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令和7年仕事始め式知事あいさつ
日時:令和7年1月6日(月曜日)10時30分
場所:愛媛県庁本館4階知事会議室
皆さん、明けましておめでとうございます。
今年はカレンダーの関係で、少し長めの年末年始の休みとなりました。皆さんそれぞれ充実した休日を過ごして英気を養われたのではなかろうかと思います。そして、今日から新年の仕事が始まりますけれども、ちょうど新ステージの折り返し点を迎えて、後半のスタートをかける大事な1年になりますので、チームワークを発揮して、全力で取り組んでまいりたいと思います。
ご案内のとおり、昨年は1月1日に能登半島地震が発生いたしました。正月を返上して災害派遣の調整等、さまざまな業務に追われたことが思い起こされます。また、その後も県内での地震の発生、南海トラフ地震臨時情報の発表、あるいは城山の土砂崩れ、そして、年末には本当にご苦労をかけましたけれども、2件の鳥インフルエンザへの対処など、さまざまな対応に追われました。ただ、こうした経験を踏まえて、修正すべき点もかなりあったと思いますので、経験を生かして県民の命を守る最大使命、一層の充実に向けて頑張っていきたいと思います。
また、政策のいの一番に掲げていた西日本豪雨災害からの創造的復興、関係部局の尽力をもって、9割方まで来ているかなあというふうな状況になりました。肱川の激特事業による堤防整備も完成し、もちろん、これからもまだ終わったわけではありませんけれども、一つの節目を迎えたことは間違いありませんし、園地につきましても、原形復旧、改良復旧、順調に仕上げをしていただき、また再編復旧につきましても、全ての地区で着手に入ったということで、西日本豪雨災害からの復興のシンボルと位置づけた新品種「紅プリンセス」がいよいよ今年、市場初投入されることになります。一つの節目を迎えると思いますけれども、災害対応こそが行政の腕の見せどころ、重要な使命でもありますので、なお一層、常に寄り添いながら、現場を大事にして対応に当たっていただきたいと思います。
さらに、やらなければならないことがめじろ押しであります。地域経済の活性化なくして将来はないということで、企業誘致、観光振興、いろいろなことに取り組んできたところであります。もちろんこれは基礎自治体のアイデア、努力も大きな力になりますけども、一つのシンボルとしては、県で進めてきた、しまなみ海道の自転車新文化の振興、これについては、昨年も国際サイクリング大会を開催し、次なるステージへ向けての種まきができたのではなかろうかと思います。10年の月日をかければ、世界に通用するコンテンツの磨き込みができるという関係部局の自信にもつながったのではなかろうかと思います。
また、松山空港国際線も順調に回復し、過去最多の便数が飛んでおりますけども、さらなる路線の就航、そして欧米豪からの誘客促進の考え方を導入し、将来的には空港そのものの在り方も議論しながら今後の展開を模索していきたいというふうに思っています。
そして、今年度は営業活動13年目を迎えましたが、8億円でスタートした営業本部も、昨年度の県関与成約額は283億と、県内の営業力の弱い事業者、あるいは生産者のバックアップにつながる重要な使命を担っていく存在になってまいりました。令和8年度には300億という大きな目標に向けて邁進(まいしん)をしていただきたいと思います。
そして全ての部局で共通するのは、デジタル技術の活用でございます。この進化は、とどまるところを知りません。特に5Gが導入されて以降、本格的にAIが組み込まれるようになり、そのコントロールが一つの大きな課題になります。行政のDX、暮らしのDX、産業のDX、それぞれでどう生かすかということが大きなテーマになってきています。そこで一つ、今回修正を加えるべき呼び掛けをさせていただきたいと思います。
これまでメニュー選択型行政から政策立案型行政への脱皮を図らなければ生き残ることはできない、あるいは地域間競争で勝ち抜けない、未来を切り開くことができないということで、5つの意識改革を求めてまいりました。この基本は何ら変わることはないのですけども一つの項目だけ修正を加えさせていただきます。情報に振り回されることなく、情報を活用できるスキルを磨いてほしいということを述べさせていただきましたけれども、これはあくまでも4Gまでの前提で考えた呼び掛けでありました。先ほど申し上げましたように、テクノロジーの進化で、より一層これを活用しなければならない段階を迎えます。そこで、この文言をデジタル技術に振り回されるのではなく、デジタル技術を駆使する。情報ではなく、デジタル技術そのものを網羅的にとらえて、物事に当たっていく必要性を痛感していますので、今日から、その5つの意識改革の修正を行っていただきたいと思います。いわば我々の意識というものを常に変えていかなければ、時代の流れについていけないという段階に入ってまいりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
これは、目的は県民生活を便利にすることもあるのですけども、我々の無駄な業務を廃すること、そこで生まれた余力を県民の皆様のために使うという視点で考えるということ。産業のDXを進めることによって、競争力のある経済力を養っていくということ、いろいろな目標があると思いますけども、これはもう全部局がそれぞれ考えなければいけない、振り回されるのではなくて駆使するという視点で、ぜひ捉えてみていただきたいというふうに思います。
事程左様に大変大きな課題がありますけれども、それぞれで実績もしっかりと上げていただいているのではなかろうかと思います。予算もKGI、KPIを導入し、目標設定をしております。一つ、10年余りの歳月をかけて取り組んでいただいた防災士の人数も、初めて東京都を上回り、昨年10月末時点で2万4,835人と、全国1位を達成することができました。これは県民の皆さんが呼び掛けに応じていただいた結果だというふうに思います。
また、人口減少という最大課題、これに立ち向かうために、出生率の増加、流出人口の抑止、流入人口の増加、そして外国人材の確保と、四つの視点で施策を展開しておりますけども、なかんずく流入人口においては、移住者の人数が、平成27年度の274人から昨年度は7,254人と、四国1位の移住者を確保するに至っています。まだ目標達成している段階ではありませんけれども、近づいてきていますので、愛媛県の魅力を大いにPRして、移住者の確保に臨んでいただきたいというふうに思います。
ただ、一方で流出人口が止まらない。そしてまた、自然減のマイナス約1万3,000人、これをカバーするにはほど遠い状況でありますけども、諦めることなく、さまざまな政策を駆使して、人口減少に歯止めをかける工夫をしていただきたいと思います。
特に新しい政権、石破内閣では、地方創生に非常に力点を置いた政策を展開する動きが見られます。予算も倍増ということでありますが、知恵がなかったら、期限が来た、どうしよう。もう使うしかない。そこで生まれるのは、商品券をばらまく。あるいは地域型協力金でばらまく。こうした知恵の出し方では、交付金が生きることはありません。そうではなくて、未来の成長の糧になるような政策をひねり出せるかどうかが、我々にとって問われるということだろうと思います。
今まで、トレーニングをしてきました。政策立案型行政への脱皮、10年以上追い続けてきた成果をいよいよ発揮するのが、この地方創生ということではなかろうかというふうに思っています。私も一生懸命いろいろなことを考えますが、一人ではたかが知れています。職員のそれぞれの経験を生かして、大いに知恵を絞って、地方創生の先頭を切るような、そんな政策展開をしていく一年にしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
課題の多い中、ご苦労をかけますけれども、これまで培ってきたチームワーク、これを大事にしながら、課題解決に向けて全力を尽くしていきたいと思いますので、今年も体調等には十分気をつけて、一緒に頑張りましょう。よろしくお願い申し上げまして、年頭のあいさつとさせていただきます。
ありがとうございました。