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平成28年度9月補正予算案に関する記者発表の要旨について
- 平成28年度9月補正予算について[PDFファイル/249KB]
- 平成28年度9月補正予算の概要[PDFファイル/898KB]
- 平成28年度9月補正予算の主な事業について[PDFファイル/488KB]
- 平成28年度9月補正予算の部局別経費概要[PDFファイル/455KB]
- 平成28年度会計別予算の規模・9月補正予算款別一覧表(一般会計)[PDFファイル/50KB]
日時 28年9月5日(月曜日)11時00分から11時26分
場所 知事会議室
平成28年度9月補正予算案等記者発表
(知事)
まず、発表に先立ちまして、このたびの台風10号によりまして犠牲になられた方々のご冥福を心からお悔やみ申し上げますとともに、被災されました、特に北海道、岩手県の皆様にお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。今回の台風は観測史上初めて太平洋側から東北地方に上陸し、直接大きな被害をもたらしたということですが、今の段階でなお行方不明の方もいます。被災地は大変厳しい状況が続いております。被災地の一日も早い復旧を心からお祈り申し上げたいと思います。
それでは、今お話がありました9月補正予算案等について、説明をさせていただきたいと思います。
今回の補正予算は、財政の先行きが不透明で厳しい状況の中ではありますけれども、6月補正予算編成後の情勢変化等を踏まえまして、編成を行わさせていただきました。
具体的には、南海トラフ地震や台風等に備えるため、道路や河川、砂防施設の整備など、緊急に行うべき防災・減災対策を県単独事業として積極的に推進するとともに、熊本地震の課題を踏まえた迅速な対策にも取り組み、県民の皆さんの安全・安心の確保に努めることといたしました。
併せて、産業振興や医療・福祉の充実などの当面する県政課題につきまして、地方創生のための交付金も最大限活用し、的確に対応させていただきたいと思っております。
主な内容でございますが、まず、県民の安全・安心確保対策の推進についてであります。
一つ目は、先ほど申し上げました県単独の緊急防災・減災対策事業でございます。南海トラフ地震や台風、集中豪雨等に備えるため、緊急輸送道路の改良や危険箇所の解消、河川、海岸、港湾施設等の改修・機能強化に積極的に取り組むことといたしました。また、市町が行う、がけ崩れ防災対策の促進、特殊土壌地域等の砂防施設の早期整備に努め、大規模土砂災害の未然防止を図るなど、各種事業を強力に推進することといたしました。
次に、熊本地震の課題への対応でございます。県職員もかなり大人数が熊本地震の復旧の応援のために、現地入りをいたしました。そういった時に現地の役に立つだけではなく、さまざまな経験も積んできておりますので、そうした現地調査の結果も踏まえまして、公共土木施設の応急復旧や応急仮設住宅建設のためのガイドラインを策定するとともに、道路啓開計画を改定しまして、大規模災害発生時に、関係機関が連携して速やかな対応ができるよう備えることといたしました。
二つ目に、当面する課題への対応として、まず産業の振興でございますが、農林水産業の振興につきましては、世界有数の品質を誇る一大果樹地帯をつくり上げた南予地域の柑橘生産システムにつきまして、日本農業遺産の認定取得に向けた推進体制を構築するとともに、愛育フィッシュ輸出促進共同企業体、通称「オレンジウェーブ」と言っております。この参画企業が、県と一体となって研究、挑戦を繰り返しまして、日本で初めて養殖魚のハラール認証を取得いたしました。養殖魚のハラール認証は、日本で初めてとなります。この強みを生かし、全国に先駆けまして、マレーシアなどのハラール市場に向けた本県水産物の輸出拡大に取り組むことといたしました。
商工業の振興についてでありますが、中国経済の減速やイギリスのEU離脱表明等に伴う円高株安など、景気の下振れリスクが懸念される経済情勢を踏まえまして、中小企業者等に対する資金融資枠を拡大するほか、新たな有望市場として期待されるロサンゼルスでの販路拡大を図るため、四国フェアを開催することといたしました。
観光の振興策でございますが、「サイクリングアイランド四国」の実現に向けまして、体験ツアー隊による、本県を起点とした四国一周サイクリングルートを情報発信するとともに、県内サイクリング観光をPRする映像コンテンツの制作に取り組むことといたしました。また、民間の人材を活用した観光誘客体制を強化するため、愛媛県観光物産協会を拠点とした愛媛版DMOの設立を検討するとともに、松山-ソウル便が運休するなど、定期国際路線の存続が厳しい状況にありますことから、利便性向上や経済活性化に寄与する松山空港国際線について、安定運航を確保するための支援強化に取り組むことといたしました。
次に医療・福祉の充実についてでございます。まず、地域医療の充実として、公約にも掲げました救急医療を支えるドクターヘリにつきまして、来年2月からの運航開始を目指して着実に準備を進めてまいります。また、看護師の育成及び県内定着を推進するため、聖カタリナ大学看護学科開設のための施設整備を支援することといたしました。
福祉、子育て支援の充実といたしましては、授産製品の消費拡大や販売等を通じた障がい者の人材育成を推進するため、販売促進イベントの開催やチャレンジショップの運営に取り組むことといたしました。
三つ目にその他として、岩城橋でございます。平成33年度の完成を目指して、整備促進を図ってまいりたいと思います。
この結果、9月補正予算額は、一般会計で107億690万円、企業会計で395万円、合計で107億1,085万円となります。一般会計でみますと、26年度104億円、27年度99億円、そして今年度が約107億円でありますから、昨年度、一昨年度とほぼ同じ予算規模を確保して、防災・減災対策のほか、実需の創出につながる本県独自の産業振興策に積極的に取り組むなど、地域経済の活性化にも対応した積極型の予算と考えております。
特に、防災・減災対策についてですが、今回の9月補正予算において、県民の安全・安心を確保するための対策として、県単独で45億円を計上しております。当初の防災・減災強化枠、これは国の補助事業と県の単独事業で、合わせた予算額は199億円でございました。昨年度169億円でありましたので、これを30億円上回る額を確保したところでございます。
また、条例等の議案については、法令の改正等に伴う条例改正などを提案する予定としております。
なお、ご案内のとおり秋に臨時国会が召集されますが、そこで提案が予定されているのが、大型の国の補正予算でございます。これについては、まだ詳細が分かっておりませんので、情報収集に努めており、具体的な内容が判明した段階で、できるだけ速やかに対応したいと考えております。
以上です。
(愛媛新聞)
産業振興の関係で、日本農業遺産の認定取得を目指していくということだが、認定によってどのような効果を期待しているのか。
(知事)
そうですね、まあ農業遺産が認定されたとしても、生産量が増えるとか、国から特別な予算の枠があるとか、そういうものではないんですけれども、地域全体のPR、またそのPRを通じた1次産品の評価の向上、こういったものに結び付けていくことができるんじゃないかなと考えています。
(愛媛新聞)
認定自体を売りにしていこうということか。
(知事)
そうですね。
(南海放送)
関連して。地元の盛り上がりが大事になってくると思うが、地元の生産者の方に期待することはあるか。
(知事)
はい、あのもちろん、これは県が押し付けてやろうっていう話ではなくて、地元の皆さんがぜひチャレンジしたいというふうな背景の中から決定していくものでありますから、今日、その会が発足する予定であると聞いておりますので、むしろ地元の皆さんが誇りに思っているこのシステムを一緒になってPRしていくということでありますから、大いにそれは期待できるのではないかなと思っています。
(日経新聞)
日本農業遺産の認定を取得したい時期のめどはあるか。
(農林水産部長)
9月末が申請期限になっておりまして、書類審査が10月頃ありまして、その後、現地の調査というのが予定されています。それが年明け以降までです。そして、今の農林水産省の発表では、3月くらいに認定の決定通知、そういう流れだと聞いております。
(日経新聞)
来年の3月ということか。
(農林水産部長)
はい、そうです。
(朝日新聞)
ドクターヘリの運航にあたって、知事が期待していることは。
(知事)
ドクターヘリは、2期目の公約にも、重点課題として掲げさせていただいたんですけれども、これまでは愛媛県は、防災ヘリを活用して、これをドクターヘリ的運用にということで対応していたんですが、財政的な問題もありまして、そういった運営に留まっていたんですけれども、やはり専用のヘリコプターが必要だというふうに判断をいたしました。それが運航可能なような財政的な基盤もつくってきたつもりでございますけれども、特に愛媛県、中山間地域、島しょ部を多く抱えていますので、例えば島しょ部だとですね、松山市長の時にヘリコプターを松山市で考えたこともあるんですが、とても運航が賄えないということで、救急車搭載型の船を新造して運航させた経緯があります。救急車があるところっていうのは、連絡をいただいてから5分で大体救急車が到着するという配備をするんですけれども、いくら頑張ってもやはり30分かかるんですね。それでも飛躍的に体制は向上したんですが、ヘリコプターと比べたら、やはりちょっと時間がかかると。先ほど申し上げた全県を考えた時には、中山間地域、島しょ部も含めますと、大いに愛媛県にとっては重要な、人の命を救うものとして価値を生み出していくんじゃないかなというふうに考えています。
特にドクターヘリに関しては、今、夜間は飛べないんですよ。ただし365日、日の出から日没まで体制が取れるということで準備を進めていますので、かなりカバーできると思いますから、非常に多くの県民の命を救うことに、直接結び付いていくんではないかというふうに思ってます。
(あいテレビ)
ハラール市場に水産物を輸出促進ということだが、現地で魚の生食の需要はあるのか。
(知事)
もちろん、ハラール、イスラムの食文化からしますと、ハラールというのは非常に大事な認証になっていますので、それだけ現地調査も含めて厳しいチェックを乗り越えなければ取れないんですね。特に今回、マレーシアのハラール認証をとっているんですけれども、マレーシアのハラール認証は世界で一番ハードルが高いといわれているんです。ただし、マレーシアで取れているから全世界で通用するかというと、そういうわけではないので、その高い認証のレベルを取得している強みというのを生かすには、まさに直接マレーシアに売り込むとか、マレーシアのハラール認証を評価している国々をセレクトして売り込むとか、非常に戦略的な販売をしなければいけないと思っています。
それからもう一つは、日本で初めての養殖魚のハラール認証ですから、例えば国内のイスラム圏の大使館とかですね、こういったところにも積極的にアプローチをしていこうかなと。いわば日本で初めて取れたものという強みを、この段階で大いに生かすと、印象付けていくと、そして実需に結び付けていくと、というような観点から攻めの姿勢で臨んでいきたいと思っています。
(あいテレビ)
現地では、特にどういった養殖魚が受け入れられるのか。
(知事)
そうですね。これもやはり国によって違うと思うんですね。まあ、どちらかというと白身よりは赤身が好まれる傾向もあったりですね。ところが国によっては、徐々に白身が拡大してきているところもあってですね、一概には言えないと思います。だから、こちらもですね、そのエリア、国によって、さっき言ったマレーシアのハラール認証をフルに生かせる、まずエリア選定、それからそのエリアの中での需要選別、こういったものをしっかりと見極めて、やみくもに行くんではなくて、より一層効果的な販売戦略というのを、きめ細かく考えていきたいと思っています。
(あいテレビ)
知事もトップセールスに行くのか。
(知事)
はい。
(あいテレビ)
いつ頃の予定か。
(知事)
いや、まだ僕は決めていないです。既に営業部隊は動き始めています。
(愛媛新聞)
関連して、中東などの裕福な国への売り込みというのも考えていると思うが、どこの国にという具体的な選定は、いつ頃になるのか。
(知事)
そういう意味では、さっきちらっと申し上げた大使館から入っていくというのは一つの手法だと思っていますので、これはもう東京にありますから、逆にすぐにアプローチ可能なチャンネルになりますので、そこら辺りから、まず探りを入れていきたいなと思います。
(南海放送)
配布資料によるとUAEという国も出てきているが、どういった戦略で売り込みを進めるのか。
(知事)
既に営業部隊が動いているという話をさせていただきましたが、UAEにも具体的にアプローチを始めています。
(愛媛新聞)
国際航空路線の支援拡大について、国際線で厳しい状況が続いている中で、このタイミングで拡大する狙いは何か。
(知事)
そうですね。前の記者会見の時も申し上げたんですが、昨日も実は、成田-オーストリア便が廃止になりました。LCCの台頭によってですね、日本の空港と国際線の直行便の各航空会社の採算が、非常に厳しくなっている状況にはあります。そういう中で、地方はさらに競争激化していくことも予想されますし、オーストリアの場合には、実は、長い目で見て、日本の人口減少を考えたときに中国の路線にシフトするという判断をしたという、こんなニュースが載っていました。ですから日本の人口減少問題というのは、非常に大きく影響もしてくるのだろうと思います。
そういう観点から見ると、長い目で見た長期的な戦略と、中期的なLCCの台頭に伴うバックアップ体制のあり方の研究であるとか、こういったものを詰めないとですね、路線維持のみ、あるいは路線拡大のみに目を移してしまうと、それこそ足元を見られて、どれだけのお金が必要になるかっていう袋小路に入ってしまう可能性もあるので、今、本当にそこらあたりの戦略をしっかりつくっていく時期なのかなというふうに思っています。そういう中で、最低限、他と遜色のないですね、県民の皆さんにも、それは他のところもやっているから、そこぐらいの準備はしなきゃいけないだろうねっていうことが理解いただけるような対応はとりたいということで、今回対応させていただきたいと思っています。
(愛媛新聞)
タイミングとしては、ソウル線の9月末運休が決まって、さらに上海線もなくなるのを防ぐためということか。
(知事)
いや、というか次なるLCCへの働き掛けのことも含めて、体制を整えるということです。
(朝日新聞)
四国4県のロサンゼルスでの営業活動について、なぜロサンゼルスを選んだのか。また、どういったものを売っていきたいのか。
(知事)
これはあちらにですね、既に実績のある日系のスーパーっていうんですかね、そういう店舗があってですね、そことの話もあって、商品の品揃えを考えると四国でやりたいというようなお話があったので、4県で相談してやってみようということになった経緯があります。会社名は分かりますか。
(財政課長)
マルカイです。
(知事)
マルカイです。はい。既に愛媛フェアをやっているんですよ、ハワイで。そこがロサンゼルスにも店舗をいっぱい持っていて、その関係で、四国4県に呼び掛けて実現したという経緯です。
(南海放送)
熊本地震の課題を踏まえた対策ということだが、具体的にはどういったことが課題と捉えて、どういう対策を講じようとしているのか。
(知事)
はい。現地へ行った県職員からのいろんな報告をまとめてみますとですね、例えば物資の供給の問題、それから道路啓開の復旧の問題、それから車の中での生活等のエコノミー症候群等の問題、それから仮設住宅の建設準備の問題、いろんな課題があったやに報告を受けていますので、それらのことに照らして、愛媛県が今どうなっているのかを分析し、計画づくりですね、その経験を生かした各計画づくりを行っていきたいというふうに思っています。
(南海放送)
まず現状を把握して、今後の計画をつくるということか。
(知事)
そうですね、はい。ですから熊本地震で実際に起こったこと、問題になったことをこちらに持ってきて、実際、愛媛県はどうなんだろうかということを検証し、そこを充実させていくということに結び付けていきたいと思っています。