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ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症(子宮頸がん)の話
ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん)はどんな病気?
子宮頸がんは、発がん性の高いヒトパピローマウイルスに感染して発症すると考えられています。
ウイルスに感染しても子宮頸がんが発症することはまれですが、女性の癌としては、乳がんに次いで患者が多く、特に20~30代で近年増加しています。
がんが進行すると、子宮摘出の可能性があり、妊娠や出産への影響のほか後遺症によって日常生活に支障が生じる場合もあります。
子宮頸がん予防ワクチン
現在、日本国内で使用できるHPVワクチンは、サーバリックス(2価HPVワクチン)、ガーダシル(4価HPVワクチン)、シルガード9(9価HPVワクチン)の3種類があります。
令和5(2023)年4月から、サーバリックス、ガーダシルに加え、シルガード9も定期接種の対象として、公費で受けられるようになりました。
サーバリックスおよびガーダシルは、子宮頸がんをおこしやすい種類であるHPV16型と18型の感染を防ぐことができます。そのことにより、子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。
シルガード9は、HPV16型と18型に加え、31型、33型、45型、52型、58型の感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。
子宮頸がん予防ワクチンの副反応
接種した部位の疼痛、発赤、腫脹、紅斑などが見られます。
また、全身反応として、疲労、筋肉痛、頭痛、発熱などが認められています。
まれに、アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎などの重い副反応が報告されています。
子宮頸がんワクチンに限らず、10代の子どもにワクチンを接種する場合、血管迷走神経反射による失神が起こる可能性があると言われています。接種の際には保護者等が付き添い、接種後30分程度は背もたれのある椅子に座らせるなど休ませて、様子を観察するようにしましょう。前に倒れることもあるので、注意してください。
その他
子宮頸がん予防ワクチンとの因果関係は不明ですが、持続的な痛みを訴える重篤な副反応が報告されたことから、国民に適切な情報提供ができるまでの間、子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的に勧めることを差し控えるよう、予防接種を実施している市町村に対して、平成25年6月14日に国から勧告があり、積極的な勧奨を一時的に差し控えていましたが、令和3(2021)年11月に、専門家の評価により「HPVワクチンの積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当」とされ、令和4(2022)年4月から、他の定期接種と同様に、個別の勧奨を行っています。