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スズメバチに注意してください
スズメバチやアシナガバチ、ミツバチなど、私たちが身の回りで見かけるハチは、農作物の害虫を捕まえたり、植物の花粉媒介やはちみつを作ったりと、人の生活や自然界のバランスを保つうえで重要な働きをしています。これらのハチは、吸血性の蚊やダニと異なり、好んで人を刺すわけではありません。
しかし、防衛本能が非常に強いので、人が巣に近づいたりすると危害を加えてしまうことがあります。
特に、スズメバチは攻撃性が高く、注意が必要です。
秋は特に危険
スズメバチは、4月から11月頃まで活動しています。
特に、秋(8月下旬から10月頃)は、次世代の女王バチやオスを育てる時期で、働きバチの数や巣の大きさもピークを迎えるため、巣が緊張状態になり、さらに攻撃的になります。
不用意に巣に近づいたり、巣の近くで大声で騒ぐなど、刺激を与える行為はたいへん危険です。
スズメバチの攻撃行動
スズメバチの攻撃は、次の4段階に分けられます。
- 巣への接近に対する警戒
巣の出入口や表面にいるハチは、巣に近づいてきた人を注視する一方で、一部は巣を離れて周囲を飛び回ります。 - 巣への接近に対する威嚇
警戒のため巣を離れたハチが高い羽音を発して、近づいてきた人の周りをまとわりつくように飛び回ります。 - 巣への間接的刺激に対する攻撃
ハチの威嚇を無視したり、気がつかないとき、また、木の枝や軒下などの巣の場合、巣の付着している枝などに軽い振動を加えたときは、威嚇していたハチや巣内のハチが飛び出してきて、飛びかかり、毒針を刺します。 - 巣への直接的刺激に対する攻撃
巣を直接に刺激したり、巣を破壊した場合等は、巣内から多くのハチが一斉に飛び出してきて、威嚇なしにいきなり相手に飛びかかり、すぐに刺します。
キイロスズメバチ(写真提供:面河山岳博物館)
ハチがしつこく周りを飛んでいるときは、近くに巣があるかもしれません。
手で払いのけるなどの刺激を与える行動はせず、巣がないか周囲を注意深く確認しながら、静かにその場(巣の近く)から離れましょう。
また、一度刺激を受けた巣のハチは、特に攻撃的になり、他の人が近づいただけで攻撃してくることがあります。
いたずらで巣に石をなげる、棒でつつく、大声で騒ぐなどの行為は絶対にしてはいけません。
刺されてしまったら
- 落ち着いて、その場(巣の近く)から静かに離れてください。
- 刺された傷口周囲を圧迫し、毒液を絞り出すようにして流水でよく洗い流し、氷または冷水で冷やしてください。
- 患部には、虫刺され薬(抗ヒスタミン軟膏)を塗ってください。アンモニア水や尿は効果がありません。
- 気分が悪くなったり、以前にもハチに刺されたことのある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
※同時に複数個所刺された人やハチ毒にアレルギーがある人は、寒気、じんましん、おう吐などの全身症状から、呼吸困難や意識障害などのショック症状があらわれ、死に至ることもあります。
巣の撤去
スズメバチのなかでも、キイロスズメバチやコガタスズメバチは、さまざまなものを餌とし、人工的な環境への適応力も高いため、民家の軒下や庭木にしばしば巣を作ることがあります。
スズメバチの巣の寿命は1年なので、被害に遭うおそれのない場所に作られた巣であれば、そっとしておき、巣が空になる冬まで待って撤去することも可能です。
しかし、通路など、生活するうえでハチや巣を刺激する危険性がある場所に巣ができてしまった場合は、早めに対策をとりましょう。
キイロスズメバチの巣(写真提供:面河山岳博物館)
愛媛県では、個人の土地や建物にできた巣の撤去や撤去費用の助成は行っておりません。
ハチの駆除や巣の撤去は、土地や建物の所有者や管理者で責任を持って対応をしていただく必要があります。ただし、巣の撤去作業は非常に危険を伴います。なるべく専門の業者に依頼してください。
なお、費用には差がある場合がありますので、複数の業者から見積もりを取り、申込みすることをおすすめします。
(参考)愛媛県ペストコントロール協会<外部リンク>
春先(4月から6月)は、女王バチが1匹で巣作りを行っており、働きバチが羽化する前なので、この時期に巣を発見できれば比較的安全で費用も安く駆除が行えます。
春先のうちに、家の周りや庭木をこまめに確認し、巣が作られやすい場所を点検するようにしてください。
また、ジュースの飲み残しやゴミに集まる虫を餌としてスズメバチがよってくるため、空き缶やペットボトル、ゴミを放置しないように気を付けましょう。