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建設業法等の改正について(令和2年10月1日施行)
「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第30号)が令和元年6月5日に成立、同月12日に公布され、一部の規定を除き、改正建設業法が令和2年10月1日から施行されます。
また、当該改正に伴い、建設業法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第171号)が令和2年5月20日に公布、建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令(令和2年国土交通省令第69号)が同年8月28日に公布されました。(一部の規定を除き令和2年10月1日施行)
さらに、改正建設業法第26条の4第1項に規定する監理技術者を補佐する者として、建設工事の種類に応じ国土交通大臣が定める要件を定める告示(令和2年国土交通省告示第1057号)等の関係告示が令和2年9月30日に公布されるとともに、関係ガイドラインについても改正が行われました。(一部の規定を除き令和2年10月1日施行)
- 詳細については、次の改正概要及び国土交通省のホームページをご覧ください。
- 改正概要[PDFファイル/3.26MB]
- 新・担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)について<外部リンク>
建設業の許可・認可について
建設業許可基準の見直し(第7条関係)
許可基準について、法人である場合においてはその役員等のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が、許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であることなどとする要件を見直し、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であることとされた。
なお、省令で定める基準は、次のとおりとした。
- 常勤役員等の体制が一定の条件を満たし適切な経営能力を有すること
- 適切な社会保険に加入していること
許可を受けた地位の承継(第17条の2及び第17条の3関係)
建設業の譲渡及び譲受け並びに合併及び分割について、事前に国土交通大臣又は都道府県知事(以下「国土交通大臣等」という。)の認可を受けた場合には建設業法の規定による建設業者としての地位を承継することとされた。
なお、承継元と承継先がともに建設業者である場合において、同一の建設業に関し一方が特定建設業、一方が一般建設業であるときは、本制度の対象とはしないこととされている。
また、相続について、建設業者が死亡した場合に死亡後30日以内に国土交通大臣等に申請を行い、認可を受けたときは建設業の許可を承継することとした。
建設工事の請負契約について
請負契約における書面の記載事項の追加(第19条関係)
受発注者双方の共通ルールとしてその遵守を促し、働き方改革を促進するため、建設工事の請負契約の当事者が請負契約の締結に際して工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容を書面に記載しなければならないこととされた。
著しく短い工期の禁止(第19条の5、第19条の6関係)
注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないこととされた。
また、建設業者と請負契約(請負代金の額が500万円(建築一式工事にあっては1,500万円)以上であるものに限る。)を締結した発注者がこの規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣等は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができること、国土交通大臣等は、この勧告を受けた発注者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができることとされた。
建設工事の見積り等(第20条関係)
建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならないこととされた。
工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供(第20条の2関係)
建設工事の注文者は、当該建設工事について、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象(※)が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、建設業者に対して、その旨及び当該事象の状況の把握のため必要な情報を提供しなければならないこととされた。
(※)国土交通省令で定める事象は以下の事象とした。
- 地盤の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象
- 騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象
下請代金の支払方法(第24条の3関係)
元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないこととされた。
なお、現金の範囲については、銀行振込等、現金と同様に扱われているものについても含まれるものと考える。
不利益取扱いの禁止(第24条の5関係)
元請負人は、当該元請負人について第19条の3、第19条の4、第24条の3第1項、第24条の4又は第24条の6第3項若しくは第4項の規定に違反する行為があるとして下請負人が国土交通大臣等、公正取引委員会又は中小企業庁長官にその事実を通報したことを理由として、当該下請負人に対して、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならないこととされた。
施工技術の確保について
監理技術者の専任義務の緩和(第26条関係)
工事現場に監理技術者を専任で置くべき建設工事について、当該監理技術者の職務を補佐する者として、当該建設工事に関し監理技術者に準ずる者として政令で定める者を専任で置く場合には、当該監理技術者の専任を要しないこととされた。
監理技術者に準ずる者として政令で定める者としては、一級の第一次検定に合格した者(1級技士補)又は法第15条第2号イ、ロ又はハに該当する者(監理技術者の要件を満たす者)とした。
また、監理技術者の職務を補佐する者を置いた場合に、監理技術者が兼任できる工事現場の数は2とした。
主任技術者の配置義務の合理化(第26条の3関係)
特定専門工事(※)の元請負人及び下請負人(建設業者である下請負人に限る。)は、その合意により、元請負人の主任技術者が、下請負人の主任技術者が行うべき職務(施工管理等)を併せて行うことができることとされた。
この場合において、当該下請負人は、第二十六条第一項の規定にかかわらず、その下請負に係る建設工事につき主任技術者を置くことを要しないこととされた。
(※)特定専門工事は、下請代金の合計額が3,500万円未満の鉄筋工事及び型枠工事とした。(元請負人が発注者から直接請け負った建設工事であって、当該元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額が4,000万円以上となるものを除く。)
また、元請負人と下請負人の合意は、書面により、当該特定専門工事の内容、当該元請負人が置く主任技術者の氏名その他の国土交通省令で定める事項(建設業法施行規則第17条の6)を明らかにしてするものとされた。加えて、当該元請負人は、この合意をしようとするときは、あらかじめ、注文者の書面による承諾を得なければならないこととされた。
さらに、当該元請負人が置く主任技術者は、当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し一年以上指導監督的な実務の経験を有し、当該工事の現場に専任でなければならないこととされた。
なお、この場合において当該工事に係る下請負人は、その下請負に係る建設工事を他人に請け負わせてはならないこととされた。
その他
標識の掲示義務の緩和(第40条関係)
建設業者が工事現場に標識を掲げる義務について、発注者から直接請け負った工事のみを対象とすることとし、下請の建設業者については掲示を要しないこととされた。
建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等(第41条の2関係)
国土交通大臣等は、その許可を受けた建設業者等に対して指示をする場合において、当該指示に係る違反行為が建設資材に起因するものであると認められ、かつ、当該建設業者等に対する指示のみによっては当該違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、当該建設業者等に建設資材を引き渡した建設資材製造業者等に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置をとるべきことを勧告することができることとされた。
また、国土交通大臣等は、この規定による勧告を受けた建設資材製造業者等がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができることとされた。
さらに、国土交通大臣等は、この規定による勧告を受けた建設資材製造業者等が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらない場合において、勧告を受けた建設資材と同一又は類似の建設資材が使用されることにより建設工事の適正な施工の確保が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは、当該建設資材製造業者等に対して、相当の期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることとされた。
施工体制台帳の記載事項及び再下請通知を行う事項について(規則第14条の2及び第14条の4関係)
施工体制台帳の記載事項及び再下請通知を行う事項について、以下の事項を追加することとした。
- 監理技術者を補佐する者について、氏名及び保有資格
- 当該建設工事の従事者に関する事項(氏名、生年月日、年齢、職種、社会保険の加入状況等)
施工体系図の記載事項について(規則第14条の6関係)
施工体系図の記載事項として、それぞれの下請負人に関する以下の事項を追加することとした。
- 代表者の氏名、特定専門工事の該当の有無、当該下請負人が受けた建設業の許可の番号、受けた許可の一般建設業及び特定建設業の別
監理技術者講習の有効期間の起算点の見直しについて(規則第17条の17関係)
工事現場に専任で置かなければならない監理技術者は、専任の期間中のいずれの日においても、その日の前5年以内に行われた監理技術者講習を受講していなければならないこととされていたが、監理技術者講習の有効期間の起算点を見直し、講習を受けた日の属する年の翌年の1月1日から5年以内に監理技術者講習を受講していなければならないこととした。(令和3年1月1日施行)
- 令和3年1月1日以降は、監理技術者講習の有効期限の起算日が講習を受講した日の属する年の翌年の1月1日となり、同日から五年後の12月31日が監理技術者講習の有効期限となる。
技術検定制度の見直し(第27条関係)
技術検定を第一次検定及び第二次検定に再編し、それぞれの検定の合格者は政令で定める称号を称することができることとされた。(令和3年4月1日施行)
- 第一次検定に合格した者にあっては級及び種目の名称を冠する技士補
- 第二次検定に合格した者にあっては級及び種目の名称を冠する技士