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愛顔のえひめ(令和4年5月号)
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進化する「愛媛の手しごと」
愛媛が誇る特産品を支える
「えひめ伝統工芸士・食品士」とは?
愛媛の伝統の技を守り、次世代へつなぐ職人たち
伊予の水引や砥部焼、手すき和紙といった伝統的な工芸品、さらにはかまぼこをはじめとする伝統的な食品…愛媛には古くから伝わり、世界に誇れる特産品がたくさんあります。
皆さんは「えひめ伝統工芸士」「えひめ伝統食品士」(以下「えひめ伝統工芸士等」)と呼ばれる方々をご存知ですか? 県指定の伝統的特産品の製造に従事する技術者のうち、高度な技術や技法を保持する人たちのこと。県では、彼らを「えひめ伝統工芸士」「えひめ伝統食品士」として認定(現在299名)し、技術者たちの社会的評価を高めるとともに、後継者の確保と伝統的特産品産業の振興を図っています。
令和3年度、5名を新たに認定
素晴らしき″逸品”の技を知ろう
「えひめ伝統工芸士」等の認定は技術を讃える証
県が指定する伝統的特産品の多くは、毎日の暮らしに使われる身近なものです。えひめ伝統工芸士等は、製造の主要な工程が手工業的であることや、製造に20年以上従事し、現在も第一線で活躍していること、誰もが認める高い技術を持つことなどを讃えるもので、若い世代へ伝統の技術を継承するという、大切な役割も担っています。
長年、私たちの生活に豊かさを与えてきた愛媛の伝統工芸品・食品の数々は、地域に根ざす地場産業として地域経済の発展に寄与するものでもあります。今一度、その魅力を見直し、暮らしに取り入れてみませんか。
令和3年度「えひめ伝統工芸士」「えひめ伝統食品士」認定者を紹介
3月24日(木曜日)、えひめ伝統工芸士・食品士の認定証授与式を行い、5名が認定されました。
えひめ伝統工芸士
砥部焼 保持技術:手ろくろ成型
遠藤 裕人(えんどう ひろと)さん(砥部町)
高度で熟練した手ろくろ成型技術を保持。若手従事者へ伝承する技術指導を行ったり、松山南高砥部分校の生徒たちのインターンシップを受け入れたりするなど、砥部焼文化を広める活動にも取り組んでいます。
遠藤さんコメント
砥部焼発展に貢献した偉大な諸先輩方に混ぜていただける喜びでいっぱいです。好きで始めたこの仕事ですが、40年近くも続けられたことが奇跡。これからも楽しく努力していきます。
水引・水引製品 保持技術:水引細工
星川 徹(ほしかわ とおる)さん(四国中央市)
昭和59年より星川公男商店で修業し、平成8年に独立。祝儀袋など水引に関わる新商品開発、販売を行い、伝統を重んじた勇ましい宝船、躍動感ある鯛などの作品制作には高評価を得ています。伊予水引金封協同組合の理事も務めています。
星川さんコメント
これからも先人たちから受け継いだ技術を大切にしながら、後進の指導にもあたっていきます。また今の時代のニーズを汲み取ったデザインにも取り組み、水引のさらなる普及に尽力したいと思います。
えひめ伝統食品士
宇和島かまぼこ 保持技術:擂潰
矢野 隆三(やの りゅうぞう)さん(宇和島市)
宇和島市の名産品である「宇和島かまぼこ」「宇和島じゃこ天」の製造において、高度な知識と技術を保持。現在では少なくなった手付けでのかまぼこ製造においても、大変おいしく美しい製品づくりの技術を会得しています。
矢野さんコメント
日々違う魚の状態を見極め、同じ製品をつくり続けるのは並大抵のことではありません。そんななかで「おいしいものをつくる」というものづくりの喜びを、若い世代にも伝えていきたいです。
八幡浜かまぼこ 保持技術:擂潰
菊池 聖(きくち さとし)さん(八幡浜市)
高い技術を持って原料調達から加熱工程まで携わり、既存商品や新製品のレシピ開発も行っています。HACCP規格(JFS-B規格)の取得にも尽力し、衛生管理の深い見識も有しています。
菊池さんコメント
かまぼこ製造に大切なのは「真心を込める」こと。先輩方から受け継いだ技術を守りながら日々改善を重ね、時代に合う新商品づくりにも挑戦していきたいです。
八幡浜かまぼこ 保持技術:擂潰
若松 潤(わかまつ じゅん)さん(八幡浜市)
擂潰、成型において特に優れた技術を保持。また直売専門店を開店し、地元の人たちに愛される店を25年にわたり営業。令和2年より創業70年の若松蒲鉾店の代表取締役に就任。伝統を継承しつつ、さらに磨き上げています。
若松さんコメント
地元産の新鮮な魚など原料にこだわり、お客さまに喜んでいただける、おいしい安全・安心な商品づくりを最優先に、今以上に取り組んでいきたいと思います。
※擂潰(らいかい)…擦(す)り潰(つぶ)す、かまぼこ製造ならではの技術
TOPICS-1:えひめの逸品を買おう!
県の伝統的特産品はオンラインショップにて購入できます。自宅に、贈り物に、ぴったりな商品をたくさんご紹介!
愛媛百貨店
県産品を一堂に取りそろえた県のオンラインショップ。愛媛の“愛”と、その味、その技、その想いを手に取り、触れてみてください!
愛ある愛媛いいよかん
愛媛県の食品(菓子、水産加工品、農畜産品)や工芸品などを広く取り扱う、県観光物産協会の公式オンラインショップ。楽天市場、Yahoo! ショッピングに開設しています。
TOPICS-2:愛媛県が全国へ売り込みます!
えひめが誇る伝統的特産品の認知向上を図るとともに、県内外での展示会や大手ECサイトでの販売促進など、リアルとデジタルの二刀流で販路拡大に努めています。
愛媛百貨選
愛媛の逸品が見つかるポータルサイト。愛媛の旬にこだわり、伝統が詰まった逸品を紹介しています。
21世紀えひめの伝統工芸大賞
県指定伝統的特産品等の伝統工芸士や次代を担う技術者が制作した美術的・市場的価値の高い商品を発掘・顕彰するコンテスト。生産者の市場ニーズに応じたものづくり意欲を高め、販路拡大につなげます。
暮らしのなかで 活きる「伝統」を 感じてください。
[注目ビト]
遠藤窯
遠藤 裕人(えんどう ひろと)さん
福島県生まれの遠藤裕人さん(右)は、東京の大学で陶芸を学び、砥部町へ。昭和59年に28歳で「遠藤窯」を開き、以来37年にわたって作陶を続けています。「たたら」と「ろくろ」を併用する砥部焼は、キレのある美しい形と、清らかな青白磁が特徴。受賞歴多数、個展も積極的に開催しています。手ろくろ成型の高度な技術が評価され、令和3年度「えひめ伝統工芸士」に認定されました。ご家族の愛さん(左)も砥部焼作家として活躍。裕希くん(中央)も小学校の陶芸クラブに所属し、砥部焼に親しんでいるそうです。
使う人の喜ぶ顔を思い、新しいことに楽しく挑戦
砥部焼をつくり続けて30余年、使う人の喜ぶ顔を思い浮かべながら、作陶を楽しんできました。最近はウチの器を買った方が料理を盛りつけた画像をSNSに上げてくださることが多く、そんな使い方があるのか、器をこうしたらもっと面白そう…と、大きな刺激に。砥部焼はコミュニケーションが広がる工芸品と言えるかもしれません。
砥部焼の良さは、土が良いこと。扱いやすく、何より素朴でやさしい。それは志を持って余所(よそ)からやって来る若者を受け入れる、開放的な土地柄にも表れているように感じます。若者たちのSNSを使った情報発信は素晴らしく、いつも感心させられますね。彼らに私たちが大切にしている技術を伝え、私たちも彼らから発信力を学ぶ。相互作用で砥部焼の伝統を守っていけたらと思います。そして、愛媛には地元のものを使う料理人が多いことも特徴的。それは砥部焼だけではなく、食文化を守ることにもつながります。伝統は暮らしのなかに活きてこそ。そのための努力と挑戦を続けていくつもりです。
- 問い合わせ:愛のくに えひめ営業本部
- 電話:089-912-2556