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えひめの環境保全に関する基本的事項 (6)環境保全措置の具体例
愛媛県環境影響評価技術マニュアルから抜粋
大気質
- 1)工事の実施における環境保全措置
- 工事内容の平滑化、作業時間の見直し等により、機械台数を削減、過度の集中を避ける。
- 硫黄分の少ない燃料の使用や、排出ガス対策型及び電気を動力とする低公害型の建設用機械を使用する。
騒音対策
- 1)道路交通騒音
- (発生源対策)自動車構造の改善,騒音規制の強化,技術開発の推進,低公害車の開発及び利用の促進等
- (交通流対策)道路網の整備による対応・環状道路、バイパスの整備等
- (道路構造対策)基本構造による対応・掘割構造等の採用・立体交差点化の推進等
- (沿道対策)緩衝空間の設置による対応・公園・緑地の配置・公園の配置、農地・緑地の配置等
- 2)民間事業者における対策
- 低騒音型の車両の利用、自動車等の整備点検の徹底、空ぶかしの防止等
- 3)建設作業騒音
- (音源対策)音の発生しない工夫、消音マフラーの設置、防音カバー、防振等
- (伝搬防止)距離を離す(音のエネルギーの拡散)、音源の向きを変える(指向性)等
振動
- 1)道路交通振動
- 自動車の構造整備・自動車自体の整備、懸架ばねの改良、ショックアブソーバの利用等
- 2)民間事業者の道路交通振動対策
- 低振動型の車両の利用、自動車等の整備点検の徹底等
悪臭
1)原料や溶剤に用いる悪臭物質の使用制限等
低周波音
- (回避)立地位置の変更、道路ルート変更(保全すべき住宅や、対象等の近傍を回避)等
- (最小化)橋梁の剛性を増したり、ジョイント部の段差や遊隙を解消する等発生を抑制する
- (低減)配置計画の変更等による緩衝(緑地)帯を確保する等
日照障害
- 1)対象事業に係る工作物の高さや形状、配置等を検討する
- 高さや形状の調整,セットバックの採用,建物や工作物をできるだけ敷地の南側に寄せ、塔状にする。
- 2)太陽光集光装置による対策
- 太陽光を積極的に建物内に導く装置を利用する
水質・底質
- 1)工事の実施における環境保全措置
- 土木工事の各段階での排水水量の調整を行う調整池(沈砂池)の設置等
- 2)供用後の施設等における環境保全措置
- ダムの堤体位置や取水,排水地点の変更による水道水源等利水や水面利用、注目すべき動植物、地形及び地質、景観、ふれあい活動の場等への流量の変動等に伴う影響の回避、最小化等
地下水
- 1)地下水低下工法による周辺地下水障害の防止対策
- 地下水位低下工法の不採用(水中工法、地中連続壁工法、地盤改良等)
- 2)地中構造物設置に伴う地下水流動阻害の防止対策
- 3)浸透能低下による地下水位低下の防止対策、浸透能低下防止(水循環回復)対策
土壌
- 1)工事の実施における環境保全対策
- 対象事業実施区域に土壌汚染が認められる場合には、土地利用改変作業の中止又は位置若しくは実施時期の変更又は汚染土壌対策を実施
- 2)供用後の施設等の管理方法
- 土壌環境保全機能の代替設備の設置(浄化設備、貯水池)等
地盤沈下
- 1)工事の実施における環境保全措置
- 掘削等の位置の変更による帯水層への影響の回避等
- 2)土地又は工作物の存在及び供用後の施設等における環境保全措置
- 水源の転換等による地下水の揚水の中止等
地形及び地質
保全上の配慮事項
- 地形の改変量の最小化,造成面積及び土工量の最小化,漂砂による海岸地形の変化の最小化等
環境保全措置
- 1)事業計画上配慮した施設等の配置、規模及び構造
- 重要な地形及び地質の特性を損なわない事業計画,既存の地形及び地質を生かした土地利用計画等
- 2)工事の実施における環境保全措置
- 山地、丘陵地での切土及び盛土の土工量の必要最小化等
植物
1)陸生植物
(環境保全措置の検討)
注目すべき個体、種、群落のうち極めて価値が高いものが分布する場合は、原則としてその生育場所を改変区域から除外するとともに、その生育環境の保全に必要な条件(水象、日照等)を確保する等により、将来にわたって残存させる。
- (回避・低減)
- 改変区域や造成区域の縮小や変更等により、重要な種・群落の生育地への影響を回避・低減する。
- (代償)
- 対象事業の実施により、重要な種の生育環境が損なわれるような場合には、量的な面に加え、質的な検討を行い、新たな陸生植物の生育環境の確保又は創出をする。
2)海生植物
- (回避・低減)
- 改変区域や造成区域の縮小や変更等により重要な海生植物の分布地や生育環境として重要な藻場や干潟等への影響を回避・低減する。
- (代償)
- 対象事業の実施により、重要な海生植物の生育環境(藻場、干潟等)が損なわれるような場合には、量的な面に加え、質的な検討を行い、新たな海生植物の生育環境の確保又は創出をする。
動物
1)陸生動物
-
改変区域や造成区域の最小化や、縮小、変更等により、陸生動物の主要な分布地や生息環境として重要な地域への影響を回避・低減する。
2)海生動物
- 改変区域や造成区域の縮小や変更等により重要な海生動物の分布地や生息環境として重要な藻場や干潟等への影響を回避・低減する。
生態系
1)環境保全措置の検討に当たっては、地域の自然的・社会的特性を十分に踏まえて、何を保護し、どのような影響をどこまで軽減するための保全対策であるかを明確にする。環境保全措置は、以下のような考え方を参考に検討するものとする。
- 重要な生育,生息環境を保全する。
- 当該地域内の多様な自然環境を有している地域を保全する。
- 注目種及び指標とした種等の生息環境や行動圏、餌生物等に着目し、これらの保全を図る。
景観
1)立地・施設配置に係る保全対策
目立ちやすい地形条件の場所を避ける等
2)施設規模・構造に係る保全対策
周辺景観のスケール感を乱さない等
3)デザイン・修景等に係る保全対策
- a)素材・テクスチュア
- できる限り自然素材を用いる、光沢のある素材は避ける等
- b)周辺の景観になじみやすい色彩を用いる。
- 自然景観が主体となる領域では低明度、低彩度を基本とする。
- c)その他
- 植栽によりまとまりのある緑量を確保する。
人と自然とのふれあい活動の場
- (回避・低減)区域の変更、造成計画の変更等により、ふれあい活動の場又はふれあい活動の場へのアクセスルートを直接改変域から外す。
- (代償)アクセスルートを新たに整備する。
文化財
- 区域、造成計画の変更等により、直接改変域から外す。
- 現地に保存する。
廃棄物等
- 1)発生抑制(リデュース)
- 造成等事業計画を変更する等
- 2)再使用(リユース)
- 掘削土、浚渫土は対象事業実施区域内の埋戻しや盛土に利用する。
- 3)再資源化(リサイクル)
- コンクリート塊等は粗骨材、路盤材、盛土・埋立材等として再利用する。
- 4)適正処理(プロパー・ディスポーザル)
- 安定化、無害化するとともに、種類別、形態別に分別する等により再利用や処分する。
温室効果ガス等
- 1)二酸化炭素の削減対策
- 2)メタンの削減対策
- 燃料の燃焼における対策(燃料の改善、燃焼の改善等)
- 3)一酸化二窒素の削減対策
- 燃料の燃焼における対策(窒素分の少ない燃料使用による燃料の改善、部分高温化、多段燃焼、低酸素燃焼等燃焼の改善、触媒による分解等の排ガス処理等)
- 4)ハイドロフルオロカーボンの削減対策
- 5)パーフルオロカーボンの削減対策
- 6)六フッ化硫黄の削減対策
- 7)オゾン層破壊物質の削減対策
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