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林業・木材産業の活性化対策を求める意見書
第313回(平成21年6月)定例会
提出議案【議員提出の部】
林業・木材産業の活性化対策を求める意見書
国土の3分の2を占める森林は、国土や自然環境の保全、水源かん養、木材生産等の多面的機能を有するとともに、とりわけ京都議定書に基づく二酸化炭素の吸収源として大きな期待が寄せられており、国民・県民の生活と深く結び付き、循環型社会を形成する源となっている。
こうした中、国においては、地球温暖化防止に向けた森林吸収目標の達成と木材・木質バイオマスを活用した低炭素社会の実現に向けて、本年度第一次補正予算において、間伐や路網整備、製材施設・バイオマス利用施設等の整備、木質バイオマスや間伐材の流通円滑化、公共施設等での地域材の利用促進などを、地域で一体的に進める森林整備加速化・林業再生事業を創設されたところである。
しかしながら、百年に一度とも言われる経済金融危機の影響を受け、住宅産業等において木材需要が急激に減退し、大規模加工場での原木荷受けの停止等により原木価格が暴落するなど、林業・木材産業はかつてない危機的な状況に置かれており、早急に追加的な対策が講じられなければ、これを生業とする多くの担い手が失われ、山村も雇用や生活基盤の喪失により疲弊の度を増し、ひいては地球温暖化防止に向けた森林吸収源対策の達成にも、悪影響が避けられない事態となっている。
よって、国におかれては、本年度第一次補正予算の円滑な執行と併せて、現下の経済情勢を踏まえ、危機的状況にある林業・木材産業の活性化を図るため、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
記
- 現在、衆議院で審議中の地球温暖化の防止等に貢献する木材利用の推進に関する法律案の早期成立を図り、木材自給率の目標を定めるとともに、その達成に向けて、カーボン・ストック減税等の国産材使用に対する優遇措置の創設、国産材使用エコ住宅の普及を促す国民運動の展開等により、計画的かつ効果的に木材自給率の向上に取り組むこと。
- 景気悪化により木材需要が急速に縮小する中、国産材の安定供給と林業者の経営安定が図られるよう、木材価格の急激な下落による林業収入の大幅な減少の影響を緩和するための基金等によるセーフティネットを構築するとともに、緊急の木材価格対策として、国有林が主体となって木材の生産調整に取り組むこと。
- 「造り育てる林業」から地球環境資源として「利用し活用する林業」への質的転換が進む中で、森林整備と木材利用を一体的に進めるため、森林整備加速化・林業再生事業を拡充・延長するとともに、同事業で採用されている定額助成の通常制度化を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年7月10日
愛媛県議会
<提出先>
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、環境大臣、国土交通大臣