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結核の感染と発病について
結核菌とは?
結核菌は、抗酸菌属における結核菌群(ウシ型抗酸菌、ネズミ型抗酸菌、アフリカ型抗酸菌、ヒト型結核菌)の一種で、結核症の病原体です。1882年にローベルト・コッホ(Robert Koch)により発見されました。長さ1μmから4μm、幅0.3μmから0.6μmのややわん曲した細長い桿菌(かんきん)です。
人間が感染するのは主にヒト型結核菌とよばれる菌です。発育に適した温度は37度前後なので、人間の体内はとても居心地のいい場所といえます。感染してもすぐには発病しないことがありますが、このような場合でも、結核菌は体内に残り、その人の抵抗力が衰えるのをじっとまっています。抵抗力が衰えると再び活動を開始し、増殖へと向かいます。
結核菌は、酸やアルカリに対する抵抗力が強く、高温や紫外線に弱いという特徴もあるので、滅菌するには高圧滅菌や太陽光線をあてることが効果的といわれています。
感染について
たんの中に結核菌が検出されるような重症の結核患者がせきやくしゃみあるいは大きな声をだしたりすると、直径数ミクロンというとても小さなしぶきが飛び散ります。空気中に放出されたしぶきは急速に水分を失い、その中にあった結核菌は丸裸に近い状態(飛沫核といい、非常に軽量)になり、空気中に長時間漂うことになります。
しかし、結核菌は紫外線に弱いため、日光にあたれば急速に死滅しますが、死滅する前に、他の人が結核菌を吸い込むと、その人が結核菌に感染する可能性を持つということになります。結核菌を吸い込んでも、大部分の結核菌は鼻毛にくっついたり、のどの粘膜に付着したりして、体の外に排除されますが、一部が肺の奥の肺胞まで達し、増殖をはじめたときに「感染」が成立します。
(注)結核患者で他の人に感染させる可能性のある人は入院治療を行います。ですから、退院された患者の方や外来での治療を受けている方は、他の人に感染させることはありませんので、結核患者だからといって、むやみに避けたりする必要はありません(患者さんの人権を十分に尊重してください。)。
発病について
結核菌に感染しても、7割の人が生涯を通じて結核を発病しないといわれています。
感染して1年から2年で発病する(初感染発病)場合と、何年もたって体が弱った時に発病する(既感染発病)場合があります。発病するのは、その時の体調や栄養状況などが悪かったり、高齢や糖尿病によって免疫力が弱くなっている人に多いようです。
結核は肺に空洞ができる。
結核の進行は通常は(大人の場合は)ゆるやかで、そのほとんどが肺に病巣ができる肺結核です。結核菌が肺胞に入り増殖すると、その場所が炎症を起こし、せきや熱がでたりします。さらに進行すると、肺に空洞をつくり、どんどん空洞が大きくなり、最後は呼吸困難におちいってしまいます。
乳幼児は、重症化しやすい。
乳幼児の結核は、発病率が高く、感染後早期に発病し、重症化しやすいなどの特徴があります。発病しても初期は症状がほとんどないため見落とされがちですが、症状がでた時には、全身に進展拡大し、結核性髄膜炎(ずいまくえん)や粟粒(ぞくりゅう)結核など重症な結核になっている場合が多くありますので、十分な注意が必要です。
結核性髄膜炎になると、医学の進歩した現在でも死亡する割合が30%もあり、死亡しない場合でも重い後遺症が残る場合があります。
特に結核に注意してほしい人
結核は、乳幼児期と思春期に発病しやすいといわれていますが、このほか、何らかの原因で免疫が低下している人が発病のリスクが高いといわれています。次のような人は、特に結核に注意してください。
- 過労や不規則な生活が続いている人
- 糖尿病やじん肺症を持っている人
- 胃潰瘍の人や胃を切除した人
- 手術後などで体力の弱っている人
- ストレスを持っている人
- ステロイド剤や抗がん剤を使用している人
- HIV感染などの免疫不全の病気にかかっている人
- 結核の治療歴やレントゲン検査で結核の治ったあとのある人
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