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「えひめ人口減少対策重点戦略」に関する記者発表(10月28日)の要旨について
【記者発表資料】
日時 令和4年10月28日(金曜日) 11時30分から11時52分
場所 知事会議室
(愛媛朝日テレビ(幹事社))
では、続いて、えひめ人口減少対策重点戦略についてですが、会見終了後記者室でレクがあると聞いておりますので、詳細の確認はそちらでお願いします。それでは、知事お願いします。
(知事)
ご案内のとおり、人口減少は日本全体の大きな課題でございます。また、多くの地方都市で人口の流出と出生数の減少が続き、直近の統計では東京都を含む1都3県でも調査開始以来、初の人口減少となったという発表もございました。
こうした中、本県において今後の人口減少対策を進める重点戦略をまとめましたので、発表させていただきます。この戦略の意図するところは、地域を構成する多様な主体が力を合わせて出生数を増加させることで、将来的な人口構造の若返りを目指すものでございます。
なお、主な支援策については、令和5年度からの実施となりますが、少しでも早く対策を実施する必要があること、また、この春からの就職活動に向けた、学生、企業双方の検討や活動に、今の時点からメッセージを出さないと間に合いません。ということで、そこに生かしてもらうため、この時期にあえて発表させていただくことといたしました。
詳細は、会見終了後に担当課から説明させますので、要点のみ私の方からお話させていただきます。
まず、社会減でございますが、男女とも流出が続きますが、男性よりも女性の方が愛媛県の場合、転出超過が多くなっております。女性の減少や未婚率の上昇等により、結婚者数がここ10年間で3割減少しております。それに連動して出生数も3割減っているということで、人口減少の要因となってます。
人口減少対策を進めるに当たっての留意点でございますが、ここは大事なところなのですが、結婚や出産は、自己決定と尊厳に関わります。社会から強制されることがあってはならない課題でございます。また進学・就職についても同様でありまして、県外に進学や就職したいという個人が、いろんな声は、受けるべきではないと、県民一人一人の生き方が尊重される社会を構築することが大前提であるということをあえて申し上げさせていただきます。その上で、何をするかといえば、愛媛に居続けたいな、愛媛に戻りたいな、愛媛で就職したいな、やりたいことを実現したいなと、若者が前向きに思えるような環境を作っていくことが必要であると、重要であるというふうに考えます。人口は減少するものの、出生数が前年比で増加し続けることで、人口構造が若返り、社会経済システムが安定化することから、出生数の反転増加を目指すこととしたいと思います。
そのためには、特に女性を含めた若年世代に、県外への進学・就職する以上に、県内へ戻ってきてもらうこと、また婚姻件数の増加が重要でございます。
さらに、人口減少による労働力人口の減少や消費の減少という事態が顕在化しつつあります。今後の経営と事業継続に影響を及ぼす人口減少は、特に、企業をはじめとして、県内で雇用の場を提供する全ての企業、また事業者への影響は避けられないと思います。そこで対策を進めるに当たり、企業・事業者自らが問題意識を持って変革に取り組み、男性だけでなく、女性からも選択されるよう、魅力のある企業へと成長することが不可欠でございます。
企業・事業者と行政が協働して、愛媛で就職し、結婚・出産の希望をかなえ、安心して子育てを行い、仕事と家庭の両立ができる環境を整えていく、という視点が必要になってまいります。
仕事と育児の両立、女性活躍の現状をデータでこちら示してますが、データで見ますと、男性の育児休業取得や、家事・育児への参加が低調であること、また、出産時に退職する女性は減少傾向にありますけれども、いまだ3割に上っているなど、依然として課題も多く、就職に当たっては、業種・職種、年収、特に業種・職種の中で、その中身ですね、働きやすさであるとか、そういったところが重視されることが明らかとなってきています。
このような状況を踏まえまして、企業・事業者に期待することは、自ら意識改革と行動変容を行っていただき、女性からも選択されるような変革・成長を遂げて、地域全体として、変化していくことが必要ではないかと考えます。
具体的に取り組んでいただけたらと思っていることは、女性の出産退職ゼロや、男性の育児休業取得100%など、仕事と育児の両立、女性活躍に向けた職場づくり、そして二つ目に、従業員に対する出会いの場の提供など、結婚・出産しやすい環境づくり、三つ目に若年者の積極的な雇用と賃金給与の向上でございます。
経営環境も厳しい中で、非常に高いハードルでございますが、こうした企業や事業者が増え、愛媛県というのは本当に、働く職場、魅力あるところがたくさんあるなというふうに若い人から認識される地域に成長していくこと、その結果、選ばれる地域になるということを目指すには、極めて重要な目標になると考えております。
このため、県の支援策の柱は、変革・成長を目指す企業・事業者への支援、また市町と連携した妊娠・出産、子育て支援でございます。
まず、仕事と育児の両立、女性活躍に向けた職場づくりを進める企業・事業者への支援策として、ひめボス宣言制度の抜本的な拡充を検討しております。この戦略に呼応した取り組みを進める企業・事業者に対する支援措置を創設するほか、働く女性を応援する企業・事業者数の拡大を図るため、アドバイザー派遣等を検討しております。
また、セミナーやイベント等を開催し、働く女性を応援する機運の醸成や、男女の家事・育児のシェアの推進を図りたいと考えております。
さらに結婚・出産しやすい環境づくりを進める企業・事業者への支援として、若年者の意見を踏まえた、出会いの場づくりの、県としての検討や、妊娠・出産に関する知識・理解の向上を図るための支援を行いたいと思います。
次に、企業・事業者が変革・成長を遂げること、そして、若年者にそのことを知ってもらうことが重要でありますので、若者のニーズをとらえたデジタル活用によるプロモーションを展開するなど、大学3年生への就職支援を実施するとともに、進学等で一旦県外に転出した県内出身者に対しましても、県内企業・事業者との交流機会の拡大や、移住促進に向けた、特にこれまで東京圏が中心でありましたけれども、大阪圏へのアプローチの強化を行うことで、県内就職や移住につながる支援を展開したいと思います。
また、市町の実情に応じた取り組みが可能なメニュー選択型のえひめ人口減少対策総合交付金、仮称でございますけれども、この創設も検討したいと思います。
結婚や子育てにかかる経済的負担の軽減などのメニューを、市町が選択し、県との連携事業として実施する、県が重視してきた基礎自治体を中心とする県政運営、ここで培ってきたチームワークを生かした事業にしていけたらと願っています。
資料に例示したもの以外にも検討しており、現在、来年度からの実施に向けて準備を進めております。以上、支援策の考え方を説明いたしました。大半は、令和5年度からの実施に向けて検討を行っております。
この重点戦略は特に、地域を支える全ての企業・事業者の意識改革や行動変容を期待するものでございます。女性が県内で活躍できる職場や環境づくりを行い、女性からも選択される愛媛となることで、長期目標の2060年、人口100万人、短期目標の2026年、転出超過解消、そして出生数8,500人を目指したいと思います。非常に高い目標ですけれども、高い目標に向かって頑張っていくという姿勢で臨めれたらと思っています。
行政の取り組みだけでなく、県内の企業・事業者におかれましても、この戦略の趣旨、そうでなければ、人を確保することもままならない時代に入ってくるということを共有していただいた上で、それぞれの職場の実情に応じて、可能なものから取り組みを進めることにより、企業・事業者の活動の持続性、そして県全体の持続性と活力の維持発展を目指していきたいと思います。以上です。
(愛媛朝日テレビ(幹事社))
ただ今の発表事項に関しまして、質問のある社はお願いします。
(NHK)
NHKです。取り組み見まして、人口減少は愛媛の問題だけじゃなく、全国的な問題だということで、取り組み内容を見た感じ、若い世代の投資というのがかなり見られると思うんですが、知事としてこの若い世代への投資の重要性はどのように考えていますか。
(知事)
もう、それなくして日本の将来の発展はないというぐらい重要な問題だと思います。そのために、抜本的には、全国の出生率の問題もある。また地方レベル、大都会とかはなから優位性を持っているところとも競争していかなければなりませんから、そこで人口流出を食い止める、あるいは人口流入を増加させる、その手だてが必要であるというのは、これはもう地域の大きな課題であるということでございます。その中で、やはり若年層が、かなり就職時に、特に女性が多いんですけども、県外流出が著しいデータも出てますので、その原因を分析する中で、政策を考えていく。そこで出てくるのが行政だけではどうにもならない。やはり、愛媛県の全体が魅力的な職場づくりに取り組んでいる、あるいは実現できているという、メッセージがなければ、選択肢に入ってこない時代に入ってくると思いますので、しっかりと、これは強制ではないですけども、やっぱり問題点を、企業・事業者にも共有していただいて、方向性、目指す方向性を一にして、取り組みを進めていく、今、正念場ではないかと感じております。
(NHK)
あともう一点なんですが、交付金についてなんですけど、仮の名前ということで、行政、市や町に期待することで、県としてありますか。
(知事)
そうですね、より一層、地域と密接な関係がありますので、それぞれの取り組みも考えていただきたいと、今のを共有していただく中で考えていただきたいと思いますので、市町によって、取り組みの中身や優先度というのは変わってくると思いますけれども、成功事例が出てきたら、やはりそこに触発されて、拡大していきますので、大いにいい意味での政策の競争をしていただけたらいいのではないかなと思ってます。
(愛媛新聞)
すいません。愛媛新聞です。若者へのですねPRという、企業さんの魅力のPRとか、デジタル活用によるプロモーションの展開あると思うのですけども、一番そこが難しいところなのかなというふうに思ってまして、いい企業があるけれども知らないっていうこともあるんじゃないかなと考えますけど、そこらへん、もしよろしければもう少し教えていただければと。
(知事)
実はもうこれ既に、行政としての取り組みは、この10年間やってきております。それがスゴ技データベース、すごモノデータベース、すご味データベースを活用した、多感な中学生や高校生に地元の魅力的な企業を紹介していく取り組みは教育現場でも行って参りました。それとジョブチャレンジU-15という事業で、愛媛県独自の職場体験の非常に深みのあるメニューの事業も行って参りました。ただ、それはどちらかというと、この会社はこんな製品を作ってるよと、あるいは日本全体を、世界を相手にしてるよ、という企業の強みを知ってもらうことに力点が置かれていたと思います。
で、今回の力点、当然それも今まで通りやっていきますけれども、力点は働き方、例えば、女性にとって、入った後にキャリアアップがどうなっているんだろうか、あるいは、働いた後に子育て支援というのはどのように理解があるのだろうか、こういった点のメッセージをどう伝えるかということになります。ですから、アプローチの仕方は変われども、既に、今言ったようなスゴ技データベース等を活用した、あるいはジョブチャレンジを活用した事業で、メッセージを出すという経験はしてますので、それを大いに生かした上で、今申し上げたような新たなメッセージを送っていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
もう一点、交付金とですね、企業さんへの支援というところでも、これも来年度からの予算だと思うんですけれども、基本的には多分まだ編成もしていないところだと思うんですけど、どの程度の規模でしょうか。
(知事)
まだ全然、これから検討です。さっき申し上げたように今回予算化していない段階で、なぜ発表するか、それはもう間に合わないからですね。特に、既にもう来春に向けての動きもどんどん始まってきていますので、早めに愛媛県全体がこういうことに取り組むんですよっていうメッセージを、早く送らせていただきたいということがありまして、あえてこの時期に発表させていただきました。金額等についてはこれからしっかり議論していきたいと思っています。
(愛媛朝日テレビ)
すいません。愛媛朝日テレビです。よろしくお願いします。何点かあるんですが、一点、あらためてなんですけど、人口減っていうのは、愛媛県の場合ずっと続いてきている問題で、今回、あらためてこの時期に、より重点的にやらなきゃいけないっていうその背景ですね。コロナでより人口減のスピード進んでいることとか、待ったなしの状況になっているとか、危機感がより強まってってことだと思うんですが、そのあたりをちょっと改めて教えてください。
(知事)
何も愛媛県だけではなく、さっき冒頭に申し上げたようにこれ、日本全体の問題であるということを忘れてはいけないと思うのですね。一番多い時期、1年間に270万人の赤ちゃんが誕生していた、全国でですね。今年度はおそらく上半期の状況で38万人ですから、初めて80万人を切るという状況になってきています。ずっと100万というのは続いてその後にまた下がってきている。親世代が少なくなってきていますから、少子化が進めば進むほどどんどんまた縮小していくという過程に入ってきますので、これはもう本当に日本全体の問題であり、かつ、そういう中で東京、あるいは大阪、福岡という大都市圏は、ある意味では、地方のように、しゃかりきにならなくても、もう自然に人口流入がありますから、そこと競争していかなきゃいけないのですよね。だから、より一層厳しくなっている全国の現状と、その中で、さらに激化する地域間競争ということを踏まえた判断でございます。
(愛媛朝日テレビ)
その地域間競争のところなんですけれども、なかなかこれだけ、東京、首都圏にですね人口が集中しているとですね、一つの県だけでの対策だけでは、なかなかこう大きな流れを変えられないところがあると思うんですが、そのあたり、例えば最低賃金の問題とか、国にある程度やってもらわなきゃいけないところとか、そのあたりをどういうふうに考えていますか。
(知事)
知事会等も通じて、あるいは個別にも通じて、国にも常に働き掛けを行っていますけれども、そこで国全体がどれだけこの問題を重要視しているのか、ということは分かりません。それはもうそれぞれ国会議員なり、省庁の方々、議論はされていると信じるしかないのですね。別に私は国政に参画しているわけではないですから、そこはこうした声を常に上げていますから、受け止めて真剣に考えていただきたいと。特に、皆さんも薄々感じられていると思いますけれども、これだけの人口構造が変化すると、間違いなく日本の社会保障制度は行き詰まります。今の日本の社会保障制度というのは、年金にしろ、保険にしろ、若年人口が多くて、福祉サービスを必要とする高齢者人口が少ない前提で作られた制度ですから、これ逆転しているということは制度が成り立つはずがないのですね。しかし、そこには、例えば、負担の問題、サービスの問題、場合によっては、国民から批判を浴びるような提案が必要なこともあるかもしれない、そこを今逃げているというのが正直言って実態だと思うのですね。だから早く、これずっと言い続けているのですが、早く真剣にこの社会保障問題なんかも含めて、その根底には人口問題がありますから、両にらみで、政策展開の優先順位をもっと上げる必要があるというふうに思います。
(愛媛朝日テレビ)
ありがとうございます。
(読売新聞)
読売新聞です。今回のこの重点戦略の位置付けなんですけれども先日、知事の出馬会見の際にも公約の三本柱の中に人口減少対策とあって、それの具体的な、実際の政策内容が今回の話という認識でよろしいのでしょうか。
(知事)
そうです。ずっと考えてきたことです。職員とも議論をしてきましたので。
(読売新聞)
次の4期目に入ったらこういうことをしたいという、全体の流れというか。
(知事)
それはなんというか、選ばれるかどうか分かりませんから、そこまでは触れませんけれども、あくまでも、来春の就職、もう始まっていきますので、早くこういうメッセージを出さないとそこに影響が出てしまうので、あえて発表させていただきました。