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平成30年7月豪雨災害に関する記者発表(7月19日)の要旨について
日時:平成30年7月19日(木曜日)
11時00分~11時16分
場所:知事会議室
(知事)
それでは今日はまず、7月の豪雨災害について、今の時点で発表すべきことをお話しさせていただきたいと思います。
7月5日から8日にかけまして、県内全域で長時間にわたり多量の雨が降り続きました。多くの地域で7月の平年雨量を大幅に超える記録的な大雨になりまして、広範囲にわたり甚大な被害が発生をいたしました。この豪雨災害によりお亡くなりになられた方々のご遺族にあらためて心からお悔やみを申し上げますとともに、被災されている皆さんにお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。
昨日の12時現在における被害状況ですけれども、人的被害は、死者が26名。安否不明者2名は、いまだ発見されておらず、災害対策本部でも申し上げてるとおり、県警を中心に引き続き捜索をお願いしているところでございます。
住家の被害につきましては、今の段階での数字は発表させていただきますが、実は一番被害の大きな宇和島市、大洲市、西予市については、まだ調査中で全部上がってきている状況ではありません。ですから、今から申し上げる数字は、大幅に拡大する可能性があるという前提でお聞き届けいただけたらと思います。現時点で判明しているものとして、全壊が29棟、半壊が165棟、一部破損が16棟、床上浸水が4,395棟、床下浸水2,078棟、この段階ですら、大変大きな被害が出ているということでございます。
避難者数ですけれども、ピーク時は約3,500名の方が避難されておられました。以降、徐々に減少はしたものの、宇和島市、大洲市、西予市の3市を中心に、今もって467名の方々が、長期にわたる避難生活を送っておられます。精神的なストレスや体力の低下の他、季節がら食中毒の発生等も危惧されますので、地元の市町と連携して、避難所内の良好な生活環境の確保、そして保健師等によるきめ細かな健康管理に心配っていきたいというふうに思います。
次に、現段階で市町から報告が上がってきた土砂災害は723カ所、道路損壊による県管理道路と市町道路の全面通行止めが148カ所に及んでいるほか、農林水産関係では、田畑の冠水、多くの農地・農業用施設の損壊、特に、南予地域、また松山市、今治市を中心に、樹園地等が広範囲にわたって被害を受けておりまして、今回、初めて発表しますが、現時点での、あくまでも現時点での愛媛県の農林水産業を合わせた被害額、現時点で273億円の状況にあります。これは現時点で把握しているだけでございます。過去、平成16年に起こった災害の時が314億円でしたけれども、今、(総額で)273億円ですけれども、農業被害は、すでにその時を超えています。まだ、奥地に入っているわけではありませんから、この314億円は、最終的には大幅に上回る可能性があるというふうに思っております。場合によっては、500億円近くまで、これは確定ではありませんけれども、その近くまでいく可能性は十分にあるという前提で、今時点では、把握できているのが273億円ということで受け止めていただけたらと思います。
ライフライン関係では、県民生活に欠くことのできない水道施設、これが被災をいたしました結果、多くの地域で断水が発生しました。その影響は、最大で12市町、31,068戸、世帯ですね、人数で63,856人に及んだところでございます。その後、各市町、関係機関、復旧作業をずっと続けておりまして、7月18日水曜日、18時現在での断水件数は、4市町、5,617戸、世帯ですね、人数で13,114名となりまして、市町数で3分の2、戸数、人数では、約8割が復旧した状況にございます。
前回、7月17日の災害対策本部会議以降、断水の影響が100戸以上集中的にある地域のうち、上島町では、広島県側の取水場の復旧に伴いまして、また大洲市の菅田地区では、水源地等の復旧ができまして、昨日、それぞれ断水が解消いたしました。それから、西予市野村地区においても、浄水場等の応急復旧が進んでおりまして、ちょっと確定はできないんですが、数日中には、この西予市地域の断水も解消できる見通しが立ち始めているところでございます。
また、私も先週から今週にかけて、今日も八幡浜の方に行かせていただきますが、県内の主だった被災地を視察してきました。特に、南予地域の中でも大きな被害を受けた宇和島市吉田地区、大洲市東大洲地区、西予市野村地区では、土砂崩れや浸水による家屋の崩壊、さらには樹園地の崩壊など、大きな被害を目の当たりにしました。一方で、現地では、自衛隊、県、市町、他県の懸命な給水活動や、地元住民がボランティアの皆さんとともに、もう本当に明日に向けて復旧作業に懸命に取り組む姿を拝見し、大変心強く感じたところでございます。
また、今回の被害というのは、かなり大きなものになると、これは愛媛だけではなくて、中四国でかなり甚大なものになるという感触がありましたので、これは松山にいても実感がないかもしれませんし、東京にいたらもっと実感がないというふうなことで、月曜日に日帰りで上京させていただきまして、その状況を総理に伝えさせていただきました。今後、増大する災害廃棄物の処理等もありましたので、いろんな課題、4項目について申し上げたんですが、その後、総理もご案内のとおり来県をしていただきまして、自衛隊、他県自治体応援職員の継続派遣、財政的支援など、さらに追加で8項目の要望をさせていただきましたところ、総理からも、被災者の声や被災地が抱える問題を肌で感じていただき、政府としても生活再建支援に向け、全力で取り組むとの強いお言葉をいただいたところでございます。この態勢を受けて、市町にも本当に心置きなく災害対応に向き合ってほしいというふうに伝えさせていただきました。
今後、この甚大な被害からの復旧・復興対策を迅速に進めるために、まず水の確保、これが最重要課題と、これに目途をつけまして、次に、避難されている方が、当面の間、生活できる住居環境を整えるということを目標にする。これと並行して、公共インフラ施設の復旧、そして農林水産業の復興に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思います。
特に、災害対策本部でも申し上げましたけれども、地域を守るというのは、人の命を守り、生活を守り、産業を守って、はじめて達成し得るものという観点で、今の南予地域は、特に一次産業が主力産業ですから、この状況でどうなってしまうんだろという不安感を抱えられている関係者の方が多いと思います。国にもしっかりと要請を繰り返しまして、県を挙げて全力で産業を守っていくという強い姿勢で臨んでいきたいと思いますので、ぜひ関係者の皆さんには、明日に向かっての希望を捨てないで頑張っていただきたいと、心からその思いを伝えさせていただきたいと思います。
次に、今申し上げた水の問題であります。特に宇和島市の吉田地区の水道、三間地区の水道でございます。懸案であった吉田浄水場は壊滅的な状況でございます。今後も、周辺の山間部からの土砂崩れが続く可能性もありますので、現地での復旧や再建は困難であるという判断をしまして、本日、宇和島市から、現施設に代わる新たな浄水施設を、8月下旬を目途に、吉田、三間地区にそれぞれ設置することとし、完成後、試験通水期間を経て、通水予定である旨の連絡があったことを報告させていただきます。
具体的な内容は、吉田地区、給水人口9,867人に、日量で2,600トン、三間地区、給水人口5,084名に、日量1,500トンの供給が可能な浄水ろ過装置を設置しまして、8月下旬を目標に稼働させることで、当面、最低限必要な生活用水を供給するとともに、10月の中旬までに、日量5,800トン、吉田で3,600トン、三間で2,200トンまで、ろ過装置を段階的に増強して、日常生活に十分な水量を確保することを予定しているところであります。
このろ過装置につきましては、すでに用途が決まっていたメーカー保有の既存の装置を、国、自治体等にもご協力いただきまして、代替浄水施設、例えば、東京都ではオリンピックの競技用に使用するという装置をこちらに回していただけるというふうなことになりましたので、本当に関係者、全ての皆さんに感謝を申し上げたいと思います。また、この移送につきましては、現在、自衛隊の方で検討していただいているというところでございます。
ただ、こちらの水につきましては、ろ過装置は手に入るんですけれども、パイプラインと、あとポンプですね、こちらがですね、すぐに調達できないということで、これはオーダーで新規で作らざるを得ないと、その関係で、この8月にずれ込んでしまうという事情があることをご理解いただきたいと思います。これがどこかにメーカーさんが持っていたら、もっと早くできるんですが、残念ながら、今のところ見つかっていないという状況なので、引き続き国にもぜひ探してほしいと依頼はしていますが、ちょっと難しいという状況にありますので、これは新規発注ということになります。
次に、市町の行う住家被害認定調査や罹災(りさい)証明書の早期発行などを支援するため、県職員、県内他市町の職員、他県からの応援職員等を積極的に派遣するとともに、先ほど申し上げました第2の目標、応急仮設住宅の建設につきまして、建設型と借り上げ型、組み合わせて住宅を確保していくこととしております。建設型は、現在までに要望のありました、宇和島市が30戸、大洲市が46戸、西予市が65戸でございますけれども、これについては、条件が整った建設予定地におきまして、7月の下旬から、順次着工をしていきたいと思います。なお、その後ですね、入居対象者が、これまでは対象ではなかった半壊の一部の方々にまで広げられ、条件が変わりましたので、さらに必要戸数が増えることが見込まれております。先ほどの戸数は、これまでの全壊の方々を対象にした戸数ですから、増えた場合は、さらに速やかに対応する必要があるので、現在は、その追加のニーズ調査を行っているところでございます。
次に災害廃棄物の関係でございますけれども、膨大な災害廃棄物を処理するために、新たに県内他市町の焼却場等での受け入れによる広域処理を検討していきたいと思います。また、土木及び農林水産インフラ施設の早期復旧への取り組みを進めていきたいと思います。特に、今回、本当に大きな被害を受けた、先ほど申し上げた基幹産業の農林水産業につきましては、応急的な対策はもちろん、営農継続、この意欲を失わせることのないように、全力で取り組んでいきたいと思います。
いずれにしましても、人を守る、生活を守る、産業を守るという三つの視点を大切にして、市町と関係機関のチーム力で、オール愛媛体制でスピード感を持って対応に当たっていきたいと思いますので、被災者の皆さん、ぜひ頑張ってほしいと思います。
以上です。