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北川水系河川整備基本方針
平成13年11月
- 河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
(1)流域及び河川の概要
(2)河川の総合的な保全と利用に関する基本方針 - 河川の整備の基本となるべき事項
(1)基本高水並びにその河道及び洪水調節施設への配分に関する事項
(2)主要な地点における計画高水流量に関する事項
(3)主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項
(4)主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項
(参考図)
1.河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
(1)流域及び河川の概要
北川は、その源を道前平野の北西部に位置する五葉ヶ森(標高840.6m)の中腹に発し、急峻な山間部を東に流れ、庄内地点で北東に流れを変え、道前平野を流下して瀬戸内海の燧灘に注ぐ、流域面積10.4k平方メートル、流路延長4.6kmの二級河川である。
その流域は、全域が東予市内に位置し、上流域が越智郡朝倉村と接する山間部、中下流域が道前平野の耕作地帯となっており、本川が、沿川地域への洪水氾濫を抑制及び防止する役割をしていることから、本河川の治水・利水・環境についての意義は極めて大きい。
北川の上流域では、落葉樹林や常緑広葉樹林の山地が見られ、その植生は、モウソウチクやスギ、ヒノキの植林で形成されている。河川植生については、ミゾソバが優先している。
中流域では、シャヤナギの河畔林が見られる。下流にかけての河道内の植生は、ツルヨシ、ヌカキビが繁殖している区間が多く、そのため、緩流の区間が所々形成されている。
下流域では、隣接する宅地内で屋敷林が形成されており、クスノキ、アラカシ等が見られる。河川植生については、中流から下流において、ツルヨシ、ヌカキビが繁殖している区間が多い。
この様な河道内の状況において、生息している魚類の主な種は、カワムツ、ギンブナ、シマドジョウ、メダカ、ドンコであり、これらは比較的流れがなく、淀んだ淵や平瀬に生息する種である。
また、北川の背後地は、耕作地および水田として利用されているため、その植物相は、カヤツリグサ、タカサブロウ等の水田雑草が育成しているが、群落は形成しておらず、注目すべき植物等の選定基準に該当する植物種は確認されない。
北川の河口付近を含む東予市の海岸は、干潟の発達したところで、古くからカブトガニの生息場所として知られており、昭和24年に「カブトガニ繁殖地」として、愛媛県の天然記念物に指定されている。しかし、昭和30年代後半から、燧灘沿岸の干潟を対象に工業用地の造成のため、埋め立てが急速に進められたことにより、ほとんどの干潟は消失し、加えて工場排水により海水も汚染されたため、カブトガニの生息場所及び産卵場所が減少し、近年、その数は減り続けている。
河川周辺の大半が水田となっており、定まった河川空間の利用は行われていないが、JR予讃本線下流と国道橋下流付近の一部は、家屋の密集区域となっており、堤防は散歩道及び生活用通路として周辺住民に利用されている。
河川水の利用は、農業用水のみで、右岸側の水田は北川より直接取水している。左岸側の水田は、大明神池をはじめ、流域内に数多くある溜池を利用している。
河川の水質については、環境基準点は設定されていないが、JR橋下流付近でAA~A類型程度となっている。
北川は、長年の流下堆積物により天井川を形成しており、過去の洪水時において氾濫の原因となっていた。このような状況を踏まえ、昭和51年9月の台風17号による被害を契機に、基準地点を山元川合流後にし、計画高水流量を120立方メートル/s(降雨確率1月30日)として、護岸、河床掘削、橋梁架け替え等改修に着手している。現在は、河口から自安橋付近まで改修が済んでおり、天井川の形状は解消されつつある。
(2)河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
本水系における河川の総合的な保全と利用に関する基本方針としては、河川改修の実施状況、水害の発生状況、河川の利用状況、流域の文化並びに河川環境の保全を考慮し、地域の社会経済情勢と調和を図りつつ、水源から河口まで一貫した計画のもとに、河川の総合的な保全と利用を図る。
災害の発生の防止または軽減に関しては、洪水被害を軽減するために、堤防及び護岸の整備等を進め、概ね30年に一度程度の降雨で発生する洪水の安全な流下を図ると共に、情報伝達体制及び警戒避難体制を整備する。
さらに、たとえ越水した場合でも、被害を最小限にするため、総合的な被害軽減対策を関係機関や沿川住民等と連携して推進する。
河川水の適正な利用に関しては、利水者との連絡調整を図り、効率的な農業用水の供給を行いながら、流水の正常な機能の維持に務める。また、渇水時においては、渇水被害軽減のための情報を提供し、地域住民の協力を得られるように努める。
河川環境の整備と保全に関しては、自然環境及び河川利用の実態の把握に努め、治水・利水面との調和を図りつつ、下流と中流部の一部にある家屋密集区域では、周辺地域と一体となった良好な河川環境の整備を関係自治体等と調整して推進に努める。また、上中流部では、河道内の自然環境を生かし、潤いのある河川環境の保全に努める。
河川の維持管理に関しては、災害発生の防止、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持及び河川環境の整備と保全の観点から、河川管理施設の機能を常に最大限に発揮できるように施設の点検及び整備に努める。河道の流下断面確保のため、堆積土砂を除去する場合は、可能な限り水辺の自然環境の保全に配慮して行うものとする。
また、河川愛護の啓発に努め、地域と一体となって川づくりを行い、水質保全、自然環境の保全等適正な維持管理に努めるものとする。
2.河川の整備の基本となるべき事項
(1)基本高水並びにその河道及び洪水調節施設への配分に関する事項
基本高水は、昭和51年9月の既往最大洪水等を踏まえ、概ね30年に一度程度の降雨で発生する洪水とし、そのピーク流量を基準地点山元川合流後において120立方メートル/sとする。
河川名 |
基準地点 |
基本高水のピーク流量 |
洪水調節施設による調節流量 |
河道への配分流量 |
---|---|---|---|---|
北川 |
山元川合流後 |
120立方メートル/s |
0 |
120立方メートル/s |
(2)主要な地点における計画高水流量に関する事項
計画高水流量は、基準地点山元川合流後において、120立方メートル/sとする。
北川計画高水流量配分図
(3)主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項
本水系の主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る概ねの川幅は、次表のとおりとする。
河川名 |
地点名 |
河口からの距離(km) |
計画高水位(T.P.m) |
川幅(m) |
---|---|---|---|---|
北川 |
山元川合流後 |
0.16km |
+2.94 |
21m |
(注)T.P.:東京湾平均海面
(4)主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項
北川における既得水利としては、農業用水として、慣行水利がある。
流水の正常な機能を維持するため必要な流量は、今後、流況等河川の状況把握を行い、動植物の生息または生育等に十分配慮し、調査及び検討を行ったうえで設定するものとする。