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僧都ウィンドシステム発電事業

ページID:0007993 更新日:2021年12月22日 印刷ページ表示

手続状況

 評価書

対象事業の区分

 発電所

事業名称

 僧都ウィンドシステム発電事業

事業規模

 発電出力16,000kw 設置

事業実施区域

 愛南町僧都地区

関係地域

 愛南町

事業者

 四国風力発電株式会社

公告・縦覧日

  • 方法書公告・縦覧 平成23年12月5日から平成24年1月4日まで
  • 準備書公告・縦覧 平成24年8月10日から平成24年9月10日まで
  • 評価書公告・縦覧 平成27年4月7日から平成27年5月7日まで

知事意見

方法書

 経過措置案件のため、方法書に対する知事意見の提出機会はありません。

準備書

 愛媛県は、僧都ウィンドシステム発電事業 環境影響評価準備書について、環境影響評価法第20条第1項及び電気事業法第46条の13の規定に基づき、経済産業大臣に対し、平成25年1月16日付けで、知事意見を提出した。

愛媛県知事意見

 環境影響評価法(平成9年法律第81号)第20条第1項及び電気事業法(昭和39年法律第170号)第46条の13の規定により、別紙のとおり標記準備書についての意見を提出します。なお、電気事業法第46条の14の規定に基づき、特定事業者に勧告をするに当たっては、本意見の趣旨が十分に勘案されますよう御配慮願います。

別紙

 1 総括事項

 (1)環境影響評価については、「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成10年通商産業省省令第54号。以下「主務省令」という。)に基づき実施すること。
 (2)環境影響評価の項目及び調査の手法等については、主務省令別表第5及び別表第10に基づき選定したうえで、選定した理由及び選定しなかった理由について評価書に具体的に記載すること。特に、工事の実施による「水の濁り」、「動物(水生生物を含む。)」、「植物」及び「生態系」については、土地改変による水域への影響が懸念されるため、それらを評価項目として選定し、適切な環境影響評価を実施すること。
 (3)事業実施区域周辺では、複数の風力発電事業計画が存在し、工事中及び供用後に騒音・低周波音、景観、動植物等への影響が複合的なものになるおそれがあることから、必要に応じて周辺における風力発電事業計画を踏まえ、環境影響評価を実施すること。
 (4)環境影響を受ける範囲と認められる地域が愛南町のみとされているが、事業実施区域が宇和島市と近接しており、供用後の景観や土地改変に伴う動植物等への影響が広範囲に及ぶ恐れがあるため、必要に応じて、宇和島市から意見聴取し、当該意見を踏まえ、評価書を作成すること。
 (5)事業を実施するに当たり、関係する様々な主体の理解と協力のもと、関係法令を厳守し、周辺環境に与える影響を可能な限り低減するよう配慮すること。また、地域住民からの要望・苦情等に対して適切に対応すること。
 (6)評価書において、次の資料について具体的に示すこと。

  • 風力発電施設の本体構造及び基礎構造を示す図面
  • 風力発電施設を設置する地盤強度に係る調査結果
  • 取付道路や土捨場等の附帯設備を含む土地利用計画を示す図面
  • 造成工事に伴う土地改変の場所、改変面積、切土量及び盛土量
  • 災害等により施設が破損した場合の復旧方法、施設の耐用年数経過後の対応

 2 個別事項

  1. 騒音・低周波音
    (1)環境の保全についての配慮が特に必要な学校、病院等の施設の位置情報を明らかにしたうえで、必要に応じて騒音・低周波音の調査予測地点として追加選定すること。
    (2)既設の風力発電施設において近隣住民から不眠や体調不良等の訴えが頻発しており、現に社会問題化しているとともに、特に僧都地区における低周波音の予測結果において現況からの増分が20dBと大きく、影響が生じるおそれがあること等から、騒音・低周波音について事後調査を実施すること。
    (3)低周波音については人によって感じ方も異なるとともに、低周波音による人への影響については未解明な部分も多いため、既設の風力発電施設について、特に苦情が生じている施設の事例調査により、施設の設置前後における低周波音のデータを収集し、その結果も踏まえて予測評価すること。
    (4)付近住民から苦情が発生しないよう騒音又は低周波音を低減させる方法について検討するとともに、実際に苦情が発生した場合に検討すべき環境保全措置について、稼動制限等を含めて、評価書において具体的に示すこと。
    (5)風力発電施設が8基設置される計画であるが、将来的に増設計画があるならば、それを含めて、予測評価すること。特に事業実施区域から最も近い集落である僧都地区については、風力発電施設が山間尾根部に立地しやすいといった地形的な観点を考慮すると、将来的に風力発電施設にとり囲まれる可能性が否定できず、騒音・低周波音による複合的な影響が懸念されることから、必要に応じて、これらの複合的な影響について予測評価すること。
    (6)評価書作成に当たり、以下の点に留意すること。
     (ア)風力発電施設が視認できる和口地区においては、低周波音の予測結果が64dB~69dB(増分:1dB~18dB)と予測地点5地点のうち最も高い結果とされているが、風や温度の影響がなければ概ね予測結果どおりになる可能性が高いため、風力発電施設の稼働率や騒音が発生する時間的割合を予測評価するなど、より実態に即して定量的に予測評価すること。
     (イ)風力発電施設が視認できないとされる僧都地区においても、回折効果により低周波音が影響を及ぼすことが懸念されることから、風力発電施設と僧都地区を結ぶ地形断面図を示し、回折効果の程度をできるだけ定量的に予測評価すること。
  2. 水環境
    (1)林道拡幅工事など大々的に実施される土木工事に伴い、みずみちが変化する可能性があり、これにより植生への影響が懸念されるため、土木工事に伴うみずみちについて、その量を含めて予測評価したうえで、みずみちが極力変化しないよう、じゃ籠を適正に配置するなどの保全措置を講じるとともに、供用後においてもみずみちの流れを掌握し、その結果に応じて臨機応変に対応すること。
    ​(2)林道の開設や拡張工事に伴う立木伐採や掘削等により保水力が損なわれ、大雨などによる山地破壊や土砂の谷への流入で水源の汚濁・汚染がないよう工事中はもちろん供用後においても防止の措置を十分に講ずること。
  3. 風車の影
    影のかかる時間が居住地域において30分未満であることから影響は回避・低減されていると評価されているが、ほんの僅かな時間でも風車の影による民家への影響があるならば、生活環境に支障が生じるおそれがあるため、必要に応じて、主務省令に基づき環境保全措置を講じるとともに事後調査を実施すること。
  4. 植物
    (1)改変区域内に注目すべき植物種であるキガンピが多く確認されていることから、主務省令に基づき、できるだけ改変区域を注目すべき植物種が存在しない区域に変更し、環境影響の回避に努めるとともに、やむを得ず希少種が存在する区域を改変する場合には、改変に伴い当該種の移植措置を講じる等、環境保全措置を再検討すること。
    (2)(1)で注目すべき植物種の移植等の保全措置を講じる場合には、それに伴う保全措置の効果等を予測・評価したうえで、当該措置は予測不確実であるため、事後調査を実施するとともに、想定される事後調査結果を踏まえて検討すべき環境保全措置についても具体的に評価書に記載すること。
    (3)注目すべき植物種であるナチクジャク、チャボホトトギス、エビネが事業実施区域内のうち、全て改変区域外で確認されているとされているが、その根拠資料として、改変区域と注目すべき植物種の確認位置が分かる図面を評価書において示すこと。
    (4)一旦破壊された生態系の再生は極めて困難であることから、造成工事実施後においても、法面緑化には在来種を使用するなど、できるだけ実施前と同等の状態に戻すような保全措置を講じること。
    ​(5)風力発電施設設置に伴う日照等の減少により、事業実施区域及びその周辺に生い茂る人工林の生育への影響について調査し、その結果を踏まえ、必要に応じて保全措置を講じること。
  5. 動物
    (1)生物多様性基本法において、生物多様性を保全する予防的な取組及び事業着手後においても生物多様性の状況を監視し、その結果を事業等へ反映させる順応的な取組により対応することが基本原則としてあげられている。
    事業実施区域から幾分離れたところではクマタカの営巣が確認されているため、生物多様性基本法の基本原則に則り、今後とも事業実施区域内及びその周辺における猛禽類(特にクマタカと多数確認されたサシバ)の営巣等の生息状況について継続調査の実施により的確に把握し、行動圏と内部構造の解析調査を実施すること。
    (2)猛禽類の渡りの時期、個体数、コースには年変動があり、準備書で記載された年間予測衝突数は過少評価された可能性があるため、猛禽類の渡りについて、評価書の作成に当たっては、平成23年以前の記録や追加調査を実施し、より精度高い予測評価を行うこと。この予測結果を踏まえ、必要に応じて風力発電施設の配置や渡来期の稼動制限等を含めた環境保全措置を実施すること。
    (3)バードストライクの事後調査に係る期間、頻度、区域、監視員による踏査ルート等の具体的な事後調査方法について、また、想定される事後調査結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について、例えば渡来期の稼動制限等を含めて具体的に評価書に記載すること。
    ​(4)工事中及び供用後において、シカやイノシシ等の有害鳥獣が従来の生息域を離れ、農林産物に被害を及ぼすことがないよう、十分留意して事業を実施すること。
  6. 景観
    (1)評価書において可視領域図を示したうえで、その結果を踏まえ、風力発電施設の設置場所によっては、その存在自体が付近住民に多大な圧迫感を与えるおそれがあるため、調査・予測地点に直近民家を選定するなど、地点選定について再検討すること。
    (2)今後の景観施策として、愛南町には「外泊地区の石垣の里」や「僧都・山出地区の棚田」などの観光資源を保全するため、地域住民と対話を重視しながら景観施策を体系化していく基本的方向性が打ち出されていることに鑑み、風力発電施設の色彩が四季折々変化する自然景観に最も調和するものとなるよう検討を重ね、景観に十分配慮した施設とすること。
    (3)取付道路の設置や既存林道の拡幅等の工事に当たっては、できるだけ土地改変面積を小さくし、環境影響の回避に努めるとともに、やむを得ず改変する場所は緑化措置を講じるなど、景観上、緑溢れる山々が損われないように十分配慮すること。
  7. その他(文化財)
    埋蔵文化財について、平成12年の古い文献により事業実施区域内には存在しないと結論づけているが、近年、高台における遺跡の発見事例があることを考慮すると、事業実施区域内及びその周辺における埋蔵文化財の有無について、県や愛南町に相談しつつ、現地調査により把握すること。
  8. 事後調査結果の公表について
    事後調査を実施した場合又は、事後調査の結果を踏まえ、追加的な環境保全措置を実施した場合は、それらの結果について公表すること

環境大臣意見

準備書

 「(仮称)僧都ウインドシステム発電事業」(愛媛県南宇和郡愛南町)に係る環境影響評価準備書について、平成24年11月29日付けで経済産業大臣に対し、環境影響評価項目の再検討、騒音・低周波音及び動植物等に関する環境保全措置並びに事後調査等を求める環境大臣意見を提出した。

環境大臣意見

 本事業は、四国風力発電株式会社及び株式会社ジャネックス(以下「事業者」という。)が愛媛県南宇和郡愛南町において、総出力最大19,200kW(定格出力2,400kW級の風力発電設備最大8基)の風力発電所を新設する事業である。対象事業実施区域は、愛南町の観音岳から南に延びる尾根に計画されており、対象事業実施区域周辺には複数の住居等が存在し、対象事業実施区域及びその周辺で、サシバやハチクマ等の猛禽類が確認されている。本準備書は、経済産業省資源エネルギー庁の風力発電事業に係る環境影響評価実施要綱(平成24年6月6日)に基づき作成されたものであるが、本年10月1日に環境影響評価法施行令の一部を改正する政令(平成23年政令第340号。以下「改正政令」という。)が施行され、風力発電所の設置又は変更の工事の事業が、環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「法」という。)の対象事業に追加されたことに伴い、改正政令施行以降は、経過措置により法に基づく準備書としてみなされている。このため、本事業に係る今後の手続については、法に基づいて行われることとなる。

  1. 環境影響評価書の作成に当たっての全般的な留意事項について
    環境影響評価書(以下「評価書」という。)の作成に当たっては、法、電気事業法(昭和39年法律第170号)及び「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成10年通商産業省令第54号。以下「主務省令」という。)に従い、必要な事項を遺漏なく記載すること。
    特に、本準備書においては、対象事業の目的並びに工事計画、土地利用計画及び造成図面等の対象事業の内容の詳細が記載されておらず、環境影響評価を実施するに当たっての基本的な諸元が不足していることから、それらを評価書作成までに確定し、再度、予測及び評価を見直し、環境保全措置の検討に当たって環境影響の回避・低減に努めること。
  2. 環境影響評価の項目の選定の再検討について
    本事業に係る事業特性及び地域特性を適切に整理した上で、環境影響評価の項目の選定について再検討すること。
    特に、工事の実施による「水の濁り」、「動物」、「植物」及び「生態系」については、土地改変による水域への影響が懸念されることから、また、「廃棄物等」については工事の実施により建設発生土及び伐採木が見込まれることから、それぞれ環境影響評価項目として選定し、適切な環境影響評価を実施すること。
    更に、工事の実施における「工事用資材等の搬出入」、「建設機械の稼働」及び「造成等施工による一時的な影響」を影響要因とする項目についても必要に応じて選定項目とし、適切な環境影響評価を実施すること。
  3. 環境影響評価の予測・評価結果の再検討について
    主務省令において、評価に当たっては、環境への影響が「事業者により実行可能な範囲内でできる限り回避され、又は低減されているものであるかどうか」及び「環境の保全についての配慮が適正になされているかどうか」を検討することとされているが、本準備書において、上記の観点が反映されていない箇所が散見される。
    このことから、評価書の作成においては、評価に係る根拠や経緯を明確にし、科学的かつ客観的な予測及び評価とするよう、全体的に記載を見直すこと。
  4. 騒音及び低周波音について
    騒音及び低周波音については、必要に応じて、風力発電設備等の配置等を含めた環境保全措置について再検討するとともに、事業者が講ずる環境保全措置による影響の低減効果について定量的に予測及び評価すること。
    特に、低周波音についてはその影響や対策の効果に不確実性があることから、騒音及び低周波音の事後調査の実施及びその結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について、例えば、稼働時間の調整等を含めて、可能な限り具体的に評価書に記載すること。
  5. 動物及び植物について
    (1)追加調査の実施について
    動物及び植物の調査については、調査期間や調査範囲、調査地点等調査の手法の設定について、既に実施された調査の期間や時間帯等を基本として専門家の意見聴取を踏まえて再検討し、評価書の作成に当たっては、必要な項目・内容を補完するための追加調査を実施すること。
    追加調査の結果、重要な種への影響が確認された場合においては、専門家の意見聴取を踏まえつつ、評価書の作成に当たって予測・評価を行うこと。
    (2)定量的な予測の実施について
    動物及び植物の予測においては、重要な種の確認位置と改変区域を重ね合わせるなど、可能な限り定量的な手法を用いて予測を行うこと。
    (3)環境保全措置及び事後調査の再検討について
    (1)及び(2)に基づく調査及び予測の結果を踏まえ、環境保全措置及び事後調査を再検討すること。環境保全措置の再検討に当たっては、動物及び植物に対する環境影響を可能な限り回避し、及び低減する観点から、風力発電設備等の配置や渡りの時期の稼働制限等を含めて検討すること。
    特に、本地域においては、ミサゴやクマタカなどの猛禽類や渡り鳥が確認されていること、鳥類等の衝突に関する予測については不確実性が大きいことから、専門家の意見を踏まえ、事後調査を実施すること。また、事後調査の実施手法及び事後調査の結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について、例えば、渡来期の稼働制限等を含めて、可能な限り具体的に評価書に記載すること。併せて、衝突等による死亡・傷病個体の確認を高い頻度で適切に実施し、死亡・傷病個体が確認された場合は、関係機関への連絡、死亡・傷病個体の搬送及び関係機関による原因分析への協力を行うとともに、広く情報を共有することでより良い風力発電施設のあり方について検討できるよう努めること。
  6. 周辺自治体等への意見聴取について
    風力発電施設からの景観、希少野生動物等への影響については、立地する自治体の区域のみならず、広範な範囲において影響が及ぶおそれがあることから、対象事業実施区域に位置する愛南町周辺の自治体及び住民等に対する情報提供及び意見聴取を実施し、当該意見を踏まえ、評価書を作成すること。
  7. 事後調査結果の公表について
    事後調査を実施した場合には、事後調査の結果について公表すること。また、事後調査の結果に応じて、追加的な環境保全措置を実施した場合は、その結果も含めて公表すること。

経済産業大臣勧告

準備書(平成25年6月27日付)

 平成24年8月8日付け及び同年9月28日付けをもって風力発電事業に係る環境影響評価実施要綱(平成24・05・29資庁第2号。以下「要綱」という。)第7の3の2の(4)の規定に基づき、要綱第3の3、4及び5の手続きを経た準備書とみなす書類として届出のあった僧都ウィンドシステム発電事業環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)については、要綱第3の6の2の規定に基づき、要綱第3の5の意見の概要及び当該意見についての事業者の見解を記載した書類が届け出られており、当該書類は、環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「アセス法」という。)第53条第2項及び平成24年経済産業省告示第222号第2条第5号の規定によりアセス法第53条第1項第5号に掲げる書類とみなされるため、電気事業法(昭和39年法律第170号。以下「電事法」という。)第46条の14第1項の規定により審査した結果、環境影響評価について下記のとおり勧告する。 また、電事法第46条の13の規定に基づき、関係都道府県知事が経済産業大臣に対して述べた意見は、別紙のとおりである。

 届出のあった準備書を基に事業特性及び地域特性の把握を行った上で愛媛県知事の意見を勘案し、要綱第3の5の意見の概要及び当該意見についての事業者の見解に配意するとともに、電事法第46条の14第2項の規定に基づく環境大臣の意見を聴き、審査した結果、環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するため、別紙に示す事項を踏まえ、適切に環境影響評価を実施されたい。

別紙

 第1 基本的事項

  1. 環境影響評価書(以下「評価書」という。)の作成に当たっては、環境影響評価法(平成9年法律第81号)、電気事業法(昭和39年法律第170号)及び「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る計画段階配慮事項の選定並びに当該計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価の手法に関する指針、環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針並びに環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成10年通商産業省令第54号。以下「主務省令」という。)の規定に基づき、環境影響評価の項目、当該項目に係る調査、予測及び評価の手法並びにこれらの結果等、必要な事項を遺漏なく記載すること。特に、対象事業の目的及び内容、環境保全措置並びに事後調査については、具体的かつ詳細に記載すること。
  2. 環境影響評価の項目の選定に当たっては、本事業に係る事業特性及び地域特性を適切に整理した上で、主務省令別表第5の参考項目を勘案し適切に選定するとともに、その選定理由を明確にすること。
  3. 環境影響評価の調査・予測に当たっては、主務省令別表第10の参考手法を勘案しつつ、事業特性及び地域特性を踏まえ、調査・予測の妥当性を明らかにし適切に実施すること。また、評価に当たっては、調査及び予測の結果並びに環境保全措置等を踏まえ、評価の根拠及び検討経緯を明らかにし、対象事業の実施による環境影響が事業者により実行可能な範囲でできる限り回避され、又は低減されているものであるか及び環境の保全についての配慮が適正になされているものであるかを検討すること。

 第2 個別事項

  1. 土地の改変区域(工事区域、アクセス道路、樹木の伐採範囲等)が不明なため、土地の掘削や盛土、アクセス道路の設置、樹木の伐採等の土地の改変がどこで行われ、どのように修復するのか分かる図面を添付すること。また、風力発電所の配置(風車、建屋等含む)が不明なため、工事の仕上がりなど、全体像が分かる図面を添付すること。
  2. 道路及び送電線埋設工事による環境への影響について記載すること。
  3. 資材搬入道路について、拡幅、改修、鉄板敷等の工事の有無及び当該工事がある場合はその場所と工事の内容について記載すること。
  4. 対象事業実施区域周辺に他の風力発電所が存在する場合、若しくは設置が計画されている場合、又は既存の風力発電所において風力発電設備を増設する場合は、環境影響影響が複合的なものになるおそれがあることから、本事業単独の環境影響評価だけでなく、これらを含めた複合的な影響についても環境影響評価を実施すること。
  5. 工事車両の運行ルート、工事による大気質への影響や住民に対する配慮についての記述がないため、工事に伴う大気質への影響及び騒音振動予測を記載すること。
  6. wind turbin noiseに卓越した純音成分(約100ヘルツから200ヘルツまでの範囲)及びswish音の程度について記載すること。
  7. 空気吸収の影響を地域の平均的条件及び音の伝わりやすい条件で検討すること(ISO9613-1又はJIS Z 8738に基づき、騒音の周波数特性、気温、相対湿度を設定)。
  8. 風車騒音の評価については、地域特性を踏まえ残留騒音(LA95)との比較検討も行うこと。
  9. 水の濁り(濁水対策)に係る記述がないため、河川、湖沼等の類型指定の状況、沈砂池等の処理能力や処理方法を具体的に示すこと。また、工事中又は裸地がある場合には泥水が発生するため、環境影響の予測評価の項目に「水の濁り」を選定すること。
  10. 動植物相、生態系に係る定量的な評価がないため、何を指標(注目種)とし、どのような調査等を行ったか具体的に記載すること。
  11. 工事用資機材の搬出入、建設機械の稼働、造成等の施行による一時的な影響及び生態系等の評価項目の見直しについて検討すること。
  12. 動植物相、猛きん類、渡り鳥の調査期間について検討すること。
  13. バードストライクについては、回避・低減・代償措置について具体的に記載すること。
  14. 改変工事区間の植生回復についての方策、又は伐採跡地はどのように修復するのか具体的に記載すること。
  15. 居住地等の生活環境からの景観、人と自然との触れ合い活動の場、緑化及び修景に係る記述が不十分なため、これらを記載すること。なお、生活環境からの景観については、風車を目立たない色彩とするなど、風景の中に溶け込むよう配慮すること。
  16. 廃棄物や残土に係る記述がないため、これらを記載すること。
  17. 事後調査の結果を踏まえ、どのような環境保全措置を講じるのか具体的に記載すること。

 第3 環境大臣意見関連事項

  1. 騒音及び低周波音について
    騒音及び低周波音については、必要に応じて、風力発電設備等の配置等を含めた環境保全措置について再検討するとともに、事業者が講ずる環境保全措置による影響の低減効果について定量的に予測及び評価すること。
    特に、低周波音についてはその影響や対策の効果に不確実性があることから、騒音及び低周波音の事後調査の実施及びその結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について、例えば、稼働時間の調整等を含めて、可能な限り具体的に評価書に記載すること。
  2. 動物及び植物について
    (1)追加調査の実施について
    動物及び植物の調査については、調査期間や調査範囲、調査地点等調査の手法の設定について、既に実施された調査の期間や時間帯等を基本として専門家の意見聴取を踏まえて再検討し、評価書の作成に当たっては、必要な項目・内容を補完するための追加調査を実施すること。
    追加調査の結果、重要な種への影響が確認された場合においては、専門家の意見聴取を踏まえつつ、評価書の作成に当たって予測・評価を行うこと。
    (2)定量的な予測の実施について
    動物及び植物の予測においては、重要な種の確認位置と改変区域を重ね合わせるなど、可能な限り定量的な手法を用いて予測を行うこと。
    (3)環境保全措置及び事後調査の再検討について
    (1)及び(2)に基づく調査及び予測の結果を踏まえ、環境保全措置及び事後調査を再検討すること。環境保全措置の再検討に当たっては、動物及び植物に対する環境影響を可能な限り回避し、及び低減する観点から、風力発電設備等の配置や渡りの時期の稼働制限等を含めて検討すること。
    特に、本地域においては、ミサゴやクマタカなどの猛禽類や渡り鳥が確認されていること、鳥類等の衝突に関する予測については不確実性が大きいことから、専門家の意見を踏まえ、事後調査を実施すること。また、事後調査の実施手法及び事後調査の結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について、例えば、渡来期の稼働制限等を含めて、可能な限り具体的に評価書に記載すること。併せて、衝突等による死亡・傷病個体の確認を高い頻度で適切に実施し、死亡・傷病個体が確認された場合は、関係機関への連絡、死亡・傷病個体の搬送及び関係機関による原因分析への協力を行うとともに、広く情報を共有することでより良い風力発電施設のあり方について検討できるよう努めること。
  3. 周辺自治体等への意見聴取について
    風力発電施設からの景観、希少野生動物等への影響については、立地する自治体の区域のみならず、広範な範囲において影響が及ぶおそれがあることから、対象事業実施区域に位置する愛南町周辺の自治体及び住民等に対する情報提供及び意見聴取を実施し、当該意見を踏まえ、評価書を作成すること。
  4. 事後調査結果の公表について
    事後調査を実施した場合には、事後調査の結果について公表すること。また、事後調査の結果に応じて、追加的な環境保全措置を実施した場合は、その結果も含めて公表すること。

 第4 関係都道府県知事等意見関連事項

  1. 騒音・低周波音
    (1)既設の風力発電施設において近隣住民から不眠や体調不良等の訴えが頻発しており、現に社会問題化しているとともに、特に僧都地区における低周波音の予測結果において現況からの増分が20dBと大きく、影響が生じるおそれがあること等から、騒音・低周波音について事後調査を実施すること。
    (2)低周波音については人によって感じ方も異なるとともに、低周波音による人への影響については未解明な部分も多いため、既設の風力発電施設について、特に苦情が生じている施設の事例調査により、施設の設置前後における低周波音のデータを収集し、その結果も踏まえて予測評価すること。
    (3)評価書作成に当たり、以下の点に留意すること。
    (ア)風力発電施設が視認できる和口地区においては、低周波音の予測結果が64dB~69dB(増分:1dB~18dB)と予測地点5地点のうち最も高い結果とされているが、風や温度の影響がなければ概ね予測結果どおりになる可能性が高いため、風力発電施設の稼働率や騒音が発生する時間的割合を予測評価するなど、より実態に即して定量的に予測評価すること。
    (イ)風力発電施設が視認できないとされる僧都地区においても、回折効果により低周波音が影響を及ぼすことが懸念されることから、風力発電施設と僧都地区を結ぶ地形断面図を示し、回折効果の程度をできるだけ定量的に予測評価すること。
  2. 水環境
    (1)林道拡幅工事など大々的に実施される土木工事に伴い、みずみちが変化する可能性があり、これにより植生への影響が懸念されるため、土木工事に伴うみずみちについて、その量を含めて予測評価したうえで、みずみちが極力変化しないよう、じゃ籠を適正に配置するなどの保全措置を講じるとともに、供用後においてもみずみちの流れを掌握し、その結果に応じて臨機応変に対応すること。
    (2)林道の開設や拡張工事に伴う立木伐採や掘削等により保水力が損なわれ、大雨などによる山地破壊や土砂の谷への流入で水源の汚濁・汚染がないよう工事中はもちろん供用後においても防止の措置を十分に講ずること。
  3. 風車の影
    影のかかる時間が居住地域において30分未満であることから影響は回避・低減されていると評価されているが、ほんの僅かな時間でも風車の影による民家への影響があるならば、生活環境に支障が生じるおそれがあるため、必要に応じて、主務省令に基づき環境保全措置を講じるとともに事後調査を実施すること。
  4. 植物
    (1)改変区域内に注目すべき植物種であるキガンピが多く確認されていることから、主務省令に基づき、できるだけ改変区域を注目すべき植物種が存在しない区域に変更し、環境影響の回避に努めるとともに、やむを得ず希少種が存在する区域を改変する場合には、改変に伴い当該種の移植措置を講じる等、環境保全措置を再検討すること。
    (2)(1)で注目すべき植物種の移植等の保全措置を講じる場合には、それに伴う保全措置の効果等を予測・評価したうえで、当該措置は予測不確実であるため、事後調査を実施するとともに、想定される事後調査結果を踏まえて検討すべき環境保全措置についても具体的に評価書に記載すること。
    (3)一旦破壊された生態系の再生は極めて困難であることから、造成工事実施後においても、法面緑化には在来種を使用するなど、できるだけ実施前と同等の状態に戻すような保全措置を講じること。
    (4)風力発電施設設置に伴う日照等の減少により、事業実施区域及びその周辺に生い茂る人工林の生育への影響について調査し、その結果を踏まえ、必要に応じて保全措置を講じること。
  5. 動物
    (1)生物多様性基本法において、生物多様性を保全する予防的な取組及び事業着手後においても生物多様性の状況を監視し、その結果を事業等へ反映させる順応的な取組により対応することが基本原則としてあげられている。
    事業実施区域から幾分離れたところではクマタカの営巣が確認されているため、生物多様性基本法の基本原則に則り、今後とも事業実施区域内及びその周辺における猛禽類(特にクマタカと多数確認されたサシバ)の営巣等の生息状況について継続調査の実施により的確に把握し、行動圏と内部構造の解析調査を実施すること。
    (2)猛禽類の渡りの時期、個体数、コースには年変動があり、準備書で記載された年間予測衝突数は過少評価された可能性があるため、猛禽類の渡りについて、評価書の作成に当たっては、平成23年以前の記録や追加調査を実施し、より精度高い予測評価を行うこと。この予測結果を踏まえ、必要に応じて風力発電施設の配置や渡来期の稼動制限等を含めた環境保全措置を実施すること。
  6. 景観
    (1)評価書において可視領域図を示したうえで、その結果を踏まえ、風力発電施設の設置場所によっては、その存在自体が付近住民に多大な圧迫感を与えるおそれがあるため、調査・予測地点に直近民家を選定するなど、地点選定について再検討すること。
    (2)今後の景観施策として、愛南町には「外泊地区の石垣の里」や「僧都・山出地区の棚田」などの観光資源を保全するため、地域住民と対話を重視しながら景観施策を体系化していく基本的方向性が打ち出されていることに鑑み、風力発電施設の色彩が四季折々変化する自然景観に最も調和するものとなるよう検討を重ね、景観に十分配慮した施設とすること。
    (3)取付道路の設置や既存林道の拡幅等の工事に当たっては、できるだけ土地改変面積を小さくし、環境影響の回避に努めるとともに、やむを得ず改変する場所は緑化措置を講じるなど、景観上、緑溢れる山々が損われないように十分配慮すること。
  7. その他(文化財)
    埋蔵文化財について、平成12年の古い文献により事業実施区域内には存在しないと結論づけているが、近年、高台における遺跡の発見事例があることを考慮すると、事業実施区域内及びその周辺における埋蔵文化財の有無について、愛媛県や愛南町に相談しつつ、現地調査により把握すること。

備考

 


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