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2024地方創生フォーラムin愛媛知事あいさつ
日時:令和6年11月19日(火曜日)13時30分
場所:南海放送本町会館1階テルスターホール
本日は愛媛県で初開催となります地方創生フォーラムに、オンラインの参加も含めて、大勢の皆さんにご参加をいただきましてどうもありがとうございます。
この事業は一般財団法人地域活性化センターと、愛媛県が共催ということになっていますけれども、地域活性化センターには、これまでも県の職員の派遣を引き受けていただいたり、人材育成に関して、県庁職員のスキルアップにお力をいただいたり、さまざまな形でご協力を賜っております。今日の午前中に、林崎理事長と、私の方で協定を正式に結びまして、本格的な地方創生に関する人材育成に力点を置いたさまざまな協力体制を敷くこととなりました。
その第1弾がこの地方創生フォーラムということになります。
振り返ってみますと、かつては均衡ある国土の発展というものを国が標榜(ひょうぼう)して、全国一律にさまざまな政策が展開されてきました。
それはそれで意味のある時期、時代だったと思うのですが、20年くらい前になりますか、二つの理由で、地方分権というのが一気に大きな流れになった時代がありました。
この二つの流れというのは、一つには国の事情であります。
これまでのように地方の政策を何もかも国で作って、提示する。
そして地方はそれから選択をしていくという時代はもうできない。
それは財政事情から見ても、到底に不可能になったということで、国の財政事情から地方分権の流れが出てきたということ。
そして一方、地方においては、そもそも、全国一律の政策展開では、地方の持つ独自の歴史や文化の魅力をまちづくりに生かせない。国から権限・財源を移譲すべきだという前向きな姿勢からの地方分権の流れ、全く動機は違うのですけれども、時を同じくして、一気に合致して、目標である地方分権の流れが加速したという時期がありました。
ただ、このときの政策は、ご記憶にある方もいらっしゃると思いますけども、三位一体の改革、確かに国の所得税が減額されて、その分地方税に同額がシフトされる。これによって独自の裁量で決定できる財源が地方は増えたかに見えたのですけども、一方で、国からの補助金等がどんどんカットされていきました。
この金額が同額であれば全く問題ないということだったのですが、実はあのとき、地方税の移譲に対して国補助金の削減金額の方が大きく、その差額が国の財政の充実にシフトされてしまいました。
この現実を前にして地方は生き残るために市町村合併に踏み切らざるを得なくなりました。
その結果約3,200あった地方自治体の数は約半分に減るという、とてつもない行政改革が進められたことは、約20年前のことであります。
こうした中でその延長で地方創生という言葉が出てまいりました。
今までの国が政策を作ってチョイスする、メニュー選択型行政では地方はもう生き残れない。
これからはみずからが知恵を絞って政策立案型の行政体へ脱皮をしなければならない。
その中で出てきたのが地方創生ということになります。
ただ、順調にスタートを切ったかに見えたのですけども、大きな効率化を求める国の流れで、何もかもが東京に一極集中する流れが加速しました。
人も企業も情報も東京に集中する。
これは大変なことだと。
このままでは地方は衰退の一途をたどってしまうということで、本当に我々は立ち向かわなければならない立場に立たされています。
ただ、一方で苦労しながらやりくりしている中で、光明も見えてまいりました。
コロナの3年間において、場所を選ばない、業種、あるいは仕事というのが存在するということは、多くの方々に広がり、働き方も含めて、人々の価値観が変わってきました。東京の生活というのが本当に幸せなのかということに疑問を呈する人達も増えてきた。そういう中で、移住が進み始めたというのは、地方にとっては明るい材料であります。
愛媛県でも平成27年度には1年間に県外から移住されてくる方が270人ぐらいしかいませんでした。デジタル技術等を駆使して、さまざまな展開をしてきた結果、昨年度は7,254人まで増加しています。
やり方によっては十分可能でありますし、いろいろ聞いてみると、東京は確かに所得が高いですが、生活費も多くかかります。可処分所得で見るとどうなのかという価値観。
そしてもう一つは通勤通学にかかる時間というのは、都会の方が消費していきますから、限られた人生における可処分時間ということを考えた場合、何が幸せなのだろうということに思いをはせる方も増えてきました。
そういったことが、移住増加にもつながってきているように思います。
こうした中で、メニュー選択型行政から、政策立案型行政に脱皮するには、県庁を始め、地方自治体全てがスキルアップをしていかなければなりませんし、また、県庁や自治体だけでは何事も進みません。住民の皆さんとの協働・共生、こうしたような視点で物事を進めていくことの必要性が生まれてきています。
ただ、間違いなく言えることは、どの地域にも、冒頭申し上げたように、さまざまなコンテンツがあります。それをどう生かすか、これは我々の知恵の絞りどころ、腕の見せどころであります。
まさに地方創生はこれからが本番、皆さんと共に、いろいろなことを考えながら、地方の時代を本格的に切り開いていきたいと思います。
今日はそのきっかけとなるような話を、実際に現場で実績を上げられている方々のお話を通じて皆さんに感じ取っていただけたら幸いでございます。
最後までどうぞよろしくお願い申し上げまして、あいさつといたします。
ありがとうございました。