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修復腎移植の推進を求める意見書
第318回(平成22年9月)定例会
提出議案【議員提出の部】
修復腎移植の推進を求める意見書
わが国では、慢性腎不全のため透析生活を余儀なくされている患者が、平成21年末で約29万人となっており、毎年1万人程度増え続けている中で、健康的な生活を取り戻したいと願い、根本治療法である腎移植を望んでいる多くの人たちがいる現状にある。
しかし、献腎(提供された死体腎、脳死腎)は、平成21年で190程度と極めて少なく、献腎移植を受けるには、成人で平均15年程度も待たなければならない状況で、ほとんどの人が移植を受けられないまま、精神的にも肉体的にも大きな負担を抱えて生活している。
こうした事情を背景に、移植待機患者を一人でも多く救おうと、治療のために摘出した腎臓を修復して移植する、いわゆる修復腎移植(病気腎移植)が始められ、多くの患者に喜ばれてきたところである。
ところが、日本の移植関係学会は「現時点では医学的妥当性がない」との見解を発表し、厚生労働省においては、臓器移植法の運営指針を一部改正し、修復腎移植については臨床研究の道は残すものの、原則禁止とした。
その後、平成21年1月、厚生労働省は、「いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していない」との通達を都道府県に出し、臨床研究としては再開されたものの、保険適用の見通しは立っておらず、修復腎移植は依然として禁止状態となっている。
移植腎の大幅な不足という状況の中で、修復腎移植の道を開くことは、重度の腎臓病に苦しみ、生命の危機に脅かされている、透析治療が困難な患者にとって、健康回復への希望となるものである。
よって、国におかれては、次の事項について特段の配慮をされるよう強く要望する。
記
- 移植を待ち望む患者が一日も早く移植を受けることができるよう、修復腎移植が可能となる環境整備を進めること。
- 臨床研究の成果を踏まえ、修復腎移植の保険適用を認めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年10月8日
愛媛県議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣