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平成25年仕事始め式 知事あいさつ
日時:平成25年1月4日(金曜日) 10時
場所:県庁第二別館6階 大会議室
皆さん、新年明けましておめでとうございます。穏やかな日々が正月続きましたけれども、昨年を振り返って、皆さん、御家族とともに、健やかにお正月を過ごされたことと思います。
とりわけ昨年はアクセルを思いっきり踏んで、さまざまな新しい挑戦に対しての種まき作業を各部で一生懸命取り組んでいただきました。その方針についてきていただき、また足らざるところをそれぞれの部署で補っていただいたことに対しまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
さて、正月はおそらく多くの皆さんが御覧になったと思いますけれども、恒例の箱根駅伝が行われました。日本体育大学の総合優勝で終わりましたが、過去4年は、山の神と言われた選手が牽引し、東洋大学が3度総合優勝する中で、今年はどうなるかというふうな駅伝でありましたけれども、昨年初めて、たすきをつなぎきれなかった日本体育大学が、1年間その苦節を乗り越えて今回チャレンジしました。驚いたことに、根底から組織を変えなければならないということで、昨年敗北を受けて指名されたのが、4年生ではなく、3年生のキャプテンでありました。当初は年功序列の組織ですから、3年生のキャプテンに対して、不協和音がチームの中で鳴り響いていたそうでありますけれども、その3年生の姿、がんばる姿、チャレンジする姿に、徐々に徐々にチームがまとまりを見せ始めて、大変すばらしいチームワークが生み出されたと聞いております。御案内のとおり、今回の往路は、そのキャプテンが最後の場面で、下馬評を覆してトップに立ち、優勝を果たしたわけでありますけれども、その中には昨年惨敗を喫した4年生は1人もいませんでした。しかしながら、復路では4年生中心のチーム編成になっており、下馬評では昨年優勝の東洋大学と比べれば下回っているというような評価でありましたが、その4年生が意地の踏ん張りを見せて、3人全てが東洋大学の選手を凌駕(りょうが)する成績をたたき出し、そして見事総合優勝を成し遂げました。
これを見ていろんな思いが伝わってきましたが、やはり何といっても強烈な目標を持ったところが結果を出すということ、そこに尽きるのではないかと思いました。県庁の職員、私も含めて職員として共通の夢を持たなければなりません。私たちの目標は、厳しい時代であるけれども、夢を描いて大きな目標を持ち、いかに厳しくても「愛顔(えがお)」で率先して走っていき、そして県民の皆さんに、結果として「愛顔」を広げていくことが共通の目標であります。そんな目標を追い求めて今年1年がんばっていきたいと思います。
昨年1年間は、まさにその準備期間でありました。さまざまな分野で先ほど申し上げたような種まきをしてきたところでございます。その中には職員の皆さんの意識改革のポイント、五つお示しさせていただきましたけれども、アンケート調査によりますと、随分と浸透し始めていると実感しております。そして、大半の部署が参画をしてみんなで作り上げた長期計画、これも種まきでありました。更には、これまでに例を見なかった市町との連携の強化。この強化によりまして、1足す1が3にも4にもなるというふうなことを念頭に置きながら、市町との連携強化を目指してきたわけであります。職員のがんばりもあって、初めての開催となった行革甲子園、あるいは市町職員と県職員の人事の相互交流、県・市町連携推進本部の設置、東日本大震災における「チーム愛媛」での支援の取り組みなど、さまざまなところでその効果が表れてきているような気がいたします。今後、限られた財源の中でさまざまな展開をしていかなければなりませんから、今までになかったこの市町との連携を、それぞれの部署が大いに生かして、次なる段階に入っていただくことを期待いたします。
もう一つは、これまで取り組みが全くなかった営業戦略の展開であります。県庁がビジネスを直接するわけではありませんから、最初は戸惑いもあったかもしれませんけれども、関係部署がよく連携していただきまして、対外的に打って出る戦略を、模索しながら進んできた1年ではなかったかと思います。この営業戦略は、国内はもとより、将来の人口減少イコール市場の縮小ということにつながってまいりますから、手をこまねいていたら、だんだん尻すぼみになることは避けられないわけであります。そうしたところをカバーするために、今の為替相場の水準では非常に価格競争力は厳しいけれども、あえて将来の種をまくということで、東アジアをターゲットにした営業展開も始めたところであります。去年は第一ゾーンのシンガポールと香港、そして上海と台北がターゲットでありましたけれども、今年度はそこをカバーすると同時に、第二ターゲットのインドネシア等々の次なるところにも種まきを行うことができたらと思っております。
さて、いよいよ4年後に迫りました「えひめ国体」でありますけれども、一昨年の組織改正で教育委員会から知事部局へ移管しましたが、残念ながら昨年の成績はいまひとつという結果に終わりました。しかし目指すなら県民みんなで感動をつかみ取るような結果を目指していきたいと思いますので、4月以降には何らかの形で育成強化、競技力強化の組織体というものも視野に入れて進めていきたいと思います。残すところ4年半ですから、本格的に市町と連携しながら、施設の改修あるいは受け入れ態勢の準備等々の作業が徐々に増えてくると思いますので、関係部署の御奮闘を心からお願い申し上げたいと思います。
併せて大きな課題にも我々は挑戦をしていかなければなりません。その一つが少子高齢化社会をどう乗り越えていくかということであります。もちろん社会保障制度の問題につきましては、国全体での協議になりますけれども、私どもの仕事は、こうした少子高齢化の中で、いかにお年寄りの生きがいをつくっていくか、活躍の場をつくっていくか、あるいは健康をどうサポートしていくのか、こうしたところにつきましては、当然のことながらきめ細かい対応・政策が、市町との連携によって十分に考えていくことができると思っています。こうしたようなことも、少子高齢化社会の中で、大きな大きなテーマになってくることが第一点でございます。
二つ目は、真の経済活性化策ということでありますけれども、国全体のマクロの経済政策、これは需要をつくり出す、あるいは通貨供給量を増やしていく、いろんな政策に取り組まれるのでしょうけれども、一番大事なことは、真の需要というものをどう生み出していくかに尽きると思います。いわば、いくらお金を刷っても、それを使う場所がなければ経済の活性化は望むべくもないわけであります。私たちは昨年、木材やかんきつ、あるいは水産、こうした分野でブランド戦略を明確に打ち出しました。観光戦略もしかりでありますけれども、要は多くの方々がお金を実際に使っていただける需要を生み出せるかどうかというのが真の経済策、ミクロの経済策であります。この分野については、営業戦略部隊の更なる活躍、あるいはブランド戦略、マーケティングに基づくターゲットの絞り込みなど、さまざまな要素が必要になってまいります。いわば、実際に物を売っていく、あるいは実際に人に来ていただいてお金を落としていただく、こうした真の経済活性化策というものに、私どもは挑戦をしていかなければなりません。
特に観光戦略につきましては、昨年は高速道路の延伸に伴いまして、南予いやし博が開催され、南予の秘めたる魅力というものが多くの方々に伝播(でんぱ)した1年ではなかったかと思います。しかし、イベントがあればこその話でありまして、これを今年以降にもつなげていかなければなりません。過去に行った町並博、そして昨年のいやし博、これに伴って南予の魅力のデータベースが作り上げられたわけでありますから、これを総合的につなぎ合わせていくことによって、南予全体の観光戦略をどう後押ししていくのか、そのためには南予地域の市町との連携、広域観光への取り組みが必要になってまいりますので、このあたりのことも大きな課題になってくると思います。
また、昨年台湾との関係強化の中で進めてきたしまなみ海道の自転車を中心とした新たな戦略を県内全域にどう広げていくのか、いわば、自転車を単なる乗り物として見立てるのではなくて、新たな文化を愛媛から創っていくという壮大な挑戦であります。自転車は通勤、通学、買い物で使う単なる移動手段ではなく、自転車を介して、人々に健康や生きがいや友情をプレゼントしてくれる「自転車新文化」というものを、これから日本で広げていくために、その先駆的な役割を果たすのが愛媛県であるという思いを持って挑戦を続けていきたいと思います。東予全域では、産業にターゲットを絞ったさまざまな観光戦略も可能性を秘めていると思いますし、松山市はもちろんそれとの連携の中で大きな役割を果たしていくことになります。実際に需要を生み出す、消費を生み出す、そんなところを目標にした観光戦略も追い求めていきたいと思います。
そしてもう一つが安全安心であります。これは県民の皆さんの最大の関心事であると思いますけれども、当然のことながら、今年は原発の問題も出てくるでしょうし、同時に南海トラフへの備えとして、不安感が拡大する中で、県としてできうることは何なのか、もちろん高速道路の問題や大きな津波対策というのは、国全体の話になってきますけれども、その中で、命を守ることに焦点を当てた対策と、もしものことが起こったときの避難というものをどう積み上げていくのか、こうしたところが県の大事な役割であろうと思いますので、この安全安心についても重点的に考えを深めていきたいと思います。
最後に、何といっても次代を切り開いていくのは人であります。特にこれからの日本は、先ほど申し上げた少子高齢化の進行や情報化の進展、更には国際競争の激化、そういう時代を次なる世代は生きていかなければなりません。当然のことながら、基礎学力、あるいは道徳、あるいは体力、ある意味ではそうしたものが全てバランスよくとれた、国際社会に通用する次世代の育成を教育の分野では考えていかなければなりませんので、県としてできるメニューを教育委員会の皆さんに大いに期待させていただきたいと思います。
以上、大変雑駁(ざっぱく)な内容でありますけれども、大きな流れというものを的確にみんなで共有しながら、先ほど申し上げた共通した目標である「愛顔あふれる愛媛」づくりに向けて、今年1年を「上昇」の年として位置付けたいと思います。これまでみんなでまいてきた種が大きく実を結び、花を開く1年にしていきたいと思いますので、チームワークよろしく、全力で取り組んでまいりましょう。今年の皆さんの活躍を心から御期待申し上げまして、年頭に当たっての御挨拶とさせていただきます。がんばりましょう。