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令和5年8月から9月にかけて、国民健康保険データベース(KDB)等に基づく分析を行いました。
国保データベースを用いた医療提供体制の分析(愛媛県全体)[PDFファイル/8.71MB]
愛媛県全体の共通課題 |
働き手不足は県内いずれの圏域でも生じる。なお、需要と供給の差が最も拡大する地域は松山圏域となる見込み。広域連携と地域完結のあり方について、隣接医療圏の都合を考慮しなければ全体が行き詰まる。 具体的には広域輪番や機能再編により圏域内の急性期対応力の強化、圏域を跨いだ後方支援連携体制の強化など、愛媛県全体の需要と供給を見越した自医療圏のあり方の検討が必要である。 |
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国保データベースを用いた医療提供体制の分析(宇摩)[PDFファイル/3.3MB]
需要予測 |
医療需要のピークは2030年になる見込み。 但し、2030年までの急性期需要の伸びは緩やかであり、回復期・慢性期等の高齢者医療の需要が中心になる。 |
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供給体制 |
2025年必要病床数と比較すると、総病床は年々地域医療構想に掲げる病床数に近づいている。内訳では、回復期が不足となり、慢性期が余剰となる。 急性期症例や救急搬送への対応は、主にHITO病院と四国中央病院にて対応している。 域内の2病院(22%)が医師不足、4病院(44%)が看護師不足と回答。但し、医師不足と回答する2病院は圏域内で救急受け入れや手術を行う要の病院であり、地域全体に影響を及ぼす課題である。 |
KDB分析結果 |
全体的に地域完結率は低いが、脳神経系疾患や心血管系疾患など、緊急性が高い傷病についてはHITO病院を中心に圏域内対応を行い、一方で、症例によっては明確に広域連携を行っている様子がうかがえた。 なお、今回は入院および手術に関する流出入調査であったが、圏域外への受診が予定入院か緊急入院(救急搬送)かを確認したうえで、地域完結に向けた課題と広域連携に向けた課題に分けて考える必要がある。 急性期症例における圏域外受診は多いが、回復期以降は自圏域に患者が戻っており、後方支援の視点では円滑に広域連携が行われる体制が構築されている様子。 |
今後の課題 |
圏域の人口規模が小さく、大規模な総合急性期病院がないことが背景にあり、地域完結率は低い状態にある。但し、脳血管疾患や心疾患など、緊急性が高い症例への対応は地域完結率を高く保つ取り組みを行っており、また、急性期により圏域外流出を行った後の後方支援についての広域連携体制の構築も進んでいる様子。 今後、働き手の人口は減少していくため、規模の拡大や機能の分散ではなく、集約と連携による効率性の向上という枠組みで考える必要性が高く、宇摩圏域においては隣接医療圏との広域連携体制の整備や自圏域における役割分担と役割への集中と連携が必要性が高まると考える。 上記を進めるには、急性期を担う病院だけでなく、回復期や在宅医療の充実も必要になり、改めて宇摩圏域の認識を統一し、円滑に役割分担と持続可能な医療体制の構築に向けた議論をより具体的に行う必要がある。 |
国保データベースを用いた医療提供体制の分析(新居浜・西条)[PDFファイル/5.09MB]
需要予測 |
医療需要のピークは2030年になる見込み。 但し、2030年までの急性期需要の伸びは緩やかであり、回復期・慢性期等の高齢者医療の需要が中心になる。 |
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供給体制 |
2025年必要病床数と比較すると、総病床(うち急性期と慢性期)が余剰となり、高度急性期と回復期が不足。 域内の47%の病院が医師不足、41%の病院が看護師不足と回答。 絶対数では医師が多い病院が医師不足を訴える状況。担う役割に対して医師が不足している模様。 需要の変化と働き手の減少の両方に適応するため、地域を俯瞰した役割転換や再編の必要性が高まる。 |
KDB分析結果 |
全体的に地域完結率は高い。他圏域による手術や入院が行われる一部ケースは傾向が明確であった。 愛媛県の共通課題を踏まえると、手術による広域連携、回復期以降の広域連携など、病態に応じた連携体制について強化する余地の確認が必要。 在宅医療に関する診療報酬の算定件数は増加傾向。また、積極的な医療機関が多くのシェアを持っている。需要予測では2035年まで需要は伸びる見込み。 |
今後の課題 |
現状において、地域の約半数の病院が医師不足を訴えている。なお、それら病院は地域内では医師数が多い病院であり、背景には救急や手術を担うには医師が不足してものと推察する。500台/年以上の救急搬送を受け入れる病院は18施設のうち8施設ある。 新居浜・西条圏域では、高度急性期が不足(届出る病院が少ない)しており、背景には機能や役割が重複しつつ分散していることが一因の可能性がある。 ケアミックス型の病院は多いが、地域内では回復期機能の病床が不足。在宅への連携機能の強化が必要。 地域の需要は2030年まで増加した後に減少に転じる。一方で、働き手の減少は既に始まっている。 手術症例は、項目によって松山圏域の医療機関と連携、脳卒中に関しては宇摩圏域や今治圏域への受診も確認できる。 地域内完結をすべき範囲、広域連携により対応する範囲を検討し、地域の実情にあわせた医療体制の構築により、地域医療ならびに個別病院の永続性を高める議論が必要。 |
国保データベースを用いた医療提供体制の分析(今治)[PDFファイル/6.04MB]
需要予測 |
2020年から2025年頃に医療需要はピークアウトを迎える。急性期需要は2015年以降に縮小している。 |
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供給体制 |
必要病床数と比較すると、高度急性期・回復期が不足傾向、急性期・慢性期が充足傾向。 大規模な総合急性期病院が無く、病床規模が小さい病院により役割分担が行われており、症例や医師が分散している。 医師不足や看護師不足を感じる病院の割合は全医療圏の中で最も少ないが、圏域内で医師の絶対数が多い病院が医師不足と回答。救急受入や手術対応に対して医師不足が生じていると思われる。また、医師数が少なく医師の高齢化が進んでいる病院が多く、将来の動向について確認が必要。 |
KDB分析結果 |
全体的に主要な手術は圏域内にて対応がされている。なお、上島町の被保険者の多くが他の都道府県(主に広島県)にて受診するため、完結率は全体的に下がってしまう傾向にある。 手術症例は主に済生会今治病院、県立今治病院、今治第一病院に集まっており、圏域外では愛大附属病院と四国がんセンターの症例が多い。 圏域内にICUがなく、他圏域ではICUにより対応する術後管理をHCUや一般病棟で行っている様子。 |
今後の課題 |
現状では、がんの手術を始め難易度が高い症例であっても圏域内で対応が行われている。 一方で、中小病院のみで対応を行っているため、1病院当たりの医師数は少なく、救急と手術にも対応することについて医師への負担がかかっている様子(医師の絶対数が多い病院ほど医師不足の傾向)。 高度急性期病床は必要数に対して不足。また、圏域内にはICUが無く、重症の患者に対して手厚い配置のユニットによる対応が出来ていない可能性がある。 急性期需要は既に縮小しており、需要の縮小(症例の減少)と働き手の減少を見据えた場合に役割分担のあり方を見直す必要性が高まることを予想する。 手術を実施する病院は概ね決まっているが、一方で必要病床数では急性期が多く回復期が不足。少ない病床数にて高度急性期や急性期に集中して取り組むには、回復期病院への円滑な後方支援連携が欠かせない。それぞれの役割を再確認のうえ、連携体制の強化が必要と思われる。 |
国保データベースを用いた医療提供体制の分析(松山)[PDFファイル/7.37MB]
需要予測 |
需要のピークは2035年であり、ピークを過ぎた後にも大きな減少は生じない見込み。 |
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供給体制 |
愛媛県における主要な病院が集まっており、他圏域からの流入が多い。 病院により、松山圏域(並びに病院所在地域)からの患者対応が主となる病院と愛媛県全域からの患者対応を行っている病院がある。 救急搬送に焦点を当てると、医師数が少ないながらに多くの救急搬送を受けいれている病院がある。それら病院については、医師不足に陥っている可能性がある(働き方改革への対応ふくめ)。 アンケート回答のうち45%の病院(26病院)が看護師不足と回答。 |
KDB分析結果 |
松山圏域の患者はほぼ全件松山圏域にて対応がされている。 一方で、他圏域からの患者受け入れが非常に多くあり、急性期のみではなく回復期以降においても松山圏域で対応しているケースも多い様子。 松山圏域は愛媛県最大の医療圏であるため、自圏域患者への対応と他圏域患者の対応の2層対応となっており、各病院における役割分担、広域連携のあり方など、将来にわたって準備をすべきことが多い。 |
今後の課題 |
現状は愛媛県内において最も医療体制が充実している医療圏となる。 しかし、近い将来は需要の変化や働き手の不足により、医療提供体制を変化させる必要性が最も高い医療圏となる可能性がある。 現在は、自圏域と他圏域の患者対応の両方を行っているが、将来に亘りこの体制を維持できるかに焦点をあて、役割分担や広域連携のあり方について、松山圏域内の話と他圏域との調整の話を同時並行で進めなければならない。 在宅医療に焦点をあてると、今後の高齢化(通院困難となる80代以上人口の増加)により需要は急激に増加する。在宅医療の主となる医療機関があるが、さらなる充実に向けて病院、診療所が一体的に地域包括ケアシステムの充実に取り組む必要がある。 |
国保データベースを用いた医療提供体制の分析(八幡浜・大洲)[PDFファイル/6.94MB]
需要予測 |
需要は既にピークアウトしており、年々縮小が続く見込み。 |
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供給体制 |
圏域内の75%の病院が看護師不足と回答。医師不足と回答する病院は救急や手術に対応する病院。大規模病院がなく、中小規模病院にて機能や人が分散している。将来的な働き手の減少を見越した再編やダウンサイズ等の必要性が非常に高まっている。 |
KDBデータ分析結果より |
広域連携(もしくは流出症例)傾向は明確であり、脳腫瘍、心臓血管外科、消化器系で内科外科の連携が必要なケースは松山医療圏にある病院を受診している。その他、自圏域に診療科(専門医)が不在の場合は当然ながら他圏域への受診となる。 外部に流出している手術は緊急入院もしくは予定入院のいずれかを引き続き分析。 |
今後の課題 |
圏域内にて高度急性期を設けるか、それら疾患は広域連携を主にするかの判断が必要。人員が分散している状況では重症症例を集めることが困難になる可能性がある。 重症急性期を広域連携する場合、下り搬送やUターン・Jターン連携のあり方をどうするか(回復期も他圏域との連携を行うか)。 地域完結を行うために、症例を具体的に絞り地域の医療機関及び関係者にて協議することが必要。 広域連携を行う場合、救急隊や隣接医療圏に負担がかからない方法について、関係者にて協議が必要。あわせて、高齢化により自走が困難な患者が増えた場合の他圏域医療機関の受診方法についても念頭におく必要がある。 |
国保データベースを用いた医療提供体制の分析(宇和島)[PDFファイル/6.48MB]
需要予測 |
需要は既にピークアウトしており、年々縮小が続く見込み。 |
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供給体制 |
2025年必要病床数と比較すると、総病床(うち急性期と慢性期)が余剰となり、高度急性期と回復期が不足。 域内の57%の病院が医師不足、49%の病院が看護師不足と回答。 需要の縮小と働き手の減少の両方に適応するため、地域を俯瞰した役割転換や再編の必要性が高まる。 |
KDB分析結果 |
全体的に地域完結率は高い。他圏域による手術や入院が行われる一部ケースは傾向が明確であった。 愛媛県の共通課題を踏まえると、手術による広域連携、回復期以降の広域連携など、病態に応じた連携体制について強化する余地の確認が必要。 在宅医療に関する診療報酬の算定件数は緩やかに増加傾向。需要予測では2035年まで緩やかに需要は伸びる見込み。 |
今後の課題 |
現に多くの病院で病床稼働率が低く、需要縮小への対応が必要である。2025年必要病床数は全国値から推計した必要病床数だが、2021年時点は2025年時点必要数の約1.4倍の病床数がある。 患者移動では、八幡浜・大洲圏域(西予市)からの流入が多く、実診療圏としての広域連携のあり方についての議論と体制作りが必要。 医師・看護師をはじめとした働き手不足が深刻であり、成り行きでは働き手不足により医療需要に対応出来なくなる恐れも考えうる。 上記の需要と供給の両方の視点から、機能の再編や集約に関する議論は不可避のように見え、地域において守るべき医療とその為の方法論について早い時期からの議論が必要。 地域事情により、急性期機能の集約・強化と回復期から在宅まで円滑な連携体制の構築を行う必要性が高まっている。 |