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平成26年度新規採用職員辞令交付式知事あいさつ
日時:平成26年4月1日(火曜日) 10時00分
場所:県庁本館4階 正庁
まずは、新採職員の皆さん、ようこそ愛媛県庁に入られました。県庁職員全員を代表しまして、心から歓迎させていただきます。
今日から皆さんは公僕、公人という立場になりますから、そうした自覚を持ってしっかりと仕事に向き合っていただきたいと思います。大半の方が学校を卒業して、今日、初めて社会人としての一歩を踏み出したと思いますが、中には既に民間等で社会人の経験者もいるかもしれません。そういったことも含めて、県庁生活が始まるにあたって、簡単なところだけお話をさせていただきます。仕事の中身や向き合い方につきましては、後日行われます研修で直接お話をさせていただきますので、今日は簡単な話だけにとどめさせていただきます。
まず、これは県庁だけのことではないですけれども、社会人として最も大事な基本は、挨拶ができるかどうかです。これは人間としての、社会人としてのエチケットでもあり、マナーでもあり、それができなければ、やはり県民と向き合うような仕事もできません。県庁の中においても、そして、県民の皆さんと触れ合うときでも、特に一番若い職員でありますから、大きな声でしっかりとした挨拶ができるようになってください。これはくだらないと受け止められてしまえば、それまでなのですけれども、行っていくうちに自然に身に付いていくものです。私も民間会社ではありましたけれども、社会人としての一歩を踏み出したときには、配属された部署で誰よりも大きく元気な挨拶をするということを念頭に置きながらスタートを切った記憶がございます。このことはぜひ記憶にとどめておいてください。
それから、スポーツでも、基本が大事というふうに言われますけれども、何事も右肩上がりに成長を続けていくものではありません。地道な基礎の積み重ねが、やがてある時期を迎えたときにポーンと成長の過程に入る。そして、地道な取り組みが続いて、またポーンと成長の過程に入る。こういった繰り返しであります。特に、新しい仕事に踏み出したときに大事なのは、最初の3年間から5年間であります。この時期にどのような生活を送るか、どう仕事と向き合うかによって、その後の成長が決まると言っても過言ではありません。これから長い人生の中で、いわば、一番大事なときを皆さん迎えると思いますので、3年から5年の間はすぐに結果が出なくても、基礎を固めていく段階なんだという気持ちを持って、地道な仕事でも前向きにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そして、三つ目は、おそらくそれぞれが、県庁に入ったらこういう仕事が待っているのではないかというような思いを持ってこられたかもしれません。しかし、現実の仕事というのは、自分の描いていた思いとはかなりギャップがあることもあると思います。「こんなくだらないこともやるのかなあ」「こんな単純なこともやらなきゃいけないのかなあ」、そんなことを考えるときがあるかもしれません。しかし、その思いを持って、仕事を軽く見たときは負けであります。地道なところにこそ、力の源、自分の成長を育ててくれる源があるということを知ってもらいたいと思います。私はかつて民間会社にいました。総合商社で働いていましたけれども、どうしても海外を渡って、日本の弱点であるエネルギーの仕事をしたいという思いで扉を叩きました。もちろん夢見ていたのは、世界を駆け巡って、大型タンカーで日本に石油やガス、こういったものを持ってくるということでしたが、最初に配属されたのは、全くそれとは異質の、町中のガソリンスタンドにガソリンを売るという仕事でありました。同期の中には、いきなりこうした大きな貿易の仕事に携わった人間もいましたけれども、自分に与えられた仕事は、本当に毎日スタンドに行って、そこで所員の皆さんと、さらに1リットル売るためにはどうしたらいいんだとか、そんな議論を積み重ねていました。しかし、後々この経験が生きてまいります。なぜならば、大きな仕事にいきなり入った同期は、パーツの仕事しか任されません。全体の商売というものがどういうものであるか、結局分からないまま過ごすことになります。しかし、ガソリンスタンドの場合は、小さいが故に、全てのビジネスのチャートを自らの手で実感しながら仕事を進めることができました。これが後々大きな財産になってまいります。そして、そこで実績を挙げていったところ、貿易の仕事に移るという結果も待っていました。その貿易の仕事に移ったときに、ガソリンスタンドのビジネスの体験というものがどれほど役に立ったかしれません。事程左様に、何がどう生きてくるかは分からないわけであります。ぜひそうしたギャップに迷ったときは、今の話を思い出していただきたいと思います。
そして、最後にもう一つ。どうしても仕事にはいろんな種類がありますから、自分の中でやってみたいと思える仕事と、やらなければならないという何となく義務感を背負うような仕事、二つに分かれていくと思います。これはいつでも存在するんですけれども、やってみたいと思える仕事が多ければ多いほど、仕事は楽しくなります。やらなければならないというふうな仕事が多ければ多いほど、仕事はつらくなっていきます。しかし、物事というのは、見方によっていかようにも変えることができます。昨日までやらなければならないという、ルーティーンワークでおもしろくないと思っていた仕事も、見方を変えれば、この仕事もこちら側の角度から見て、こういうふうにしたら、こういう結果につながっていくんじゃないかということを、繰り返し自分の中で行っていきますと、昨日までやらなければならないと思っていた仕事をやりたい仕事に転ずることができるわけです。この工夫によって、常に自分の中でやってみたいという仕事の比率を高めていくことを考えておいてください。そうすると、あらゆる仕事が前向きに取り組めるようになると思います。社会人として第一歩を踏み出す皆さんにおいては、これから全てが新しい経験だと思いますので、今日お話したような気持ちになることがあれば、そのことを思い出して、乗り越えていってほしいと思います。
研修のときにお話ししますが、愛媛県は本当に幅広い仕事を行っています。それから、自らの頭で政策を作り出していくというアグレッシブな環境も待っていると思います。皆さんの能力が一日も早く大いに発揮されることを心より期待していますので、どうぞ健康に気を付けて、それぞれの職場でがんばってください。心からエールを送らせていただきまして、歓迎の挨拶とさせていただきます。