本文
「立間地区」再編復旧の計画策定着手に関する記者発表の要旨について
【記者発表資料】
日時:令和2年11月19日(木曜日)11時23分から11時36分
場所:知事会議室
(知事)
平成30年の西日本豪雨災害で甚大な被害を受けた愛媛県の主要産業であるかんきつ関係・かんきつ園地、この復旧・復興に向けて再編復旧の取り組みを必要な場所で進めてまいりました。そのうちの一つである宇和島市吉田町の立間地区について、県として計画策定に着手する方針を固めましたので報告をさせていただきます。
この復旧・復興事業は、かんきつ産業の継続からいっても最優先課題の一つであると位置付けまして、発災直後から崩落した園地の復旧を断念することなく一人でも多くの方々に前向きに取り組んでいただけるように、災害の度合いに応じて分かりやすいフォローパッケージを用意してまいりました。
原形でできるだけ短期間で復旧を図るもの「原形復旧」、それから2、3年のある程度のスパンを考えて手を入れて復旧につなげていく「改良復旧」、そして、数年、5年から10年の長い時間はかかりますけども、園地そのものを区画整理のようなかたちで生まれ変わらせて再編していくという「再編復旧」、この三つのパターンのパッケージを被災状況に応じて適応しながら進んでいるところでございます。
中でも、災害に強く生産性の高い園地として再生させる「再編復旧」については、事業化の検討要望のあった地区に対しまして、関係市町やJAなどと連携して積極的に、これは地元の合意形成がなければできませんから、議論を積み重ねて県としても後押しをしてまいりました。
その結果、これまで宇和島市吉田町の玉津地区、松山市興居(ごご)島の由良(ゆら)地区、今治市大三島の上浦地区の3地区においては、これが動き始めておりましたが、このたび4地区目になります立間(たちま)地区において地元の合意が整いました。そして、宇和島市からも要請がありましたので、計画策定事業の令和3年度採択を国へ申請することといたしました。
この地区にはですね、一番というか大変な被害、現場も見させていただきましたが奥白井谷地区の集落がある所でございます。本当に、この地区の皆さんも必ず再生しようという前向きな気持ちを持ち続けて、諦めることなく取り組みをしようと頑張っていらっしゃいますんで、心から敬意を表させていただきたいと思います。
立間地区では資料もお配りさせていただいてますけども、今申し上げた白井谷工区、正木谷工区、ツガノクチ工区の3工区を合わせて、面積で言いますと5.6ヘクタールの受益面積となります。区画整理による園地の緩傾斜化、傾斜を緩やかにする、排水機能を備えた農道を整備する、そして担い手に農地を集積する、ここがポイントになると思います。さらに、整備された園地では高収益が見込めます中晩柑類、甘平あるいは今準備中の紅プリンセスなど優良中晩柑類の導入を検討しています。
愛媛みかん発祥の地の立間、ここにですね、生産面と防災面に優れた新たな生産拠点を確保することにより、当地域のかんきつ農業の再建につなげてまいりたいと思います。
今回の立間地区をもちまして、予定していた再編復旧の4地区全ての地区で合意が形成されましたが、これはあくまでも出発点でございます。方向性が見定まったということで、これからが真のスタートでございますので、再生した園地が被災前の収穫を超えるような、収益が上がるような日が来るまで、引き続きしっかりとサポートをしていきたいというふうに思います。以上です。
(愛媛新聞)
今後のスケジュールのところで、植栽の開始とか最短での収穫時期とかいつ頃を見込んでいるのか。
(知事)
今の状況なんですけども、他の地区もちょっとこの際4地区状況を説明しますと、まず宇和島の吉田町玉津地区なんですけども、今年の4月に国の機構関連事業(農地中間管理機構関連農地整備事業)の採択を受けて、来年度の工事着手に向けた現地の測量設計を現在実施しているところでございます。これが玉津地区で、営農再開見込みは、一部の園地で令和6年春。
それから、次に松山市興居島の由良地区と今治市大三島の上浦地区は、事業採択に向けた計画づくりが完了しました。今月末に、先ほどの同じ機構関連事業の採択、令和3年度の採択に向けて、国へ今月末に申請を行うこととしています。この二つの地区も同じように一部の、全部ではないですよ、一部の営農再開見込みが令和6年春。この3地区については、全て令和6年春、一部園地で再開するよう見込んでおります。
そして立間地区については、まさにこれからになりますので、令和4年度にいろんな事業展開をする中で畑総事業(畑地帯総合整備事業)という別の事業パッケージを使います。これは令和4年度に採択されるように目指していきたいというふうに思っています。令和4年度に現地における詳細な測量設計を行って、令和5年度から工事を開始、そしてこちらは1年遅れて、早ければですけども令和7年の春から一部の園地で営農再開ができればというふうなスケジュール感で今、進めているところでございます。本格的な収穫開始は植栽から5年後となりますので、先ほど7年と申し上げたところは今の立間地区は12年、6年というところは残り3地区は11年というのが本格的な収穫開始ということになります。以上です。
(愛媛朝日テレビ)
今回の立間地区、先ほど知事も言われたように、事業がこれまでのものと違うものだと思う。資料の方に一部地元の負担もあるということが書かれている。この地元負担とはどういった。
(知事)
負担ですか。畑総事業はですね、農家負担は事業費の10%となっています。この農家負担については担い手への集積実績に応じた、どれだけ集積できるかということですね、それに応じた助成制度も適用されますので、その分負担は軽減されることになります。助成制度と農家負担の見込み額、これはまだ確定ではないので、見込み額についても当然のことながら合意形成に至るまでに議論の俎上(そじょう)に上っておりまして、それについては合意が得られておりますので、まだ確定の数字は出ていません。ある程度、このぐらいになるんじゃないかということで合意がなされています。
(愛媛新聞)
関連してだが、今回、今までとは違うこの畑総事業を使われた理由というか、なぜこれを選んだのか。
(知事)
立間地区に行かれたことがあったらお分かりいただけると思うんですけども、地形的にも非常に急峻で、難しい場所ではあります。園地には介在する山林、それから耕作放棄地、こういったところも多くありまして、これを解消しなければいけないということ、それから、周辺の農道や用水施設、この権利関係とか施設の状況とかいろんな課題がありますので、そういった固有の状況等を勘案しまして、関係者の要望に応えていくためには、それをトータルのパッケージで考えると畑総事業の方がその要望に応える事業展開ができるというふうに判断をいたしたところでございます。
ちなみに、機構関連事業、さっきの国の採択を受けているところは、実施内容は区画整理のみという事業になりますので、ちょっと今申し上げたような要素というのに対応し切れないというところがございました。
(愛媛新聞)
先ほど知事もこれからが出発点で、これからが真のスタートというようなことを言われたと思うが、今後、県としてかんきつ産業にどういうふうな支援の方針とか、どういうふうな支援をしていきたいかという思いをあらためて聞きたい。
(知事)
これまでもずっとやってきておりますので、ただその中で県の呼び掛けによって、随分変わってきたところもあると思うんです。例えば、海外展開。10年前というのはもう全く海外輸出というのは関係者の中でも視野には入っておりませんでしたけども、例えば、台湾であるとか、香港であるとか、マレーシアであるとか、こういったところにも十分持っていけるんだ、というふうな変化が生じたのもこの10年の間だったと思いますし、また当初はですね、市場関係者からも「愛媛県(のかんきつの種類)は何せ数が多くて名前が分からん」と「温州みかんだったら温州みかんの方が分かり良い」という声が10年前って実は大半を占めてました。でも、今はですね、多品種、周年供給、これにこそ他のかんきつ県とは違う愛媛県のオリジナリティがあるというふうなことで、例えば、かんきつみかんカレンダーみたいなのを作ったりですね、いろんな展開を図ってきて、紅まどんなを筆頭とするような、愛媛県ならではの他県と異なるかんきつ状況、かんきつ王国という位置付けが定着をし始めてきているんではないかなというふうに思っています。今年度も、先日、温州みかんの市場販売が始まりましたけども、本当にありがたいことに愛媛県産が一番高い値で受け止めていただいてますし、こうした取り組みを今後ともしっかりと継続していきたいというふうに思っています。また研究機関が、紅プリンセスもそうなんですけども、しっかりと生産面での対応をする、それから営業本部が販売面でのサポートをしっかり行っていく、こうした組織的な役割もはっきり見えてきていますので、その点は強化というふうな観点で推し進めていきたいというふうに思っています。