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県民文化会館南側県有地活用事業に係る現在の状況と今後の対応方針に関する記者発表の要旨について
日時:令和6年8月19日(月曜日)14時15分~14時38分
場所:知事会議室
(朝日新聞社(幹事社))
それでは臨時記者会見を始めます。本日は、県民文化会館南側県有地活用事業に係る現在の状況と今後の対応方針について発表があると聞いております。それでは知事よろしくお願いします。
(知事)
ご案内のとおり、この半年の間に急激な円安が進行する。160円近辺まで円安が進んだことや金利の政策の変更、そして、また、万博や半導体工場の建設、大規模で全国的に進められている場所があって、人の手配が非常に難しい状況にある、劇的な変化が半年の間に起こっております。
県民文化会館の前の跡地につきましては、今年3月の再募集の時点で、複数の事業者、非常に立地場所が道後温泉に近くて、県民文化会館の前ということで、大変良い場所だということと、それから県が所有するまとまった土地としては、本当に今後の県都、県全体の発展を考えたときに、非常に重要な場所であるというふうなこともあって、大変多くの事業者が関心を示していたところでございます。
当時、複数の事業者から建設費は依然として高いけれども、現在の水準が維持されるのであれば、公募要件に基づき検討を進めたいけれども、検討期間、民間としては最低でも5カ月は欲しいということの申し出がございました。
私が昨年の6月議会において、県文南側県有地の活用を表明した当時と比べてみますと、主要建築資材である鋼材価格は、その時点で建築資材物価指数で4ポイント減少したほか、コンクリートの価格は逆に10ポイント以上上昇はしていたんですけれども、数カ月にわたって安定していた状況でありました。ということで、3月の再募集のときには、当初とほぼ同じ公募条件で業者も検討したいということで再募集を決定したものであります。
しかしながら、その後、先ほど申し上げましたように劇的な変化が6カ月の間に起こりまして、鋼材価格、そしてコンクリート価格に加えまして、労務費も上昇傾向、そして人手不足と、非常に先が見通せない状況に立ち入りまして、今回、その条件の中では非常に厳しいという意向を示した二つの事業者から、参加(するのは)ちょっとこの時点では難しいというような申し出がございました。
6月中旬から、この二つの事業者とは、個別対話を通じて、参加資格要件や提案内容等について確認・協議を前向きに行ってきたところでありましたけれども、数年後の状況が本当に、この数カ月の間に予測が全く不可能になったということ。そのような中で民間資金のみで収益性の低い大小の会議室、あるいは人材確保を含めたバンケット業務の整備・運営を行えるかなどを、この変化した条件のもとで検討したんですが、なかなか事業性が見いだせなかったという理由で具体的な提案に向けた検討は難しいという申し出がございました。
今後の検討においては、ご案内のとおり、非常に場所が良いわけで、条件次第ではぜひという業者もたくさんございますので、民間事業者からの提案を今後踏まえて検討していきたいと思いますが、とりあえずは、当初の提案期限を8月30日に設定しておりましたけれども、それを待たずに、現スキームでの事業協力者募集を中止することとしまして、今一度、民間事業者が参入しやすい事業スキームを再検討したいと思います。
先ほど申し上げましたように、県のまとまった特別な一等地でございますので、一番良い時期に、良い条件で何かを行うということがベストだというふうに思いますので、ここで条件変化を受けて、立ち止まるのも、今の段階ではベターな選択ではないかと考えます。
今後、今回の事業者からもいろんな意見をいただいてますので、現時点では主に2点の見直しを考えております。
まず一つ目は、費用負担のあり方についてであります。建設費高騰に伴って、民間事業者の負担が増大してきていることを踏まえまして、分科会を含む国際会議などに対応できる大小の会議室など、公的な役割が大きいものの、収益性が低い部分については、施設整備および運営面での負担軽減の方策がないかどうか検討したいと思います。
二つ目は、MICE機能の整備内容についてでありますけれども、特に多様な料理に対応できる人材確保を含めたバンケット機能については、結婚披露宴等の需要減に伴い、収益性の見通しが立てづらいとの意見もございました。そこで、県民文化会館が有する機能を最大限活用することにより、施設の規模を抑える工夫について、こちらも検討したいというふうに思います。当初から、かなりハイスペックな条件というのを示しておりましたので、この辺、ちょっと柔軟性を持って検討をすべき課題が、状況変化により、あるんではないかと考えます。
今回の結果は非常に残念でありますが、先ほど申し上げましたように、この場所が場所ですから、時間がかかったとしても、県としては交流人口の拡大を図り、多くのヒト・モノ・カネ・情報を呼び込むことで、実需の創出を図っていくため、引き続き、集客・交流施設の整備を目指したいと考えており、丁寧に事業スキームを再構築し、実現可能性を高めた上で事業推進に臨みたいというふうに思います。以上です。
(朝日新聞社(幹事社))
それでは質問のある社はお願いします。
(愛媛新聞)
すみません。愛媛新聞の長谷川です。よろしくお願いします。まずですね、今回その2回目の募集を、一旦中止をして、そもそもの要件を見直すということだとは思うのですけれども、改めて、そのMICEの関連施設のですね、その必要性について、県の発展にどのように寄与していくと考えていらっしゃるのかを教えていただいてもよろしいでしょうか。
(知事)
まずですね、県民文化会館の機能を考えたときに、(県有施設のうち、)県内で唯一、国際会議が開催できる場所として位置付けられると思います。ただ、周辺にそれをカバーする施設がないというのが、最大の弱点であります。
そして、また県内には、ご案内のとおり、これは何度も(言ってきましたが)、松山市自体が、まちづくりの中でビジョンを示してほしいのですけれども、宴会ができる場所がもうほとんどなくなってきている状況にあります。今、正直言って、全日空ホテル(ANAクラウンプラザホテル松山)ぐらいしかないと。かつてあった道後温泉の旅館関係(の一部で)も宴会機能はやめてしまったということ。それから、(東京)第一ホテル(松山)、こちらもなくなったということ。こうしたことで、松山市もたぶん考えてはいるのだろうと思いますけれども、県で何かできることはないかということで、急遽、県民文化会館のレストラン機能を復活させた経緯がありますけれども、これは一時的な方策でしかないというふうに思っています。
そういったところで、宴会場、そして、また少しグレードの高いホテルが50万都市であるにもかかわらず、ないというふうな状況もありますので、民間事業者もそのあたりを見越して、場所の提示をしたときに、多くのところが検討したいというふうな名乗りを上げたという背景につながっているのではなかろうかというふうに思っています。そういう中でですね、今申し上げたようにかなりハイスペックな条件を提示させていただきました。ただ、先ほど申し上げたような、6カ月間の経済的な事情という大変化がありましたので、そのハイスペックに耐え得るような見通しが立てられないという状況になってきましたので、ここら辺は修正が可能であるものであれば、検討すべき課題になってきているのかなというふうに思っております。
(愛媛新聞)
すみません。続いてなんですけれども、今のお話でいくと、MICE機能の必要性というのは変わらないということですね。
(知事)
もちろん。はい、変わらないですね。
(愛媛新聞)
スペックとしては、今まで国際会議をですね、実施して、そのVIPが来れるようなものをですね、求めていらっしゃったと思うんですけれども、それについて、例えば、もう少しその規模を縮小するとか、要件緩和をするとか、その辺りは現段階ではどのように考えていらっしゃいますか。
(知事)
もうこれからです。どこまで、最初はフルスペックで条件出していますから、どこぐらいまで、県文の場所の機能もうまく活用しながら、カバーできるかという視点も含めて検討していけば良いのかなというふうに思っています。あくまでも、当初のフルスペックのときは、県文は県文で、それをカバーするために最大限の条件という形で提示していたのですけれど、それでもという状況だったので、ただその中で経済情勢が激変したという背景がございます。
(NHK)
NHKです。一旦、冷静に立ち止まってということだと思うんですけれども、状況は見通せないのですけれども、再々募集というのは、年内にはとか、いつまでにはという思いはあったりするのでしょうか。
(知事)
できるだけ早くという思いはあるのですけれども、さっき申し上げたように、経済情勢というのは、本当に見通しが、今、立てられないぐらい激変していますから、160円までいった為替相場もですね、一気に140円台に突入したりですね、非常に経済変動が激しい状況にありますので、そのあたりも見極めながら、より良い時期というものも見越した上でやっていくのがベストなのかなと。今、正直言って、一番高値、物の値段で言ったら、一番高値の状況にあるので、ある意味では、何か求めるときには、ちょっとタイミングとしては、どうかないうところもあるんじゃないかなというふうに思います。はい。
(NHK)
一方で、県民からは、やはり期待っていうことを、あそこ早く決まらないかなっていう声もたくさん聞かれるのですけれど、その声に対しては、知事、どのように。
(知事)
そうですね、早く決めたいのは山々なんですけれども、先ほど申し上げましたように虎の子の土地ですから、急いては事を仕損じるということもありますし、また、臨機応変に対応するっていうのも、遅い判断をすることによって、傷っていうか、マイナス面も大きくなることもあるので、こういう状況のときには早く決断してしまった方が良いんじゃないかなというふうに思いました。はい。
(NHK)
やはり、まずは物価が落ち着くっていうところが、一つの要素にはなってくる。
(知事)
そうですね、経済情勢全体が落ち着くということですね。はい。
(テレビ愛媛)
すみません。テレビ愛媛です。MICE機能自体は必要として、場所については、県文前が良いのか、もしくは、他の県有地でも良いのか。
(知事)
他の県有地で優良な土地は、もうまとまった土地はないですね。はい。
(テレビ愛媛)
JR前とかの。
(知事)
これはもう松山市がどういうまちづくりをするかのビジョン、そもそも松山市のビジョンを求めていたのは、この機能も含めて、市全体で考えるものがあれば、それをカバーする形であそこを使うという手法もあるのですけれども、なかなか2年間、呼び掛け続けているのですが、まだ決まってないということなので、だとするならば、県の方でできるだけ早くやろうかなというふうなことでありましたので、この段階で松山市が、また何らかを出してくるのであれば、再検討というのはあり得ると思っています。はい。
(愛媛新聞)
愛媛新聞社です。資材価格の高騰や人手不足の影響が軽微なものであれば、知事は、この事業が前に進んだとご認識でしょうか。
(知事)
そうですね。民間事業者そのものが、この3月の時点で、現在の状況が続くのであれば、十分トライできるというふうなことでしたので、やっぱり場所的には非常に良いという評価はされているのだろうというふうに思っています。
(愛媛新聞)
あと、そのMICEの旗を降ろしていないということですけれども、まだ経済影響とかが見通せない中で、例えば、今後、その計画の見直しの中で、MICEの部分については、かなり県の方が積極的に造ると言いますか、関与していく、こういったこともあり得るのでしょうか。
(知事)
これは、元々そういったことも考えていましたので、それの規模をどうするかということが先だと思いますけれども、当然、そのMICE機能、県が求める施設を造る場合には、ある程度のバックアップっていうのを考えていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
すみません。愛媛新聞です。ちょっと先ほどのところと重なるところもあるんですけれど、2度目の募集のときにですね、埋蔵文化財の調査費用負担だとか、あとは募集期間の長期化などで対応されていたと思うのですけれども、その当時はこの要件で何とかできるというふうに考えて。
(知事)
思っていましたね。はい。
(愛媛新聞)
改めて、そもそも、そのMICE施設、各地でですね、地域間競争があると思うのですけれども、県で、民設民営でそのMICEに関連する誘致施設を作ることの難しさみたいなのを知事はどのように考えられていますでしょうか。
(知事)
そうですね、愛媛県の場合は、例えば、MICEも含めての話になりますけれども、先ほど申しあげたように、そもそも宴会ができる場所が1カ所しかないという状況ですから、一つできることによって、ある程度のマーケットを相当取れるわけですよね。だから、乱立しているわけじゃないので、そういう意味では、ビジネスの見通しは組み立てやすい条件は整っていると思います。今、現在、松山市の市内で建設される施設は、ほとんどビジネスホテルのみでありますから、同じような規模の施設しかないと。新しくできるのも同じような規模の施設のみという状況なので、50万都市の規模、130万の県の規模を考えると、やっぱり、国際会議、あるいはMICE機能、こういったものをトータルで備えた施設が1カ所あるというのは、まちの発展のためにも重要ではないかなというふうに思っています。
(時事通信)
時事通信です。よろしくお願いします。先ほど、経済情勢の話をされていましたけれども、知事が理想と考える工事を着手する、あるいは事業を考えるに当たって、理想の経済情勢というのは。
(知事)
これは分からないですけれど、結局は、今の場合は変動が激しすぎるんですよね。正直言って、為替相場が160円まで一気に進むなんていうことは、当時、ほとんどの経済界も含めて、現場にいる経済界の最先端の方々でも予想もしていなかった。なぜかというと、これはもうほとんど投資で動きますから、場合によっては、今、AIなんかも組み込まれて、ある一定水準に相場が行くと、為替にしろ、株式にしろ、自動的に発注されるような仕組みなんかも導入されてしまっていますから、人の人知を超えた動きというものを市場が見せるようになっていますので、本当に難しいと思っています。ただ、その過程の中で、人件費が上がる、物価が上がる、そして企業の売り上げが上がって、回転し始めたら落ち着くというレベルに入っていくのですけれど、今、ちょうど過渡期にあるというふうに思いますから、先読みができない、難しい段階なのかなと。今が一番難しい段階なのではないかなというふうには思っています。
(時事通信)
万博による人手不足の話もされておられますが、特に、四国は万博工事の影響を受けやすい地域かと思いますけれども、人手不足が落ち着く目途とか、どういうふうに予想されていますでしょうか。
(知事)
そうですね、これは分からないんですけれど、大がかりなものと言えば、万博が来年まで、それから、今、動いている半導体関連で言えば熊本と北海道が、国策として動いていますけれども、この先どういう展開をするのか、おそらく経産省あたりの戦略では、これはもう確証があるわけじゃないですけれど、2025~2026年ぐらいまでは、積極的にという感じのスケジュール感なのかなっていうふうには、個人的には予想していますけれどもね。こういった予想を、いろんな情報を入手することで裏付けを取りながら、見通しを立てていくというふうなことになろうかと思います。はい。
(朝日新聞社(幹事社))
他はいかがでしょうか。それでは幹事社の方から。先ほど、民間事業者の方から今の状況では厳しいということで、2者の、このままではということで、辞退されたということなんですけれども、他の民間事業者も含めて、もう少し具体的にどこが厳しいというか、どこをもうちょっと緩和してもらえたらできるんだけれどというような、何か要望みたいなところは。
(知事)
要望というか、いろんな意見交換の中で、例えば、フルスペックで要請していますから、さっき言ったようなバンケット機能、これいろんな国の食材とか食事とかも用意する必要があるのですけども、それだけの人手が確保できるのかとか、場所の問題、それから収益をそもそもあまり生まない大小の会議室、こういったものはフルスペックまでいるのかどうかとか、そういうことだろうと思います。そして、それを、収益を生まない、公的な要請に基づく施設について、バックアップがどれだけできるのかとか、いろんな意見もありましたので、そういったものも網羅しながら、再検討すればいいんじゃないかなというふうに思っています。ただ、ここで期限でやったからといって、無理やりやるというのは、ちょっとどうなんだろうと。やろうと思ったらやれないことないと思うんですよね、例えば、これだけ補助金出しますというようなやり方もあるだろうし。ただ、今の全体の激変する経済情勢を考えると、8月30日まででやるんだというふうな面子(メンツ)を優先させて、無理にそういったことをやるよりは、一番良い時期を選んで、見直す方がベターじゃないかなというふうに判断をしました。
(NHK)
すみません、時間限られる中で、ちょっと別件になるんですけれど、土砂災害警戒情報が南予に出ています。改めて、県民に注意喚起をお願いいたします。
(知事)
そうですね、もう本当にこういったときは、警報、これまでにない雨の降り方が常態化していますので、とにかく今は一番指針となるのは、警報ですから、警報に基づいてアクションを起こしていただきたいということをくれぐれもお願いしたいと思います。
(愛媛新聞)
すみません。愛媛新聞なんですけれども、細かいところなんですけれど、今日ですね、知事が臨時会見をされているというのは、例えば、先週末までに、その事業者からお断りが来たとか、このタイミングはなぜなんでしょうか。
(知事)
いやもう決めたら早い方が良いというだけです。
(愛媛新聞)
先方からの連絡はいつ来たのか。
(知事)
先方からは。
(企画振興部長)
2者ございまして、一者が7月29日、もう一者が7月30日に、一旦辞退したいという申し出がありました。その後、さらに協議を続けるかどうかの内部検討と業者との交渉、ここにちょっと時間を要したということです。
(知事)
だから、打ち出せる範囲で、一番早くの記者会見と思っていただいたら良いんではないかなというふうに思います。これは別に後送りしたって、何のプラスもないですから、決めたということであれば、即公表というのが一番丁寧なやり方じゃないかなというふうには思っています。
(朝日新聞社(幹事社))
その他、質問いかがでしょうか。はい、以上で臨時会見を終わります。ありがとうございました。
(知事)
はい、どうもありがとうございました。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。
場所:知事会議室
(朝日新聞社(幹事社))
それでは臨時記者会見を始めます。本日は、県民文化会館南側県有地活用事業に係る現在の状況と今後の対応方針について発表があると聞いております。それでは知事よろしくお願いします。
(知事)
ご案内のとおり、この半年の間に急激な円安が進行する。160円近辺まで円安が進んだことや金利の政策の変更、そして、また、万博や半導体工場の建設、大規模で全国的に進められている場所があって、人の手配が非常に難しい状況にある、劇的な変化が半年の間に起こっております。
県民文化会館の前の跡地につきましては、今年3月の再募集の時点で、複数の事業者、非常に立地場所が道後温泉に近くて、県民文化会館の前ということで、大変良い場所だということと、それから県が所有するまとまった土地としては、本当に今後の県都、県全体の発展を考えたときに、非常に重要な場所であるというふうなこともあって、大変多くの事業者が関心を示していたところでございます。
当時、複数の事業者から建設費は依然として高いけれども、現在の水準が維持されるのであれば、公募要件に基づき検討を進めたいけれども、検討期間、民間としては最低でも5カ月は欲しいということの申し出がございました。
私が昨年の6月議会において、県文南側県有地の活用を表明した当時と比べてみますと、主要建築資材である鋼材価格は、その時点で建築資材物価指数で4ポイント減少したほか、コンクリートの価格は逆に10ポイント以上上昇はしていたんですけれども、数カ月にわたって安定していた状況でありました。ということで、3月の再募集のときには、当初とほぼ同じ公募条件で業者も検討したいということで再募集を決定したものであります。
しかしながら、その後、先ほど申し上げましたように劇的な変化が6カ月の間に起こりまして、鋼材価格、そしてコンクリート価格に加えまして、労務費も上昇傾向、そして人手不足と、非常に先が見通せない状況に立ち入りまして、今回、その条件の中では非常に厳しいという意向を示した二つの事業者から、参加(するのは)ちょっとこの時点では難しいというような申し出がございました。
6月中旬から、この二つの事業者とは、個別対話を通じて、参加資格要件や提案内容等について確認・協議を前向きに行ってきたところでありましたけれども、数年後の状況が本当に、この数カ月の間に予測が全く不可能になったということ。そのような中で民間資金のみで収益性の低い大小の会議室、あるいは人材確保を含めたバンケット業務の整備・運営を行えるかなどを、この変化した条件のもとで検討したんですが、なかなか事業性が見いだせなかったという理由で具体的な提案に向けた検討は難しいという申し出がございました。
今後の検討においては、ご案内のとおり、非常に場所が良いわけで、条件次第ではぜひという業者もたくさんございますので、民間事業者からの提案を今後踏まえて検討していきたいと思いますが、とりあえずは、当初の提案期限を8月30日に設定しておりましたけれども、それを待たずに、現スキームでの事業協力者募集を中止することとしまして、今一度、民間事業者が参入しやすい事業スキームを再検討したいと思います。
先ほど申し上げましたように、県のまとまった特別な一等地でございますので、一番良い時期に、良い条件で何かを行うということがベストだというふうに思いますので、ここで条件変化を受けて、立ち止まるのも、今の段階ではベターな選択ではないかと考えます。
今後、今回の事業者からもいろんな意見をいただいてますので、現時点では主に2点の見直しを考えております。
まず一つ目は、費用負担のあり方についてであります。建設費高騰に伴って、民間事業者の負担が増大してきていることを踏まえまして、分科会を含む国際会議などに対応できる大小の会議室など、公的な役割が大きいものの、収益性が低い部分については、施設整備および運営面での負担軽減の方策がないかどうか検討したいと思います。
二つ目は、MICE機能の整備内容についてでありますけれども、特に多様な料理に対応できる人材確保を含めたバンケット機能については、結婚披露宴等の需要減に伴い、収益性の見通しが立てづらいとの意見もございました。そこで、県民文化会館が有する機能を最大限活用することにより、施設の規模を抑える工夫について、こちらも検討したいというふうに思います。当初から、かなりハイスペックな条件というのを示しておりましたので、この辺、ちょっと柔軟性を持って検討をすべき課題が、状況変化により、あるんではないかと考えます。
今回の結果は非常に残念でありますが、先ほど申し上げましたように、この場所が場所ですから、時間がかかったとしても、県としては交流人口の拡大を図り、多くのヒト・モノ・カネ・情報を呼び込むことで、実需の創出を図っていくため、引き続き、集客・交流施設の整備を目指したいと考えており、丁寧に事業スキームを再構築し、実現可能性を高めた上で事業推進に臨みたいというふうに思います。以上です。
(朝日新聞社(幹事社))
それでは質問のある社はお願いします。
(愛媛新聞)
すみません。愛媛新聞の長谷川です。よろしくお願いします。まずですね、今回その2回目の募集を、一旦中止をして、そもそもの要件を見直すということだとは思うのですけれども、改めて、そのMICEの関連施設のですね、その必要性について、県の発展にどのように寄与していくと考えていらっしゃるのかを教えていただいてもよろしいでしょうか。
(知事)
まずですね、県民文化会館の機能を考えたときに、(県有施設のうち、)県内で唯一、国際会議が開催できる場所として位置付けられると思います。ただ、周辺にそれをカバーする施設がないというのが、最大の弱点であります。
そして、また県内には、ご案内のとおり、これは何度も(言ってきましたが)、松山市自体が、まちづくりの中でビジョンを示してほしいのですけれども、宴会ができる場所がもうほとんどなくなってきている状況にあります。今、正直言って、全日空ホテル(ANAクラウンプラザホテル松山)ぐらいしかないと。かつてあった道後温泉の旅館関係(の一部で)も宴会機能はやめてしまったということ。それから、(東京)第一ホテル(松山)、こちらもなくなったということ。こうしたことで、松山市もたぶん考えてはいるのだろうと思いますけれども、県で何かできることはないかということで、急遽、県民文化会館のレストラン機能を復活させた経緯がありますけれども、これは一時的な方策でしかないというふうに思っています。
そういったところで、宴会場、そして、また少しグレードの高いホテルが50万都市であるにもかかわらず、ないというふうな状況もありますので、民間事業者もそのあたりを見越して、場所の提示をしたときに、多くのところが検討したいというふうな名乗りを上げたという背景につながっているのではなかろうかというふうに思っています。そういう中でですね、今申し上げたようにかなりハイスペックな条件を提示させていただきました。ただ、先ほど申し上げたような、6カ月間の経済的な事情という大変化がありましたので、そのハイスペックに耐え得るような見通しが立てられないという状況になってきましたので、ここら辺は修正が可能であるものであれば、検討すべき課題になってきているのかなというふうに思っております。
(愛媛新聞)
すみません。続いてなんですけれども、今のお話でいくと、MICE機能の必要性というのは変わらないということですね。
(知事)
もちろん。はい、変わらないですね。
(愛媛新聞)
スペックとしては、今まで国際会議をですね、実施して、そのVIPが来れるようなものをですね、求めていらっしゃったと思うんですけれども、それについて、例えば、もう少しその規模を縮小するとか、要件緩和をするとか、その辺りは現段階ではどのように考えていらっしゃいますか。
(知事)
もうこれからです。どこまで、最初はフルスペックで条件出していますから、どこぐらいまで、県文の場所の機能もうまく活用しながら、カバーできるかという視点も含めて検討していけば良いのかなというふうに思っています。あくまでも、当初のフルスペックのときは、県文は県文で、それをカバーするために最大限の条件という形で提示していたのですけれど、それでもという状況だったので、ただその中で経済情勢が激変したという背景がございます。
(NHK)
NHKです。一旦、冷静に立ち止まってということだと思うんですけれども、状況は見通せないのですけれども、再々募集というのは、年内にはとか、いつまでにはという思いはあったりするのでしょうか。
(知事)
できるだけ早くという思いはあるのですけれども、さっき申し上げたように、経済情勢というのは、本当に見通しが、今、立てられないぐらい激変していますから、160円までいった為替相場もですね、一気に140円台に突入したりですね、非常に経済変動が激しい状況にありますので、そのあたりも見極めながら、より良い時期というものも見越した上でやっていくのがベストなのかなと。今、正直言って、一番高値、物の値段で言ったら、一番高値の状況にあるので、ある意味では、何か求めるときには、ちょっとタイミングとしては、どうかないうところもあるんじゃないかなというふうに思います。はい。
(NHK)
一方で、県民からは、やはり期待っていうことを、あそこ早く決まらないかなっていう声もたくさん聞かれるのですけれど、その声に対しては、知事、どのように。
(知事)
そうですね、早く決めたいのは山々なんですけれども、先ほど申し上げましたように虎の子の土地ですから、急いては事を仕損じるということもありますし、また、臨機応変に対応するっていうのも、遅い判断をすることによって、傷っていうか、マイナス面も大きくなることもあるので、こういう状況のときには早く決断してしまった方が良いんじゃないかなというふうに思いました。はい。
(NHK)
やはり、まずは物価が落ち着くっていうところが、一つの要素にはなってくる。
(知事)
そうですね、経済情勢全体が落ち着くということですね。はい。
(テレビ愛媛)
すみません。テレビ愛媛です。MICE機能自体は必要として、場所については、県文前が良いのか、もしくは、他の県有地でも良いのか。
(知事)
他の県有地で優良な土地は、もうまとまった土地はないですね。はい。
(テレビ愛媛)
JR前とかの。
(知事)
これはもう松山市がどういうまちづくりをするかのビジョン、そもそも松山市のビジョンを求めていたのは、この機能も含めて、市全体で考えるものがあれば、それをカバーする形であそこを使うという手法もあるのですけれども、なかなか2年間、呼び掛け続けているのですが、まだ決まってないということなので、だとするならば、県の方でできるだけ早くやろうかなというふうなことでありましたので、この段階で松山市が、また何らかを出してくるのであれば、再検討というのはあり得ると思っています。はい。
(愛媛新聞)
愛媛新聞社です。資材価格の高騰や人手不足の影響が軽微なものであれば、知事は、この事業が前に進んだとご認識でしょうか。
(知事)
そうですね。民間事業者そのものが、この3月の時点で、現在の状況が続くのであれば、十分トライできるというふうなことでしたので、やっぱり場所的には非常に良いという評価はされているのだろうというふうに思っています。
(愛媛新聞)
あと、そのMICEの旗を降ろしていないということですけれども、まだ経済影響とかが見通せない中で、例えば、今後、その計画の見直しの中で、MICEの部分については、かなり県の方が積極的に造ると言いますか、関与していく、こういったこともあり得るのでしょうか。
(知事)
これは、元々そういったことも考えていましたので、それの規模をどうするかということが先だと思いますけれども、当然、そのMICE機能、県が求める施設を造る場合には、ある程度のバックアップっていうのを考えていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
すみません。愛媛新聞です。ちょっと先ほどのところと重なるところもあるんですけれど、2度目の募集のときにですね、埋蔵文化財の調査費用負担だとか、あとは募集期間の長期化などで対応されていたと思うのですけれども、その当時はこの要件で何とかできるというふうに考えて。
(知事)
思っていましたね。はい。
(愛媛新聞)
改めて、そもそも、そのMICE施設、各地でですね、地域間競争があると思うのですけれども、県で、民設民営でそのMICEに関連する誘致施設を作ることの難しさみたいなのを知事はどのように考えられていますでしょうか。
(知事)
そうですね、愛媛県の場合は、例えば、MICEも含めての話になりますけれども、先ほど申しあげたように、そもそも宴会ができる場所が1カ所しかないという状況ですから、一つできることによって、ある程度のマーケットを相当取れるわけですよね。だから、乱立しているわけじゃないので、そういう意味では、ビジネスの見通しは組み立てやすい条件は整っていると思います。今、現在、松山市の市内で建設される施設は、ほとんどビジネスホテルのみでありますから、同じような規模の施設しかないと。新しくできるのも同じような規模の施設のみという状況なので、50万都市の規模、130万の県の規模を考えると、やっぱり、国際会議、あるいはMICE機能、こういったものをトータルで備えた施設が1カ所あるというのは、まちの発展のためにも重要ではないかなというふうに思っています。
(時事通信)
時事通信です。よろしくお願いします。先ほど、経済情勢の話をされていましたけれども、知事が理想と考える工事を着手する、あるいは事業を考えるに当たって、理想の経済情勢というのは。
(知事)
これは分からないですけれど、結局は、今の場合は変動が激しすぎるんですよね。正直言って、為替相場が160円まで一気に進むなんていうことは、当時、ほとんどの経済界も含めて、現場にいる経済界の最先端の方々でも予想もしていなかった。なぜかというと、これはもうほとんど投資で動きますから、場合によっては、今、AIなんかも組み込まれて、ある一定水準に相場が行くと、為替にしろ、株式にしろ、自動的に発注されるような仕組みなんかも導入されてしまっていますから、人の人知を超えた動きというものを市場が見せるようになっていますので、本当に難しいと思っています。ただ、その過程の中で、人件費が上がる、物価が上がる、そして企業の売り上げが上がって、回転し始めたら落ち着くというレベルに入っていくのですけれど、今、ちょうど過渡期にあるというふうに思いますから、先読みができない、難しい段階なのかなと。今が一番難しい段階なのではないかなというふうには思っています。
(時事通信)
万博による人手不足の話もされておられますが、特に、四国は万博工事の影響を受けやすい地域かと思いますけれども、人手不足が落ち着く目途とか、どういうふうに予想されていますでしょうか。
(知事)
そうですね、これは分からないんですけれど、大がかりなものと言えば、万博が来年まで、それから、今、動いている半導体関連で言えば熊本と北海道が、国策として動いていますけれども、この先どういう展開をするのか、おそらく経産省あたりの戦略では、これはもう確証があるわけじゃないですけれど、2025~2026年ぐらいまでは、積極的にという感じのスケジュール感なのかなっていうふうには、個人的には予想していますけれどもね。こういった予想を、いろんな情報を入手することで裏付けを取りながら、見通しを立てていくというふうなことになろうかと思います。はい。
(朝日新聞社(幹事社))
他はいかがでしょうか。それでは幹事社の方から。先ほど、民間事業者の方から今の状況では厳しいということで、2者の、このままではということで、辞退されたということなんですけれども、他の民間事業者も含めて、もう少し具体的にどこが厳しいというか、どこをもうちょっと緩和してもらえたらできるんだけれどというような、何か要望みたいなところは。
(知事)
要望というか、いろんな意見交換の中で、例えば、フルスペックで要請していますから、さっき言ったようなバンケット機能、これいろんな国の食材とか食事とかも用意する必要があるのですけども、それだけの人手が確保できるのかとか、場所の問題、それから収益をそもそもあまり生まない大小の会議室、こういったものはフルスペックまでいるのかどうかとか、そういうことだろうと思います。そして、それを、収益を生まない、公的な要請に基づく施設について、バックアップがどれだけできるのかとか、いろんな意見もありましたので、そういったものも網羅しながら、再検討すればいいんじゃないかなというふうに思っています。ただ、ここで期限でやったからといって、無理やりやるというのは、ちょっとどうなんだろうと。やろうと思ったらやれないことないと思うんですよね、例えば、これだけ補助金出しますというようなやり方もあるだろうし。ただ、今の全体の激変する経済情勢を考えると、8月30日まででやるんだというふうな面子(メンツ)を優先させて、無理にそういったことをやるよりは、一番良い時期を選んで、見直す方がベターじゃないかなというふうに判断をしました。
(NHK)
すみません、時間限られる中で、ちょっと別件になるんですけれど、土砂災害警戒情報が南予に出ています。改めて、県民に注意喚起をお願いいたします。
(知事)
そうですね、もう本当にこういったときは、警報、これまでにない雨の降り方が常態化していますので、とにかく今は一番指針となるのは、警報ですから、警報に基づいてアクションを起こしていただきたいということをくれぐれもお願いしたいと思います。
(愛媛新聞)
すみません。愛媛新聞なんですけれども、細かいところなんですけれど、今日ですね、知事が臨時会見をされているというのは、例えば、先週末までに、その事業者からお断りが来たとか、このタイミングはなぜなんでしょうか。
(知事)
いやもう決めたら早い方が良いというだけです。
(愛媛新聞)
先方からの連絡はいつ来たのか。
(知事)
先方からは。
(企画振興部長)
2者ございまして、一者が7月29日、もう一者が7月30日に、一旦辞退したいという申し出がありました。その後、さらに協議を続けるかどうかの内部検討と業者との交渉、ここにちょっと時間を要したということです。
(知事)
だから、打ち出せる範囲で、一番早くの記者会見と思っていただいたら良いんではないかなというふうに思います。これは別に後送りしたって、何のプラスもないですから、決めたということであれば、即公表というのが一番丁寧なやり方じゃないかなというふうには思っています。
(朝日新聞社(幹事社))
その他、質問いかがでしょうか。はい、以上で臨時会見を終わります。ありがとうございました。
(知事)
はい、どうもありがとうございました。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。