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平成24年度9月補正予算案等に関する記者発表の要旨について
- 平成24年度9月補正予算について[PDFファイル/22KB]
- 平成24年度9月補正予算の概要[PDFファイル/70KB]
- 平成24年度9月補正予算の主な事業について[PDFファイル/76KB]
- 平成24年度9月補正予算の部局別経費概要[PDFファイル/613KB]
- 平成24年度会計別予算の規模・9月補正予算款別一覧表(一般会計)[PDFファイル/25KB]
日時 24年9月11日 11時16分から
場所 知事会議室
平成24年度9月補正予算案等記者発表
(知事)
現在、国政の混乱が続いています。特に皆さんもご存じのとおり、先般の国会の終盤は、全く審議すら行われず、もう、国会議員の特に主要政党は、総裁選、党首選に思いがいってですね、国会審議は忘れられたかのような様相を呈していました。
その結果として、特例公債法案は成立せずに、国会が閉じられるという前代未聞の事態が発生しています。
具体的には、市町村分は削られていませんけれども、9月の道府県に対する交付税の送金が約3分の1ということで、資金繰りをこちらで何とかしなければいけないというような事態に至っているところであります。
また、今後の展開次第によっては、予算の執行等も見通しが立てにくいと、さらに続いた場合は、今は、金額的に内部のやり繰りで済むと思いますが、その次の段階になると、外部の借入れ、あるいは事業の執行の見送りとかですね、どんどんどんどん傷が深くなっていきますので、非常に見通しが立てにくい状況であります。
そういうふうなことを前提にしながらも、やらなければいけないことは待ったなしでありますから、今回の補正予算を編成させていただきました。
具体的には、先日、南海トラフ地震による被害想定等が出されたことを受けまして、県民の命を守る観点から、国の対策を待つことなく、緊急に行うべき県単独緊急防災・減災対策を前倒し実施することといたしました。
併せて、木材価格の大幅な下落、それから、夏の宇和海沿岸の赤潮被害への対応をはじめ、農林水産業や商工業、観光の振興など、緊急に取り組むべき政策課題に係る施策を厳選して盛り込むことといたしました。
主な内容ですけれども、まず一つ目、緊急防災・減災対策の推進でありますが、1に県単独緊急防災・減災対策事業、これは県単でありますけれども、これとして、命を守る観点から効果のある避難道路の改良促進や危険箇所の解消、それから、橋りょうの耐震補強を行いたいと思います。次に、がけ崩れ防災対策や海岸保全施設の防災対策、河床掘削の促進を図りたいと思います。次に、大幅に前倒しして実施計画を立てております、県立学校の耐震診断等の前倒し実施や、ガントリークレーンの耐震化などに取り組むことといたしています。現在、参考までですが、県立学校の耐震化率は58.2パーセント、もちろん、まだまだ47位という位置にありますが、対前年度の伸び率は6.5パーセントになっていまして、ちょっとやればパンと伸びるところもありますので、そういう中でも、全国伸び率では11位ということで、急ピッチで、今、進めているということがお分かりいただけるのではなかろうかと思います。
次に、大規模ため池の耐震診断や鉄道橋りょうの耐震対策、これも盛り込ませていただきました。
それから、三つ目に、愛顔の助け合い基金を活用した被災地等支援として、災害ボランティアの派遣を拡充することといたしました。
次に、緊急課題への対応として、2番目でありますけれども、1に産業の振興については、農林水産業関係では、青年就農給付金の給付を通じた新規就農者の支援拡充、かんきつの高機能集出荷選果機、光センサーの施設の整備促進、新たな愛媛ブランド牛の開発、これも次の段階に入ってまいります。それから、「愛育フィッシュ」のPR等でございます。
木材価格対策としては、間伐の促進、間伐材の搬出支援、これをさらに強化するということと、今回初めて、住宅リフォームにおける県産材利用に対する支援制度を新たに創設をしたいと考えています。
次に、赤潮被害対策としては、国から本当に答えが出てきませんので、実質無利子の緊急対策資金を設置したいと思います。
商工業の振興では、円高等で非常に厳しい経営環境にある中小企業者等に対する融資枠の拡大、それから、今、タオル産業が息を吹き返しつつありますけれども、それをさらに側面的に支えていく新繊維産業技術センターの建設着手に踏み切っていきたいと思います。
観光振興では、「瀬戸内しま博覧会」、仮称でありますけれども、これや、しまなみ海道における世界的規模のサイクリング大会の開催に向けた準備を着実に進めていきたいと思います。
2番目は、医療・福祉の問題でありますけれども、こちらでは、二次救急医療機関、がん緩和ケア病棟の機器整備を行います。それから、これは法律が変わりましたので、国民健康保険法の改正に伴う県財政調整交付金を拡充いたします。
3番目は、再生可能エネルギーの活用促進でありますけれども、こちらは、工業用水道を活用した小水力発電を導入したいと思います。参考までに、発電コストは13.9円、キロワット当たり、13.9円程度になると思いますが、ご案内のとおり、現在、再生可能エネルギー買い取り価格は、税抜きで29円でございますので、コスト13.9円、税抜き29円ということになります。
その他として、宇和島市の九島架橋の整備支援を行います。それから、もう一つが、今年の最大のテーマに掲げておりました、本四架橋の出資金の問題でありますけれども、2年限りということで、今年度の残りの部分、全国共通料金導入に向けて約束した、残りの部分の出資を行うことといたしております。金額は残りの17億8千万円です。あと、来年の30億2千万円を支払えば、この問題は、約束では終わりということに位置付けております。
この結果、9月補正予算総額は、一般会計で164億3,315万円となりました。
予算規模につきましては、財政の先行きに陰りが見られる中ではありますけれども、法人税等々がちょっと心配でございます。しかし、過去10年間で中位程度の規模を確保したところであります。ただ、昨年度はですね、東日本大震災の発生を受けた緊急防災対策がございました。また、22年度、21年度は、国の経済対策等々に対応したことによって、大規模な予算になっているということであります。
特に、防災・減災対策については、今年度の当初予算で既に75億円を計上していましたので、そこが昨年との違いで、昨年は当初がそんなになかったので、9月補正で3.11を受けて大規模になると。今回は当初予算でかなり組んでいるという事情もございます。こういうことで、今回の9月補正では、さらにそこに積み増しをするということになりますが、避難道路の整備など、41億円の県単独緊急防災・減災対策事業を計上し、当初予算と合わせた額で見れば、昨年度と遜色のない規模を確保したところでございます。
また、条例等の議案につきましては、地域主権改革一括法による国の義務付け・枠付けの見直し等に伴う関係条例の制定などを提案することといたしております。
以上でございます。
(愛媛新聞)
特例公債法案の関係で、(県への普通交付税の交付額は)3分の1でいくらになるか。
(知事)
本来ですね、9月10日に交付される予定の金額は416億円でございました。しかしながら、実際に振り込まれたのは139億円でございますので、差額は277億円になります。これは都道府県で何とかしなさいということでございます。一応ですね、特例公債法案が通ればくると思いますが、それまでに発生する金利、これは県庁内、県内、愛媛県の中で、組織の中で基金を取り崩す場合でも実は金利がかかります、これが0.12パーセントぐらいかかります。これが仮に、キャッシュがなくなったと、銀行から借り入れる場合、1パーセント近い金利負担が発生すると思います。これについては、一応、国が見るとは言っているんですけれども、さて、その見方がもしですね、今までの交付税措置だとか言うとですね、またまぶされてしまう可能性があるので、これは気を付けなければいけないと思っています。
(愛媛新聞)
小水力発電について、先般の知事査定の際に、エネルギー問題に一石を投じたいという話をしていたが、どういうことで今回始めるようになったのか。
(知事)
正直言って、買い取り価格というものが、この前も議会でも話したとおり、例えばドイツは先行してやったわけですよね。10年間に10兆円を超える資金を投入して、10年間で太陽光発電、特に太陽光でやりましたから、全エネルギー供給量の比率がどれだけになったかというと、3パーセントにしかならなかった。そのことを受けて、もうこれ以上無理だということで、ドイツでは今年の3月から、買い取り価格を大幅に引き下げるという決断を下しました。ですから、今、買い取り価格、今度は遅ればせながら日本がスタートするわけですけれども、ドイツの例を見ると、一体、この買い取り価格がどこまで保証されるのかというのが見通しが非常に見えにくいんですね。ですから、コストの面で二の足を踏むところもあったんですが、現在、先ほどお話ししたように、13.9円のコストに対して、税抜きで29円という、かなりの開きがありますので、回収期間の5年ぐらいはもつだろうと、買い取り価格が。そうすると、その後は減っていく可能性もあるんではないかと。ただ13.9円の29円で見ると、かなりそこに幅がありますから、ある程度下げられてもいけるという判断をして今回導入に踏み切りました。
できればですね、まだ検討中ですけれども、他の場所でもやれるところがあって、採算が見込めるようであれば考えていきたいと思っています。既に水力を設置しているダムもありますし、条件が合う場所というのはそんなにはないですね、県営のダムについては。例えば、農業用ダムはですね、これは難しい。調べてみたんですけれども、施設管理者が土地改良区になりますので、そこがやるかやらないかという判断になるので、県がもしそこを活用してやるとなると、使用料を払わないといけない、財産取得しないといけない、べらぼうに高い金額になるので、これはもう非現実的かなと。あくまでも施設管理者である土地改良区がどうするかという問題になると思います。
(日本経済新聞)
新エネルギーでは、むしろ太陽光発電について、県内や特に県外の自治体で積極的に誘致して設置する動きがあるが、愛媛県はどうか。
(知事)
あった話についてはですね、検討しているところもありますけれども、メガソーラーの場合はですね、土地をもう他の活用できなくなりますので、そういった点に気を付けないといけないテーマですし、生態系への影響というのも当然大きなテーマですし、そこに場所があっても送電線等をどうするかという問題もありますので、それらを慎重に考えながら、やれるものがあったらやりたいとは思いますけれども、こちらもドイツの例を見るとですね、今は確かにブームだと思います、けれども、メガソーラーということはですね、その辺りの長い目で見た考え方も入れながら計画を立てないといけないのではないかなというふうに思いますけどね。ドイツの場合も、メガソーラーというのはそうはやっていなかったんですよ。どちらかというと、工場の上を使ったり、それから一般家庭を使ったりというところを重視しながらやってきていましたので、結局のところ、土地が死んでいくということの問題があったのかなと思います。
(愛媛新聞)
電力の買い取り制度について、結局、コストアップにつながるので、知事はどちらかというと、もろ手を挙げて賛成ではないスタンスという気がしているが。
(知事)
要は、自然エネルギーの出力と今の技術で考えると、代替エネルギーとして、それをとことん追い求めていくというのは、経済政策的に見て、日本全体のですよ、コスト高というのは、ドイツが先行して示してくれたわけですよね。これは国が総合エネルギー政策の中で、どの程度やるのかと国が見極めないとですね、やみくもに、今だったら、怖いのはですね、今の買い取り制度だったら、土地さえタダで確保できれば絶対利益が出るんですよ。そしたら企業動きますよね。ばーっとやったら、やってみたら、土地がだいぶなくなった。そして買い取り制度の出費がどんどん膨らんだ。これはドイツが経験していますけど、これは財政的にもたないから、買い取り価格を引き下げよう。採算合わなくなったからもうやめた。後の供給は知りませんよ。こういうリスクも絶対考えないといけない分野だと思うんですが。だから、買い取り価格制度というのが、どうしてあの設定になったのかというのもよく分からないわけですよね。何となく思いつきのような形であの金額がぽんと出てきたようなところがあるので、政治が混迷していますから、いつ方針転換されるか分からないし、その辺は、本当に気を付けないといけないかなと個人的には思っています。でも大事なことだと思いますよ。家庭とかそういうところで普及していくのは、やはり自然エネルギーの活用にもつながりますし、それから、個人個人の意識啓発というものにもつながっていくと思いますので、当然のことながら、大切ではあるんだけれども、代替エネルギーとして、そこに過剰な期待を持つというのはどうなのかなと思っています。
(NHK)
今回の予算案の全体を見て、どんなバランスで組むことができたと思うか。
(知事)
やはり南海トラフの発表を受けたですね、減災という視点に立った予算というのが一つの柱であると思います。それから、もう一つは、緊急にやらなければならない問題、例えば赤潮対策、それから木材価格の下落対策、こういったところが特色になっていると思います。
(NHK)
特に防災・減災対策については、前年度から組まれているものも多いが、今後、どう取り組む考えか。
(知事)
大掛かりな、例えば三連動地震とか、南海地震ということになってくると、大規模な投資も必要になってきますし、しかも1県の問題だけではなくて、広域に関わる総合防災という形になりますので、これはもう本当に、1都道府県でできる事業ではなく、まさに、国と地方の役割分担で言えば、国の仕事だと思うんですね。ですからそのためにも、今、中途半端になっている法体系の整備もやってもらいたいし、いわば、関係知事と一緒に声を上げていますけど、三連動地震を想定した関連法案の成立というものが、僕は必要だと思いますので、そういった点と区分けしながらやっています。その中で、県ができること、市町村ができることというのを見極めて、自分たちができることをともかく、財源的には非常に厳しいですけれども、的確に事業を進めていくということで組み立てています。
本来だったら、高校などもですね、一刻も早くという気持ちはあるんですけれども、残念ながら高校の耐震化は国の補助はゼロでありますから、全部、県の単独事業で行わなければいけない。当初、財政的に考えてみると、平成33年ぐらいまで100パーセントにもっていくにはかかるかなと思っていたんですが、原課もこうこうであるとか、財政もですね、やり繰りというのを議論してくれまして、29年で100パーセントにもっていくという計画で、今、進めているということでございます。
(テレビ愛媛)
地方交付税が3分の1になったことで、当面影響が出そうな分野はどうか。また、とりあえず埋めるには基金の取り崩しという対応になるのか。
(知事)
まずはですね、基金のやり繰りで、この金額であれば何とかなると思います。やはり本当に、今回のようなことがなぜ起こるのかということは、やはり国の法案を審議される立法府の方々が、自分たちがやっていることが地方の現場に何をもたらすか、どういう影響をもたらすかということを知らない、そして、興味がないのかもしれない、そういうことから起こったのだろうと思います。
もう一つは、こちらに非があってこういう事態が起こるのであれば納得できるんだけれども、全く関係ないところでのもめ事がこちらに飛び火してきたということですから、あらためて、権限、財源が国にあるからこそ、こういうことが起こるんだなと実感しました。本当に、権限、財源の移譲を伴った役割分担での地方分権、これはやらないといけないと確信しましたし、これからもその声は、いかなる政権であろうとも上げていかなければならないなということをあらためて決意したところでございます。
正直言って、言い過ぎかもしれないですけれども、現在、これはもう、自民党にしても、民主党にしても、党首選挙が華々しく行われていますけれども、恐らく全国の、市町村は今回交付税は全額きていますけれども、3分の1ぐらいの送金しかないでやり繰りに走っている道府県知事は、何かもう一体何なんだと、非常にしらけた思いで見つめているんじゃないかなと、僕自身もその一人です。
それともう一つ言えることは、こういうことがいつ起こるか分からない、それから大きな災害がいつ起こるかも分からない、そのときにキャッシュが必要なんですね。キャッシュがないと対応ができない。ある程度の財政調整基金、今、目標を掲げて積み増しを目指していますけれども、絶対に確保しておくことが大事なんだなという点も、今回、再確認したような問題だったと思います。
(愛媛新聞)
財政が厳しい中で、財政調整基金などを積み増したと思うが、今、どれくらいになっているか。
(財政課長)
23年度末で286億円です。ただ、24年度当初で、それと6月で51億円既に使っています。今回の9月補正でも7億円使う予定になっています。9月の積み立ても一部ありますので、その差し引きしますと、現段階での24年度末見込みは251億円です。