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令和5年度新規採用職員辞令交付式知事あいさつ
日時:令和5年4月3日(月曜日) 11時00分
場所:ANAクラウンプラザホテル松山
すでに前倒しで県庁の扉をたたいて働いている職員を含め、今年度は総勢210名の新規の採用職員を迎えることとなりました。皆さんそれぞれが、志をもって県庁の扉をたたいたものと思います。一日も早く成長し、戦力に加わっていただけることを心から期待いたします。
それぞれの仕事、あるいは、県庁の仕事の中身、政策全般については、これから研修で学ぶ機会が設けられていますので、私からは県職員というよりは、民間も含めて社会へ第一歩を踏み出した皆さんに贈るメッセージとしてお話をさせていただきたいと思います。
まず皆さん、社会人経験者も含まれていると思いますが、大半が社会人としての第一歩ということになろうかと思います。これまで学生時代、勉強あるいはクラブ活動、いろいろなチャレンジをしてこられ、基礎を固めた上で挑戦をしたことにより、県職員として採用となったこと、それぞれ皆さん、ポテンシャルは高いものをお持ちだと思います。ただし、やはり学生時代の経験と社会人としての現場とは乖離(かいり)がありますので、皆さんにとっては、これから3年間が非常に重要な期間になるのではないかと思います。
これは自分自身の経験でもそうですし、スポーツで例えるならば、皆さんはこれから基礎練習を積み重ねる期間に入っていきます。基礎練習というのはなかなか辛いものであります。単調なコツコツコツコツとした日々の積み重ね、そういったものをクリアしていく日々が、この期間だと思います。しかし、ここをおろそかにしたら、いくらポテンシャルが高くてもその後の成長に結び付けることはできないということはお分かりいただけると思います。基礎が固まってこそ、後の応用に入ったときの成長につながるということ、そしてもう一つは、運動で例えるならば、コツコツ練習しても成長のカーブは右肩上がりに進んでいきません。同じような日々が続いて、ある日それを積み重ねたときの延長に、ポンっと飛躍的な成長が待っている。そしてまた同じように平行線をたどって、それを積み重ねることによって、やがて次のランクのステップアップが待っている。こういう右肩上昇のカーブではなくて、段階を踏まえて成長していくというのは、これはスポーツでも社会人としても同じ成長軌道だと思います。そういう意味で3年間というものはとてつもなく重要な期間、若いときにしか経験できない基礎固めの期間というのを、ぜひ大事にしていただきたいと思います。
そして二つ目は、自分自身もそうだったのですが、民間の総合商社に就職した自分が描いていた仕事と与えられた仕事、相当なギャップがありました。そのような中で、どう取り組んでいけばいいのだろうかと当初悩んでいたのですが、気持ちの切り替えというのは本当に大事だなとその時感じました。目の前にある仕事をこなせてもいないのにあれこれ考えること自体が間違っていると。目の前にある仕事をともかく自分の中で工夫をしながら発展させるということに、全力を集中して臨んだ記憶があります。そうすることによって必ず次なる道に入っていった時の財産になることを知りました。その時にどんなことを考えていたかというと、例えば目の前に10の仕事があったと仮定しましょう。その10の仕事があった場合に、その中にはやりたいなと思う仕事、一方でやらなければならないという義務感を伴う仕事、両種類あると思います。やってみたい、やりたいっていう仕事の比率が5ないしは6以上、多ければ多いほど仕事は、生きがいを感じられます。逆にやらなければならないと思ってしまう仕事、これが5ないしは6割になるとなんとなく職場がつらくなってしまう、こういうものだと思います。ところが、このやらなければならないという義務感を感じていた仕事も、考え方、取り組み方を変えれば、やってみたい仕事、やりたい仕事にどんどん転ずることが可能です。これをぜひ意識していただけたらと思います。例えば義務感を感じていた仕事でも自分の視点でこれちょっと今のこういった技術を使えばこう変えられるのではないか、そのことによって効率化できるのではないか、県民サービスの向上につながるのではないだろうか、そんな工夫を自分の中で自問自答しながら繰り返すことによって、どんどんどんどん自分の心の中でやりたい、やってみたいという仕事の比率を増やしていくことが可能になります。そういったことを常に目の前にある仕事の中で、工夫しながらやることによって、仕事はどんどん面白くなっていきます。逆のパターンは、もうやりたい仕事も自分自身はこんなんじゃないっていうような過信のような観点で勘違いをして、どんどんつらい仕事が増えていってしまうと、仕事が面白くなくなってしまうので、考え方・捉え方によって、ぜひ皆さんがやってみたい仕事、やりたい仕事をどんどん自分の中で増やしていく、そんな観点で見つめていったらいいのではないかなと思います。
そして三つ目は、先ほどの件とちょっと重複しますが、皆さんそれぞれ基礎固めをした上で入ってこられていると思いますので、そこは大いに自信を持っていただいていいと思います。特に今、県庁にはいろんな課題があって、本当にいろんなことやります。県民の命を守る防災減災対策、経済の活性化、あるいは環境政策、福祉の政策、教育の政策、本当に多岐にわたった仕事をこなすのが我々の責任であります。そういった中で、基礎を持っている皆さん、自信を大いに持って臨んでいただきたいと思いますけども、過信になると、これは成長が止まります。
私がすごく好きな言葉で、知識を得る最良の手段は己が無知だと悟ること。その謙虚さというものを常に持っていれば本当に吸収が早いです。さらなる自信の上に、さらなる成長に結び付いていく、そのようなものだと思いますので、ぜひ新人時代のこと、自分なりに思い起こしながら三つの視点で皆さんにメッセージを贈らせていただきました。
今日からいよいよ職場に配属になりますが、最初が大事です。先輩たちをびっくりさせるぐらい大きな声であいさつをしてください。あいさつは基本です。あいさつができず、こんなことと思った段階で負けだと思ってください。あいさつをするということは、職場を明るくします。明るい職場というのは、活気を生んでいきます。そしてあらゆることを乗り越えていく原動力になっていく。自分たちが明るい職場をつくる先頭に立ちたい、これは新人社員、先輩だろうが関係なくすぐにできることだと思いますので、しっかりとしたあいさつを心がけていただきたいと思います。
県庁の仕事は本当に楽しいフィールドだと思います。ぜひ皆さんと一緒に、皆さんが戦力になって、課題解決に向けて前進できる日が1日も早く来ることを心から期待申し上げ、あいさつといたします。皆さん、大いに飛躍してください。