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県開発の新ブランド3産品の名称決定に関する記者発表の要旨について
【発表資料】
愛媛Queenスプラッシュの概要[PDFファイル/533KB]
平成27年11月19日(木曜日)
11時05分~11時29分
知事会議室
(知事)
農林水産研究所が開発した期待の3産品の名称を決定したので発表させていただきたいと思います。併せて、バックパネルを3産品バージョンに変更しまして、両サイドには、ポスターを掲示しておりますので、ご覧いただけたらと思います。
まず一つ目は、牛肉でございます。畜産研究センターが媛っこ地鶏、甘とろ豚に続く、牛の開発を4年の歳月をかけて行ってまいりました愛媛生まれ愛媛育ちのブランド牛。昨今の消費者の嗜好の変化、これまでの霜降りから赤身、うま味に変わってきている、こうした変化を受け止めまして、この4年間、これまでどこもやったことのない、霜降り重視の黒毛和牛ではなく、黒毛和牛をベースにした赤身と脂肪のバランスの良い、赤身の多い肉質を追求してまいりました。メインターゲットである女性を意識した、おいしくヘルシーな和牛肉に仕上がったところでございます。名称は「愛媛あかね和牛」と命名しました。
「愛媛あかね和牛」という名称は、おいしい赤身とさっぱりした脂肪のバランスが織りなす肉の色合いが、夕焼けが空を染め上げた、あかね色を連想させること。また、平仮名を使うことで、柔らかさや優しくヘルシーなイメージを表現しています。ポスターは、本県の畜産のメッカである四国カルストの夕日のあかね色をバックにしており、自然豊かな農場で、県産かんきつ等を餌として与え、健康的に育てられたことをアピールしています。
明日11月20日から、いよてつ高島屋で、数量限定のプレミアム販売を皮切りに、21日、22日のえひめ・まつやま産業まつりにおいて、500食限定の試食販売PRを実施させていただきたいと思います。さらに12月5日には、女性限定のプレミアム試食会を松山市内のレストラン「アシェットブラン(樽味)」で開催するなど、まずは「あかね和牛」の名前を知っていただくためPR販売をメインに取り組んでいきたいと思います。
最近の、先ほど申し上げましたように消費者の嗜好にマッチしたおいしくヘルシーなプレミアム和牛として、県民の皆さんに愛されるとともに、全国の和牛好きの皆様にも支持していただけるものと信じております。
二つ目は、これも皆さんご存知のとおり、水産研究センターが愛媛大学南予水産研究センターと連携しまして、平成25年度から研究に取り組んできたスマでございます。南方系のマグロやカツオに近い回遊魚で、日本近海での天然漁獲は極めて少なく、「幻の魚」といわれてきたものでございます。漁業関係者の皆さんは、マグロの大群の中に時折天然スマが入っていますので、量が少ないため市場に出荷することなく、皆さん自らが食べられるということで、世に知られるということはなかなかありませんでした。この高級なプレミアム魚に目を付けまして全国初めてとなる完全養殖のめどが立ちつつありまして、初出荷は、今年ではなく来年秋以降に予定をしています。ただ、その前の段階で名称を決定させていただきました。
養殖したスマは、非常にきめが細かいなめらかな食感と、まるごとトロの脂の乗り、また魚の臭みがほとんどないことが特色で、マグロともカツオともまた違う、新しいタイプとして売り出していけるのではなかろうかと思います。
位置付けとしては、プレミアムな愛育フィッシュとして売り出すこととしており、稀少性が極めて高い愛媛の貴重な海の恵みという意味を込めて、愛媛の媛に貴い海「媛貴海」(ひめたかみ)と命名させていただきました。
本格出荷は、まだ1年先ですが、今後、この名称も活用しながら、既にいろんなところに紹介していますので、皆さん、いつめどが立つんだということで、関心も高い魚種になりつつありますので、県内外でのプロモーションを展開したいと考えており、その第1弾として、愛媛大学と愛南町との共催で、来年1月に県内の主要な飲食店や流通関係者による試食会を開催することといたします。
三つ目はかんきつでございます。優れた食味や甘さが特徴のブランドかんきつである甘平につきまして、これは、紅まどんなにも匹敵する高品質なかんきつと思います。これまで以上に消費者に高級感が浸透するよう、一定の、全てではありません、一定の品質基準をクリアした最高品質の特選品を抽出しまして、これを別名として販売をさせていただきたいと思います。名前は「クィーンスプラッシュ」と命名しました。
命名のコンセプトは、大人の女性の品格を「クィーン」で、甘平独特の果肉のプチプチした食感とジュワッとした濃厚な甘みが口の中いっぱいに広がるイメージを「スプラッシュ」で表現しています。
また、あえて片仮名にさせていただいたのは、輸出対応の戦略品としても位置付けていきたいと考えているということ、また、かんきつをあまり食べない若年層、若者層への需要拡大等を期待し、片仮名といたしました。
販売は、今年産が出回る年明けの1月下旬からとなりますが、「クィーンスプラッシュ」のネーミングを活用して、バレンタインデー等と連動したプロモーションや、スイーツ、昨日もスイーツのイベントやりましたけども、スイーツとしての販売も計画しておりまして、その結果として、甘平全体のブランド力と生産者の所得向上へとつなげてまいりたいと思います。
なお、人口減少による国内市場の縮小や、TPP等の新たな国際環境の変化を見据えると、生産基盤の強化はもとより、農林水産品のさらなるブランド力の向上や差別化、販売強化が重要であると認識しておりまして、本日発表したニューフェイスの3産品は、試験研究機関の地道な研究と生産者の努力によって生み出されたものでありまして、改めて本県の農林水産業のポテンシャルの高さに自信を深めるとともに、これらを武器に私自身もこれまで以上にトップセールスにも取り組みながら、国内外の産地間競争に打ち勝つことのできる、本県を代表するトップブランドに育て上げ、県内生産者の生産意欲向上と、攻めの姿勢による本県農林水産業の振興につなげていきたいと思います。以上です。
(愛媛新聞)
名前について、知事の率直な感想を聞かせてほしい。
(知事)
これまで、自分自身や県庁職員と一緒になって命名してきたものもあるんですけれども、ちょっとこの3品については、なかなかアイデアが浮かばず、専門家の力を借りました。
専門家の方もですね、これ一つだけを出してきたわけではなく、三つぐらいそれぞれ考えていただいたのですが、パッと感じた瞬間に選んだものは、命名された専門家の方から見ても一押しというようなものでございました。
特に、「あかね和牛」のこの写真もさることながら、今回コンセプトで考えていたのが、赤身重視の黒毛和牛ですから、まさに「あかね」という名前がピッタリくるのではないかと、特色を消費者に名前で伝えられる力を持ったネーミングではないかと思います。
それから、「媛貴海」。これ慣れるまでちょっと時間がかかると思うんですが、さっき申し上げたように、愛育フィッシュ、プレミアムな愛育フィッシュとしての位置付けを考えたときに、非常に高級感のあふれるネーミングになっているんではなかろうかなというふうに思います。
それから、甘平もですね。もう親しんでいらっしゃる方は多いんですけど、やはり自分自身、セールス、トップセールスしていてですね、ネーミングによる響きっていうものが非常に重要だということを感じるときがあります。それと甘平につきましては、何と言うのですかね、品質のばらつきというものが、購買関係者の方からよく指摘されていたところがありますので、その限定したものをしっかりとした品質のものについては、こうした高級感漂うネーミングを用いることによって全体の底上げにつながるんじゃないかというふうに考えました。特に先ほど申し上げたように海外というのを視野に入れたとき、非常にいい名前ではないかなというふうに感じてます。
(南海放送)
甘平については、どこがその商品を選別するようになるのか。
(知事)
はい、一応これはJAなんですけども、大体ですね今、甘平が2,000トン位になったのかな。だいたい2,000トン位に増えてきてるんですよ。その中で、今までは品質のいいやつは25パーセントくらいセレクトして選別出荷をしていたんですが、さらにそこから、大きさ等も含めて、さらなる選別を行って、だいたい10パーセントぐらいが「クィーンスプラッシュ」になるんではなかろうかというふうに思います。JAの方でしっかりと光センサーを使って選別をしていただくことになってます。
(南海放送)
主だった販路は海外とか、首都圏だとかそういうところを考えているのか。
(知事)
そうです高級店ですね。量的にも2,000トンですから、しっかりと値をとると。逆に言えば、10パーセントのさらなる厳選ということで出していきますので、今まで以上の単価がこの「クィーンスプラッシュ」については付くと期待をしたいと思っています。
(愛媛新聞)
価格的には、どの位を目指していきたいと思っているのか。
(知事)
質からいったら、紅まどんなクラスだと思います。
(愛媛新聞)
700円くらいか。
(知事)
そうですね。
(農林水産部長)
上級品が1個1,000円くらい。ですから、それをまあ1,500円。それくらいを目指したいと。
(愛媛新聞)
1個で1,500円と。
(知事)
東京とかそういうところでね。末端価格でですね。
(南海放送)
スイーツとかにすると名前も響きがいいと思うが。
(知事)
すごくいいと思いますね。甘平よりは「クィーンスプラッシュ」のほうがスイーツには向いているような気がしますね。
(愛媛新聞)
もう三つとも商標登録は、出ているのか。
(知事)
はい出ています。終わっています。
(愛媛新聞)
もう終わっていると。そうなると、紅まどんなの場合は、JAを通じて一定基準のものを販売されたものをそういう名前になっていると思うが、「クィーンスプラッシュ」の場合はどうなのか。
(知事)
はい、基本的にはですね、品質基準を遵守して、適正な名称使用を行っていただけるんであれば、JA以外でも使用可能にはなっています。ただ、そこは本当に、ここを崩されるとですね愛媛県産かんきつそのものの信頼が崩れ去ってしまいますから、これはもう生産者の皆さんに、なぜこの名前にしたかということの趣旨を十分受け止めていただいて、適正な、規格を遵守していただきたいなと心から願っています。
(愛媛新聞)
県として、その販売元に対して使用許諾をしていくような形になるのか。
(知事)
そうです。
(南海放送)
いろいろなブランド牛がある中で、なかなか販売というのも、知名度アップというのも難しいと思うが、そういう戦略をどのように考えているのか。
(知事)
牛肉はどこの県でも、例えば、近江牛とか松坂牛とか神戸牛、宮崎牛、佐賀牛とかそれぞれあるのですが、全部比べてみてですね、みんな霜降りなんですね。ですから、牛を開発する初期段階で、ともかく今の消費者の好みの嗜好を捉える「赤身」、「うま味」、しかも、あか牛ではなく、黒毛和牛を活用して、黒毛和牛の高級なうま味を残す、それで赤身というものができるかできないかを現場に問い掛けたんですよ。現場の技術者から「やれる」という答えをいただいたんで、それに懸けてみました。まあ、試食して、個人的な感想ですけれども、非常にいい仕上がりになっていると思います。女性の方々にですね、見守り隊を結成していただいて、その味も試食していただいているのですが、非常に好評です。
個人的には、僕はもう、和牛というと120グラムから150グラムぐらいしか、はっきり言って食べられないのですね。おいしいんですけど、むつこくなってきて。実はこの前、試食会をさせていただきましたけれど、恥ずかしい話ですね、おいしくて400グラム食べてしまいました。むつこくないんですよ。非常に、こう、何とも言えない軽やかさで、どんどん入ってしまうというですね。これはあくまで個人の意見ですけれども、かなりいけるのではないかというふうに思っています。
頭数として、今年はまだ初期段階で初出荷ですから、正直言って25頭、来年が68頭、そして平成34年には350頭と、どんどん増やしていきたいと思っています。その増やすことに従って、自分自身も責任者として先頭に立って、売り込みを強めていきたいと思っています。
(南海放送)
霜降りなら霜降り、赤身なら赤身とそれぞれあると思うが、その中間が珍しいということか。
(知事)
そうです。結局、どこもやっていなかったのが、黒毛和牛というのは、素牛自体はA5ランクです。ですから、今回この「愛媛あかね和牛」の最初4年前に購入した素牛も、サシだらけのA5ランクが素牛になっています。それを改良で、ミカンの餌を与えたりしながら、だいたいA4ランクぐらいに仕上がってくるというふうに思っていただければ分かりやすいと思います。
(愛媛新聞)
販売価格としてはどうか。
(知事)
これは期待できると思います。
(愛媛新聞)
高級品ということか。
(知事)
高級品ですね。はっきり言って、プレミアム品だと思いますね。
(愛媛新聞)
販売先はどうか。
(知事)
これは、最初には、量が少ないですから、十分に厳選して、扱ってもらいたいと思っています。
(愛媛新聞)
肥育期間の短縮によるコストの削減も目的だったと思うが。
(知事)
これは非常にうまくいっていまして、これまでは、霜降りの黒毛和種というものは30カ月かかるというものだったのですが、その飼育期間を25カ月から27カ月に縮められることになります。すなわち、その3カ月から5カ月の餌代が要らなくなるわけですね。これはもう、飼育期間を短縮することによるコスト減。
それから牛肉量が、増量。460キログラム大体相場だったのが、470キログラム、10キログラムぐらいプラスで取れますので、その両面から見て1頭当たりの農家の収益が上がるというふうに思っております。
(愛媛新聞)
スマの「媛貴海」の方だが、初めての完全養殖のめどが立ったということだが、よそとの競争というのはどうか。
(知事)
はい。あの実はやってるのはもう一県あります。ちょっと、どこというのはやめときましょう。もう一県、国内でやっているところがあります。そこはですね、実は今年から出荷するのではないかといわれていたんですが、これは正直言ってなくなりました。育ちがいまひとつらしいです。海の力というのもあると思います。やっぱり宇和海というのは、水深とそれから海水温度、それから潮流の流れ、これがもう全てにおいて最高条件になっていますので、例えば、他の地域の海で同じものを、よーいドンで養殖を始めたとしたら、大体、証明はできないですけど、愛媛県宇和海で育った方が1.2倍ぐらいになるんじゃないかといわれています。
そんなこともあって、スマは、大体2キロから3キロぐらいで出荷するのがベストだと思っています。もう一つの県はそこまでいってないというふうに聞いていますんで、大きさがですね。ですからうちは、じっくりとやっぱり2キロから3キロのサイズで品質にこだわって出荷をしていきたいと思ってます。
(日本経済新聞)
その基準に満たないものは、そのスマとして普通に売っていくという感じか。
(知事)
いや、そういうわけではないです。
(農林水産部長)
そうですね、品質基準を一応作りまして、まあ大体3キロから4キロくらいには育つと思います。
(知事)
3キロくらいだそうです。だからさっき2、3と言いましたけど、3キロから4キロで。
(農林水産部長)
3キロ程度を基準に考えてます。
(日本経済新聞)
基本、愛媛でつくる場合は、このくらいまで育て上げて売るということか。
(知事)
そうです。
(南海放送)
生産量の目標とかはどうか。
(農林水産部長)
これはですね。まだあと1年、実際ありますので。完全養殖ができるのは来年春に採卵ができて、一応技術が一回りするということなんで、ちょっとまだ数値は、今後詰めていきたいと思います。
(南海放送)
今後の販売先というのは、どのあたりを目指しているのか。
(知事)
これもですね、やっぱり高級店を中心に、結局こういう看板になるようなものがあると、愛媛産全体の評価を底上げすることにつながりますんで、ある意味では戦略的な産品と考えていただいていいんじゃないかなと。この三つともそうですけどね。そういうふうに考えていただいていいんじゃないかなと思います。
(日本農業新聞)
そうすると、甘平はもっと品質を向上しなきゃいけなくなると。牛の方はもっと多くの農家につくってもらわないとそれぞれ量が供給できないと。その辺の生産支援とか何か考えていることはあるのか。
(知事)
甘平はですね、品質を上げるというか、今までの中で選ばれてから、さらに厳選すると、甘平というのはばらつきが結構出荷段階で、これまた難しいなと思ったんですけども、紅まどんなみたいにJAが品質管理やってると、じゃあその木で作ったやつは紅まどんなで売れないじゃないか、というJA以外からは、系統以外からは非常に大きな不満が出る。かといってそれをやり通したんで紅まどんなというのは品質が保証されているという評価になって高値が安定した値段が付くんですよね。
甘平は最初、当初と同じように出ていたんですよ、ところがそういった統制が取れてなかったんで、評価としてはばらつきが多いというふうなことで値が下がっていくんですね。だから、これ、本当に難しいところだと思います。
そこで今回は、さっき申し上げたようなやり方でセレクトして、さらにセレクトするというその中からの厳選したものだけにこの名前を冠するというふうにいたしました。ただ、ちょっと、紅まどんなとやり方が違うかもしれませんが、最終的には効果が出てくると信じています。