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県民文化会館南側県有地の「活用の方向性」に関する記者発表の要旨について
日時:令和5年11月20日(月曜日)11時10分~11時33分
場所:知事会議室
【記者発表資料】
(南海放送(幹事社))
では次に県民文化会館南側県有地の「活用の方向性」について、知事お願いします。
(知事)
はい。それでは、今年に入って本当に長年にわたって、要望を受けてから結論が出ないまま過ぎ去っていた水族館の問題、これを経済界、そして松山市と協議の上で中止にするという正式な報告が上がってきましたので、それを受けて速やかに動くというふうなことをお示ししてきた経緯がございます。
その結果、さまざまな意見を聞く中で、「活用の方向性」を取りまとめたので、発表させていただきたいと思います。
まず、県有地活用促進に向けた基本的なこと、思いについて述べさせていただきたいと思います。県内の少子化、人口減少が進む中で、地域の活性化を図っていくためには、国内外からの新しい人の流れを作って、交流人口の拡大を図るとともに、県民のシビックプライドを醸成し、若者や女性の地元定着につながるまちづくりが不可欠であるというふうに思います。松山市内の各所、例えば一番町であるとか、(銀天街)L字(地区)であるとか(松山)市駅前であるとかJR(松山駅周辺)であるとか、もうこれ本当に同時に動かしていかざるを得ない状況が今生まれてきていると思いますが、その進展が待たれているところでございます。その意味で、これまでも申し上げてきましたが、松山市には、街全体の具体的なビジョン、これはもう本当に1日も早く市民・県民にぜひ示していただきたいなと思っております。
一方で、県として大いに懸念している点は、いかにして国内外からの新しい人の流れをつくるかという点でありまして、当該県有地において、「今、求められている機能は何か」に焦点を絞って検討を進めてきたところでございます。このスライドでございますが、まず現状分析でございます。新しい総合計画に掲げた、目指すべき将来像、これは「若者をはじめ、県民誰もが自らの希望を実現でき、安全・安心で豊かな人生を送れる持続可能な愛媛県」の実現を図るためには、交流人口の拡大も不可欠であります。そのためには、国内観光に加えまして、国際的なMICE、ミーティングであるとかのMICEですね、コンベンションであるとか、MICEの開催や海外富裕層旅行者の誘致が重要になってまいります。
しかしながら、先ほども申し上げましたように、現状、本県では、令和元年のG20労働雇用大臣会合に続く国際的なMICE誘致が進んでおらず、また、訪日外国人旅行者における認知度も、なかなかこれ地方というのは本当に認知度を上げるのは苦慮するところなんですが、具体的な数字で言いますと、広島が35%、岡山が14%、本県が7%でございます。
そういう中で、近年、お話させていただいたとおり、松山市内のバンケット業務を行うホテル等が減少しております。これは本当に非常に厳しい状況だと県では考えております。国内外からビジネス関連の人を呼び込むMICE機能が、県庁所在地で低下しているという状況ではないかと思います。
このため、次に、「活用の方向性のイメージ」でありますけれども、こうした現状を打開して交流人口の拡大を図り、多くのヒト、モノ、カネ、情報を呼び込んでいくため、当該県有地を活用して、県としてできることは精一杯やろうということで、隣接する県民文化会館との相乗効果を生かしながら、国内イベントや国際会議の誘致といったMICE機能の向上を図ることが必要と考えまして、活用アイデアを募集させていただきました。その提案の中にも多くありました、国際会議の誘致を含むMICE機能の向上につながる集客・交流施設の整備を軸とした提案を民間事業者に投げ掛けていくこととしたものでございます。
さらに、アフター・コンベンションにも十分対応できる道後温泉地区、また交通結節点である今後の動向、松山市駅やJR松山駅の周辺地区の進捗などとも連携しながら、新たな人の流れを生み出し、地域経済の活性化やシビックプライドの醸成につなげていきたいというふうに考えております。そのためにも、松山市には遅れているJR松山駅周辺地区の魅力的な再開発をぜひ急いでいただきたいというふうに思います。
次に求められる機能でございますが、具体的にはMICE機能としては最大で30カ国程度の参加が見込まれるG7やG20サミットの関係閣僚会合クラスの国際会議に対応できる会議室機能、それからバンケット機能、また主要国のVIPが宿泊可能なスイートルームを備えた宿泊機能とし、その上で、今回の施設整備に当たりましては、依然として県財政厳しく変化が激しい中でもございますので、民間活力を最大限に発揮していただけるよう、創意工夫に基づいて、民間事業者に主体的に整備・運営をいただけないかというふうに考えております。
その際、将来にわたり持続的にMICE機能を維持・運営いただくとともに、新たな賑わい(にぎわい)の創出につながるような事業の実施も想定しております。ただ当該県有地は面積が決して広いわけではございません。また隣接する民有地の取り扱いにも留意が必要だと思います。またさらに埋蔵文化財包蔵地であることなどを考慮しまして、できるだけ提案の自由度を妨げないように機能面での条件を付けすぎないこと、ここに配慮したいと考えております。
次に整備される施設は、先ほども申し上げましたとおり、民間事業者主体の官民連携事業として整備・運営いただくことを基本としておりまして、県有地に用途を指定した定期借地権を設定しまして、公募選定した事業者に、賃貸する形で活用を進めていきたいと考えております。なお、今後のスケジュールでありますが、明日11月21日から整備に協力いただける民間事業者からの企画提案募集を開始したいと思います。企画提案書の締め切りは令和6年2月を予定しておりまして、これまでの意見募集なんかでも、いろんな事業体が提案を出していただいてますので、民間事業者の関心も高いと考えております。そういったことの背景も含めて、スピード感を持って、年度内に事業協力者を決定、基本協定を締結したいというふうに考えております。
事業協力者には、来年度、導入する機能や実施体制、それから整備する建築物の計画、管理運営方法などの条件整理を行い、県では、具体的な事業計画の詳細を確認させていただきたいと考えておりまして、その後、双方合意が得られた場合に、実際に事業を実施していただくという運びを想定しております。
アフターコロナにおいて経済活動も活発になる一方で、人件費や資材価格の高騰など、不確定な要素もある中ではありますが、県としては、本日発表したこの「活用の方向性」の下、瀬戸内エリアでの中核拠点性の維持・向上に向けて、民間事業者主体の官民連携事業として、速やかに当該県有地の活用を図っていく所存でございます。
明日から始まる募集にはぜひ多くの事業者の皆さんからの提案があることを期待しておりますと同時に、先ほど申し上げましたようにまちづくりは本来県でできることが限られてますので、主体である松山市の全体計画、ぜひ早く示していただきたいと考えております。以上です。
(南海放送(幹事社))
ただ今の発表事項に関しまして、質問のある社はお願いします。
(NHK)
NHKです。よろしくお願いします。このMICEという言葉は、聞き慣れない方も多いと思いますが、観光庁のホームページには、一般の観光とは目的が異なっていて、長期滞在する人も多くて、地域経済への影響が大きいと説明されています。これを愛媛に落とし込んだ場合、道後温泉の近くにもなりますが、県としてこのMICEの設置の意義について、どのように知事は考えていますか。
(知事)
そうですね、元々あそこには、県民文化会館という有数の会議施設、ホールを有したものが存在していますので、これを有効活用するという点、それから先ほど申し上げました道後温泉(の一部の宿泊施設)が宴会を取りやめて、(東京)第一ホテル(松山)がなくなり、ビジネスホテルは多くあるんですけども、そうした国際的な会議であるとか、長期滞在のいろんなミーティングを受け入れられる機能というのが非常に低下している現状が、今の県庁所在地にはあるのではないかなというふうに思っています。そういったニーズがあるわけですから、これをしっかりとカバーしていく、先ほど申し上げましたように県でできることは点ですから県有地の活用しかできないんですけれども、その中で精一杯のことを、知恵を絞って考えていきたいというふうに思っていますので、これがもし、どんな提案が出てくるか分かりませんけれども、意図するところを汲(く)んでいただき、民間から良いアイデアが出てくれば十分な役割を果たすものになるのではないかなというふうに期待しています。
(NHK)
続いて質問ですが、今後民間事業者から幅広い自由な、方向性があってその上で、いろんな意見を求める発言もありましたが、道後温泉の観光客とは差別化してこのG20とかG7とかそういうものに、国際誘致に絞ったような条件で。
(知事)
宿泊というものがもし提案の中に入ってきた場合には、別にそれにとどまることなく通常の観光客にも十分対応可能だと思いますし、松山の場合ですね、皆さんもお感じになっているとおり、少しグレードの高いホテルがないっていう弱点が、かねてから指摘をされてきたところでありまして、そういったものがもしできればなという個人的な期待はあります。旅館とはまた違ったマーケットになると思います。
(読売新聞)
読売新聞です。よろしくお願いします。取得から20年余り経過している土地だと伺っているんですけれども、財政上の理由等あってなかなか手がつかなかったということで知事ご自身として、改めてになりますけれども、有効な活用がこれまでできてこなかった理由とですね、あと今回応募提案をするに当たって、そういうネックというか、そういうのは払拭がある程度できたというふうにお考えなのかお聞かせください。
(知事)
そうですね、当初県が取得した経緯っていうのは、私はタッチしてないので、細かいことは分かりません。ただ、やはりあれだけのまとまった土地、面積がそう広くはないにせよ、まとまった土地でありますから、それをどう活用するかというのは、おそらく私の就任前の段階でもいろいろな模索があったと聞いています。ただ、さまざまな事情でそれが実現しなかった。そこは当事者じゃないので分かりません。
就任してからは、これ何とかしないといけないなという思いはあったんですけれども、なかなか具体的なアイデアが出ないまま、その時に、数年前に経済界が水族館の建設ということを考えているということで、ぜひあの土地を活用したいという申し出がありました。その時には経済界の方向と、それからまちづくりの中でのビジョン、松山市との連携の下にどうなっていくのかが大事ではないかということで、その結果をお待ちしていますという話で返させていただいた経緯があります。これ実はなかなか結論が出なくてですね、こちらの方から、やるかやらないか、ともかくそこの答えをいただかないと身動きが取れない状況がもう何年も続いていたんですね。何度か、ともかく結論を出してほしいという要請は続けてました。それがようやく今年の2月に出てきて、やらないという結論が出たわけでありますから、それを受けた後は最速のスピードで今動いているつもりでございます。
(読売新聞)
すいません、それで民間の資金なども活用を想定されているということなんですが、具体的にはPFIのことを指していらっしゃるんですか。
(知事)
PFIはですね、公の施設というものを目途にして、行うべき手法だと思いますので、今回の場合はバンケット機能であるとか宿泊機能であるとか、これはもう公の施設とはまた違った色合いが、色濃く出てきますので、これはPFIには馴染まない(なじまない)というふうに思っています。
(読売新聞)
民設で民営でということが基本になりそうですか。
(知事)
そうですね。それで、公が協力するという形ですね。
(読売新聞)
基本的にはその整備とか運営にかかる資金、費用は、民間事業者に出してもらいたいと。
(知事)
そうですね。ただいろんな制度がありますから、例えば、せとうち観光(活性化)ファンドとかですね。公のいろんな資金的なバックアップ体制もありますので、そういったもののつなぎであるとか後押しっていうのは十分できると思っています。
(読売新聞)
入札は公募型プロポーザルっていう記載がありましたが、それでよろしいですか。
(知事)
はい、そうです。
(あいテレビ)
あいテレビです。数年前にも愛媛県内ではG20の国際会議も開催されましたけれども、その時に感じた一番の課題っていうのはどういったふうに感じていましたか。
(知事)
そうですね、G20だけじゃなくて大きなイベントの時もですね、本当にさっき申し上げたような少しグレードのある宿泊地が常に足らないというふうなことは感じることがありました。だから、本当にある意味では、そういう会があったときも、宿泊と会場を分散して、その動線の確認、移動の手配、いろんな面で苦慮するっていうことは毎回あるんですね。ですから、そういった機能も含めて考えられるような提案があればいいなというふうに思っています。
(あいテレビ)
全国にはそういった国際会議を備えた機能ですとか、宿泊施設とか備わっている地方の県もあるかと思うんですけれども、どういったところを参考にというか、目指していきたいと考えていますか。
(知事)
それは別にないですね。やっぱり県民文化会館の隣接地という特殊的な地理的な要因もありますので、別に他を模倣するとかそういう考えじゃなくて、この条件の中で何ができるかという独自性を追求していったらいいんじゃないかなというふうには思っています。
(テレビ愛媛)
すみません。テレビ愛媛ですが、スピード感が大事というふうに先ほどおっしゃられておりましたが、今後ですね、埋蔵文化財の調査など、数年かかる可能性もあるということで、いつ頃までに竣工を目指したいのか、任期中にとか、何かそのようなスケジュール感はありますか。
(知事)
与えられた条件の中で最速を目指していきたいと思いますけれども、例えば埋蔵文化財の調査も本当にどれぐらいかかるか分からないので、最低でも漠然とですけれども2年ぐらいはかかるのかなというふうには思いますが、これについても確定するものではないですから、この段階でいつっていうことの明言はできないというふうに思います。ただ1点、本当は松山市のまちづくりの全体像の中でこれを考えていきたいんですけど、それがまだベースがないので、ただこの前の大雑把な中にはこうしたバンケット機能、集客というふうな視点での整備ってのはまだ具体的プランが出てないので、もうこちらは先行させてやっていってもバッティングはしないのかなというふうには思っているんですけれど。
(南海放送)
南海放送です。取材をしていてもですね、四国で再開発が進む中、愛媛県松山市の地盤沈下といいますか、そういうのを懸念する声をよく聞きます。改めて、知事として今回の国際会議場もそうなんですけれども、今後の愛媛や松山のあり方というのを改めて教えてもらえますか。
(知事)
そうですね、やっぱり人口も多いですし、空・海・陸の玄関口でありますから、チャンスをぜひ生かしてほしいと、特に大きなところが全部集中的に残っていますので、国際ホテルの問題にしろ、それから(銀天街)L字(地区の)開発にしろ、(松山)市駅前にしろ、それからJR(松山駅周辺)にしろ、これ同時にやるっていうことは本当に大変だと思います。でも、そうせざるを得なくなっている中で、どうプランを描いていくのか。それから懸念しているのが、街の中心部の更地が拡大しているということ、言わば、街の中心部が溶け始めていると言ってもいいと思います。これをやっぱり現状をどう認識しているのかという観点で、危機感を持っていただいた方がいいんじゃないかなと。観光コンテンツもこれからやっていただけると信じていますけれども、愚陀仏庵が失われて、坊っちゃん列車が失われるという、こういう事態ですから、もう本当に危機感を持って、一緒になってやっていただきたいなというふうに思います。
実は、すごく懸念しているのが、バスターミナルでございます。これはどういうマーケティング、運営、これよほど考えないとある意味では利用されるのか、あるいは赤字を生み出すのかっていう問題にも直結するので、相当な準備が必要ではないかなと。県の立場としてはお金を出す立場ですから、しっかりと対応していただきたいなと思いますね。
(愛媛新聞)
すみません、愛媛新聞です。少し細かいところに戻るんですけれども、県として、県有地の活用策を求められる機能で、国際会議に対応できる会議室とかバンケット機能、宿泊機能とあるんですけれど、規模感としてそのG20とかG7とかっていうと、どのぐらいの人がそこに集って会合をする、もしくは宿泊をする、周辺への影響がどうなのかという、その辺りはどこまで求めるのかという。
(知事)
例えばG20とかG7といった会合の時は、何千人も来るわけではないんですよね。ただ、非常に重要な会議で、しかも関係者が数百人までもいかないかもしれないですけど、警備とかいろんなことを考えると、何人というふうな物差しではなかなか図れないと思うんですね。ただ、こういう機能がないと駄目だっていうところはいろいろあると思うんですよ。宿泊にせよ、動線にせよ。そのものが今、愛媛県松山市の中には不足しているという状況は間違いないと思いますので、少なくともそこを機能面でカバーできるMICEの誘致ができるような機能をそろえるという点で見ているわけでありまして、規模、何人という規模では見ていません。
(テレビ愛媛)
ちなみに、この事業協力者については外資系のものだとか、そういったものを。
(知事)
いや全く分からないです。さっき申し上げたように提案の中でも、複数の事業体が関心を持っているのかなというふうな皮膚感覚ですけれども、ありますので、複数は出てくることを期待したいですね。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。