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所長挨拶
所長 若本 裕之
高木憲次博士の提唱された療育の理念のもと昭和17年板橋に整肢療護園が開設され半世紀以上が経過いたしました。各県に肢体不自由児施設が普及し、またその後対応が困難であった重症児のための重症心身障害児施設が開設され障害児の療育に尽力してきました。愛媛県でも昭和27年今治に愛媛整肢療護園が開設され、重症児には愛媛病院、南愛媛病院(現在は南愛媛療育センター)がその役を担ってきました。
施設の果たす役割はその時代の状況に対応していく必要があります。関わる疾患もポリオから脳性麻痺、それも最近はNICUの発達で生命維持のため人工呼吸器を必要とするような超重症児の対応まで必要となってきました。肢体不自由児施設単独の愛媛整肢療護園では必要とされる療育に対応できなくなり、新たな機能が求められていました。
平成19年4月東温市に新たにスタートした愛媛県立子ども療育センターは肢体不自由児施設と重症心身障害児施設の機能に加え、病弱児の入院できる一般病棟、短期入所(ショートステイ)、重症児通園施設(A型)と発達障害者支援センターの機能を備えています。障害児の総合的な施設ではありませんが、以前に比べ県民の御要望のいくらかでも果たせる施設になったかと思われます。
東京パラリンピックを契機に国際障害者年などで国民にリハビリテーション理念が浸透し、バブル以降の経済の停滞、少子化社会といった社会背景のもと施設から地域へと施設に求められる機能も大きく変わってきております。これからはさらに個人個人に対しきめ細かい対応が求められる時代となるでしょう。
『みんなで育て、みんなが育つ』というセンターの理念のもと、子どもたちの権利を守り、家族の支えや人々の支援を大切にし、より専門性を向上させ更に一層子ども療育センターを充実させ県民の方々のお役にたちたいと考えています。