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令和5年度9月補正予算案等に関する記者発表の要旨について
日時:令和5年9月4日(月曜日)11時00分~11時24分
場所:知事会議室
- 令和5年度9月補正予算(案)の概要[PDFファイル/2.43MB]
- 令和5年度9月補正予算(案)個別事業説明書【PR版】
- 令和5年度9月補正予算(案)の部局別事業一覧[PDFファイル/434KB]
- 令和5年度会計別予算の規模・9月補正予算款別一覧表[PDFファイル/66KB]
(南海放送(幹事社))
では時間になりましたので始めます。本日は県からの発表事項が2件あります。まずは令和5年度9月補正予算案等についてですが、こちら会見終了後レクがあると聞いていますので、詳細の確認はそちらでお願いします。それでは知事お願いします。
(知事)
定例県議会で提案予定の補正予算等について発表させていただきたいと思います。
まず、お手元の横長資料1ページですけれども、今回の補正予算は、一つ目には、エネルギー価格・物価高騰対策。これに対しましては、これまで幾度か補正予算編成を通じまして、対策の早期執行と効果の発現に努めていますけれども、物価等の高騰は長期化しておりまして、県民や事業者への影響も続いています。このため、県民生活や事業活動への影響緩和、また、物価高騰等の影響を受けにくい本県産業の経営基盤づくりに向けまして、まず、食料品等の価格上昇により、一段と厳しい生活状況に置かれている低所得世帯を支援したいと思います。また、事業者の資金需要へ対応して経営改善等を下支えしつつ、省エネ化によるコスト削減を通じて経営の安定化等を図る中小企業等を支援したいと思います。また、燃油や生産資材の価格高騰の影響緩和や、物価高騰の影響を受けにくい生産体制の定着促進によりまして、本県の基幹産業である農林水産事業者、こちらを支援したいと思います。県民や事業者に広く目配りをしながら、本県独自の対策を講じたいと思います。
二つ目には、海外展開の推進などアフターコロナを見据えた対応でございます。まず、新型コロナウイルス感染症の5類移行によりまして、社会経済活動の正常化が進む中、外需の取り込みに向けて、先般発表させていただきましたとおり、デーリー運航が決定いたしましたソウル線の利用を促進するとともに、クルーズ船の受け入れ拡大を図るほか、先般、フランスでのトップセールスを土台とした欧州向けの水産品の輸出拡大、また、経済交流ミッションの実績を生かして進んでいる県内ものづくり企業のインドネシアにおける販路拡大の取り組みを強化したいと思います。その一方で、介護事業者等の感染対策の取り組みを支援して、重症化リスクの高い高齢者等への感染拡大の防止を図りたいと思います。
そして三つ目として、激甚化・頻発化する豪雨災害や南海トラフ地震等の発生に備えまして、避難道路、河川、砂防施設等の整備など、県単独の防災・減災対策等を積極的に推進するほか、四つ目として、デジタル人材の育成や、物流の2024年問題への対応など、当面する県政の諸課題にも的確に対応したいと思います。
次に詳細でございますが、2ページをご覧願いたいと思います。今回の補正予算の主要事業について説明をさせていただきます。まず、一つ目のエネルギー価格・物価高騰への対応でありますが、低所得者世帯への支援でございますけれども、長引く物価高騰の影響で経済的に一段と厳しい状況に置かれているものの、国の給付金、国もいろんな手立てを打とうとされておりますが、国給付金の対象となっていない低所得世帯に対しまして、市町の社会福祉協議会を通じまして、県産米等の食料品セットを支給したいと思います。次に、中小企業等への支援でありますが、エネルギー価格が高止まりする中で、省エネ化に資する業務用ボイラーなどの設備・機器の更新を支援することによりまして、コスト削減に結びつけて経営安定化と収益力向上を図るとともに、新型コロナ対策の無利子・無担保融資の返済本格化や、新たな資金需要に必要な予算を増額しまして、金融機関に協力をいただけましたので、連携しながら、しっかりとした伴走体制のもとで、経営改善や設備投資など事業拡大に取り組む中小企業等の経営を資金面で下支えしたいと思います。
次に、3ページをご覧願いたいと思います。こちらは農林水産事業者への支援でございます。まず、農業分野ですが、経営基盤の脆弱な就農間もない新規就農者に対しまして、資材等の価格高騰分を支援し、経営安定化を図るとともに、肥料価格が高止まりする中で、化学肥料の使用量低減に資する土づくりに必要な省力化機械の導入を支援し、肥料価格の変動の影響を受けにくい生産体制の確立を図っていきたいと思います。また、畜産分野ですが、飼料等の価格高騰に伴う乳価の値上げや、冬季における牛乳需要減少の影響を受ける酪農家の支援に向け、県産牛乳の消費拡大キャンペーン等を全県的に展開したいと思います。さらに、林業分野ですが、住宅用資材の価格高騰等によりまして、住宅着工戸数が減少しております。そして、県産ヒノキ材の在庫が結果的に増加しておりますので、県産ヒノキ材を使用する木造住宅の建築費用を支援し、需要創出を図りたいと思います。また、資材や燃油の価格が高騰する中で、原木乾しいたけ生産者に対しまして、種菌や燃油の価格高騰分を支援し、安定的な生産の維持につなげたいと思います。次に、水産分野ですけれども、養殖業用資材価格の高騰によりまして資材の更新が滞っており、経営継続が困難となっている零細な漁業者に対しまして、資材の購入経費を補助し、経営の安定化を図りたいと思います。
次に、4ページでありますけれども、海外展開の推進などアフターコロナを見据えた対応についてであります。まず、海外展開の推進ですが、チェジュ航空による松山-ソウル線、10月29日からの週7往復デーリー化、増便により、松山空港の国際線ではデーリー運航を初めて実現いたしますが、これを受けて、インバウンド・アウトバウンド双方での利用促進策を強化するとともに、空港での地上支援業務であるグランドハンドリング、いわゆるグラハンに必要な経費を支援し、路線の安定運航を図りたいと思います。また、クルーズ船のさらなる寄港に向けて、地元市に呼び掛けました。多くなってるのが松山港と宇和島港であります。両市に呼び掛けまして、連携してクルーズ旅客の受け入れ構築の改善、安全性向上に向けた施設等の整備を行って、インバウンド誘客受け入れ体制の充実を図って、誘客の拡大に結び付けていきたいと思います。
次に、5ページでございます。今年の5月、フランスでトップセールスを行わせていただきました。その時に、ポイントとなる人材との出会い、信頼関係を構築できましたので、当初はかんきつの売り込みに行ったのですが、懇談中に魚の輸出の話も進みまして、こちらは世界最大規模の国際卸売市場であるフランスのランジス市場でのレストランフェアや、本県水産事業者とのオンライン商談会を開催し、欧州への愛育フィッシュの輸出拡大に取り組みたいと思います。また、今年の1月には、インドネシアへの経済交流ミッションに行きまして、あちらのゴロンタロ州と覚書を締結してまいりました。これに基づきまして、環境ビジネスの創出や、また、双方にメリットがあればということで依頼している人材交流。これに加えまして、農業・水産業分野の連携のためのアクションプラン等を策定し、交流の拡大・深化を図りながら、県内ものづくり企業の販路開拓に取り組んでいきたいと思います。このほか、感染拡大防止対策として、引き続き感染対策の継続が必要な介護事業所や障害福祉施設等、このサービス提供体制の維持・継続に向けまして、人員の確保、また衛生環境の整備等に要する経費を支援したいと思います。
次に、6ページをご覧ください。防災・減災対策等の推進ですが、県単独での緊急防災・減災対策として、この夏も、ご案内のとおり、全国的に豪雨災害が頻発しております。また、南海トラフ地震等の大規模災害への備えも必要です。また、避難道路や河川、砂防施設等を整備することも重要です。さらに、河川氾濫による浸水被害の防止・軽減も重要で、特に、その中でも要望の多い土砂の堆積が著しい箇所の河床掘削等を重点的に実施したいと思います。
次に、7ページでございます。当面する課題への対応になりますが、まず、DXを支えるデジタル人材の育成でございます。昨年12月に、県から県内の大学に呼び掛けまして、四つの大学が立ち上がっていただきました。県内四つの大学と人材の育成・確保に関する覚書を締結しましたが、個別の案件も進み始めておりまして、まず、松山東雲女子大学との連携協定が結ばれました。これに基づきまして、同大学では、来年4月の教育課程新設を準備しております。それに必要な初期経費を支援し、即戦力として社会に送り出せるデジタル人材の創出を図っていきたいと思います。大学によって工程表はそれぞれですけれども、順次進んでおりますので、こうした個別の対応も進めていきたいと思います。また、物流の2024年問題への対応ですが、トラック運転手の時間外労働時間の上限規制の適用に対応するため、物流の効率化や人材の確保など、輸送能力の向上に取り組むトラック事業者を支援したいと思います。
続いて、8ページでございます。本県の拠点性向上に向けた取り組みでありますが、県民文化会館南側県有地につきまして、県民等へのアイデアの募集結果や関係団体等の意見等を踏まえた活用の方向性を基に、専門的知見を有する事業者のサポートを得て、本県の瀬戸内エリアにおける中核拠点性の向上につながる活用方策を模索、そして定め、当初に申し上げたように、埋蔵文化財調査等の時間も必要なのですが、そういった条件を全て踏まえて、最速のスピード感を持って対応するため、年度内に整備内容や事業者を、決定ではありませんけれども、決まるようなことを目指して当面は行きたいというふうに思っています。また、製造業の国内回帰や生産拠点の集約化が進む中で、市町と共同して、大規模産業用地、これも中国の経済情勢等を見ますと、他国への移転あるいは国内回帰も予想されますので、大規模産業用地の確保に向けた適地調査を行って、県内外企業の誘致・留置を図りたいと思います。このほか、今年の6月に県庁で締結しましたスリランカとの覚書を基に、農業分野における技能実習生等の受け入れ拡大に向けた取り組みを推進して、同国農業の発展に向けた人材育成とともに、また、こちらについては、県内農業の労働力補完、双方にメリットがあるような交流を進めていきたいと思います。
最後に、9ページであります。今説明させていただきました事業に要する経費を計上した結果、今回の補正予算の総額、特に中小企業向けの融資枠の拡大、これは返済を前提にしてますけども、予算上は大きく出てまいります。それらを含めて、一般会計で312億6,926万円となっております。
このほか、これも前に記者会見で説明させていただきましたけれども、条例等の議案でありますが、更新時期を迎える核燃料税につきまして、原発立地に伴う財政需要に対応するため、必要な財源として税率を引き上げた上で引き続き課税するための愛媛県核燃料税条例の制定などを提案する予定でございます。以上です。
(南海放送(幹事社))
ただ今の発表事項に関しまして、質問のある社はお願いします。
(南海放送)
南海放送です。県政課題が山積みである中で、物価高の問題が長期化しています。改めて県としてどういった対策というか、どうやって向き合うべきと考えていますか。
(知事)
そうですね、物価高騰の問題というのはオールジャパンの課題ですので、基本的には我々は自由に財源を作ることはできませんから、基本的な部分については、国がオールジャパンの中で考えるべき課題だと思いますけれども、そこから漏れるケース、当然現場を知らないで進めていく政策展開も予想されますので、十分にそれらを注視しながら、そこに引っ掛からない、しかし一方で何らかのサポートが必要と判断したところについて、きめ細かく対応するのが県の役割だと思っていますので、そういった視点から、今申し上げたような内容の、限られた財源の中で物価高騰策を組ませていただいています。
(愛媛新聞)
愛媛新聞です。予算と条例案をですね、上程される予定というふうに伺ってるんですけれども、核燃料税の更新についてなんですが、先ほど防災とか安全に関連しての財政需要の増加に伴ってというようなこともあると思いますが、四国電力さん、乾式貯蔵の件、施設の建設などもあるとは思うんですけれども、改めてどうしてその財政需要が増しているのかというところ、防災安全の面でですね、教えていただければと思います。
(知事)
はい、国策で進められている原子力政策、そしてその事業者の責任は、特に安全対策面において極めて重いものがあります。ただし、電力会社任せに安全対策はするわけにもいかず、また国任せでもいけないということで、愛媛県では「えひめ方式」の名のもとにさまざまな独自の安全対策を、国の基準以上に行ってきたところでございます。施設の問題、安全基準の問題、変動要因もたくさんございますから、そういったことを十分見極めながら、県の財政需要というものも考えて、それを事業者に一部ご負担いただくというような発想のもとで、こうした条例があるわけであります。
今回は特に電力会社、前にも申し上げましたように、いろんな事業展開をされるということは経営にある程度余裕があるというふうな判断、そして県の持ち出しは当然あるわけですから、そういったことも踏まえて事業者の負担を上げていくというような判断をさせていただきました。
(あいテレビ)
あいテレビです。あの関連してなんですけれども、核燃料税に関してなんですが、現行1kgあたり500円だったのが600円ということで、かなりちょっと大幅なアップかなと思ったんですけれども、そのあたりの判断というか背景、いきさつというのを教えていただけますか。
(知事)
はい、これ、他県の動向もあります。愛媛県より低いところもあれば高いところもあります。だから、何もむちゃなことを言っているわけではなくて、他の電力会社の負担状況も十分勘案しながら、別に最高値にこだわってとかそういうんじゃなくて、県の財政事情、安全に係るいろんな財政出動ですね、そういったことのバランスも踏まえて決定してますんで、一概にこの理論値っていうのを導き出すのは難しいと思います。
(NHK)
NHKの秋山です。9月補正のことで追加なんですけど、物価高は守りの部分もあり、コロナ対策も守りの部分もあると思うんですけど、一方で、アフターコロナ、例えて言うと攻めの部分もあります。この守りと攻めのバランス、いかように難しい中考えていらっしゃるんでしょうか。
(知事)
そうですね。3年間にわたってのコロナ対応が続いてましたので、その間、人々の意識も変わり、経済的な環境も変わり、いろんな変動要因があります。ようやく、5類移行になったことによって、コロナの強毒性が低下したというのが1番大きな背景だと思いますけども、ただ、気を抜くわけにはいきませんから、そこもしっかりと見極めながら動いていく。要は、我々が当初からこだわっていた経済を動かすということは、実需を作り出すということにほかありません。そのための布石として、営業本部の積極化、これは海外展開も含めてということになります。それから、外から人に来ていただいて稼ぐというインバウンド、これは国内も含めて、こうしたところへのアプローチを、アクセルを徐々に踏んでいきたいというふうに思っています。ただ、国の情勢であるとか、旅行会社の国内旅行とのバランスであるとか、それから、急速にやると人手不足の時代、世の中でありますから、グラハンの手配等々、こういったところをしっかり見極めてた上でやらないと、かえって運航したはいいけどトラブルが続出するということにもなりかねませんので、スピード感は持ちつつ、じっくりと対応していくというようなことで、一つずつ進めていきたいというふうに思っています。
(読売新聞)
よろしくお願いします。エネルギー価格と物価高騰に229億、今回割り振っていらっしゃいますけれども、国の方でも先ほどおっしゃったようにいろいろ対策なされていると思いますが、国の支援が足りていないな、もっと支援してほしいなと知事が思われている部分と、今回基幹産業であるこの農林水産事業に割り振った理由があれば教えてください。
(知事)
やっぱりここはメリハリだと思うんですね。じゃあ、全体がみんな厳しいかってのは、決してそうではない。むしろ、コロナによって産業転換、需要の質の転換等によって、収益を上げているところもたくさんあります。また、株価の上昇によって、むしろ収入が増えているところもあります。だから、こういう時はいろんな意見があると思うんですけども、やっぱり、低所得世帯等々が1番打撃を被るという観点で、まず、国はそこをやってはいますけれども、今回、提案してるように、やっぱり漏れているところがありますので、そういったところを中心に後押しするっていうのが、この段階における県レベルでの物価高騰対策ではないかというふうに判断をしているところでございます。
それともう1個、なんでしたっけ。
(読売新聞)
農林水産の基幹産業の。
(知事)
愛媛県は、地方の県はどこもそういった傾向はあるんですけども、都市部とは違って、やはり一次産業というのは基幹産業であります。
一次産業というのは、県にとっても重要な産業であるとともに、オールジャパンで言っても、食料需給等々を考えた時に、あるいは、環境保全を考えた時に極めて重要であります。その、携わってる方々の生活のみならず、さまざまな面で社会に大きな貢献をしている産業でもありますので、地方固有の産業構造の問題と、それから一次産業の社会的な貢献という観点からの問題と、両方考えて、特にここについては、農、林、水産、全てに気配りを、目配りをするっていうのは大事な視点ではないかと考えています。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。