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平成17年度再評価 議事録
平成17年度愛媛県再評価委員会 議事録〔要旨〕
1開会
2開会挨拶
3議事
(1)市町村審議付託の適否
市町村から付託要請のあった港湾改修事業1件(今治市)、公共下水道事業1件(今治市)、住宅市街地総合整備事業1件(四国中央市)、漁業集落環境整備事業(宇和島市)の4件についても本委員会で審議する。(全員異議なし)
(2)今年度の審議方法及び個別審議箇所の抽出
今年度審議対象件数は13件であり、特に個別に審議が必要と思われる箇所を選定して審議し、残りは一括審議とする。(全員異議なし)
個別審議箇所は、各委員の意見により決定した宇和島港改修(重要)事業、住宅市街地総合整備事業(江之元地区)、一般農道整備事業(総津地区)、界谷川総合流域防災事業、東予港改修(重要)事業の5事業とする。(全員異議なし)
(3)個別審議
1.港湾事業(宇和島港改修〈重要〉事業)
[港湾海岸課]
事業内容、進捗状況及び今後の方針等を説明。
[青野委員]
進捗率が低いが、当初の予定どおりに進んでいない理由は。
[港湾海岸課]
厳しい財政状況の中で、予算の確保が難しい状況であるため。
[柏谷委員]
完成予定が平成21年とあるが、さらに長引くことも想定されるのか。
[港湾海岸課]
長引くことも想定されるため、暫定供用を行いながら進めていきたい。
[関委員]
費用対効果を見ると土地の価格が高い感じがするが土地単価の根拠は。
[港湾海岸課]
県が公表している愛媛県地価調査書の土地単価を使用している。
[関委員]
坪単価が他の事例と比べても高いと思われるが。
[港湾海岸課]
宇和島市は非常に平地が少なく、元々土地単価が高いところである。
[天野委員]
港湾計画に関する基本的な考え方として自然海岸を出来るだけ残していくという方針であると認識しているが、今回の埋立に関して自然に対する配慮について、どのように考えているか。
[港湾海岸課]
この海岸は、既に道路の兼用護岸が整備されており、自然海浜ではなかった。
海岸事業の整備については、平成15年に策定した海岸保全基本計画に基づき、施設を整備する海岸、保全していく必要のある海岸、自然を残す海岸に区分して実施しており、埋立ての際の参考としている。
2.港湾事業(東予港改修〈重要〉事業)
[港湾海岸課]
事業内容、進捗状況及び今後の方針等を説明。
[櫻井委員]
完成までに長期間を要するため、その間に社会的状況が変化すると思われるが、これに対する対応や見込みはどうか。
上位計画である第5次愛媛県長期計画のどのような項目と関連する事業か。
[港湾海岸課]
漁業者等からの要望は依然として強く、今後もこの事業を進めるべき社会状況である。
[柏谷委員]
今後の予算も厳しい状況であるため、完成までに長期間を要し、進捗率も低い事業については、将来の情勢を注意深く見守り柔軟に対応していただきたい。
[港湾海岸課]
ご意見について十分検討していきたい。
3.住宅事業(住宅市街地総合整備事業〈江之元地区〉)
[四国中央市]
事業内容、進捗状況及び今後の方針等を説明。
[三好委員]
現地視察した際、住環境が良くなったことは認識したが、あまりにも建物の老朽化と放置の度合いがひどいと感じた。
土地所有者や住人には社会的責任はないのか。老朽建物の除去は公的な資金でやるべき事業なのか。
[四国中央市]
空き家になっている住家については、この事業により取り壊しを進めたいが、権利関係が複雑であり、なかなか思うように進んでいない。
地区内清掃等については、今後、市から指導していきたい。
[三好委員]
土地所有者の責任は問われないのか。本来なら所有者がやるべきことを市が代行しているように思われる。
[四国中央市]
老朽住宅を除却して公共の施設等を整備することにより、居住性を高めることが事業の目的である。
[柏谷委員]
都市整備の仕事の中には、都市を整備することによって地域を発展させるというものが多いが、この事業は老朽化した建物が密集しており、火災等が発生すれば、大災害となる危険性があり、住民の自助努力だけに任せておけないため、行政が実施しているものであり、都市開発事業としては、特殊な事業だと思う。
[天野委員]
放っておけない状況であると強く感じた。
居住性ももちろん必要であるが、安全、安心のまちづくりというところで、公的な対応があっても良いと感じた。
ハードの整備もさることながらソフト対策が非常に重要であり、安心して生活するためには隣近所の人とのつながりが大きな力になると思う。
放置され荒れ放題になっている状況についても、コミュニティ作りの観点から的確に対応する必要がある。
[四国中央市]
推進委員会を設け、地元の方と年4,5回会を持ち、地元の意見を聞きながら事業を進めている。
公園整備も行い、高齢者等が集まれる場所も提供していきたい。
[青野委員]
このような事業は、ある意味の生活再建、あるいはまちづくりと言うことで考えるべき
この地区を再建し、住民が誇りを持てるようなまちづくりを行うためには、他のいくつかの事業と組み合わせて実施していく必要がある。
住宅マスタープラン等とも関連させ、コミュニティの良さを存続させていく形のまちづくりを進め、その手法を他の同様な地域にも広げて欲しい。
[櫻井委員]
防災性や利便性に関しては、非常に良くなっていると思う。
住民と話し合いの場において、アメニティ整備等の技術的なことも含めた情報を提供し、住環境の整備を進めていくと良いと思う。
4.農道整備事業(一般農道整備事業〈総津地区〉)
[農地整備課]
事業内容、進捗状況及び今後の方針等を説明。
[柏谷委員]
農道末端の集落には何戸あるのか。
[農地整備課]
全て農家で8世帯
[柏谷委員]
8世帯に対して14億円という事業費はどうかと思われる。
[農地整備課]
8世帯に対して事業をしているのではなく、その他の集落の農家も農道沿線に農地を所有しており、そうした農家を含めた効果を考えている。
[柏谷委員]
当初予定されていなかった地すべりが発生したとあるが、当初の事業費はどのくらいか。
[農地整備課]
当初事業費は7.5億である。
[柏谷委員]
想定されなかった地すべりが工事中に発生したと言うが、初めから予想した計画・設計は出来なかったのか。
[農地整備課]
計画の上では認識していたが、現況斜面には変状がなかったため、計画当初に多額の調査費をかけず、標準工法で計画し、施工の段階で変更対応するように考えていた。
[青野委員]
工事を実施すれば実際どれくらい効果があるかというのは現場感覚としてもっていると思うので、事業を行う場合マニュアル通りの費用対効果を算定する前に常識的に見て無理がないかという目で厳しく見て欲しい。
そうすれば、長期的に何かあった時に柔軟に対応できると思う。
[三好委員]
道路をつければ利便性は上がるが、将来にわたって維持管理費用も増加する。10年先、20年先のことを考えて総合的な目で計画を立てて欲しい。
[農地整備課]
費用対効果は、耐用年数や維持管理費も考慮しており、市町が行う以外の地元の管理についても地元を啓発しているが、委員の意見は非常に大切なことであり、今後研究していきたい。
[関委員]
費用対効果は大事なことであり、農道としての効果がどれほどかというのは大変難しいと思うが、農道の終点側にはキャンプ場があるとのことであるが、村外からキャンプ場を利用する人に対しての利便性の効果が入っておらず、その効果も期待できるのではないか。
キャンプ場の広さ、利用状況はどれくらいか。
[農地整備課]
広さは3,800平方メートル、利用状況は約2,000人/年である。
委員の言われた効果に対する手法は確立されていないため、考慮していないが、そのような農業以外の効果も含めて、現在算定している数値以上の効果があると考えている。
5.河川事業(界谷川総合流域防災事業)
[河川課]
事業内容、進捗状況及び今後の方針等を説明。
[櫻井委員]
水害、浸水被害を防ぐための事業は非常に重要であり、事業自体の重要性は認識している。これまでの氾濫回数や氾濫形態のデータはないか。それを見れば工事完了区間の効果が判断でき、事業の効果がより補強できるのではないかと思う。
[河川課]
シミュレーションでは、2年に1回の雨量では、0から44cmの湛水が約19.7ヘクタール、10年に1回の雨量では、約1mの湛水深が約49.4ヘクタールとなっており、10年に1回の雨量でも床上浸水が多発し、水田においては、常襲的に冠水するような河川である。
昭和54年以降にこの河川で10回の浸水被害が出ており、昭和62年の台風19号が一番被害が大きく家屋103戸、農地239ヘクタール程度浸水した。次に被害が大きかったのが、昨年の台風21号であり、人家90戸、農地50ヘクタール程度の浸水被害が発生した。
[天野委員]
浸水の常襲地域ということで、住民側が水害に備える対策を何かしているのか。
[河川課]
新築の家は土地を高くして家を建築したり、工場等は塀により水密性を保って浸水被害を防除する等の工夫をしている。
(4)一括審議
港湾事業(全般)
[天野委員]
最近地震への対応ということで、構造物の耐震性等が話題になっているが、港湾工事の耐震性や地震への対応状況はどうか。
[港湾海岸課]
援助物資等の輸送のため、阪神・淡路大震災程度までの震度に耐える耐震強化岸壁を宇和島港、松山港、中島港等の港湾の主要な施設に整備している。
全施設を整備すると費用が膨大になるため、重要な箇所を耐震強化岸壁として整備している。
事業全般
[青野委員]
費用対効果だけでなく、農林業の振興や生活環境の改善について、簡単に具体的なイメージができる資料づくりをしてほしい。他の事業についても同様である。
(国)320号宇和島拡幅道路改築事業
[柏谷委員]
整備により短縮される走行時間の算定で、整備後の旅行速度が60km/hになっているが、一般に市街地で60km/hというのは警察も認めないし、交差点もあるのにこのような速度とするには何か根拠があるのか。無理に効果を出そうとしているように思われる。
[道路建設課]
道路の設計は設計速度を決めて設計しており、この道路は60km/hで設計している。今後は交差点の影響等にも十分配慮して算定したい。
ちなみに概算で10kmで5ヵ所程度の信号がある場合は、10km/h程度速度が落ちるとの試算である。
[柏谷委員]
この道路は4車線で都市計画決定もしており、走行便益を出すために道路を整備しているわけではない。都市内の道路というのは車を速く走らせるための道路ではなく、非常にたくさんの役割があるわけだから、そのようなことを総合的に判断し、事業の説明をして欲しい。
事業全般
[櫻井委員]
第1点の要望として、付加的な効果や維持管理の問題及び水害の現実的な被害の資料等が事業の効果を判断するのに非常に重要になると思うので、そういうものを評価委員会には提出して欲しい。
第2点の要望として、愛媛県長期計画などの上位計画における位置付けや効果についても具体的に説明してほしい。
(5)審議結果とりまとめ
[柏谷委員長]
これら13件の事業について事業継続として良いか。(全員異議なし)
異議がないようなので、本日審議した13件の事業全てを委員会の意見として事業継続とする。
(6)再評価委員会への報告事業
[事務局]
事業報告についての趣旨説明
国土交通省の再評価実施要領では、河川整備計画の策定・変更を行った場合には、その河川で実施されている河川事業やダム事業は再評価の手続きが行われたものと位置付けるとされており、その結果を再評価委員会に報告することになっているため、今日報告するもの。
大川水系河川整備計画
[河川課]
事業の概要について説明