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平成30年度12月知事定例記者会見(平成30年12月19日)の要旨について
日時:平成30年12月19日(水曜日)
11時16分~11時58分
場所:知事会議室
(あいテレビ(幹事社))
先日、政府の中央防災会議の作業部会がまとめた南海トラフ巨大地震の防災対応に関する報告書で、被害が発生していない地域の住民に事前避難を求める場合があることが示されたが、この方針に対する所感と事前避難に備えた県の今後の対応はどうか。
(知事)
中央防災会議のワーキンググループが、南海トラフ沿いで異常な現象が観測をされ、大規模地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると評価される典型的な三つのケース。それは「半割れ」、「一部割れ」、「ゆっくりすべり」。この三つのケースについて、防災対応のあり方を検討し、今お話のあったように、12月11日に報告書の案が提出されました。
このうち「半割れ」ケースにおける住民の防災対応として、最も警戒する期間を、最初の地震発生後1週間とし、地震発生から30分以内に津波により30cm 以上の浸水がある地域を対象に、地震発生後の避難では明らかに避難が完了できない地域の住民は事前避難、地震発生後の避難では間に合わない可能性がある地域の要配慮者は事前避難、それ以外の者は避難の準備を整え、個々の状況に応じて自主的に事前避難とするなどの方向性が示されております。
このような事前避難については、当然のことながら空振りも考えられるところでありまして、大規模地震発生による被害の可能性と避難生活によるストレス、あるいは長期避難に対する不満の高まり等の社会的受忍の限度とのバランスが非常に難しいところであります。ただ、被害を最小限に抑えるという観点から見れば、理解できる方向性ではないかなと。これは、いつも申し上げていますように、空振りに終わっても無駄足になっても、命を守ることを最優先にするというのは、県の立場でも言い続けておりましたので、その方向性は理解できるところであります。
また、報告書では各ケースの防災対応の標準的な考え方を示して、国と都道府県、市町村、そして企業等の各主体が、個々の状況に応じて自ら可能な防災対応を実施するとともに、防災対応の計画をあらかじめ定めることが重要であるとしておりまして、国に対しては、防災対応の基本的な考え方や各主体が検討すべき項目、検討手順、留意点等をまとめたガイドラインを示すことを求めております。
県としては、今後、ガイドラインにおいて国から示されるであろう、その対応方針に基づいて、市町と連携して具体的な防災対応を検討することとしておりますが、その内容によっては、住民の皆さんの日常生活に大きな影響が生じる可能性もありますので、住民の皆さんの十分な理解を得ることが重要だと考えます。
なお、県では、これまで南海トラフ巨大地震を想定して、「えひめ震災対策アクションプラン」、これに基づいて、建物等の耐震化や海岸堤防等の整備、県民の防災意識の啓発など、ハード・ソフト両面から171項目について対策を進めているところであり、今後とも被害を最小限に抑えるため、着実に防災・減災対策を推進していきたいと思います。
以上です。
(テレビ愛媛)
国のガイドラインが示された場合でも、かなり自治体の自主的な判断と言うか、計画づくりなどに、左右される面があるかと思うが、そのあたりについては、どう考えているのか。
(知事)
まあこれは、(ガイドラインが)出てからとしかコメントのしようがないんですけれども、別に国に言われるまでもなく、愛媛県でも先ほど申し上げたプランに基づいて、170項目以上の対応をしていますので、その足らざるところを補うというような形で考えていったので良いのではないかなと。何もかも国にという考えは毛頭ありませんので、それは臨機応変に対応していきたいと思っています。
(愛媛新聞)
もし分かれば、発生から30分以内で正常に避難できない地域が事前避難の対象になるということだったが、愛媛県の場合、対象者が何人くらいとか、数は計算しているのか。
(知事)
数分かる。
(防災安全統括部長)
30分以内に30cm以上の津波が来るところは、宇和島市と愛南町になるわけなんですけれど。
(知事)
しかもそれは一部だよね。
(防災安全統括部長)
はい。ただ、ちょっと人数は分かりませんので。
(愛媛新聞)
宇和島市と愛南町の一部。
(知事)
が対象になると。
(朝日新聞)
避難となると、いろんな設備の整備費用とか自治体側の財政的な負担も生じると思うが、そのあたり、国への働き掛けなどは。
(知事)
先ほどのガイドラインが提示されるということは、当然、国が責任を持つという指針にもなりますから、そのあたりの財政措置というのは、当然、国が言った以上は、構えられるものと思いますので、その時点でメニューを見て、足らざるところは要望、十分であると判断したところは、予算の確保に向けてやっていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
松山の分水について、昨日、松山市の野志市長が西条市を訪問して、玉井市長と分水に関する面会を行ったが、その中で、会談後、玉井市長が、中村知事が前回の会見で発言した加茂川の流量確保のためのダムの放流増加は、広域行政の超法規的な措置で考えると言っていたことについて、その「真意を知りたい」と玉井市長が発言したが、この玉井市長の発言に対する受け止めてはどうか。
(知事)
そうですね、むしろ逆に、今日、ちょっと(新聞の)記事は「疑問を呈す」というふうになっていたんですが、そういうわけではなくて、ぜひその中身を聞いてみたいというお話だったので。ぜひ、我々としても県の提案をきめ細かく説明する機会があれば、もうどんどん出向いてやりたいと思っていますので、良いきっかけができたのではないかなというふうに思っています。
これはですね、法律の問題もありますから、今、この時点で、これができるできないではなくて、こういう分野がひょっとしたらできるのではないかということを検討するという段階なんですけれども、広域行政という範疇(はんちゅう)の中でですね、やれることは全部やっていくというふうな中で、検討課題として示したものでありますから。
そういったことを踏まえてですね、ぜひ県の姿勢というものをね、聞いていただく機会を設けていただけたらいいのではないかなというふうに思います。今まで、なかなかそういう機会がなかったので、ある意味では、そういうきっかけが生まれたというのは、前進じゃないかなというふうに思っています。結論は別ですよ。
(愛媛新聞)
説明する機会というのは、あらためて何かしら説明する場を設けるということになるのか。
(知事)
たぶん公式な会での県の職員の説明を検討したいというふうな内々の話がありますので、それはもう本当にスケジュールに合わせてですね、しっかりと説明に赴きたいというふうに思っています。
(愛媛新聞)
西条市の方で、県の提案に関する回答についての会議があると思うが、その会議の場に出向いてということになるのか。
(知事)
その会にされるか、別の会なのかは、西条市さんが決められることなので分かりませんけれども、われわれは、もういつでも説明させていただきますよという立場です。
(南海放送)
関連して、水問題の会議は、西条市が主催している地下水保全の協議会と、あと、3者、新居浜市も加わる水問題に関する協議会があるが、イメージとしては、どちらで。
(知事)
前者の方だと思いますね。西条市さんの。
(南海放送)
西条市主催の。
(知事)
はい。
(愛媛新聞)
西条市に出向く場合、もし知事に来てほしいと言われたら、知事が行って説明することになるのか。
(知事)
それはもう、私がと言うんだったら参りますけれども、技術的な話が中心になりますので、この場合は、やはり担当者の方がいいのではないかなというふうに思います。
(愛媛新聞)
担当者が来てほしいという話は、西条市の方から受けているのか。
(知事)
正式ではないですよ。内々ですね、まだ。非公式の中で、そんな話は来ていると聞いています。
(南海放送)
来月の、1月27日に第2回の協議会が開かれる予定があるが、そのあたりでの説明というのが、一番可能性があるということか。
(知事)
そうですね。それはちょっと分かりませんけれども。
ただ一方で、われわれはもう、西条市に対しても、松山市に対しても、良いのではないかなという案を出したので、西条市さんには、ぜひそういった細やかな説明を聞いていただく機会があれば、結論はどうなるにせよ、良いことではないかなというふうに思いますし。松山市さんには、もう少し、受水者として汗を流していただきたいというメッセージを送ったんですが、市長さん、今回動いて。これで行って、また2年行かないなんてことは、ちょっと勘弁していただきたいと。やはり何度も何度も足を運ぶというのが誠意だと思いますから、そういう姿勢と、あと議会の皆さんが決議に基づいて、しっかりと対応していただくというのも重要なことではないかなというふうに思っています。
(南海放送)
昨日、野志市長は、玉井市長との面会終了後のインタビューの中で、「議会は議会です」というような感じで、ちょっと連携が取れていない、別物として考えていて、一緒に訪問するようなイメージではなさそうだったが、その点については。
(知事)
そこは、しっかりと議論して、一緒にされた方が良いとは思いますね。昔は一緒にしていましたので。はい。
(南海放送)
議会と市で一緒に行った方が、松山市としての誠意は伝わると。
(知事)
誠意は伝わるんじゃないでしょうかね。はい。
(テレビ愛媛)
水を西条市に購入いただくというのは、最終的な手段ということか。
(知事)
いや、それが普通なんですよね。元々、黒瀬ダムの工水事業というのは、地元西条市からの要請に基づいて、県がやったという経緯がございます。負担は県の方でやっていますから、それは売れるという前提での投資だったはずなので、それが売れないということになれば、じゃあどう活用するかという、そういう話じゃないかなというふうに思うんですよね。
だからそれは、県民全体にご負担をいただく中での事業になっていますので、当然、売却というふうなことが前提になっていますから。そういった、これはちょっと貯留権とかいろいろなシフトをしているところもありますので、どういう形になるかは分かりませんけれども、コストの回収というのは、やはり常に考えながらやらなければいけないと思っています。
(愛媛新聞)
話題が変わるが、今年1年を振り返って、県政にとっては、加計学園の問題であるとか、豪雨災害であるとか、さまざまな出来事があったと思うが、知事にとって、今年1年間はどのような1年だったと思うか。
(知事)
まあ、とにかく多忙極まる1年だったですね。今、おっしゃったように、よく分からない問題に巻き込まれたり、豪雨災害の対応に追われたり、そのさなかに選挙があったりということでしたので、本当に休んだという記憶が余り残らない1年だったですね。
(愛媛新聞)
ちなみに、2018年の世相を表す今年の漢字は、「災」、災害の災だったが、知事が今年1年を漢字で表すとしたらどうか。
(知事)
そうですね。災害があったので、災というのは、まさにわれわれも実感するところなんですが、そこで終わりたくないので、この段階になると「転」というね、災転じて、来年は福にすると。だから、この年末は、「転」ということで締めくくりたいと思っています。
(愛媛新聞)
転がるの「転」。
(知事)
そうですね。
(愛媛新聞)
公約の継続課題への挑戦に掲げていた、鉄道の高速化、四国新幹線について、昨日もJR松山駅で誘致をPRするラッピングが始まったが、あらためて四国新幹線への思いと、あと現在、基本計画路線、各地で誘致活動が活発化しているが、この誘致活動が、今どのような時期にきていると感じているか。
(知事)
そうですね、九州新幹線が開通し、北陸新幹線が開通し、北海道新幹線が開通し、鉄道網ということで言えば、新幹線のルートで唯一取り残されているのが四国という、こういう状況の中で、どうあるべきかを考える必要が一点あるのと。それからJR四国の将来を考えた時に、新幹線事業を持たない地方鉄道というのは、これから収益源が見込めなくなってくる可能性が高くなっていきますから、非常に将来性が厳しくなってくると。すると既存の路線の維持という問題も含めてですね、会社の問題にも直結していると思うんですね。
ですから、日本全国の新幹線鉄道網という観点と、それから愛媛だけではなく四国全体の活性化と、そして鉄道会社の存続と、いろんな観点から必要性を痛感しています。
ただこれは、今日手を挙げてすぐできるという話ではなくて、非常に長い月日がかかる事業になりますから、もう今が、さっき申し上げたように、九州、北陸、北海道とある程度めどが立ってきた、もちろん、その枝葉はありますけれども、主要なところまで開通したこの段階というのが、次のルートの選定の可能性が大きく膨らんできていると思いますので、非常に重要な時期に入っているというふうに思っています。
(愛媛新聞)
伊方原発について、先日、四国電力の原子力本部長が、原子力規制庁の方であった規制委員会の委員との意見交換会の中で、3号機の定期検査間隔の延長について言及した件で、翌日、同社では、具体的な計画を進めている事実はないという発言の補足をしたが、この発言についての受け止めはどうか。
(知事)
これはちょっと申し上げたいことがあるんです。
昨日、新聞を見てですね、これは全く聞いていない話なので、何のことかなというふうに思いました。
現在は、定期検査については、原子力規制委員会の審査において、「技術上の基準に適合している状態を維持することが確認された期間内で受検しなければならない」とされていますので、その期間として、13カ月、18カ月、24カ月が規定されておりますが、現在、わが国で稼働している原子力発電所は、全て13カ月以内となっています。
今、お話しがあったように、四国電力が、臨時会議において、定期検査の間隔延長を目指す意向を示したとの報道がありましたけれども、問い合わせたところ、同社では、会議では将来的な技術的課題として言及したもので、具体的な計画を進めている事実はないという報告は受けました。これは、ホームページにも掲載しますということで、連絡がありました。
ただ、こういったことによってですね、愛媛県としても、「おやっ」と思ったので、安全協定に基づく事前協議は、今の段階というのは、主要な施設の設置・変更等が対象となっていますけれども、今回のことを鑑みて、定期検査の間隔延長も事前協議の対象とすることを検討したいと思います。
これまでもですね、本県では、「えひめ方式」による通報・連絡体制を徹底するなど情報をオープンにすることで信頼関係を築いて、それが県民の安全・安心・信頼につながるというふうに思っておりますので、このことを踏まえて、事前協議の対象とすることを、もう今日この時点で、検討をしたいというふうに申し上げさせていただきたいと思います。
(愛媛新聞)
検討するということは、最終的には四電との話し合いの中で、事前協議の対象としましょうというのを双方で話し合って決めるということか。
(知事)
そうです、はい。今、ここで決まっているわけではないですよね、当事者と協議していませんので。
県として初めて、昨日の報道は、(四国電力は)違うとは言うんだけれども、そういう拡大解釈の話が出てしまう可能性もありますから、これはもう明確に、この問題については、事前協議の対象にしたいというのが県の意思であることを今日は申し上げたいと思います。
(愛媛新聞)
具体的に四国電力と話し合う時期などは。
(知事)
できるだけ早くやりたいです。
(朝日新聞)
できるだけ早くということだが、例えば、年度内にはとか、そういう時期的にいつまでに決めるというのは。
(知事)
年度内といえば、まだ3カ月ありますからね。それは、十分できると私は思うんですけれども、個人的にはですよ。現場の感覚は分からないですが、個人的には、年度内は当然できるというふうに思っています。今の段階で。
(あいテレビ)
協議となると原子力安全専門部会に議題として上がることになると。
(知事)
そうですね、はい。
(南海放送)
安全協定に基づく事前協議事項となった場合、仮に四国電力が定検延長したいということになると、まずは事前協議で了承を得てから国に諮るようにという順番になるのか。
(知事)
もちろんです。
(あいテレビ)
安全第一といわれる中で、四国電力側からそういった考えが出るということ自体について、知事の受け止めはどうか。
(知事)
そうですね、問い合わせると、やっている(具体的に検討している)という話ではなかったようなので、ちょっと何とも言えないところがありますね。
ただ、そういうふうに取られかねない話でもあったと思いますので、だから、マスコミの報道については、そう取れなくもないので、そこら辺は明確に、あいまいなところがあったので。今日、私から言えることは、ともかく事前協議しましょうよ、当然でしょうというふうなことを明確にさせていただきたいと思います。
(あいテレビ)
仮に事前協議の対象となったとして、延長の話が協議のテーブルに乗るということは。
(知事)
これは、法律的に認めれられていますから、それは正規の話だと思うんですけれども。ただ、それを認めるか認めないかは別問題。
(あいテレビ)
個人的には、例えば、車検で新車は最初3年で、後、間隔が短くなっていくということで、原発も年数を経ると間隔を短くするということなら理解できるが、逆に長くするというのは、なかなか理解し難いと思うが、知事はどうか。
(知事)
ただ、これはもう規制庁の方でルールを作っていますから。やはり法治国家である以上、その法律、我々は立法府ではないので、その法律に見合った形で、しっかりと運営がなされているのか、それからそれを認める場合というのは、責任ある国が安全のチェックをするわけですから、専門家によって、それがクリアできているのかとか、いろんなハードルがあると思うので、そこをしっかりと見極めるということが大事だと思っています。
(共同通信)
確認だが、先ほどの年度内というのは、事前協議の対象とするかどうかの検討を年度内にするということか。あと、安全協定は伊方町も入っていると思うが、伊方町も含めた3者で検討するということか。
(防災安全統括部長)
伊方町と四電、当然、伊方町さんには、まだお話をしていませんので、その辺は、伊方町と四電の間でも同じように検討をしていただくようになるのではないかと思いますが、その辺は、まだちょっと伊方町と話をしておりませんので。
(知事)
3者の協定ですから、だから伊方町にも、これから働き掛けをしないといけないということです。
(共同通信)
今日時点で、まだ検討という意向を伝えてはいないということか。
(知事)
まだです。昨日の今日ですから、まず県の姿勢を今日は明確にしたということです。
(愛媛新聞)
確認になるが、今後、県と四電と伊方町の3者で話し合いをして、事前協議の対象とするということか。
(知事)
事前協議の対象にする方向で話を詰めていきたいと。
(朝日新聞)
協定の改定については、遅くとも年度内には。
(知事)
できるのではないかなと個人的には思っているんですけれども、ちょっと、そこはテクニカルな部分もあるので分かりません。
(朝日新聞)
西日本豪雨の復興状況について、年末、最後の会見なので。
(知事)
まず、特に被害が大きかった、かんきつ農業の復興状況について、説明させていただきます。かんきつ農業の復興には、被災した樹園地の所有者である農家の意向を尊重しながら、JAや共撰など関係機関との連携を図って、被災地それぞれの実情に合わせた取り組みを進めることが重要であるというのが基本的な認識でございます。特に被害の大きかった南予地域については、7月30日に立ち上げました「南予地域柑橘農業復興対策チーム」を軸に、本格的な復旧、復興対策に取り組んでいるところであります。
まず、短期的対策ですが、農業水利施設及び農道の復旧を最優先に取り組んでおりまして、南予用水のスプリンクラー施設の稼働率は、発災直後は5割でございました。現在9割まで回復をしています。もうこれ以上いいやっていうところも出てきますので、この9割がひょっとしたら9割5分になっているかもしれません。今、被災前の状況と比べて9割というふうにご理解いただけたらと思います。
被災した農道の方は、県全体で約7割が部分通行または迂回(うかい)路の確保が完了しています。ただ、残りのところは、結構大きな規模での崩落等があるので、ちょっと時間はかかると思います。急ピッチで7割までは通行可能にもっていっているということです。
いろいろとご指摘があったモノレールの復旧でありますけれども、これも地域一丸となって取り組んでまいりました。その結果、県下の復旧率は今6割へ改善されております。被害の大きかった宇和島市でも、収穫期が近づいていましたので、急ピッチでやっていまして、こちらも約6割回復しました。今もまだ、続けているさなかでございます。それから中予地域でも中島地区で11月から復旧支援チームを結成させていただき、中晩柑収穫、こちらは中晩柑が多いので、その収穫に合わせて復旧を加速させているところでございます。
また今季の収穫が可能な被災園地については、特に被害の甚大な宇和島市へ、9月23日まで延べ825人のボランティアに行っていただきました。そのボランティアの方々が摘果等の作業を人力で実施していただいたところでございます。10月からは、JAえひめ南が、「みかんボランティアセンター」を立ち上げまして、これまでに1,309人のボランティアを受け入れています。
収穫作業の支援では、モノレール被災園地の収穫物運搬等に係る雇用労賃の助成事業を活用しまして、JAえひめ南で雇用希望農家が21戸、アルバイト応募者が85名登録されておりまして、アルバイター確保について、この支援を継続することとしています。また松山市でもJAと共同で「まつやまみかんボランティア」として、12月1日から23日の土日に、臨時雇用と無償ボランティアを組み合わせて支援しているところであります。
なお、防除や摘果の遅れ等により発生増が見込まれる、傷んだものあるいは小玉のもののうち、光センサーを通して品質・味は保証できるものについては、「宇和島がんばるみかん」として11月から12月の2カ月間、県内外の企業社販やイベント等で販売をしているところであります。
次に中長期的な対策でありますけれども、大規模被害を受けた園地の再建と被災農家の生業支援の二つのスキームを並行して実施する必要がございます。
このうち園地再建では、当初に、原形復旧と改良復旧、再編復旧の三つのパッケージを用意するということを申し上げましたが、この園地再建では、原形復旧や改良復旧、比較的短期でいけるもの、あと2、3年でいけるものについては、現時点で600箇所を超える約100ヘクタール分の園地復旧計画を策定しました。現在、国の災害査定への対応を進めておりまして、年明けの審査終了後から順次着工してまいります。この原形復旧と改良復旧の園地については、平成32年度までに復旧工事を完了させるという目標に向かって、全力を尽くしていきたいと思います。
ただ一方、それではとてもじゃないけれど復旧できないところについては、再編復旧になりますが、これは大規模造成や区画整理が必要になってまいります。県内10箇所をモデル地区に選定しまして、現在、整備構想図の作成を進めております。完成した順番から、全部の完成を待つことはないと思いますので、完成したところから順次、地元への提示を行うこととしておりまして、これを見てですね、土地の所有者が意見交換をして、担い手に集約することに合意できるのかどうかとか、どこまでの範囲をやるのかとか、いろいろと地元合意が必要になってきますので、これはもう地元に委ねるしかないと思っています。愛媛県が作成した構想図、まず第1弾、宇和島市吉田の白浦地区で、12月21日に地元説明会を行う予定でございます。今後、関係団体と連携しながら、合意が形成されましたならば、条件が整った地域から、早ければ平成33年度の工事着手を目指して事業化につなげていきたいというふうに思っています。
また、生業支援については、例えば未収益期間短縮のための大苗の育苗。苗を育てるんですね。育苗とか、農作業受託組織の設立、それから今いろいろと研究をしています新品種など、新たなかんきつ生産モデルの実証など、被災農家の雇用と収益確保を図りながら、現状回復にとどまらない新たなかんきつ産地の創造を目指す有効な復興策をJAグループと共に構築するため、出資法人等の設立の働き掛けを行っているところでございます。先日は、宇和島市の玉津地区で若手生産者が自ら農業法人を設立する動きも出てまいりました。引き続き復興策について、JAグループとも連携しながら被災地域の皆さんにお示しをしていきたいというふうに思います。
次に、グループ補助金の状況でございます。グループ補助金は、これまで相談件数が2,100件を超えております。11月末までに認定の申請がありましたのが40グループ。そのうち30グループ、335事業者を認定済みでありまして、残りの10グループ、174事業者につきましては、今月20日に開催する評価委員会において審査を行うこととしています。グループを構成する509事業者の補助金要望額は、総額でいいますと70億円を超えるなど、順調に滑り出しをしておりまして、これは要望額ですね、今の70億円というのは。既に9事業者については6,600万円を、まず最初のキックオフですけれども、これは交付決定しているところでございます。また、今月中には18事業者に対する約3億円について、国の審査を受ける予定となっています。
さらに、組成の動きのある約30グループに対しても、復興計画作成や申請手続き等を支援しているところでありまして、まさに当初の狙いだったんですけれども、この復興計画づくりと申請手続きのハードルを越えるために、より近い所でサポートする必要があると判断し、3カ所、西予市、宇和島市、大洲市にサテライトオフィスを設置したところでありまして、まさにその職員の皆さんが、今申し上げたようなサポート体制、日々行ってくれておりますので、どこよりも早くグループ補助金の活用が可能な状況になっていくのではないかというふうに思っています。
次に、災害関連対策資金でありますけれども、これは融資制度ですね。こちらは被災事業者向けの融資制度、11月末時点の融資実績は、255件、金額にして約33億円となっています。
次に、被災地販路開拓支援補助金。これについては、1次募集及び2次募集において、本県から申請した件数が226件になりました。これは全て採択されました。全部採択されていますので、今後、国の追加募集に向けた動きを注視しながら、引き続き、商工会、商工会議所と連携し、事業再建に向けた支援を継続していきたいと思います。
次に、それに漏れるところ、こちらは県の方で、被災中小企業クラウドファンディング復旧支援事業を立ち上げているところであります。12月3日に、被災した事業者や団体が計画した復旧プロジェクトを一堂に掲載する特設サイトを開設させていただきましたが、昨日時点で、応募のあった12事業者等のうち8事業者のプロジェクトが掲載されています。で、残りのプロジェクトについても、完成次第、順次、同サイトに掲載していき、関係機関への周知など、さまざまな方法でPRを図りながら調達目標をそれぞれが達成できるようフォローをしていきたいと思います。
次に、観光関係でございます。観光関係は、ご案内のとおり、かなりの打撃を受けたということで、風評被害の側面が強かったこともあり、また、広島県、岡山県も同様の状況であるということで、3県で共同して要請活動をいたしましたところ、認められました。
その後、周辺の府県も、こちらも被害があるんだということで、さらに、その対象が拡大されておりますけれども、現在、中国・四国9県を含む13府県で連携しまして、宿泊料金を1人1泊当たり、これは場所によって違いますけれども、最大で6,000円補助する「ふっこう周遊割」を運用しておりますが、当初これがですね「2府県以上・2泊以上」という条件を付けられていて、非常に使い勝手が悪いという申し入れをさせていただいたところ、その後、国も「同一府県2泊以上」に要件緩和をしてくれましたので、10月中旬以降、この要件緩和を境として、個人旅行者からの申請が急増しています。
このため、個人旅行者、それからボランティア分については、予算残額が少なくなってきましたことから、12月5日申請分で終了させていただきました。
一方で、「ふっこう周遊割」を活用した旅行商品なんですけれども、これは1月末まで利用可能としています。旅行会社とも連携し、観光需要が落ち込む冬場の観光客確保に取り組んでまいりたいというふうに思います。
なお、旅行商品の販売も、実は好調でありまして、対象期間の1月末までに、個人旅行者分も含めてですけれども、当初予定していた6万人泊の利用が見込まれるのではないかと、予算消化率100パーセントでいけるのではないかというふうに思っています。
そして、問題はですね、中予は風評ですけれども、南予が問題でしたので、南予への誘客促進を図るということを、松山市および旅館関係の方々にも直接、自分のところだけでとどめないで、南予への誘客を促していただきたいという依頼をしています。
そのために、道後から内子、大洲、宇和島を周遊する500円のワンコイン観光バスを行楽シーズンの10月と11月の主に土日に運行しましたところ、運行開始早々に完売しました。また、第2弾の取り組みとして、11月、12月の土曜日・日曜日、祝日日に、1,000円で松山-宇和島間の特急列車が1日乗り降り自由となる「南予観光きっぷ」を発売しており、ワンコイン観光バスと合わせて約1,000名を南予地域に送客することとしています。
豪雨災害からの復興に向けては、観光客の皆さんの来県が大きな力になりますので、引き続き、南予地域への誘客促進にも取り組んでいきたいというふうに思っています。
これが、現時点での状況です。