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らい予防法施行通知

ページID:0017611 更新日:2021年1月12日 印刷ページ表示

通知

らい予防法の施行について

(昭和二十八年九月十六日)
(厚生省発衛二三九号)
(各都道府県知事宛 厚生事務次官依命通知)

旧癩予防法は、明治四十年に制定、翌四十一年四月一日から施行され、本法の下において、らい予防行政は推進され、極めて大きい成果を挙げて来た。この間、昭和六年癩予防法につきその全面的改正が行われ、今日のらい対策の骨幹をなす諸施策が法制化されたが、右の改正後においても既に二十有余年の歳月を閲し、この間その社会的事情も変化し、その規定につき相当検討を加える必要が認められたので、ここに旧癩予防法を廃止し、あらたに、らいの伝染防止、患者の医療及び福祉と一貫したらい対策を法制化して、昭和二十八年八月十五日法律第二百十四号をもつてらい予防法が制定公布され、また、同法施行令及び施行規則が、それぞれ同日政令第百九十四号及び厚生省令第三十二号をもつて公布され、いずれも、即日施行されることとなつた。
新法は、らいの伝染防止、患者の医療及びその福祉と一貫したらい対策を確立し、これによつて、わが国今後のらい対策の円滑適正な進展を期し、もつて、らいの及ぼす禍害を国民から防ぎ、その福祉を図ることを目的とするものである。
これが施行に当つては、右の趣旨を十分理解され、特に左記の諸点に留意して、この法律の所期する目的を達成するよう努められたく命によつて通知する。

第一 一般的事項

一 国民に対して、らいに関する正しい知識を普及することは、らい対策の極めて重要な部門を占める。本法の施行を契機として、更に一層、国民に対して、らいに関する正しい知識を周知徹底させ、又在宅患者及びその家族に対してはらいの医療につき早期治療の必要性、らい療養所の実情等を周知徹底させるようにつとめること。

二 患者及びその家族にとつて患者に関する秘密が漏洩することは、場合によつては、その患者及び家族に破滅的不幸をもたらすことがあるので、患者に関する秘密保持について格段の考慮が払わなければならない。秘密保持が徹底するとき、患者家族の精神的苦痛は大半減ぜられ、また患者の入所等らい対策は円滑に遂行されるものであることに特に留意すること。

三 本法の施行に当つては、特に患者家族の福祉について格段の注意を払うことが必要である。患者が後顧の憂なく療養に専念しうるよう患者及びその家族の福祉面につき格段の配慮を払つてゆくならば、患者家族の精神的及び経済的負担は大いに軽減されるとともに、ひいては、患者の入所は促進され、患者の長きにわたる隔離療養生活は円滑に行われることとなる。特に患者家族の福祉については、各般の社会福祉制度の援護が円滑に患者家族の上にも均霑されるように努力するほか、家族の生活については、十分その相談に応じ、その福祉につき遺漏なきを期すること。

四 以上の諸点から、特に、一般的に左の事項につき配慮すること。

1 都道府県におけるらい予防事務(患者家族に対する福祉事務を含む。以下同じ。)は、特定の職員にこれを行わせることとすること。かくすることによつて患者家族に関する秘密の保持は徹底され、また家族の福祉措置についても徹底を期しうると認められる。なお、この職員については、中央においても必要な講習を行うことを考慮中であるが、らいに関する医学的知識、関係法規に関する知識、社会福祉に関する知識を与えるようこれが現任訓練について特に意を注ぐとともに、その職務の執行については十全の監督を行うこと。

2 患者に関する秘密保持の観点から、らい予防に関する事務は、原則として、保健所長に委任しないこととするほか、市町村についても事務的援助その他の関与を行わせないこととすること。
都道府県のらい予防事務主管部局においては、らい係職員を通じて、常に国立らい療養所との連絡を密にし、管内患者の診察、患者の入所、措置、患者家族の福祉等の措置については、両者の緊密な連絡を保つようにすること。

第二 予防に関する事項

一 法第四条において患者の疑のある者又はらいの疑のある死亡者についても、旧法と異なり、これを医師の届出の対象としたのは、患者数が少ないため、臨床経験に富む医師が少ないということから患者又はらいの死亡者であると医師が診断する例は少なく、むしろ、その疑のある者として診断する例が多いという事実を考慮したものであることに留意すること。

二 法第四条第一項の医師の指示並びに同条第一項及び第二項の医師の届出は、それぞれ秘密保持の観点から施行規則第一条及び第二条に規定するところにより行うこととし、且つ、届出については、保健所を経由せず、直接都道府県知事に行わせることとしていることに注意すること。
三 法第四条第一項の患者又は患者の疑のある者の死亡診断時における届出は、事後の家屋物件等の消毒措置との関連から、できるだけすみやかに行わせるように指導すること。

四 法第四条第一項の医師の届出については、別途通知するところにより、これが施行について遺憾のないよう留意すること。

五 法第五条第一項の規定により指定医の診察を受ける患者は、法第四条第一項の規定により医師から患者として届け出られた者及び医師の診断書を添えて自ら患者であると申し出た者等であること、又、この場合の「患者と疑うに足りる相当な理由のある者」とは、法第四条第一項の規定により医師から患者の疑のある者として届け出られた者、都道府県の医師たる職員により、らいと疑われる症状があると認められた者等であり、これらの者についてのみ法第五条第一項の規定により、指定医に診察を行わせることができるのであつて、単なる世人の噂により、或いは患者の家族であるという理由のみによつて指定医の診察を行わせることはできない。

六 指定医の診察については、原則として個々にその居宅を訪問して行い、且つ、職員の付添等はできるだけ少なくする等患者家族の秘密保持につとめること。

七 医師の指定に関して、「診療に関し」とは「診察又は治療に関し」の意味であること。医師の指定は原則としてあらかじめ一括してこれを行つておくことが適当であること。指定医は、法第五条第一項の診察が円滑に実施されるように最寄りの国立療養所の医官その他らいの診療に関して経験のある者の中から適当数の者を指定すること。なお、指定医とは緊密な連絡を保ち、診察の実施に遺漏なきを期すること。

八 法第六条第一項の勧奨は、患者に対し、療養所に入所することをすすめる旨の都道府県知事の正式の意向を伝えるという方法により行うこととするが、勿論この勧奨と関連して、一般的には、都道府県の係員により各般の方法による説得が行われるわけであり、患者が入所するのについて物心両面からの準備ができるよう、本人の病状及びその生活環境を考慮し、それぞれの実情に応じて懇切に説得を行うこととすること。
勧奨に応じない者に対しては、法第六条第二項の規定による命令が出されるわけであるが、これは、患者の基本的人権に関係するところも大きいので、直ちに、この命令を発するという措置にでることはなく、先ずできるだけ患者及びその家族の納得をまつて自発的に入所させるように勧奨し、説得することとすること。

九 法第六条第二項の命令に付する期限については、対象患者について画一的にわたることなく、患者の病状及びその生活環境を考慮して決定することとすること。なお、入所すべき療養所については、いずれの療養所たるを問わぬものであるが、療養所と連絡をとり、できるだけ最寄りの療養所に入れることを原則とすること。

十 法第六条第三項の規定により強制入所の措置がとられるのは、患者が入所命令を受けて正当な理由がなく、その期限内に入所しないとき、及び浮浪らい患者、国立療養所からの無断外出患者、従業禁止の処分を受けて、これに従わない患者等につき、公衆衛生上療養所にに入所させることが必要であると認められ、しかも入所勧奨及び入所命令の措置をとるいとまがないとき等であること。

十一 法第六条第一項の勧奨を行うについては、第四項に規定する通り、指定医の診察の結果その者がらいを伝染させるおそれがあると診断された場合でなければならないことに留意すること。これは、勧奨、入所命令、入所強制等の一連の措置が、患者の基本的人権に対する重大な制約となるものであるからできるだけその措置の適正を期そうとする趣旨に出るものであること。
なお、指定医による右の診断は、指定医が法第五条第一項の規定により診断した場合のみならず、同条の規定によらず指定医が一般医師の立場で診察した結果らいを伝染させるおそれがあると診断した場合であつてもよいこと。

十二 法第六条の勧奨、命令等による入所の措置については「六」に準じ、秘密保持に特に留意すること。

十三 法第七条第一項の従業禁止は、らいを伝染させるおそれがある患者について、取り敢えず公衆にらいを伝染させるおそれがある業務に従事することを禁止し、事後、法第六条の規定による措置をとろうとするものであつて、この処分を行うについては、その対象患者は、入所勧奨の措置をとる場合と同じ趣旨により、指定医によりらいを伝染させるおそれがある患者であると診断されたものでなければならないこと。 なお、従業禁止業務の範囲は、施行規則第三条に定める通りであるが、同条に例示される業務のほか、会社、官公署等における窓口業務、物品の販売業等が挙げられること。

十四 法第八条及び第九条の消毒については、特に患家の秘密保持の観点から直接消毒材料を交付して消毒を行わせることとしていることに留意すること。特に、職員をして行わせる場合においても、できるだけ少人数で消毒を行わせ、且つ、屋外においては白衣を着用させない等の方法により秘密保持には十分の考慮を払うこと。廃棄等の処分についても同様とすること。

第三 国立療養所に関する事項

一 入所患者は、法第十五条第一項により一般的に外出を制限されるが、しかしながら、特別の場合、即ち、同項第一号及び第二号に掲げる場合においては外出が認められること。
この場合、患者は通例施行規則中別記様式第二による外出許可証明書を有することとなることに留意すること。

二 法第十五条第一項の規定に違反して無断外出した場合、又は外出の許可を受けた者であつても、許可の条件(目的、期間、行先地、経由地)に違反している場合、その者については、法第六条の規定により、情況により、入所勧奨、入所命令等の措置をとり、或は入所の即時強制を行いうるものであること。なお、無断外出患者等については、法第二十八条の規定により拘留又は科料の刑が科されることとなつたことに注意すること。

第四 福祉に関する事項

一 法第十九条による一時救護の内容は、宿泊施設の提供、食事の供与、衣服、日用品等の支給、必要な医療の給付等であること。

二 法第二十一条の規定は、療養所の職員による医療社会事業を規定するものであるが、これと関連して、患者家族に対する生活保護法の適用については、家族において患者に関する秘密の漏洩を恐れるあまり、この保護の均霑を受けることを躊躇する者もあるやに聞くので、別に通知するところにより、これが円滑に実施されるよう特段の配慮をすること。

第五 費用に関する事項

法第二十七条の規定により、らい予防事務に関して都道府県が支弁する費用については、国庫がその二分の一を負担することとなつているが、その経費の種目、算定基準等については、おつて、らい予防法施行令を改正し、その中に規定されることとなるものであること。

注:この通知は、らい予防法の廃止に関する法律の施行について(平成8年3月31日付け通知)により廃止された。

らい予防法の施行について

(昭和二十八年九月十六日)
(厚生省発衛一二五号)
(各国立らい療養所長宛 厚生事務次官依命通知)

旧癩予防法は、明治四十年に公布され、翌明治四十一年四月一日に施行されてから、既に四十数年を経過し、その間屡次の改正が行われたとはいえ、表現が簡潔に過ぎるきらいもあつて、不備の点も認められるに至ったので、この度、この法律の全面的改正が行われ、らいの予防に関する規定が整備されるとともに、らい対策において占める国立療養所の役割が飛躍的に増大している事実にかんがみて特に国立療養所に関する一章が設けられ、患者の医療及び福祉に関する規定が整備されるに至つたのである。新らい予防法は、昭和二十八年八月十五日法律第二百十四号をもつて公布され、同法施行令及び施行規則も、同日それぞれ政令第百九十四号及び厚生省令第三十二号をもつて公布され、いずれも即日、施行された。この法律の運用の適否は、患者の福祉及び公衆衛生の確保に影響するところ極めて大なるものがあるから十分に改正の趣旨の徹底を図り、特に、左記事項に留意して国立療養所の健全な運営を図り、新法の目的達成に遺憾ないよう致されたく、命令によつて通知する。
なお、参考まで、らい予防法の施行に関する各都道府県知事宛の通知を添付する。

第一 福祉に関する事項

一 らいは一度り患した場合には、治癒が極めて困難で、而も隔離以外に確実な伝染予防の方法がない等の特殊性にかんがみ、国は、これらの患者を療養所に収容して、他の疾病の場合と異り、全額国の負担において療養させる方策をとつて来たのである。而して従来とも患者の福祉については相当意を用い諸般の措置を実施して来ているところであるが、新法においては、新たに「福祉」の規定が設けられた趣旨にかんがみ、今後、更に十分の考慮を払うように努めるとともに、患者に対しては、この疾病についての国の施策の趣旨をよく理解させ、外出の制限その他患者として守るべき義務を遵守して療養に専念するよう指導すること。

二 患者の福祉増進及び更生指導については、現に各施設において、各種の福祉施設の運用、文化活動の実施及び援助並びに職業指導等を行つているところであるが、今後この種の事業の発展については、一層の留意をすること。

三 入所患者の教育については、既に各施設において実施中であるが、新法においては、これが一層の徹底を図るために特別の規定が設けられたのであるから(第十四条)、教育委員会、学校等と連絡を密にして、入所患者の教育に遺憾のないようにすること。

四 入所患者が安んじて療養に専念し得るためには、その親族の福祉が十分に考慮されていなければならないのであり、この趣旨に基いて、新に「親族の福祉」の規定(第二十一条)が設けられたのであるから、必要と認めるときは、職員を派遣してケースワークを行わせる等、その生活の方途を指導するようにすること。

五 新たに、保育児童の福祉に関する規定(第二十二条)及び親権の行使等に関する規定(第十七条)が設けられたのであるが、その趣旨を体して児童の福祉に十分留意すること。

第二 外出の制限に関する事項

一 第一の一に述べたらいの特殊性にかんがみ、らいの予防の徹底を期するためには、患者を収容隔離して療養させなければならないのであるから、新法においては、入所患者に対して、特定の場合を除いては、外出を制限したのである(第十五条第一項)。この規定の施行の適否は、公衆衛生に重大な影響を与えるものであるから、外出の許可にあたつては、特に慎重を期するとともに、患者に対しては、この規定の趣旨を徹底せしめ、違反することのないよう指導すること。

二 第十五条第一項の外出は、「親族の危篤、死亡、り災」と例示されている如く、真にやむを得ない特別の事情がある場合であつて、らい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めた場合に許可されるものであるから、外出許可の申請のあつた場合には、外出を必要とする事由、本人の病状、らい予防上の支障の有無及びその程度等を十分に検討し、その取扱には厳密を期すること。「その他特別の事情がある場合」とは、患者の家族における重大な家事の整理等であつて本人の立会がなければ解決できないと認められる事情がある如き場合であること。

三 第十五条第一項第二号の外出(例えば刑事訴訟法に基いて出頭を求められた場合の外出等)についても、所長は、当該患者の外出がらい予防上重大な支障を来たすおそれがあるかないかを判断しなければならないのであるから、外出を要する患者には、その理由をそえて申告させるようにすること。

四 第十五条第一項第一号及び第二号に基いて外出する患者に対しては、その求めがあつたときは、施行規則第六条に基く様式の外出許可証明書を交付しなければならないのである(第十五条第三項)が、これが運用にあたつては、これら外出する患者に対しては、すべて証明書を交付し携行させるよう配慮すること。

第三 秩序の維持に関する事項

一 一定の地域に多数の患者が集団して長期にわたつて療養している療養所においては、患者が療養の目的を十分に達成するためには、静穏な療養を可能にする環境が保たれていなければならない。このような環境を保持して行くためには、患者の善意と良識に俟つところ大なるものがあるので、その指導には十分意を用いなければならないことは勿論であるが、しかし所内における秩序保全の保障として秩序を乱した者に対し他の疾病の場合と同様な退所の処分を行う方策をとらない現在においては所の紀律、秩序を乱す者があつた場合において所として秩序維持のために必要な処分を加える必要がある。この趣旨に基いて第十六条の規定が設けられたのであること。

二 患者が平穏な明るい療養生活を送るため当然に守るべきものとして「患者療養心得」を別紙(一)に基いて定め、患者に対しては、掲示その他の方法によつて、あらかじめ、その内容を周知徹底させ、確実に遵守されるよう指導するとともに、仮りにこの心得に違う者があつた場合においては、懇切に説諭を行い必要な指導を行つて将来をいましめるようにすること。謹慎又は戒告の処分は、この間の情状をも十分考慮の上、所内の秩序を維持するために特に必要であると認めた場合に行う(第十六条第二項)と同時に、いやしくも必要がある場合には、厳正にこれを実施すること。
なお右の「患者療養心得」は九月二十三日から実施するようにすること。

三 秩序の維持に関する規定の施行の適否は、患者全般の療養及び福祉に影響するところ大なるものがあるから、いやしくも、濫用にわたることのないように致すとともにその実施にあたつては厳正且つ適正を期するよう留意すること。

四 秩序を乱した者に対する処分の内容としては新法においては従来の監禁は廃止し戒告と謹慎との二種目とした(第十六条第二項)。而して謹慎の処分の執行に当つては、従来の監禁室を使用することのないよう留意すること。

五 謹慎は、所長の指示する室に静居することを命ずる処分であるが(同条第三項)、この室としては、あらかじめ、環境等を考慮して一室を定めて置き、原則として、この室において静居することを命ずるようにし、患者の病状その他の事情を考慮して、やむを得ないと認めた場合に限つて他の適当な室を指定すること。

六 謹慎の処分は、かねての行状がよろしくなく秩序をみだす行為を重ねたような場合、或いは、事案が重大であつて所内秩序に重大なる影響を及ぼす行為をした場合等戒告の処分によつては効果がないと認められる場合に限つて行うものであつて(同条第四項)、必ずしも戒告の処分を経た後でなくても差し支えないのであるが、第十六条第四項の規定の趣旨にかんがみ、これを適用すべき場合については十分に注意を払うとともに、あらかじめ、当該患者に対して弁明の機会を与え(同条第五項)、十分にその陳述をきき、事情を詳細に検討することによつて、処分の適正を期すること。

七 謹慎及び戒告の処分の手続は、次によること。

  1. 謹慎又は戒告の処分に当る行為をした者があると思料するときは、具体的に事情を調査し、事実関係を明らかにすること。
  2. 弁明は、なるべく口頭によるものとし場合によつて文書による弁明を認めること。
  3. 弁明は所長又はその指定する者に対して行わせ、庶務課長、医務課長及び分館長並びに所長の指定するその他の幹部職員のうち二名以上の者を立ち会わせること。
  4. 弁明の日時は、あらかじめ当該患者に通知すること。
  5. 処分の決定は、庶務課長、医務課長、分館長乃至所長の指定するその他の幹部職員をもつて構成する会議に諮つて行うこと。
  6. 処分は当該患者に対して理由を告げて後宣告して行い、別紙(二)の様式による文書を手交すること。
  7. 処分は、すべて、所の掲示板に掲示すること。

八 謹慎又は戒告の処分を受けた者に対しては、その過ちを反省させ再びかかることのないよう将来をいましめ、すみやかに健全な療養生活にかえるよう指導すること。

第四 その他の事項

新法においては、訴願の規定(第二十五条)が設けられ、新法又は新法に基いて発する命令の規定により所長がした処分に不服がある者は、訴願法の定めるところに従つて、厚生大臣に訴願することができることとされたのであるから、訴願書の提出を受けた場合は、すみやかに、厚生大臣宛進達すること。

別紙(一)

患者療養心得

患者は、左に掲げる事項を守つて療養に専念し、共同生活の道義を重んじ、所の運営に協力して互に療養生活の向上に努めなければならない。

  1. 療養上の必要のため所長が定める日課その他の規程を守つて療養に専念すること。
  2. 診療に関する医官の指示に従うこと。
  3. 飲酒をしないこと。
  4. 身体を清潔に保つこと。
  5. 喧嘩、乱暴その他他人に迷惑を及ぼすようなことをしないこと。
  6. 自己の居室及びその周囲の清潔整頓に努めること。
  7. 物品を所内に持ちこみ、又は所外に持ち出そうとするときは、所長の承認を受けること。
  8. 物品を所外に持ち出す場合は、消毒を受けること。
  9. 風紀をみだすような言動をしないこと。
  10. 所長の許可を受けないで外出しないこと。
  11. 定められた面会場所と面会時間を守ること。
  12. 官有物の取扱を丁寧にし、みだりにこれを移動し、汚損し、又は改変しないこと。
  13. 所の貸与品を大切に取り扱い、亡失又は汚損しないように努めること。
  14. みだりに所の樹木等を損じないこと。
  15. 火気の取扱に注意し、定められた場所以外ではみだりにこれをしようしないこと。
  16. 所内において文書、図画等の類を頒布し、回覧し、又は掲出しようとするときは所長の許可を受けること
  17. 所内に団体の事務所を置こうとするときは、所長の許可を受けること。
  18. 所内で会合、集会等の催しを行おうとするときは、所長の許可を受けること。
  19. 所内でみだりに物品を売買しないこと。
  20. 作業に従事する場合には、作業に関する規程及び所長の指示に従うこと。
  21. 所内の立入禁止区域に立ち入らないこと。
  22. 職員の職務の執行を妨げないこと。
  23. 法令に違反するようなことはしないこと。
  24. 他人をそそのかして前各号にかかげるところに違反させるようなことをしないこと。

別紙(二)(略)

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