本文
第60回全国野菜園芸技術研究会愛媛大会知事祝辞
日時:平成27年7月15日(水曜日) 13時
場所:奥道後 壱湯の守
ご紹介をいただきました愛媛県知事の中村と申します。
全国野菜園芸技術研究会、60回という記念すべき節目になる大会を愛媛県、松山市で開催いただきましたこと、まずもって厚くお礼申し上げます。また、全国各地から、はるばる愛媛県にお越しいただいた方々を、県民を代表して、心から歓迎いたします。
愛媛県の1次産業と言いますと、まず代表的なのは何といっても、かんきつでございます。種類、生産量は全国1位になりますけれども、その他にもキウイフルーツの生産量も全国1位。また、野菜等とは、異なりますけれども、海面養殖業の生産額が全国1位ということで、1次産業の大変盛んな県でございます。
そうした主力があると同時に、地形的にも特色があることを生かしまして、野菜関係も含めて非常に品数が豊富というか、多彩な品種を誇っている食材の豊富な地域というのが愛媛県のもう一つの特色ではなかろうかと思います。野菜につきましても、施設園芸野菜もあれば、高原地帯で繰り広げられる高原野菜、あるいは平地部でのアスパラガスやレタス、キャベツ、こうしたところも盛んでありまして、よく東京や大阪のホテルで愛媛フェアとして食のフェアをやりますと、料理長が一つの県であらゆる食材がそろうことに、異口同音の賞賛の声が寄せられるのは、私としても大変うれしく感じる瞬間でございます。
ただ一方で、1次産業全般に言えることでありますが、よく厳しいというふうな声が聞こえてまいります。これはTPPの問題もあるでしょうし、あるいは少し落ち着いていますけれども、円安や原油高に伴う燃料費や飼料価格、こうしたところのコストアップ。あるいは後継者不足。このようなことが言われる中で、厳しいというイメージが定着しているのが1次産業の現状ではなかろうかと思います。
そういった中で、愛媛県といたしましては、何よりもまず愛媛県庁が持っている研究所の存在が非常に大事であるという認識を持って施策の推進に当たっているところです。愛媛県では、かんきつを研究するみかん研究所、農業全体を研究する農林水産研究所の農業研究部、水産研究センター、畜産研究センターなど、それぞれ部門ごとに人材を集めまして、そこでは、新たなブランド、新品種の開発、あるいは生産者のコスト低減につながるような技術の開発、こうしたことを中心に日々研究を積み重ねているところでございます。
また、こうしたものがブランド化されても売れなければ、実際にやっている方々の収入にはつながりませんので、県庁の中に営業本部という組織を立ち上げ、自分自身がかつて商社マンでありましたので、県庁の中にビジネスという要素をビルトインいたしまして、愛媛県の職員が営業マンとなって全国、そして世界を飛び回って販路を見つけ出してくるというようなことに邁進しているのが特色ではなかろうかと思います。
こうした中、今回皆さんをお迎えできましたことを大変うれしく思っております。と申しますのは、先ほど、会長さんのお話にもありましたように、世界における日本の農業産品の価値が、本当に年々高まっていることを実感しているからでございます。
私自身も今年に入って、五つの国と地域に行ってまいりましたが、それぞれで、品種は違いますけれども、確実に売り先を見つけることができています。これは価格だけでは勝負にはなりませんけれども、品質、安全性の高さ、それは日本産のものが飛び抜けているという価値観が共有されてきていることを実感するわけであります。
こうした中、今回、各地域の野菜園芸を担う皆さんが集われまして、最新技術の情報の共有であるとか、最先端の経営の取り組みであるとか、そうしたものを話し合われることは大変意義深いものと、本当に心から感謝を申し上げます。
昨日も農業関係者と話してきたのですけれども、農業が厳しい、1次産業全体でありますけれども、厳しいという声ばかりが聞こえてくるので、若者が業として成り立つのかどうか不安に感じ、なかなか参入してこない。そんな現状もあるのではないか。確かに厳しいのは厳しいのですけれども、しっかりとした経営をされているところは、十分に成り立っているわけであります。そういうところは、声を大にして、業として成り立ちますよ、収益も上がりますよ、こういう情報をどんどん発信していただく、そうしたことが業界、1次産業全体のイメージを変えること、そして夢を感じて、若い人たちがチャレンジをする土壌ができることにつながっていくのではなかろうか、というふうなことを、昨日農業関係の方々と話していたのですけれども、ぜひ皆さんはそれぞれの分野で、しっかりとした経営をされていると思いますので、その情報発信にも一役も二役も買っていただきますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、せっかく愛媛県に来ていただきましたので、ぜひこの機会に、お時間があれば、日本最古といわれる道後温泉、ここはそのちょっと奥にある奥道後でありますけれども、どちらも泉質は最高でございます。また、車で40分ぐらい行きますと、しまなみ海道。こちらは昨年、アメリカのCNNのインターネットサイトで世界7大サイクリングコースの一つに選ばれたところでもありまして、昨年は46都道府県と世界31の国と地域の方々の参加による国際サイクリング大会も開催しました。気軽にレンタル自転車を借りて、圧倒的な景観を楽しめますので、こうした愛媛県の観光資源にも触れていただきますよう、心からお願い申し上げます。
本大会が皆さんにとりまして、有意義な大会になることを大いにご期待申し上げまして、あいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。