本文
平成15年版
概要版(平成15年版)
- 概要(あらまし)
- 1.環境先進県を目指して
- 2.平成14年度の現況
- 3.廃棄物の適正な処理・資源循環型社会の推進
- 4.自然と人とが共生する環境の保全と創造(一部拡充)
- 5.快適な都市環境の保全と創造(一部新規)
- 6.県民参加型環境教育・学習の推進(一部新規)
概要(あらまし)
本県における環境の状況は、公害防止対策や自然環境保全対策の推進により、全般的に良好な状況を保っている。これは、国や県・市町村による規制、企業等による技術革新やその普及、県民の環境保全活動への取組など、様々な人の努力によるものである。
しかし一方で、地球の温暖化、オゾン層の破壊等の地球的規模の環境問題の発生、さらに、ダイオキシン類、環境ホルモン等の有害化学物質による人の健康への影響がクローズアップされるなど、環境を取り巻く現状は、ますます複雑多様化している。
このような中、県においては、「愛媛県環境基本条例」や「えひめ環境保全指針」、「えひめ循環型社会推進計画」などに基づき、環境保全施策の総合的かつ計画的な推進を図っている。
平成14年11月に県庁の本庁舎についてISO14001の認証を取得し、エコオフィス活動や環境保全事業の推進など、環境負荷低減に率先して取組み、また、地球温暖化対策としては「愛媛県地球温暖化防止指針」に基づき、温室効果ガスの削減に向けた意識啓発を実施するとともに、県民の皆様の、温暖化対策推進の学習・情報の拠点となる体験型環境学習センター「えひめエコ・ハウス」をオープンした。
また、優れた瀬戸内海の自然環境を保全するため、海砂利採取の禁止を盛り込んだ「瀬戸内海の環境の保全に関する愛媛県計画」の改訂をおこなった。
その他、「愛媛県版レッドデータブック」や「こども環境白書」を発行するなど、環境情報や環境学習機会の提供に努めるとともに、本県独自の環境技術である水質浄化技術や小型焼却炉ダイオキシン類簡易削減技術の普及、水源の森林づくり等による森林蘇生など、様々な環境保全施策を積極的に推進し、環境にやさしい愛媛づくりに取組んでいる。
1.環境先進県を目指して
(1) 愛媛県発のエコ技術の創造(拡充)
環境創造のための先進的技術開発、研究等を総合的かつ計画的に実施するため、平成12年4月に「愛媛県環境創造センター」を設立し、「環境創造プロジェクトチーム」を設置し新たな施策展開に取組んでいる。
平成14年度は、微生物等自然の浄化能力を活用した水質浄化技術の実用化、小型焼却炉のダイオキシン類削減技術の実証実験の実施、土壌中のダイオキシン類の分解技術の研究を行ったほか、平成14年10月21日には、環境創造センター所長、客員研究員、研究員による「愛媛県環境創造センター研究会」を開催し、バイオマス生産を柱とする循環型社会の創造等について検討を行った。
(2) 地球環境対策の推進
(1) 地球温暖化防止対策の推進(拡充)
平成14年3月に、平成8年3月に策定した「愛媛県地球温暖化対策地域推進計画」を見直し、新たに「愛媛県地球温暖化防止指針」を策定し、平成22年度に県全体の二酸化炭素など6物質の温室効果ガスを平成2年度排出量比で6%削減することを目標に掲げ、県民、事業者及び行政が一体となった温暖化対策を推進している。
このため、平成14年度には、各種の地球温暖化防止対策技術を導入した愛媛県体験型環境学習センター(通称:えひめエコ・ハウス)をえひめこどもの城内に設置し、平成15年4月22日の「地球の日」にオープンした
また、愛媛県地球温暖化防止指針の周知を図るため、地球温暖化の影響やその対策の必要性などをわかり易く説明したアニメ-ション主体の啓発ビデオ350本を作製し、関係機関に配布するとともに、一般県民への貸し出しを行っている。
なお、県自らも1事業体として、県の事務・事業における温暖化対策を推進するために、「愛媛県地球温暖化防止実行計画」を平成13年3月に作成し、県のすべての機関において省エネ、省資源対策などを総合的、計画的に推進しており、グリーン購入についても、温暖化防止対策の一環として位置付け、重点対象物品の指定等により、県の全機関において実施している。
(2) オゾン層保護対策(拡充)
冷蔵庫等の廃家電品については、平成13年4月から家電リサイクル法が施行され、メーカーにフロン回収が義務付けられた。また、平成13年6月には、カーエアコン及び業務用冷凍空調機器のフロン回収の義務付け、フロン類回収業者等の登録、フロン回収破壊費用の負担等を定めた「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)」が公布され、平成13年12月から順次施行され、平成14年10月に完全施行された。
県では、平成14年度も引き続き、カーエアコンを対象に巡回回収モデル事業を実施するとともに、フロン回収業者等を対象にした技術研修会や法律説明会の開催、リーフレット8万部の作成・配布などによりフロン類の回収促進に努めた。
(3) 資源循環型社会の構築
(1) えひめ循環型社会推進計画
大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムを見直し、環境への負荷を軽減し、資源を有効に活用することにより、廃棄物の減量化とリサイクルを進める循環型社会の構築を図るため、平成12年3月に「えひめ循環型社会推進計画」を策定した。
この計画では、循環型社会構築の課題を解決するための基本方針を、発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再資源化(リサイクル)、適正処理(プロパー・ディスポーザル)に置き、生産、流通、消費の各段階における3Rの認識と実践、発生した廃棄物に対する適正処理に重点を置いた循環型社会の形成に取組むこととしている。
計画の具体的な推進方策としては、当面5年間を循環型社会への移行期間とし、目標年次の平成16年度には、一般廃棄物の排出量を57.6万トン(8年度比△1.7%)、リサイクル率を、現状の 8.2%を18.4%とするなどの目標値を設定し、60の施策を展開することにしている。
(2) 愛媛県廃棄物処理計画
経済の発展や産業構造の変化に伴う生産・消費活動の拡大やライフスタイルの多様化により、近年の廃棄物処理は、排出量の高水準での推移、最終処分場の立地難、ダイオキシン類に代表される有害化学物質への不安、不法投棄の増大など様々な問題を抱えている。
県においても、ごみ排出量の増大、適正な処理施設の確保難は深刻な問題となっており、総合的かつ計画的な施策の推進を図ることが求められている。
このような状況のもとで、「愛媛県廃棄物処理計画」を平成14年3月に策定した。本計画の対象期間は、平成13年度から平成17年度までの5カ年間とし、平成17年度を計画目標年度としている。
(4) 瀬戸内環境対策の推進
(1) 瀬戸内海の環境の保全に関する愛媛県計画(見直し)
瀬戸内海の環境保全に係る施策を、総合的かつ計画的に進めるため、国が策定した「瀬戸内海環境保全基本計画」に基づき、昭和56年7月、「瀬戸内海の環境の保全に関する愛媛県計画」を策定し、各種の施策を講じてきた。
平成12年12月に国において基本計画の大幅な見直しが行われたことを受け、平成14年7月、愛媛県計画を改訂し、平成18年度からの海砂利採取禁止、埋立の極力抑制など本県独自の施策を盛り込んだ。この計画により、瀬戸内海にふさわしい環境の保全と創造を積極的に推進していく。
(2) 骨材対策推進事業(新規)
本県では建設用細骨材の多くを海砂に依存してきたが、瀬戸内海の環境保全の観点から、平成18年度以降、海砂利採取を禁止することとなった。この海砂は、社会資本整備等に必要不可欠な建設用資材でもあり、採取禁止による社会的混乱が懸念されるため、学識経験者等で構成する「愛媛県骨材対策委員会」を設け、海砂代替材の供給見通しや品質等について調査検討を行った。
2.生活環境の保全
(1) 大気環境
人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準として、環境基本法等に基づき、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、光化学オキシダント、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン及びダイオキシン類の10物質について環境基準が定められている。
平成14年度の大気常時測定局における測定結果は、二酸化硫黄、一酸化炭素及び二酸化窒素については、前年度に引き続き、すべての測定局で環境基準を達成している。しかし、浮遊粒子状物質については、32測定局中11局で2日連続して環境基準値を超えた時期があり、環境基準達成率は66%(前年度67%)となっている。光化学オキシダントについては、前年度と同様、すべての測定局で環境基準値を超えた時間があったが、光化学スモッグ注意報の発令は1日もなかった。
また、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン及びダイオキシン類については、前年度に引き続いて、すべての地点で環境基準を達成している
(2) 水環境
水質汚濁に係る環境基準は、環境基本法等に基づき、人の健康の保護に関する項目(健康項目)と生活環境の保全に関する項目(生活環境項目)について定められている。健康項目に関する環境基準は、すべての公共用水域に一律に適用され、かつ、直ちに達成・維持されるよう努めるものとされている。一方、生活環境項目に関する環境基準は、公共用水域について利水目的に応じて水域類型が指定され、それぞれの水域類型ごとに基準値及び達成期間が設定されている。
平成14年度の公共用水域の測定結果は、健康項目(26項目)については、河川(37地点)、湖沼(2地点)及び海域(34地点)のすべての地点で環境基準を達成している。生活環境項目については、代表的な水質指標であるBOD(河川に適用)及びCOD(湖沼及び海域に適用)について、県内の54水域のうち37水域で環境基準を達成(達成率69%:前年度78%)している。全窒素及び全燐は、全ての海域で環境基準を達成した(前年度:全窒素・全燐ともに100%)。
平成14年度の地下水の水質測定結果については、定期モニタリング地点72地点のうち、テトラクロロエチレン2地点、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素15地点、ひ素1地点が環境基準を超過していた。
また、概況調査においては、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が3地点、ふっ素が2地点で環境基準を超過していた。
平成14年度のゴルフ場からの排出水中農薬の検査結果は、前年度に引き続いて環境省の暫定指針値を超過したものはない。
平成15年度の県内の主な水浴場(26箇所)の水質調査結果は、シーズン前及びシーズン中ともにすべての海水浴場で遊泳可能であった。
(3) 騒音
騒音に係る環境基準は、環境基本法に基づき、一般居住環境騒音、自動車騒音及び航空機騒音等について、都市計画法に基づく用途地域の指定などの地域の土地利用状況に応じて地域の類型が指定され、時間帯によって区分されている。本県では、12市6町について、環境基準の類型指定が行われている。
平成14年度の騒音調査結果は、一般地域については、53地点のうち32地点で昼夜間ともに環境基準を達成している(達成率60%:前年度71%)。自動車騒音(道路に面する地域)については、県内の道路交通センサス区間のうち20区間で「面的評価」を実施した。このうち、昼夜間ともに環境基準を100%達成したのは10区間であり、また、住家等の全戸数7,966戸のうち、7,403戸が環境基準を達成している(達成率93%:前年度95%)。
また、松山空港周辺の航空機騒音の調査結果は、前年度に引き続きすべての地点(4地点)において、すべての時間帯で環境基準を達成している。
(4) 振動
振動については、環境基準の定めはないが、振動規制法により、工場・事業場及び建設作業による振動に対して規制が行われている。本県では、10市5町について規制地域の指定、規制基準や道路管理者等への要請限度の設定を行うとともに、各市町が道路交通振動の調査を実施している。
平成14年度の道路交通振動の調査結果は、前年度に引き続いてすべての地点(19地点)で要請限度を達成している。
(5) 悪臭
悪臭については、悪臭防止法により、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素などの22物質を特定悪臭物質として、工場・事業場から発生するにおいに対して規制が行われている。本県では、悪臭が発生するおそれのある工場が立地している6市2町について規制地域の指定や規制基準の設定を行い、悪臭の発生が予想される主要な事業場等に対し、各市町が立入検査を実施している。
平成14年度は、松山市を除く7事業場について74件の悪臭物質の測定が行われたが、1事業場(前年度2)で基準値を超過していたため、指導が行われた。
(6) 土壌環境(拡充)
土壌の汚染に係る環境基準は、環境基本法等に基づき、カドミウム、ジクロロメタン、ダイオキシン類など28物質が設定されており、県では、事業者、土地所有者等に対して、設備増設等に伴う土地改変の機会をとらえて汚染状況の的確な把握と適切な対策の実施を指導している。
また、近年、顕在化する土壌汚染の増加を踏まえ、有害物質を取扱っている事業場等が、土壌汚染の有無が不明なまま放置され、人への健康影響が生じてしまうことを防ぐことを目的として、平成15年2月15日に土壌汚染対策法が施行され、有害物質使用特定施設の使用廃止時等の土壌汚染状況の調査、汚染された土地の指定、健康被害の防止のための汚染の除去等の措置などが定められた。
農用地の土壌汚染については、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、農用地を対象に72地点の定点を設定し、毎年18地点でカドミウム、銅、ひ素の特定有害物質及び管理基準が定められている亜鉛の濃度を測定している。
平成14年度の調査結果は、カドミウム、銅、ひ素、亜鉛ともに基準値以下であった。
(7) 環境放射能
原子力発電所の設置、運転に伴う放射性物質の放出規制は、原子炉等規制法で定められており、更に指針により施設周辺の公衆の受ける線量目標値を、実効線量として年間0.05mSv以下とするよう定められ、設計、運転管理されている。
本県では、伊方発電所周辺にモニタリングステーション等を設置し、環境放射線のテレメータによる常時監視を行ってきたが、平成13年度からは、東海村ウラン加工施設臨界事故及び環境放射線モニタリング指針の改訂を踏まえ、モニタリングポスト5局の増設等により放射線監視体制を強化している。平成14年度の環境放射線等調査結果は、県モニタリングステーション1か所及び県モニタリングポスト7か所における空間放射線の線量率の1時間平均値が11~52nGy(ナノグレイ)/時、30地点の積算線量が年間341~566μGy(マイクログレイ)、土壌、農水産物等の環境試料中の放射能レベルについても、これまでの測定値と同程度で、発電所からの影響は認められなかった。
また、放射性物質の放出管理状況に基づく線量の評価結果は、年間0.024μSv(マイクロシーベルト)であり、安全協定の努力目標値7μSvを下回っていた。
なお、監視用の機器については、平成14年度は液体シンチレーションカウンター及び高純度ゲルマニウム多重波高分析装置を更新整備する等、計画的に最新の機器に更新している。
(8) 有害化学物質
(1) ダイオキシン問題
平成11年7月にダイオキシン類対策特別措置法が公布され、耐容1日摂取量(ヒトが一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される1日あたりの摂取量)、大気、水質、土壌の環境基準や、施設からの排出規制基準などが定められ、平成14年9月から、底質の環境基準が新たに設定された。
平成14年度のダイオキシン類の調査結果は、大気については、昨年度に引き続いて伊予三島市など6市町で調査を実施したが、いずれの地点も環境基準を達成していた。土壌については、伊予三島市など40市町村40地点で調査を実施したが、いずれの地点も環境基準を達成していた。また、金生川などの河川6地点及び伊予三島・川之江海域などの海域11地点で水質及び底質の調査を実施したが、いずれも環境基準を達成していた。地下水については、20市町村で調査したが、すべて環境基準を達成していた。
また、ダイオキシン類対策特別措置法の規制対象である廃棄物焼却炉等の特定施設の設置者が、同法の規定に基づき、排出ガス、排出水等のダイオキシン類を測定した平成14年度の自主測定結果は、すべての施設において、排出基準を遵守していた。
(2) PRTR法(拡充)
平成11年7月に公布された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」に基づき、製造業など23業種などの一定規模以上の事業所は、平成14年度からベンゼン、ダイオキシン類などの指定化学物質の排出量等について国へ届出することが義務付けられ、その集計結果(平成13年度の排出状況)が15年3月に公表された。
本県の状況としては、届出された化学物質は116物質で、環境への総排出量は7,466トン/年となっており、そのうち92%が大気、7%が公共用水域への排出となっている。
(3) 環境ホルモン問題
外因性内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)は、その働きや健康への影響について科学的に未解明な点が多く、人の健康や生態系に、世代を越えた影響を及ぼす危険性が指摘され、その対策が緊急の課題となっていることから、県においても平成14年度からビスフェノールA等5物質を対象に、公共用水域及び事業場排水の調査を実施しており、海域でビスフェノールAが、事業場排水でノニルフェノール等の4物質が検出されている。
(9) 公害の苦情処理
本県の14年度における公害苦情受理件数は、954件であり、前年度(948件)に比べて6件(0.7%)増加した。
公害の種類別では、大気汚染が371件(38.9%)と最も多く、次いで悪臭が145件(15.2%)、水質汚濁が129件(13.5%)、騒音が109件(11.4%)、振動が3件(0.3%)、土壌汚染が2件(0.2%)となっており、典型7公害以外の公害(廃棄物不法投棄、害虫発生、動物の死骸放置、ふん・尿など)が195件(20.4%)となっている。
これを、前年度と比較すると、悪臭が28件、水質汚濁が26件増加しており、大気汚染、騒音、振動については減少している。
3 廃棄物の適正な処理・資源循環型社会の推進
(1) 一般廃棄物
本県の平成14年度末のごみ・し尿処理施設整備状況は、ごみ焼却施設25施設【ごみ燃料化施設(RDF)2施設を含む。】(1,944.8トン/日)、リサイクルプラザ・センター5施設(98トン/日)、し尿処理施設24施設(1,591kl/日)、コミュニティ・プラント11施設が整備されている。
平成14年度のごみの年間総排出量は、約61.7万トン(前年度約64.6万トン)で、そのうち72.2%が焼却処理(前年度71.8%)、7.6%が埋立処分(前年度9.0%)されている。また、資源化量は約7.4万トン(前年度約6.8万トン)で、これに集団回収量を加えたリサイクル率は14.1%(前年度13.1%)となっている。
平成14年度の一般廃棄物焼却施設のダイオキシン類濃度測定結果は、市町村のごみ焼却施設からのダイオキシン類排出濃度は、0.00~8.4ng/N立方メートル、平均値0.73ng/N立方メートル(前年度 4.84ng/N立方メートル)であり、平成8年度に比べると約25分の1になっている。民間設置のごみ焼却3施設からのダイオキシン類排出濃度は、0.00~0.69ng/N立方メートル、平均値0.32ng/N立方メートルである。
(2) 産業廃棄物
県内における産業廃棄物は、年間約 970万トンの大量かつ多様な性状のものが排出されており、これらの適正処理を徹底し、不法投棄等の不適正処理に起因する水質汚濁、大気汚染、土壌汚染、悪臭といった二次公害を防止し、生活環境の保全を図る必要がある。本県では、県内における産業廃棄物処理の実態や将来予測、県の講ずべき施策など、本県の産業廃棄物処理の基本的方向を示す第4次愛媛県産業廃棄物処理計画に基づき、県民一体となった適正処理の推進に努めている。特に年間 1,000トン以上の多量排出事業者に対しては、産業廃棄物処理計画の作成を指示し、適正処理の確保や資源化・減量化を推進するなどして、資源化率、減量化率の向上に努めている。
(3) 資源循環型社会の推進
(1) ごみ減量化及びリサイクルの推進
一般廃棄物の容積比で6割を占める容器包装廃棄物の排出抑制、分別収集と再商品化の促進を図るため、市町村では、計画に基づいて容器包装廃棄物の分別収集に取組んでいる。平成14年度におけるびん、缶、ペットボトルなどの分別収集の状況は、収集量28,360トン、再商品化量27,630トン、再商品化率97.4%となっている。
(2) 買い物袋持参運動の促進(新規)
資源の節約とごみの減量につながる手段であり、誰にでも簡単にできるマイバック(愛用の買い物袋)持参運動を推進するため、誰もが利用しやすいマイバックのコンテストを実施した。
最優秀賞に選ばれたデザインをもとにモデルマイバックを作製し、これを公募したモニター1,085人の方に10月のキャンペーン期間中体験してもらい、運動の普及拡大を図った。
4.自然と人とが共生する環境の保全と創造(一部拡充)
本県は、温暖な気候に恵まれ、多島美を誇る瀬戸内海や、西日本最高峰の石鎚山、リアス式海岸の宇和海などの優れた自然景観や豊富な動植物に恵まれている。これらの貴重な自然を保護し、適正な利用を図るために、国立公園2、国定公園1、県立自然公園7の計10か所の自然公園、自然環境保全地域3、自然海浜保全地区23、鳥獣保護区59を指定(設定)し、環境省、市町村及び愛媛県自然保護協会並びに自然保護指導員及び鳥獣保護員等と一体となって、自然環境や生態系の保全等に努めている。
また、平成11年度から4か年をかけて、県内の絶滅のおそれのある野生動植物をリストアップし、その希少性の評価、生息・生育状況等をとりまとめた「愛媛県レッドデータブック」を作成した。このレッドデータブックは、野生動植物の種の保存への理解を広く県民に求め、自然保護・自然との共生意識を高めるとともに、開発行為における環境への配慮を促進するなど、県内の自然生態系を保全し、野生動植物の多様性を確保していくための基礎資料となるものである。
さらに、自然保護思想の普及啓発を図るため、県民参加のもと「えひめ自然に親しむ集い」や「親子愛鳥教室」等を実施した。
その他、森林を適正に管理し、森林の持つ公益的機能を高度かつ持続的に発揮させることを目的に、(財)愛媛の森林基金が主体となって、公的管理による放置森林の整備を行っている。
5.快適な都市環境の保全と創造(一部新規)
河川里親制度(平成12年度)、道路里親制度(平成13年度)、海岸里親制度(平成14年度)をそれぞれ創設し各団体里親による清掃美化活動等が行われている。
また、都市の自動車交通を質・量ともに改善し快適で環境に優しい都市交通を実現するため、松山市において、伊予鉄道横河原線久米駅及び松山市駅を起点として住宅団地や病院、公共施設・商店街等の公共交通の空白地域に、ノンステップバスによるワンコイン(100円)ループバスを運行し、自動車交通から公共交通機関に利用者を誘導して、その利用促進を図る交通需要マネジメント実証実験を行った。
6.県民参加型環境教育・学習の推進(一部新規)
(1) 学習機会の拡充
今日の環境問題に対応するためには、県民一人一人が日常生活と環境との関係について理解と認識を深め、環境に配慮した責任ある行動をとることが不可欠と考えられる。
このため、県民が自主的に環境学習に取組む際の支援制度として「環境マイスター派遣制度」の運営、環境関連の実務者等により高度な知識を取得してもらうための「えひめ環境大学」の開催、高等学校における「高等学校環境教育推進事業」の実施など、家庭、学校、地域など多様な場で、それぞれの年齢階層に応じた環境教育・環境学習を推進している。
(2) 多用な環境情報の収集と提供
「えひめの環境HP」や「環境創造センターHP」など様々なニーズに対応したHPを開設するとともに、「こども環境白書」や「地球温暖化対策普及啓発ビデオ」などを作成配布し、環境活動、学習へ関わるきっかけを提供している。
(3) 環境保全意識の高揚
環境保全意識の高揚を図るため一般県民を対象にした「環境の世紀を拓く-循環型ゼロエミッション社会の創造-」フェアの開催、県民総参加による「クリーン愛媛運動」の展開、また、小・中学生を対象にした「自然観察会」や「環境啓発図画コンクール」の開催、四国4県共同での「空缶等不法投棄防止四国統一キャンペーン」の実施、「環境家計簿」の普及啓発などを行い、意識の高揚を図った。