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第五次国土利用計画(愛媛県計画)案の概要
1 県土の利用に関する基本構想
県土利用をめぐる基本的条件の変化と課題
1 人口減少・高齢化等を背景とした県土管理水準の悪化と地域社会の衰退
○空き地や空き家の増加など土地利用効率の低下
○食料の海外依存リスクが高まる一方、荒廃農地の増加
○必要な施業が行われない森林、所有者不明土地の増加 等
2 大規模自然災害に対する脆弱性の解消と危機への対応
○気候変動の影響と風水害、土砂災害等の激甚化・頻発化
○被害を最小化し、速やかに復旧・復興できる県土の構築に向けた国土強靱化への取組 等
3 自然環境や景観等の悪化と新たな目標実現に向けた対応
○良好な自然環境の喪失・劣化と生物多様性の損失
○エネルギー海外依存リスクが高まる中、再エネ導入が求められる一方、地域社会との共生が課題 等
【1~3に共通する課題】
4 デジタルの徹底活用
5 多様な主体の参加と官民連携による地域課題の解決
県土利用の基本方針
基本的な3つの基本方針とこれらの方針に共通の横断的な2つの基本方針により、持続可能で自然と共生した県土利用・管理を目指す。
1 地域全体の利益を実現する最適な県土利用・管理
○適正な土地の利用・管理手法を定める地域管理構想等の取組の推進
○所有者不明土地や空き家の利用の円滑化、適正な管理の確保
○農業の担い手への農地集積・集約などによる荒廃農地の発生防止、利用 等
2 土地本来の災害リスクを踏まえた賢い県土利用・管理
○気候変動に伴う水災害の激甚化・頻発化に対応する「流域治水」の推進
○災害ハザードエリアにおける開発抑制とより安全な地域への都市機能や居住の誘導
○水源涵養等に重要な役割を果たす森林の整備、保全 等
3 健全な生態系の確保によりつながる県土利用・管理
○保護地域の拡充、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)の設定・管理促進による広域的な生態系ネットワークの形成
○グリーンインフラなど自然環境が有する多様な機能を活用した地域課題の解決 等
4 県土利用・管理DX
○地理空間情報等のデジタルデータ、リモートセンシング等のデジタル技術の徹底活用による県土利用・管理の効率化・高度化 等
5 多様な主体の参加と官民連携による県土利用・管理
○民間企業等の多様な主体の参加や官民連携による取組を促進
○多様な主体の参加や連携を促進するコーディネート機能の確保 等
地域類型別の県土利用の基本方向
都市
○中心部や生活拠点等への都市機能や居住の集約化
○災害ハザードエリアの開発抑制とより安全な地域への居住誘導 等
農山漁村
○雇用促進・所得向上による健全な地域社会の構築
○中山間地域等での集落機能の維持・強化
○農用地の保全等による活性化 等
自然維持地域
○自然環境の適切な保全や再生
○自然環境の有する多様な機能を活用したグリーンインフラ等の推進 等
利用区分別の県土利用の基本方向
農地:優良農地の確保、農業・農村の多面的機能の維持・発揮、農地の集積・集約化 等
森林:カーボンニュートラルの実現に向けた森林資源の循環利用 等
原野等:湿原など貴重な自然環境を形成している原野の保全・ 再生 等
水面・河川・水路:予防保全を含めた施設の適切な維持管理・更新による既存用地の持続的な利用 等
道路:一般道路での輸送の多重性・代替性確保等の観点から必要な用地を確保 等
住宅地:災害リスクの高い地域での整備の制限、低未利用土地の活用、空き家の活用・除却 等
工業用地:環境保全に配慮した用地の確保、設備の廃止が見込まれる土地の有効利用 等
その他の宅地:大規模集客施設の適正立地、より安全な地域への市街地の集約化の促進 等
その他:再生可能な荒廃農地は農地として活用、再生困難な農地は森林として活用 等
2 県土の利用目的に応じた区分ごとの規模の目標及びその地域別の概要
数値目標
県土の利用目的に応じた区分ごとの規模の面積(目標年次:令和12年)
農地:46,780ha
森林:400,830ha
原野等:1,440ha
水面・河川・水路:11,030ha
道路:23,110ha
宅地:26,490ha
うち住宅地:16,300ha
うち工業用地:2,670ha
うちその他の宅地:7,520ha
その他:58,060ha
合計:567,740ha
地域別の概要
○県土資源の有限性を踏まえ県土全体の調和ある有効利用と環境保全を図る。
○地域の区分は、自然的、社会的、経済的及び文化的条件を勘案して、3圏域とする。(東予地域・中予地域・南予地域)
東予地域:ものづくり産業と魅力ある自然等を核として地域の発展を支える活力を創造する圏域の形成
中予地域:県内外から集まる人・モノ・情報を活用し他地域を牽引する多機能圏域の形成
南予地域:豊かな自然の恵みと穏やかで情緒あふれる癒し空間が人を惹きつける交流促進圏域の形成
3 目標を達成するために必要な措置の概要
1 土地利用関連法制等の適切な運用
○土地利用の計画的な調整を通じた適正な土地利用の確保と県土資源の適切な管理
○土地利用基本計画による土地利用の総合調整 等
2 土地の有効利用・転換の適正化
○低未利用土地等を含む既存住宅ストック等の有効利用
○グリーンインフラ等として都市部の緑地を保全・活用
○産業集積の促進を図るための土地利用転換 等
3 県土の保全と安全性の確保
○治水施設等の整備を通じたより安全な県土利用への誘導
○災害リスクの高い地域の把握、公表等
○安定した水資源確保のための総合的な対策 等
4 自然環境の保全・再生・活用と生物多様性の確保
○原生的な自然の公有地化や厳正な保全
○森・里・まち・川・海のつながりを確保した広域的な生態系ネットワークの形成 等
5 持続可能な県土管理
○都市機能及び居住の都市中心部や生活拠点等への誘導
○優良農地の確保と県土保全等の多面的機能の適切な発揮
○森林の有する多面的機能の持続的かつ適切な発揮 等
6 多様な主体による県土利用・管理の推進
○人口減少下における地域課題の解決に向けて、農地等の土地の管理方法の転換等を図る市町管理構想や地域管理構想の取組の推進 等
7 県土に関する調査の推進
○国土調査、法人土地・建物基本調査及び自然環境保全基礎調査等の県土に関する基礎的な調査の推進と総合的な利用
8 計画の効果的な推進
○県土利用・管理をとりまく状況や変化、分析を通じた計画推進上の課題の把握
お問い合わせ
愛媛県 土木部 道路都市局 都市計画課 土地利用調整係
TEL:089-912-2736 FAX:089-912-2734