して検討を開始したが、ここで言うSS過疎地域は新市町村単位で設定されているため実情を表していない。特に灯油配達については買物難民問題にも派生してくるため、旧市町村単位での細かなフォローが必要である。
よって、国におかれては、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
記
- 地下タンクの老朽化による入替えや廃業による撤去の場合は、地下タンク撤去補助金を継続すること。
- 消防法改正に対応するため、補助金等の制度を設けること。
- 消防法改正については、その準備啓発期間として猶予期間を延長すること。
- SS過疎地域を策定するに当たっては、これを再検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年12月21日
愛媛県議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
国家戦略担当