本文
令和7年度新規採用職員辞令交付式知事あいさつ
日時:令和7年4月1日(火曜日)11時00分
場所:ANAクラウンプラザホテル松山
4月1日になり、今年度は273名と、大変多くの職員の皆さんを県庁に迎えることができました。昨年度が200名ぐらいでしたので、非常に多くの皆さんに入庁いただいております。まずは本当に厳しい試験を突破して県の扉をたたいていただいた皆さんを、県を代表しまして、心から歓迎をさせていただきたいと思います。
今日、自分が社会に初めて出た時のことをふと思い出しました。当時は期待という高揚感と、そして不安とが入り混じった複雑な心境で、社会人としての一歩を踏み出したように記憶しています。中には中途採用の方もいらっしゃいますけれども、それぞれがこれまで積み上げてきたベースをもとに、これから県の仕事を始めていただくのですが、我々の使命というのは、県民の命を守る、生活を守る、そしてまた社会の変動要因というものをしっかりと受けとめて、政策立案を通じて愛媛県の未来を切り開く、そうした仕事に没頭するのが我々の使命であります。
そういう中で、皆さんを迎えるわけですが、県庁の仕事というのは非常に多岐にわたっています。もちろん一般行政事務の方もいれば、専門職の方もいらっしゃると思いますけれども、県民の命を守るための防災・減災対策、あるいは地域の活性化のための経済政策、観光振興、あるいは環境問題に対応するための政策、さらには高齢化社会の中で、弱い方々をどう守っていくかという福祉の分野、次世代の人材を育成するための教育の分野、それだけ複雑な仕事を我々が担っているわけであります。一般行政事務の方は、大体10年の間に、三つぐらいのジョブローテーションを行っていただき、その中で特性を見つけていただくことになろうかと思いますけれども、共通していることはどんな仕事であれ、入庁された皆さん、特に、初めて社会に出た新社会人の方は、3年から5年がすごく大事だということであります。スポーツで言っても、地道な練習基礎トレーニング、これが非常に重要であることは言うまでもないところであります。毎日毎日の単純なトレーニングの積み重ねは辛いものでありますけれども、ここをおろそかにすれば、いくら才能があっても、後の成長というふうにはつながらない。基礎トレーニングをしっかりとこなした人たちが、後の爆発的な成長へと結びつく。これはどんな仕事でも同じでありまして、社会人としても、この3年から5年、人によって期間は違うと思いますけれども、そこをしっかりと取り組んだ人と、そうでない人では後の成長に大きな差が出てまいります。このスタートから3年から5年、本当に大事にしてもらいたいなというふうに思います。
そしてもう一つは、これは自分の経験でもあるのですけれども、想像していた仕事と現実が乖離(かいり)する。これは当然あると思います。そういうときにどうしたらいいのか。自分は実は入ったときに、自分が思っている仕事ではなかったという印象でスタートしました。しかしそこで考えたのは、要は物の見方だな、仕事にはやってみたいな、やりたいなと思える仕事と、どうしても義務感が伴う、やらなきゃいけない、というふうに思えてしまう仕事と、両方あると思います。その中でやってみたいなと思える仕事が自分の心の中で、比率が高ければ高いほど、仕事にはやりがいが見いだせる。義務感を感じてしまう仕事が多ければ多いほど、仕事が辛くなってしまう。物の見方というのは、少し視点を変えるだけで大きく変わります。例えば、昨日まではやらされているなと思っていた仕事も、ちょっと待てよと。ここをこういうふうに変えたらどんな結果が出てくるのだろう。ここをこういうふうに工夫すれば、仕事ってものすごく面白くなりそうだな、いろいろな見方があると思います。常に、自分の中でそういうやってみたいなと思えるような知見を持つということによって、自分の心の中に、やってみたい仕事の比率を高めていくことが可能になってきます。自分はそういうふうな形で常に見つめながらやってみたい仕事をどんどん増やして、6割7割になったときには、仕事が面白くて仕方がないというふうなことになりました。そしてそこで実績を上げた上で、また次のステップ行ったときには、本当にそこで自分のやりたい仕事にさらに出会うという繰り返しでありました。ぜひ皆さんも、何かこう迷ったときには、ちょっとした視点の切り換えということによって、現実がガラッと変わるということ。そんな工夫をしてみてもらったらいいのではないかなというふうに思います。
一方で、今、我々の仕事、非常に複雑になってきています。それは時代の変化というものが立ちふさがっているからに他なりません。人口減少、かつては考えられなかった出来事であります。国際化の波、これも想像をはるかに超えるスピードで進んでいます。県庁、愛媛県という地方にいながらも、国際線を開拓したり、営業本部で市場の開拓をしたり、そんな仕事も我々の使命の一つとなりました。
さらには、これはもう皆さんの方が進んでいるのかもしれません。IT技術の進化、特に5Gが6年前頃に登場してからは、ステージの違った技術というものが、行政、県民の生活、産業、あらゆる面で訪れるようになりました。それぞれのDXをどう進めていっていけばいいのか、決してIT技術に振り回されるのではなく、どう駆使するのかという視点で臨まなければなりません。今、新しいチャレンジもどんどん行われていますので、きっとこういった分野では、皆さんの知恵、経験というものが、力を発揮する場が出てくるのではないかと期待しているところです。
県の仕事というのは、堅い仕事というふうによく言われるのですけども、我々が10年間かけて、ただ単に決まったことをやるという役所ではもう駄目なんだと、積極的に情報をキャッチし、政策を自ら立案して、目標に向かって進んでいく、政策立案型の行政体へ脱皮するということを大きな目標に掲げて、チーム力でやってまいりました。そういう意味では評価制度、それからチャレンジ制度、いろんなものが整えられてきています。単に決まりきった仕事をすればいいというようなものではなく、年功序列で物事が進んでいくというものではない。それが愛媛県庁であります。前向きに大いにチャレンジができるというのが、愛媛県庁と思っていただけたらいいのではないかと思います。皆さんは、おそらく半年間は、研修も多いと思いますけれども、半年後にはやがて担当を持つようになると思います。そして仕事の難しさ面白さを味わっていくと思います。皆さんそれぞれ学生時代や社会人として、知識を得て、経験を積んできている背景があると思います。それは大いに自信にして構わないと思いますが、自信と過信は紙一重です。過信をすると人の成長が止まってしまいます。私が好きな言葉で、知識を得る最良の手段は、己が無知だと悟ることという言葉があります。その謙虚な気持ちというものが、吸収を速め成長に結びつく力になると思います。大いに自信を持ち、過信にならず、そして成長していただきたいなと思います。
今日から出来ることがあります。当たり前のことです。あいさつをしっかりしましょう。あいさつは人の基本だと思います。私も新入社員の頃、職場行ったら、誰よりも大きな声であいさつをする。これは最初の目標でした。その元気さというものが、職場の雰囲気を良くしていく、あるいは対人関係を切り開いて、仕事の前向きな姿勢も生まれてくる。そういうところにつながっていきますので、しっかりとあいさつができる職員になってください。これから皆さんの成長に大いに期待を申し上げまして、歓迎のあいさつといたします。
一緒にいい仕事しましょう。ありがとうございました。