本文
(仮称)西予風力発電事業
手続状況
評価書
対象事業の区分
発電所
事業名称
(仮称)西予風力発電事業
事業規模
発電出力16,000kw 設置
事業実施区域
西予市宇和町野田地区、山田地区
関係地域
西予市
事業者
大和エネルギー株式会社
公告・縦覧日
- 方法書公告・縦覧 平成24年5月31日から平成24年7月2日まで
- 準備書公告・縦覧 平成26年5月20日から平成26年6月19日まで
- 評価書公告・縦覧 平成28年5月20日から平成28年6月20日まで
知事意見
方法書
経過措置案件のため、方法書に対する知事意見の提出機会はありません。
準備書
愛媛県は、(仮称)西予風力発電事業環境影響評価準備書について、環境影響評価法第20条第1項及び電気事業法第46条の13の規定に基づき、経済産業大臣に対し、平成26年9月30日付けで、知事意見を提出した。
愛媛県知事意見
環境影響評価法(平成9年法律第81号)第20条第1項及び電気事業法(昭和39年法律第170号)第46条の13の規定により、別紙のとおり標記準備書についての意見を提出します。電気事業法第46条の14の規定に基づき、特定事業者に勧告をするに当たっては、本意見の趣旨が十分に勘案されますよう御配慮願います。なお、愛媛県環境影響評価審査会から事業全般に関する提言のあった下記意見についても御配慮願います。
記
準備書に対する意見書のうち、一部の住民から、施設稼働後の景観や‘騒音(周波数が20ヘルツから100ヘルツまでの音に限る)及び超低周波音’の影響を懸念して、事業計画に対する慎重な意見が提出されたが、これは住民の情報不足に起因している可能性が高い。
このため、事業を進めるに当たり、周辺住民の理解が得られるよう、事業計画の内容について、引き続き、きめ細やかに説明を行い、粘り強く協議を重ねるとともに、事業実施後においても、周辺住民とのコミュニケーションを充分に図ること。
別紙
1 総括事項
事業実施区域周辺では、別の風力発電事業計画が存在し、工事中及び施設稼働後に騒音・超低周波音、動植物及び景観等への影響が複合的なものになるおそれがあることから、必要に応じて、周辺における風力発電事業計画を踏まえ、環境影響評価を実施すること。
2 個別事項
(1)騒音・超低周波音について
ア 事業実施区域の直近集落である仁土地区において、騒音(周波数が20ヘルツから100ヘルツまでの音に限る。)及び超低周波音について予測した結果、現況からの増加分が17dBと小さくなく、さらに同地区が、本事業に隣接して存在する別の風力事業計画と挟まれた地点に位置していることから、当該計画により複合的な影響が懸念される。
このため、当該計画を含めた影響について、必要に応じて、専門家から意見聴取しつつ、適切に予測評価し、その結果を環境影響評価書(以下「評価書」という。)に記載すること。
また、事業実施区域周辺における農作業者への影響が懸念されるため、必要に応じて、この点にも配慮して、予測評価を実施すること。
イ 騒音(周波数が20ヘルツから100ヘルツまでの音に限る。)及び超低周波音については人によって感じ方も異なるとともに、人への影響については未解明な部分も多いため、既設の風力発電施設について、必要に応じて、特に苦情が生じている施設の事例調査により、可能な限り、施設の設置前後におけるそれらのデータを収集し、その結果も踏まえて予測評価するよう努めること。
ウ 施設稼働後において、付近住民から苦情が発生しないよう騒音又は超低周波音を低減させる方法について検討するとともに、実際に苦情が生じた場合に検討すべき環境保全措置について、例えば稼働時間の調整等を含めて、評価書において具体的に示すこと。
(2)水環境について
仁土地区が自前で保有する水源に影響が出ないよう、工事中において沈砂池を設置するなど十分配慮するとともに、当該地区住民の理解を得たうえで、着工すること。
また、近年、集中豪雨等の自然災害が頻発していることを踏まえ、工事中及び施設稼働後において、適切な雨水対策を講じること。
(3)地形及び地質について
地形・地質については、平成11年~12年の古い既存資料により、事業実施区域及びその周辺に重要な地形・地質等が存在していないとして項目選定されていないが、西予市全域に広がる貴重な地質や地形などが評価され、平成25年9月に「四国西予ジオパーク」が日本ジオパークとして認定されたところである。
このため、事業実施区域及びその周辺における重要な地形及び地質の存否については、専門家から意見聴取したうえで、必要に応じて、現地調査により把握すること。
(4)風車の影について
風車の影のかかる時間が居住地域において1日当たり30分未満と影響が小さいため事後調査は実施しないこととされているが、僅かな時間でも風車の影による民家への影響があるならば、生活環境に支障が生じるおそれがあるため、その影響について、必要に応じて、事後調査により確認すること。
(5)植物について
事業実施区域内に多数種の草花が、また、その周辺にはコウボウやエビネといった重要種が確認されているが、これらの植物は、生育環境の微妙な変化によって、容易に生育困難に陥りやすい弱い植物が多く、絶滅の危険に晒されているのが現状であるため、工事関係者に、開花期・種子の結実期など季節ごとの写真を提示し、植物の生育環境の保全に努めるよう周知徹底を図ること。
(6)動物について
ア 事業実施区域及びその周辺において、サシバやミサゴなどの希少猛禽類の飛翔が多数確認されているとともに、本事業に隣接して別の風力事業計画が存在していることから、これら希少猛禽類による風力発電施設への衝突事故(以下「バードストライク」という。)について、複合影響が懸念される。
このため、施設稼働後にバードストライクが確認された場合等、事後調査の結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について、専門家から意見聴取しつつ検討し、例えば渡来期の稼働制限等を含めて、評価書において具体的に示すこと。
イ 猛禽類の渡りの時期、個体数、コースには年変動があり、バードストライクの予測は不確実性を伴うことから、その調査予測結果及び事後調査結果について、必要に応じて、隣接して存在する別の風力事業者と情報共有し、発生率の抑制策を検討するなどして、保全効果を高めるよう努めること。
(7)景観について
ア 事業実施区域周辺は、海そのものの自然景観の美しさや、先祖代々守られてきた‘段々畑’など文化的景観の美しさが融合した地域である。
特に‘狩浜の段々畑’については、四国西予ジオパークのジオポイントとして挙げられるとともに、文化庁が調査した日本の文化的景観において、「白い石積の段々畑と宇和海」という名称で、重要地域に位置づけられている。
このため、風力発電施設の存在が、可能な限り、四国西予ジオパークの一部として違和感なく捉えられるとともに、周辺景観に最も調和する施設となるよう検討を重ね、景観に十分配慮した施設とすること。
イ ‘狩浜の段々畑’を主要な眺望点及び景観資源として扱うとともに、主要な眺望点からの風力発電機の見えの大きさを示すなど、景観への影響について、可能な限り定量的に予測評価し、その結果を評価書に記載すること。
(8)その他(文化財)について
事業実施区域は、周知の埋蔵文化財包蔵地には該当しないが、近年、四国西南部では丘陵頂部に多く遺跡が営まれていることが分かってきているため、施工中に遺構又は遺物が発見される可能性があり、この場合には工事計画への多大な影響が考えられる。
このような影響を最小限にとどめるため、事業実施区域における遺構又は遺物の存否について、西予市教育委員会と協議を行い、必要に応じて、事前の踏査や試掘調査等の実施により確認すること。
(9)事後調査結果の公表について
事後調査を実施した場合又は、事後調査の結果を踏まえ、追加的な環境保全措置を実施した場合は、それらの結果について公表すること。
環境大臣意見
環境省は、平成26年10月2日、愛媛県で実施予定の「(仮称)西予風力発電事業」(大和エネルギー株式会社)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見[PDFファイル/594KB]を経済産業大臣に提出した。
本事業は、総出力16,000kWの風力発電所を愛媛県西予市に設置するものである。
環境大臣意見では、周辺の風力発電事業者と協働してモニタリング結果の共有や共同調査等を行い、地域全体の効果的な環境保全措置を検討すること等を求めている。
経済産業大臣勧告
備考