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大川水系河川整備基本方針
平成15年6月
- 河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
(1)流域及び河川の概要
(2)河川の総合的な保全と利用に関する基本方針 - 河川の整備の基本となるべき事項
(1)基本高水並びにその河道及び洪水調節施設への配分に関する事項
(2)主要な地点における計画高水流量に関する事項
(3)主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項
(4)主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項
(参考図)
1.河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
(1)流域及び河川の概要
大(おお)川はその源を松山(まつやま)市祝谷西(いわいだににし)町御幸寺山(みゆきじやま)に発し、護国(ごこく)神社の前を流下し、松山市内の中心部にある松山城の北側を西に流下し、途中、国道196号付近で北に向きを変え、支川吉藤(よしふじ)川及び久万(くま)川を合わせ、松山市勝岡(かつおか)町で堀江(ほりえ)湾に注ぐ、流域面積24.1k平方メートル、幹川流路延長8.5kmの二級河川である。
その流域は、県都松山市の北部に位置し、松山市における社会、経済、文化の基盤を成している。また、自然環境の乏しい市街地にあって、沿川住民にやすらぎと潤いを与える貴重な空間としての位置付けは大きいため、本水系の治水・利水・環境についての意義は極めて大きい。
大川流域の上流部には山地が多々あるが、平地部の河道周辺は、高度に都市化された市街地となっている。中流部は水田が多い田園地帯となり、下流部は再び、工場や宅地が密集する市街地となっている。
大川は、隣接する一級河川重信(しげのぶ)川水系石手(いして)川より導水されたかんがい用水を、沿川に補給するため、古くから利用されており、直線的な単断面河川となっている。河道は、川幅が狭く築堤部が多いことから、洪水による破堤等を防止するため、両岸がコンクリート護岸で施工されている区間が多く、そのため、一方では、生物の生息・生育環境の乏しいものとなっている。
上流域は、松山市の中心市街地北部及び道後(どうご)・祝谷(いわいだに)地区等の居住地から形成されている。また、道後温泉や護国(ごこく)神社等の観光資源に恵まれた地域となっており、全国からも多くの観光客が訪れている。植生としては、最上流の山地において、愛媛県内各地で栽培されているミカン、イヨカン等の常緑果樹園やコバノミツバツツジ-アカマツ群落が見られる。河道周辺は、高度に都市化された市街地で、河道内にはほとんど植生が見当たらないが、床固工の下流部に形成された淵等には、オイカワ等の魚類が生息しており、貴重な空間となっている。
中流域は、農業用ため池が連続する田園風景となっており、堤防天端が散策路として利用されている。河床部は連続した小さな瀬と所々に淵が形成されている。植生については、砂州上や河岸上流部にオギ群落等のイネ科植物が点在している。魚類については、オイカワ、モツゴ、ブルーギル等の小魚が生息している。
下流域は、住宅及び農機具工場等が沿川に広がっている。河道内の植生は乏しいが、河岸部において、イヌビエ、オギ、ツルヨシ等のイネ科植物の群落が点在している。魚類については、オイカワ、メダカ、ギンブナ、ボラ等が生息している。
河川の水質は、環境基準の類型指定は設定されてないが、平成13年度の水質調査結果によると、上流の護国神社前で環境基準B類型程度、下流の馬木(うまき)橋でC類型程度となっている。
大川の治水事業は、昭和45年より、河口から馬木橋付近において、計画高水流量を150立方メートル/sと定め、河道拡幅、築堤、護岸、河床掘削を行う改修を実施している。
また、支川久万川では、昭和53年より、大川合流地点から久万川橋付近において、計画高水流量を75立方メートル/sと定め、河道拡幅、築堤、護岸、河床掘削を行う改修を実施している。しかしながら、現在、両河川とも未改修区間が多く残っている状況である。
河川水の利用については、古くから農業用水に利用されており、中流部及び下流部の農地約150haの、かんがい用水として利用されている。
(2)河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
本水系における河川の総合的な保全と利用に関する基本方針としては、河川改修の実施状況、水害の発生状況、河川の利用状況、流域の文化並びに河川環境の保全を考慮し、地域の社会経済情勢と調和を図りつつ計画を定め、河川の総合的な保全と利用に努める。
災害の発生の防止または軽減に関しては、洪水被害を軽減するために、河道の拡幅、護岸の整備等を進め、洪水の安全な流下を図ると共に、情報伝達体制を整備する。さらに、たとえ越水した場合でも、被害を最小限にするため、総合的な被害軽減対策を関係機関等と連携して推進する。
河川水の適正な利用に関しては、利水者との連絡調整を図り、効率的な農業用水の利用がなされるよう努めるとともに、松山市と連携して、流域内において計画されている下水道事業の促進を図るなど、流水の正常な機能の維持に努める。
河川環境の整備と保全に関しては、自然環境及び河川利用の実態の把握に努め、治水面・利水面との調和を図る。今後の河川整備にあたっては、瀬・淵及び植生の回復に努め、特にメダカ等の生息に必要な水際植生の保全や復元を図る等、動植物の生息・生育空間の確保に努める。
河川の維持管理に関しては、災害発生の防止、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持及び河川環境の整備と保全の観点から、河川管理施設の機能を常に最大限に発揮できるように河川管理施設の点検及び整備に努める。また、河川愛護の啓発に努め、地域と一体となって川づくりを行い、水質及び自然環境の保全等適正な維持管理に努めるとともに、沿川住民が親しみを持てる川づくりに努める。
2.河川の整備の基本となるべき事項
(1)基本高水並びにその河道及び洪水調節施設への配分に関する事項
基本高水は、昭和18年7月の既往最大洪水等を踏まえ、ピーク流量を基準地点大川橋地点において120立方メートル/sとする。
河川名 |
基準地点 |
基本高水のピーク流量 |
洪水調節施設による調節流量 |
河道への配分流量 |
---|---|---|---|---|
大川 |
大川橋 |
120立方メートル/s |
0 |
120立方メートル/s |
(2)主要な地点における計画高水流量に関する事項
計画高水流量は、基準地点大川橋において120立方メートル/sとする。
計画高水流量配分図
(3)主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項
本水系の主要な地点における計画高水位および計画横断形に係る概ねの川幅は、次表のとおりとする。
河川名 |
地点名 |
河口からの距離(km) |
計画高水位(T.P.m) |
川幅(m) |
---|---|---|---|---|
大川 |
大川橋 |
4.4km |
+13.71 |
17m |
(注)T.P.:東京湾平均海面
(4)主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項
大川における既得水利としては、農業用水として、慣行水利がある。
流水の正常な機能を維持するため必要な流量は、今後、流況等の河川の状況把握に努め、動植物の生息または生育等に十分配慮し、調査及び検討を行ったうえで設定するものとする。