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知事に寄せられた提言(8年9月)
令和8年9月の主な提言
1 超高齢社会における高齢者・認知症の方の生きがいづくりと文化福祉の推進について
提言
このたび、県内唯一の大衆演劇場である松山劇場が今年10月に閉館することを知り、高齢者や認知症の方にとって大切な「心の居場所」「生きがいの場」が失われてしまうことへの危機感から、県としての取り組みをご検討いただきたく、お願い申し上げます。
認知症になっても、長年親しんできた音楽、華やかな衣装、目の前で繰り広げられる舞台の刺激は心に届きます。劇場へ出かけ、笑顔になり、人と同じ時間を楽しむことは、単なる娯楽ではなく、高齢者の心身の健康や介護予防にもつながる大切な社会参加の機会だと実感しております。
これからさらに高齢化が進む中で、認知症対策や高齢者の生きがいづくりは、医療や介護だけではなく、「楽しみながら社会とつながる場」をどう守っていくかという視点が重要になるのではないでしょうか。
私は、松山劇場の閉館を誰かの責任として捉えているわけではありません。民間施設の維持が難しい時代背景や、個々の施設だけで対応することの難しさも十分理解しております。
しかし、10月以降、愛媛県内から大衆演劇を気軽に楽しめる場所がなくなってしまうことになります。認知症の方や高齢者にとって、県外まで遠征して観劇することは身体的・精神的な負担が大きく、現実的ではありません。
そこで、市町村の枠を越えた「高齢者福祉」「認知症施策」「文化振興」を組み合わせた県全体の取り組みとして、以下のような仕組みをご検討いただけないでしょうか。
【提案1】 バリアフリー施設を活用した高齢者向け大衆演劇公演の開催
無料駐車場やバリアフリー環境が整っている「坊っちゃん劇場」(東温市)などの既存施設を活用し、休演日や休館期間などに大衆演劇の劇団を招致することで、足の不自由な高齢者や介護が必要な方でも安心して観劇できる機会をつくることができるのではないかと考えます。
【提案2】 高齢者福祉施設等への大衆演劇・舞踊ショーの訪問公演(アウトリーチ)の推進
劇場へ足を運ぶことが難しい高齢者にも楽しみを届けるため、文化振興事業や福祉事業の一環として、県内の高齢者施設等へ大衆演劇や舞踊ショーを届ける取り組みをご検討いただければ幸いです。高齢者になっても、認知症になっても、「楽しみたい」「誰かと笑いたい」という気持ちは変わりません。住み慣れた愛媛で、人生の最後まで心が動く時間を持ち続けられることは、健康寿命の延伸や、温かい地域づくりにもつながると信じています。
大好きな舞台を失おうとしている高齢者の方々が、これからも笑顔で過ごせるよう、県として何らかの形で文化と福祉をつなぐ取り組みをご検討いただけますと幸いです。
回答
県では、高齢者や認知症の皆様が、住み慣れた地域で、生きがいや楽しみを持ちながら、自分らしく安心して暮らし続けることができるまちづくりを目指し、医療・介護・福祉などが一体となった地域の支え合いの仕組みづくりに、市町とも連携しながら取り組んでおります。
特に認知症施策では、御本人や御家族が孤立せず安心して過ごせるよう、認知症カフェの普及や地域のサロン活動などの自主的な社会参加を支援しており、これらは参加者同士の交流や心身の健康維持、御家族の介護負担を軽くするための大切な場となっています。
また、御提言にありました大衆演劇・舞踊ショーの訪問公演の推進につきましては、県では、「愛媛県『三浦保』愛基金社会福祉分野公募事業」という制度を設けており、高齢者の生きがいづくりなど、福祉活動に取り組む団体等を対象として助成を行っております(来年度の募集につきましては、予算の状況にもよりますが、例年であれば年明け以降となる予定です)。
さらに、あらゆる世代が文化芸術活動に触れられる機会の充実を図るため、県民文化会館などバリアフリーに対応した県内文化施設等において、県民総合文化祭をはじめとした様々な文化芸術公演を実施しております。
今回頂戴しました、文化活動と福祉・認知症施策を組み合わせた生きがいづくり等の御提言は、今後の高齢者福祉、認知症施策、及び地域文化振興策を検討する上での貴重な御意見として参考とさせていただきます。
