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令和7年度重要施策提案・要望に関する記者発表の要旨について
【記者発表資料】
日時:令和6年5月23日(木曜日)11時02分~11時18分
場所:知事会議室
(愛媛朝日テレビ(幹事社))
それでは、本日は県から発表事項が3件あると聞いています。まずは、令和7年度重要施策提案・要望について、知事お願いします。
(知事)
令和7年度政府予算の概算要求に向けました重要施策提案・要望につきまして、今回は各種公共事業等への財政支援に関して要望するとともに、少子化・人口減少対策を中心に据えまして、防災・減災対策や地域経済の活性化の政策の3本柱のほか、喫緊の課題や重要施策の推進に資するよう要望をいたす予定でございます。
資料1の2ページの下でありますけども、そこに記載されておりますとおり、要望項目数は全体で56項目。内訳は新規が4項目、一部新規が11項目。このうち最重点項目は1ページ目の28項目としております。
関係省庁に対しましては、最重点項目をさらに抜粋したうえで、5月30日、31日、2日間にわたって私が上京しまして、県議会議長、市長会会長、町村会会長にも同行していただき、チーム愛媛の体制で要望を行うよう、今、調整を進めております。
要望項目の趣旨ですが、資料2のとおり最重点項目の概要について、主なものだけ申し上げます。
まず4ページの9になります。「災害・感染症対応医療機関の危機対応機能強化と経営健全化に係る財政支援の拡充」についてでありますが、自然災害や新興感染症の発生時に、中心的役割を担う医療機関が、必要な機器等を平時から整備更新できるよう、継続性のある財政措置を求めるとともに、医療機関の健全経営を確保するため、社会情勢の変化に伴い病院経営がひっ迫しないよう、診療報酬の臨時改定など迅速な対応を求めるものでございます。
その下の11になりますが、「肱川緊急治水対策の推進」でございます。流域の再度災害防止に向けまして、さらなる河川改修を推進するため、県管理区間の整備推進に必要な事業費の確保、国管理区間の整備と排水機場等の内水対策の推進を求めるとともに、山鳥坂ダム建設と野村ダム改良による早期の洪水調整機能の強化を求めたいと思います。
次に8ページの15になりますが、「能登半島地震の教訓等を踏まえた原子力防災対策の充実・強化」ですけれども、能登半島地震の状況を念頭に、地震との複合災害時の住民避難等の取り組みなど原子力防災対策の充実・強化をはじめ、緊急時に備えた避難路等の整備に必要な予算措置、広域避難体制の整備に向けた国の主体的な調整、最新知見および地域特性を踏まえた実効性のある緊急時モニタリング体制の強化などを求めるものでございます。
その下の16でありますが、「四国の鉄道の維持・活性化」でございます。四国新幹線の整備計画への格上げに向けた調査の実施、地方の負担によらない全国新幹線ネットワークの整備促進のほか、収益力の弱いローカル線を維持・確保するため、JR四国に対する経営支援策のさらなる充実、鉄道災害復旧補助制度における国負担の引き上げなどを求めるものでございます。
次に10ページの20になりますけれども、「農林水産物の輸出拡大」についてであります。農林水産物の輸出拡大や競争力強化を図るため、さまざまな取り組みを進めておりますが、国と国の話合いも必要なハードルがございます。特に台湾、インドネシアへの「かんきつ」、また韓国、中国などへの「水産物」に対する輸入規制措置の撤廃等に向けて、関係各国へのさらなる国の働き掛けの強化を求めるものでございます。
次に11ページの27でありますが、「次世代のデジタル人材を育む教育DXの推進」については、「GIGAスクール構想」のさらなる推進に向けた1人1台端末更新時、配布は愛媛県は早くやりましたけれども、やがて更新の時期を迎えますので、こうしたところに制度がございません。特に県立高校はございませんので、こうしたところの支援のほか、デジタル・理数分野の履修を促進するためのICTを活用した文理横断的・探究的な学習環境の整備支援等を求めるものでございます。
次に12ページの28でありますけれども、「海洋ごみ対策」でございます。海流・潮流や風などにより県境を越えて移動し、漂着地自治体が原因者とは限らない広域的な問題でございますので、海洋ごみの回収・処理や発生抑制について、地域の実情に応じた適切な対策が進められるような、必要な財源措置、また制度の創設を求めたいと思います。
主な項目については以上でありますが、詳細については先ほどお話があったように、会見後に職員からレクチャーをさせていただきたいと思います。以上です。
(愛媛朝日テレビ(幹事社))
ただ今の発表事項に関して、質問のある社はお願いします。
愛媛朝日テレビです。先ほどご説明にあった中のですね、医療分野なんですけれども、医療の経営というところで今、統廃合・再編なども医療分野で話し合いもされていると思いますけれども、現状、県内の医療経営の状況というのは把握されている状況は何かありますでしょうか。
(知事)
例えば県立病院をとってみてもですね、これ全国共通の課題になっていますが、公的な機関であるがゆえに、例えばコロナのときなんかは、優先的にコロナ病床の確保をせざるを得ませんでした。その結果、一般外来等の抑制等々は公的病院が率先して行ってきた経緯があります。その結果、当時は空床補償で乗り越えてきたのですけれども、コロナが5類に移行して以降、思い切ってやっていますので、これはもう入院患者の受け入れという使命を果たすためにやったことなのですけれども、(一般外来の)戻りが悪いと、要は一回来なくなって、さあ、もうコロナ病床なくなりましたので一般の方どうぞまたおいでくださいと言ってもですね、そう簡単に戻るものではないので、その分非常に厳しい状況になっています。特に空床補償がなくなりましたので空床補償の収入がなくなる。かつ、コロナ前ほど戻っていないというような状況ですから、当然全国の公立病院は大変厳しい状況にあります。これがまず現況でございます。
一般の病院については細かいことまで分からないんですけれども、同様の状況になっているところもあろうかと思いますので、そうしたところも踏まえてしっかりと現場を検証し、空床補償がなくなったわけでありますから、その後の対処というものを国がしっかり行っていただきたいということ、それからコロナで経験したように、突発的に慌てて何かをやっても間に合わないケースもありますから、このコロナの教訓を生かして平時においてさまざまなことを想定した設備等々の整備、これを行っていく体制を国でとっていただきたいというふうに思っております。以上です。
(NHK)
NHKです。防災に関しては能登半島地震を踏まえた要望が多いような印象があったんですけれども、要望を決められるタイミングの影響もあると思いますが、先月の県内での地震を踏まえて、今回の要望をどういった点で考えていらっしゃるか改めて知事の考えをお伺いさせていただければ。
(知事)
そうですね。今回県内の地震は一回の大きな揺れでしたので、本当に人命が失われるような、あるいは避難生活を余儀なくされるような事態は発生しませんでした。ということで、むしろ初動体制の構築等々が重要だったと思いますけれども、その点については今のところ大きなトラブルもなく速やかに立ち上がって対処ができたのではなかろうかと思っています。むしろそれ以上に能登震災。これはもう想定以上の被害が出ていますので、しかも4月に行ってきたときに、3~4カ月経ってもまだ瓦礫の撤去等も進んでいないという状況を踏まえますと、やはりむしろ能登震災で感じたところを教訓にしての要望の色彩が強いんじゃないかなというふうに思っています。
(愛媛新聞)
すいません。愛媛新聞です。お願いします。
知事、今回の重要施策提案でも人口減少については一番最初の最重点項目に持ってきているとは思うのですけれども、この一年で松山市も人口が50万を切るとかですね、さらに進んでいく中で、地域の実情に応じた施策を組むためにですね、国に何を求めて一方でその地方では何をやっていくべきなのか、その役割分担みたいなところをどのように考えていらっしゃるのか教えてもらってもいいでしょうか。
(知事)
そうですね。地方というのは、自由に国債を発行して財源の調達ができるわけでもない。限られた予算の中でやりくりをするというふうな宿命を背負っていますけれども、これが日本の制度でありますよね。ただし、そういう中で重要課題については、もう国の制度の確立を待つまでもなく、現場視点でやれることはどんどんやっていくという姿勢がすごく大事だと思っています。まさに人口減少対策やデジタル政策というのはそういう観点でオリジナルの政策を打ってきたような経緯があるのですけれども、ただ、先ほどの財政面での構造的な問題がありますから、これは効果ありというふうなことを独自にやって検証できたものについては、国が横展開を図るということも踏まえて国としてのバックアップ制度を確立する。まさに現場視点でやってみたら効果があるから、ぜひ制度化をという流れというのがすごく重要だと思っていますので、先行してやる、そして検証して効果があるといったものについて、さらに拡充・充実、それから拡大するためには財政面での国のバックアップが必要になってきますから、そういう観点で要望を続けていきたいというふうに思っています。
(愛媛新聞)
すいません。続けてなのですけれども、今、お話があったように例えば愛媛県で取り組んでいて、具体的にその効果が出たのでさらに予算の拡充とかっていうのはどの部分になるのでしょうか。
(知事)
そうですね、移住政策なんか明らかに結果として出てきていますので、こういった愛媛県の数年間の取り組みは年間260人ぐらいだったのが7200人規模まで移住者が増えていますので、こういったところはもう県独自の予算でやっていますから、こういったところにこそ財政的なバックアップとかがあればさらに充実した展開ができるのではないかなというふうに思っています。
それからもう一点、さっきの今の最後の質問でさらに海洋ごみの回収なんかもそうですよね、本当に補助制度がない、本当にすずめの涙ぐらいの補助制度しかなかったのですが、独自で調査をして、まんべんなくやるものではないと、例えば東予・中予・南予で確認された回収が必要なごみの量というのは格段に違うわけですよね。南予では軽トラが3万2000台、中予・東予で600台ずつというこれだけの差があると。それから現場視点で考えると、まんべんなくというよりは、地域事情に応じた細かい制度というのが必要であるということが一点。それから財政面でいうと、例えば当時愛媛県にこの海洋ごみ回収での国の補助額っていうのは、年間3000万円ぐらいしかないんですよ。だからそれ以上枠がありませんということなので、機械的に3000万振られて、その範囲で県が上乗せしてやってくださいですから、身動きが取れないんですね。
それで、瀬戸内オーシャンズXとか民間の力も借りながらさらに環境省にこれは少なすぎるじゃないかということで要望しましたけれども、若干増えて、今6000万ぐらいにはなっているのですけれども、でもその回収量の膨大さを考えると全然これ足らないわけですよね。
そうなると長年にわたってやっていくしかないという足かせがはまってしまうので、やっぱりこうしたような現状の金額、現場感覚からくる金額や、それから先ほど言ったように分析することによって非常に場所によって差異が出ますから、そういったところのきめ細かい対応が制度上にないとなかなか進まないのではないかという、国の方でデスクワークだけやっていたら絶対分からないことだと思うので、こういったところも非常に重要ではないかなというふうに思っています。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。