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小学生向けのハンセン病の知識

ページID:0017614 更新日:2020年1月6日 印刷ページ表示

※旧高松宮記念ハンセン病資料館(現国立ハンセン病資料館)のリーフレット「小学生のためのハンセン病の知識」から転載しています。

ハンセン病とは、1873年にノルウェーのハンセン博士が発見(はっけん)した「らい菌(きん)」の感染(かんせん)(=病気がうつること)によって、皮膚(ひふ)と皮膚や筋肉(きんにく)に張(は)りめぐらされた神経(しんけい)などがおかされる病気です。らい菌の感染力(かんせんりょく)はとても弱いため、今の日本ではハンセン病に感染することはほとんどありません。また、たとえ感染しても発病(はつびょう)する人はほんのわずかです。それに1943年にプロミンというよく効く薬が発見されて、完全に治(なお)る病気になっています。

しかし、昔は「らい」とか「らい病」とかいわれ、よく効く薬もなく、顔や手足などに目立つ跡(あと)を残すこともあったので、恐ろしい病気だと思われていました。また、「らい予防法」という法律で、患者(かんじゃ)を強制的(きょうせいてき)に療養所(りょうようしょ)におくりこんで一生閉(と)じこめていたことや、患者が住んでいた家をおおげさに消毒(しょうどく)したことなどで、人々はこの病気を必要以上(ひつよういじょう)に恐れ、患者やその家族の人達を差別しました。

うつりにくいし、発病もしにくいことがわかり、たとえ発病しても完全に治る病気になったのにもかかわらず、患者(かんじゃ)を強制的に療養所に閉じ込めて、人間としてのさまざまな権利(けんり)をふみにじるような、らい予防法はもともと必要なかったことが明らかになり、1996年にやっと廃止(はいし)されました。法律が出来てから89年もの月日がたっていました。しかし、法律が廃止されたといっても、人々が持っている恐ろしい病気という間違った考えはいまでも根強く(ねづよく)残っていて、元患者(もとかんじゃ)(=ほとんどの人が今ではハンセン病は治っています。)の方やその家族の人達を苦しめています。病気が治っているのに、社会に残っている偏見(へんけん)(=まちがった考え)や差別が理由で、生まれ育ったふるさとへも帰ることができない人が多くいます。そして、亡(な)くなった後でも、遺骨(いこつ)を引き取る遺族(いぞく)が少ないために、多くの元患者の人達が全国の療養所にある納骨堂(のうこつどう)に眠(ねむ)ったままなのです。

病気にかかった人は病気を治すことに専念(せんねん)することが大切です。
思いやりのない仕打ち(しうち)に苦しむようなことはあってはなりません。
そのような苦しみを、病気にかかった人に加えてはならないということは、ハンセン病の歴史が私たちによく教えてくれています。
だれもがハンセン病について正しい知識をもつことが大切です。
同じようなことはハンディキャップを持った人にも共通することです。ハンセン病についての知識が、病気について、命について、思いやりについて考えるきっかけとなるはずです。

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