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「患者懲戒・検束に関する施行細則」の本文
患者懲戒・検束に関する施行細則(大正6年12月12日)
第一条 療養所ノ長ガ被救護者ニ対シ懲戒又ハ検束ヲ行ハントスルトキハ本則ノ規定ニ依ル
第二条 懲戒又ハ検束ハ左ノ方法ニ依リ執行ス
- 一 譴責 叱責ヲ加ヘ誠意改悛ヲ誓ハシム
- 一 謹慎 指定ノ室ニ静居セシメ一般患者トノ交通通信ヲ禁ズ
- 一 減食 主食並ニ副食物ヲ減給ス
- 一 監禁 独房ニ拘禁検束ス
第三条 懲戒又ハ検束ハ違反者ノ性状ニ応ジ、宣告ノ上執行ス
第四条 大祭、祝日、療養所祝祭日及違反者ノ父母祭日ハ特ニ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除スルコトヲ得。父母ノ訃ニ接シタルモノハ、其日ヨリ三十日以内其ノ執行ヲ免除スルコトヲ得
第五条 懲戒又ハ検束ノ執行中特ニ改悛ノ状著シキ者ハ、其執行ヲ免除スルコトヲ得
第六条 数人共同シテ違反行為ヲナシタルトキハ其行為ニ就キ同一ノ責任ニ任ズ。人ヲ教唆シテ違反行為ヲナサシメタル者ハ実行者ニ同ジ。人ノ違反行為ヲ幇助シタルモノハ主動者ニ比シ軽減ス
第七条 同時ニ数個ノ違反行為ヲナシタル者ハ重キニ依リ処分ス
第八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ譴責又ハ三十日以内ノ謹慎ニ処ス
- 一 構内ノ樹木ヲ毀損シタル者
- 二 家屋其他ノ建造物若ハ備付品ヲ毀損又ハ汚トクシタル者
- 三 貸与ノ衣類其他ノ物品ヲ毀損又ハ隠匿シ、若ハ構外ヘ搬出シタル者
- 四 虚偽ノ風説ヲ流布シ人ヲ誑惑セシメタル者
- 五 喧嘩口論ヲナス等所内ノ秩序ヲ乱シタル者
第九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三十日以内ノ謹慎又ハ七日以内ノ減食ニ処シ、若ハ之ヲ併科ス
- 一 猥ニ構外ニ出デ、又ハ所定ノ無毒地ニ立入リタル者
- 二 風紀ヲ乱シ又ハ猥褻ノ行為ヲナシタルモノ又ハ媒介シテ之ヲ為サシメタル者
- 三 職員ノ指揮命令ニ服従セザル者
- 四 金銭其他ノ物品ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲナシタル者
- 五 違反者ニ対スル懲戒又ハ検束ノ執行ヲ妨害シタル者
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ七日以内ノ減食又ハ三十日以内ノ監禁ニ処シ、若ハ之ヲ併科ス
- 一 逃走シ又ハ逃走セントシタル者
- 二 職員又ハ其他ノ者ニ対シ暴行又ハ強迫ヲ加ヘ、若ハ加ヘントシタル者
- 三 他人ヲ煽動シテ所内ノ安寧秩序ヲ害シ、又ハ害セントシタル者
第十一条 前条各号ノ一ニ該当シ必要アリト認ムルトキハ管理者ノ認可ヲ経テ三十日以上二ヵ月以下ノ監禁ニ処ス
第十二条 被救護者逃走シタルトキハ其懲戒又ハ検束ハ欠席ノ儘宣告スルコトヲ得。前項ノ場合ニ於テ懲戒又ハ検束ノ執行ハ収容後之ヲ行フ。但シ宣告後一年ヲ経タルトキハ之ヲ免除ス。前項但書ノ期間内ニ他ノ療養所ニ収容セラレタルトキハ其執行ヲ委任スルコトヲ得。前三項ノ規定ハ逃走シタル者ノ他ノ違反行為ニシテ未ダ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ終ハラザルモノニ付キ之ヲ準用ス