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たばこに関するQ&A
- Q1. たばこを吸うと「がん」にかかりやすくなるというのは本当ですか?
- Q2. がん以外の病気にもなりやすくなると聞きましたが?
- Q3. たばこがどの程度健康に影響を与えるのでしょうか?
- Q4. たばこの煙にはどんな物質が含まれているのですか?
- Q5. 受動喫煙という言葉を聞きましたが、どういう意味ですか?
- Q6. 県内の喫煙者の状況はどうなっているのでしょうか?
- Q7. なぜ、子どもはたばこを吸ってはいけないのですか?
- Q8. 未成年者の喫煙を予防するには、どうしたらいいですか?
- Q9. たばこでやせられるというのは、本当ですか?
- Q10. 妊娠中にたばこを吸うと赤ちゃんにどんな影響がありますか?
- Q11. たばこを吸っているお母さんの母乳は大丈夫?
- Q12. たばこは体の健康には悪いかもしれませんが、心の健康には良いのではないでしょうか?
- Q13. たばこは不利益だけでなく、利益も多いと思いますが、いかがですか?
- Q14. 以前は喫煙していると仕事の能率が上がるような気がしていましたが、最近はそうではないように思います。本当のところはどうなのですか?
- Q15. 低タール低ニコチンのたばこに変えたり、本数を減らしたりすれば、禁煙出来なくても良いのではないかとも思いますが、どうなのですか?
- Q16. ニコチンガムとか、ニコチンパッチといった言葉をよく聞きますが?
- Q17. 「噛みたばこ」や「嗅ぎたばこ」は、健康に悪影響を及ぼしませんか?
- Q18. 最近、加熱式たばこという言葉をよく聞きますが?
Q1. たばこを吸うと「がん」にかかりやすくなるというのは本当ですか?
A1. 喫煙とがんの関連については、様々な研究が行われています。これらの報告によると、肺がん、食道がん、膵臓がん、口腔・中咽頭・下咽頭がん、喉頭がん、腎盂・尿管がん、膀胱がんについて、喫煙が影響すると解釈されています。これらの部位のがんでは、喫煙者は非喫煙者と比べ2倍以上の危険性があり、喫煙との因果関係があると判断する十分な根拠があります。
Q2. がん以外の病気にもなりやすくなると聞きましたが?
A2. 喫煙者は、非喫煙者に比べて狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患での死亡の危険性が1.7倍高くなっているほか、慢性気管支炎、肺気腫や喘息などの呼吸器疾患、脳血管疾患などの疾患にかかる可能性が大きくなっています。さらに、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、歯周病などにもなりやすいという調査結果があります。
Q3. たばこがどの程度健康に影響を与えるのでしょうか?
A3. 厚生労働省研究班の調査では、たばこを吸う人の死亡率は、吸ったことがない人と比べて男性1.6倍、女性1.9倍と高くなっています。病気別では、がんが男性1.6倍、女性1.8倍、心臓病や脳卒中などの循環器疾患が男性1.4倍、女性2.7倍となっています。
この他にも世界的に多くの研究がなされており、たばこの健康に与える影響が明らかになっています。
Q4. たばこの煙にはどんな物質が含まれているのですか?
A4. たばこの煙の中には4,000種類以上の化学物質が含まれていますが、特に人体への害が強いといわれているのは、一酸化炭素、ニコチン、タールです。一酸化炭素はからだの各組織へ酸素を運ぶヘモグロビンの働きを妨げるため、酸素がからだの各組織に十分運ばれなくなります。ニコチンは血管を収縮させ、血液の流れを悪くし、タールは、発がん性物質を含んでいます。
Q5. 受動喫煙という言葉を聞きましたが、どういう意味ですか?
A5. たばこの煙には、主流煙と副流煙があります。主流煙は喫煙者が直接吸うもので、副流煙は点火部分から立ち上る煙です。副流煙は、主流煙よりニコチンやタールの量が3倍、一酸化炭素に至っては、5倍も多いといわれています。この副流煙を喫煙者の周囲にいる非喫煙者が吸ってしまうことを「受動喫煙」と言います。受動喫煙は喫煙と同様に、がんや呼吸器疾患、気管支などの病気にかかりやすいことがわかっています。特に、子どもに与える影響は大きく、乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険因子にもなっています。
Q6. 県内の喫煙者の状況はどうなっているのでしょうか?
A6. 平成27年に実施した「愛媛県県民健康調査」では、男性30.4%、女性5.6%という結果が出ています。また、年代別では、男性が20歳代(41.9%)、女性は40歳代(11.3%)が最も高くなっています。
Q7. なぜ、子どもはたばこを吸ってはいけないのですか?
A7. 子どもの肺は成長を続けています。その時期に、たばこの煙に入っている発がん物質などにさらされる機会があると、大人になってから、高い確率で肺がんが発生すると言われています。また、たばこは依存性があり、喫煙開始年齢が低ければ低いほど健康への悪影響が大きく現れるという問題があります。10代から喫煙を始めた人は、循環器疾患による死亡率も高いと言われています。このように、心身の成長期にある子どもについては、成人より喫煙による影響を受けやすいため、法律により喫煙が禁じられているのです。
Q8. 未成年者の喫煙を予防するには、どうしたらいいですか?
A8. 一度喫煙の習慣が身につくと、禁煙は困難です。喫煙を開始する前の未成年を対象に、効果的な喫煙防止教育(防煙)が大切です。
(喫煙防止教育の方法)
- (1)家庭で喫煙の見本を示さない。
- (2)たばこの害をきちんと説明する。
- (3)命令でなく、話し合いで自分で決めさせる。
- (4)友人やマスメディアの誘惑に負けない説得力を身につける。
- (5)他人への迷惑なども説明する。
- (6)たばこを勧められても、きっぱり断る方法を事前に練習しておく。
Q9. たばこでやせられるというのは、本当ですか?
A9. たばこがダイエットに直接つながるわけではありません。たばこをやめると食欲が通常に戻り、飴やガムを口にする回数が増える傾向にあり、体重が増加することが多いため、誤解されているようです。
たばこを吸うと、ビタミンC等が破壊されたり、毛細血管が一時的に細くなったりするため、肌荒れが生じやすく、美容にも悪影響があります。さらに、ヤニで歯が黄色くなったり、においが髪の毛や服にもついたり、エチケット的にも問題があります。
Q10. 妊娠中にたばこを吸うと赤ちゃんにどんな影響がありますか?
A10. 喫煙は、母体への影響だけでなく、胎児の発育に対する悪影響が懸念されます。喫煙している妊婦から生まれた赤ちゃんは、喫煙していない妊婦から生まれた赤ちゃんに比べて、低出生体重児となる頻度が約2倍高くなります。さらに、喫煙している妊婦は、喫煙していない妊婦に比べて、早産、自然流産、周産期死亡の危険性が高くなっています。これは、受動喫煙でも同様の危険性があると言われ、周囲の人の配慮が必要です。
Q11. たばこを吸っているお母さんの母乳は大丈夫?
A11. 母乳には、血液中と比べ約3倍ものニコチンが含まれています。母乳を介して、赤ちゃんにニコチンが運ばれ、中にはニコチン中毒に陥ってしまう赤ちゃんもいるといわれています。さらに、たばこを吸う家庭では、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生が多いことも報告されています。
Q12. たばこは体の健康には悪いかもしれませんが、心の健康には良いのではないでしょうか?
A12. 確かにたばこを吸っている人にとってたばこは、緊張を和らげたり、逆に覚せいさせたりする作用を持っています。これはニコチンの持つ作用です。
しかし一方で、たばこに捕らわれたり、ニコチンに支配されているという状況は、決して心の健康に良いとはいえないのではないでしょうか。喫煙習慣の本質はニコチン依存症であることが世界的に認められ、診断基準も示されています。たばこが解消してくれるストレスは、ニコチン切れのストレスのみであり、「たばこが心の健康に良い」というのは、薬物依存症の世界においてのみ見られる「効用」なのです。
Q13. たばこは不利益だけでなく、利益も多いと思いますが、いかがですか?
A13. 確かに喫煙者にとって、たばこは楽しみの一つであり、いら立つ神経を鎮めたり、間を持たせるなど、色々な効用を持っていることでしょう。
しかし同時に、たばこはせきや息切れの原因になり、肺がんをはじめ多くの病気にかかる危険を高めます。たばこか健康かよく考えて選択しましょう。医学的見地からはもちろん、たばこをやめて健康を選ぶように勧めます。
Q14. 以前は喫煙していると仕事の能率が上がるような気がしていましたが、最近はそうではないように思います。本当のところはどうなのですか?
A14. 確かに、たばこに含まれるニコチンには脳の覚せい作用がありますので、たばこを吸うと集中力が増し、仕事の能率が上がると感じておられる方は多いと思います。
しかしこの作用は、あくまで、たばこをしばらく吸えない間に、禁断症状によって脳の覚せいレベルが低下したものを、ニコチンの補給によって元の状態まで戻すという程度に過ぎません。平常の喫煙状態では、覚せいレベルの上昇は認められません。作業能率を調べるテストを喫煙前後で実施すると、喫煙後にむしろ能率が低下するという研究データも報告されています。
Q15. 低タール低ニコチンのたばこに変えたり、本数を減らしたりすれば、禁煙出来なくても良いのではないかとも思いますが、どうなのですか?
A15. 本数を減らすのは、禁煙への良い第一歩です。しかし、安全なたばこや、安全なたばこの吸い方というようなものはありません。多くの喫煙者は、ニコチン含有量の低いたばこの埋め合わせをするため、吸う回数を増やしたり、深く吸い込むようになります。そのため、タールやニコチンの摂取量が期待したほど低下しません。さらに困ったことに、一酸化炭素の摂取量がかえって増加し、虚血性心疾患のリスクを高めることがあります。
Q16. ニコチンガムとか、ニコチンパッチといった言葉をよく聞きますが?
A16. ニコチンガムやニコチンパッチは禁煙の薬で、これらを使用して禁煙する方法をニコチン代替療法といいます。これは、禁煙時に出現するニコチン離脱症状に対して、ニコチンを薬剤の形でニコチン補給量を徐々に減らしながらニコチン依存から離脱する方法です。
現在、喫煙の薬には、「かむ」タイプ、「貼る」タイプ、「飲む」タイプの3種類があります。
- 「かむ」タイプ:ニコチンガム(薬局・薬店で購入可能)
- 「貼る」タイプ:ニコチンパッチ(薬局・薬店購入可能なタイプと、医師の処方が必要なタイプがある。)
- 「飲む」タイプ:ニコチンを含まない飲み薬(医師の処方が必要)
Q17. 「噛みたばこ」や「嗅ぎたばこ」は、健康に悪影響を及ぼしませんか?
A17. 「噛みたばこ」、「嗅ぎたばこ」は煙が出ない無煙たばこと呼ばれており、たばこの一種です。「噛みたばこ」、「嗅ぎたばこ」においても、紙巻きたばこによる喫煙と同様に、発がん性や依存性といった健康への悪影響があります。特に、口腔がんや鼻腔がんなどとの関連が指摘されています。
Q18. 最近、加熱式たばこという言葉をよく聞きますが?
A18. 加熱式たばことは、たばこ葉やたばこ葉を用いた加工品を燃焼させず、専用機器を用いて電気で加熱することで、煙を発生させる「喫煙用のたばこ」です。加熱してニコチンを気体にして吸入するため、燃焼によって産生される有害物質は低減の可能性はありますが、害の低減は証明されていません。WHO(世界保健機関)は、「受動喫煙のリスクについては、科学的根拠は十分でなく、更なる研究が必要」との見解を示しています。厚生労働省が示す「加熱式たばこに関する現時点での科学的知見」は次のとおりです。
- 加熱式たばこ喫煙時の室内におけるニコチン濃度は、紙巻たばこに比べれば低い。
- 加熱式たばこの主流煙には、紙巻たばこと同程度のニコチンを含む製品もある。
- 加熱式たばこの主流煙に含まれる主要な発がん性物質※の含有量は、紙巻たばこに比べれば少ない。※現時点で測定できていない化学物質もある。