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平成30年度6月知事定例記者会見(平成30年6月18日)の要旨について
日時:平成30年6月18日(月曜日)
11時38分~12時03分
場所:知事会議室
(NHK(幹事社))
昨日関東で、今朝また大阪の方でも大きな地震があったが、南海トラフ巨大地震が発生した場合の経済的被害額について、発生後の20年間で1,410兆円に上る可能性があるという推計を土木学会が発表した。この長期的推計に対する知事の受け止めと被害額軽減に向けた今後の県の取り組みはどうか。
(知事)
平成25年の3月でしたけれども、内閣府が南海トラフ地震の被害想定を発表いたしました。この時はですね、資産等への被害が約170兆円、経済活動への影響が約51兆円とされていました。
今回の土木学会の推計は、この内閣府の被害想定をベースにはしているそうです。資産等への被害は、内閣府想定を使用しているということでありますから、これをベースにはしているんですが、経済活動への影響は、内閣府が、被災後、先ほどの約51兆円ですけれども、被災後1年間の生産額の減少として発表していましたが、今回は20年間の長期にわたっての影響を推計していますので、期間が1年と20年で、全然条件が違いますので、それで1,240兆円としたことが大きな違いとなっていると思われます。
土木学会では、道路や海岸堤防の整備、港湾・漁港や建築物の耐震強化など約38兆円の公共インフラ投資を行うことで、経済活動への影響を約4割、509兆円縮減できるとしていますので、政府に対して、対策の早期実施を提言している中身になっています。
今回の推計は、これまでにない、今申し上げた20年間という非常に長期的な推計であることや、公共インフラ投資というハード面の対策の重要性に焦点を当てていることが特色で、大変貴重な視点を提供していると考えますが、南海トラフ地震に備えるためには、住民への情報提供や避難対策などのソフト面や、また県が特に力を入れています自主防災組織の育成などの自助・共助の取り組みも非常に重要でありますから、こういった視点は、今回のものには入っていません。県としてはハード・ソフト両面から、バランスのとれた対策が必要なのではないかというふうに捉えています。
なお、報告書は6月7日に発表されたばかりでありまして、今後、各方面での検討も行われることや、報告書の中で「国難」と表現しているんですけれども、これを踏まえて、国として今回の推計をどう咀嚼(そしゃく)、評価し、今後の南海トラフ地震対策に取り入れていくのか等について、注視していきたいと思います。
愛媛県では、既に、内閣府、今回の土木学会も内閣府のデータをベースにしているんですが、県は内閣府より厳しい本県独自の条件設定、これは耐震性の不明な堤防等が揺れや液状化により同時に全て崩壊するという国も想定していない最悪の条件設定を県の方ではしています。これで西条市のゼロメートル地帯では、広範囲の浸水で甚大な被害などがでると、こういうことにもなっているんですが、これに基づく、「県地震被害想定調査」、これは平成25年の12月に公表していますけれども、これを踏まえまして、平成27年3月に策定した「えひめ震災対策アクションプラン」に基づいて、ハード・ソフトの両面からの対策を総合的・計画的に、今、実施しているところでございます。
今回の土木学会の発表うんぬんに関係なくですね、それ以上の条件設定で行っているこのアクションプランに基づく取り組みを、今後とも着実に実施していきたいというふうに思っています。
(あいテレビ)
アクションプランは、確か10年かけて実施することで、当初の想定の2割くらいに被害を抑えるようにしていると思うが、なかなか住民主体の取り組みで把握しづらい面もあると思うが、進捗状況などはどうなっているのか。
(知事)
今お話がありましたように、最悪の条件設定で行っていますので、死者数も16,032人というふうな数字でございます。これをですね、おおむね8割減少させると、2割にとどめることで策定したのがアクションプランですけれども、地震対策、津波対策をはじめ、8つの基本政策、36の施策項目、そして171の実施項目を掲げていまして、お話があったように、36年度までの10年間に取り組むべき施策をまとめ、そして皆さんからも「どうなっているんだ」ということがお分かりいただけるように、118の指標を設定しています。
29年度末時点での進捗状況でございますが、指標ごとには、大きく進捗したものもありますし、また目標達成まであと一歩だったものも正直言ってございます。さまざまでございます。
全体としては、大幅に進捗したものが8項目ございます。118の指標のうち、大幅に進捗が8項目。例えば、県が講座を開いている防災士の資格取得者が大幅に増えていること、それからDPATの登録者数も予想以上に増えているということなどが挙げられます。
それから、順調にいっているのが76項目でございます。これは例えば、県立学校の耐震化、予定どおり100パーセント完了したことや、自主防災組織の組織率等が目標どおりにいっていると。
この大幅進捗8項目と順調76項目を合わせた84項目は、その割合が全項目の約7割、ですからこの7割については、おおむね順調にいっているのではないかと捉えています。
ただじゃあ、残り3割は、今一歩ということもありますので、これはいろんな要素があると思いますので、しっかりと分析をして、できる限り前進できるように今後とも力を入れていきたいと思っています。
ただ、中にはですね、中長期的な取り組みのものもありますので、すぐに結果が出ない、財源の問題も含めてですね出ないものもありますので、その辺もしっかり見極めながらアクションプラン達成に向けて頑張っていきたいと思います。
(愛媛新聞)
土木学会の今回の発表に関わらず、県として確実に対策を実施していくということだが、今回の推計を受けて、アクションプランを見直していく、反映させていくということは、考えていないのか。
(知事)
今のところ考えていないです。はい。むしろ、さっき申し上げたように、土木学会というのは、1年を20年、資産の方は変わっていないですから、そこをばっと20年にしたということで、金額だけが膨らんでいるということなので、それ以上の条件設定でアクションプランを作っている我々のところに、今の段階で変更ということは、要素としてはないのではないかなと思っています。
(南海放送)
今朝、大阪の北部で発生した地震の影響で、県内から関西方面に進出している企業などで、何か把握している被害などはあるか。
(知事)
まず、今朝ですね、震度6弱の地震があったと報告を受けていますけれども、被害に遭われた方に、心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。
この時点では、まだ詳細はつかんでいないんですが、全国知事会等から応援要請があるかもしれませんので、あった場合は、速やかに対応したいと考えています。今の段階ではございません。
また、県内のDMATは、自動待機状態となっていますので、こちらの方は、当然、医療チームですから、一刻を争うということで待機していますので、要請があればすぐに出動できる準備が整っています。また、緊急消防援助隊についても、同様に要請があればすぐに出動できるように、連絡を密にしているところであります。
で、愛媛県の大阪事務所に確認をしていますが、大阪事務所からは、特に大きな被害の情報は今のところ入っておりません。ただこれは、だんだん時間が経つと分かってくることもあろうと思いますので、引き続き、情報の収集に努めていきたいというふうに思います。
(朝日新聞)
公文書の条例で、もう1点だけ。知事が先ほど打ち合わせとか知事報告のメモは公文書には当たらないと、愛媛県のルールではずっとそうやってきたからという説明だったが、知事への報告事項というと、かなりオフィシャルなもので、情報も精査されたものだと思うが、おそらく法律では公文書の範囲内に入るのではないかというものを、公文書として扱わない理由というのを、あらためて。
(知事)
あくまでもですね、口頭報告ですから、正式に文書で報告する義務を課しているわけではないんですね。ですから、あくまでもこういう会議に行ってきました、こんな内容でしたというのを、口頭で、ああそうか、じゃあこれ進捗するのかねという判断をするだけの話なので、何かが決まっているわけではないんですね。会議というのは、各担当者いっぱい出ていますから、それを全部メモをですね、文書に残すなんてことは、物理的に不可能です。
ですから、あくまでも口頭報告で、物事が決まっていない、こんな雰囲気でしたというのを口頭で伝えるために、担当者ができるだけちゃんと伝えようと思ってメモを作っているというので、これを公文書の扱いには、愛媛県としてはしていないです。
(朝日新聞)
財務省の問題でも、決裁文書ですら改ざんされたという事案があり、例えばあの決裁文書に至るまでの過程をきっちり残すことで、後世の県民の方々も、それをまたフィードバックしたり検証することができると思うが。
(知事)
まず前提がですね、愛媛県は改ざんしませんから。あたかも愛媛県も改ざんするという前提で言われると、もうこれはお答えしようがないですね。うちはそういう感覚がないんですよ。
(朝日新聞)
決裁文書できっちりそこは情報を残すから、途中で物理的に残せないものはもうという、そういう意味で口頭報告は残さないと。
(知事)
口頭報告というのは、何も決まっていないですから。決まっていたら別ですよ。この会議でこういうことが決定されましたとか、進捗がありましたとか言うんだったら別ですけれど。こんな状況ですよという状況説明の段階を全部メモを一言一句残すというのは、物理的には無理ですね。
というのは、私も、毎日毎日、いろんな会に出ているわけですよ。その発言、聞いた話、全部一言一句残していたら資料がどれくらいの量になるかというのは、ご想像いただけると思うんですけれども。
(朝日新聞)
例えば、知事とのやり取りは残すとか、愛媛の文書で言えば、他省庁に報告されたものなんかは、どうみても公文書なのかなと思うが。
(知事)
決裁ではないですから。あくまでも報告ですから。決裁、私がしたものは残っていると思いますけれど。決裁ではなく報告なので。それはないですよね。
(朝日新聞)
今回の条例で、そこの規定化については、ある程度カバーできると。
(知事)
そうですね、はい。
(南海放送)
加計学園の関係で、以前、加計学園が県に虚偽報告を謝罪に来た際、知事から加計学園の方に2点求めて、1点は文科省の方から設置認可に関する見解をということで、これは返事があったが、もう1点の加計理事長の会見については、どうなっているのか。
(知事)
まずですね、2点ではないんですよ。
例えば、民間の会社であるならば、公の機関に虚偽の説明をしたということになりますと、これは一般論で言ったら大問題になるということで、当然、普通に考えても処分の対象になるのは、一般常識で言ったら当たり前のことなので、その辺をどうされるんですかということも問いかけています。
それからもう1点は、公的機関に虚偽の説明をしたということを公表されていますから、今後、その方が県との連絡役、交渉役を務めることはできないと。1回1回、これもうそなんですか、またうそなんですかと確認しないといけなくなりますから、それはできないということで、担当者は代えていただきたいということも申し上げています。
まず、最初の文科省のことについては、同学園から県に対して、文科省から設置認可は適切なプロセスを踏んでおり、今回のこと(安倍首相と加計学園理事長との面会)があった、無いは、設置認可には関係がないという回答が、文部科学省から正式にあったそうであります。この点は、非常に大きな話で、法的に認可に問題がないというのを、この時点で国が明言したということでありますから、それを受けて学校が存続しているということになります。
で、現場は、学生たちも一生懸命学んでいますし、学校の先生方や事務職員さんも頑張ってらっしゃると思います。むしろ、今、問題なのは、経営される側のコンプライアンス、法令順守の問題とガバナンスの問題になっていますので、ここはもう責任者が公で説明する以外にクリアにする方法はないわけですよね。で、それをすることによって、現場は一生懸命動いていますから、長きにわたる学校の全体の信頼も生まれてくるだろうし、そのことをクリアしてくれさえすれば、学校の現場も集中して勉学に励めるという環境が生まれると、こういうことだと思うんですね。ですから、それは四つ目の話として申し上げています。
で、今の段階で、県に連絡があったのは、この文科省の確認だけでございます。後の点については、まだ検討中であるとは聞いていますけれども、具体的にどうされるのかというのは、連絡は、私の方には上がってきていません。
(南海放送)
あれからかなり時間が経ったが、学園側の対応の遅さについては、どのように感じているか。
(知事)
そうですね、物事っていうのは、こういう時は早くやられた方がいいんじゃないかなというふうには思いますけれどね。はい。
(愛媛新聞)
知事が先日、台湾のエバー航空を訪問して、副社長と話をしたが、今後のエバー航空との交渉については、どのように考えているか。
(知事)
そうですね。本当に去年の日台観光サミットが一つの引き金になったと思います。
実はそれまで、エバー航空には、交渉はしていたんですけれども、なかなか現場の意見としては、機材繰りの関係もあって難しいということで、チャーター便も進んでいなかったんですね。
去年、日台観光サミットで李副社長が来られて、本当に愛媛のことを、素材としての魅力も感じていただき、また何よりも愛媛のことを気に入っていただきました。帰国されて即、現場にトップダウンでチャーター便を検討するようにと指示が下りて、一気に増えてきたという経緯がございます。
今回も、その思い何ら変わることなく、むしろチャーター便を飛ばして非常に顧客の反応も良いという状況が続いていますし、搭乗率も非常に高い、95パーセントぐらいだと思いますけれども、満席に近い状態が続いていますから、非常に関心度が高まっていることは間違いありません。
今回、いろんな話をしたんですけれども、例えば松山(まつやま)と松山(しょうざん)にこだわるのかと言ったらそうじゃないんですと。松山-松山の路線というのは、あくまでもPR路線で、要は、こんな良い場所があるよと。例えば「台湾から松山へ行こう、But日本の」とかね、そういうキャンペーンを張ったら、これだけでも面白いんじゃないかとか、そんな話をして、松山-松山は、国の方と8年交渉して年間1回は必ず飛ばさせてもらえるという権利をもらっていますから、これはもうPR用に使って、あとは桃園(空港)でも全然構わないと。
場合によっては、台中市でも面白いなと思っているんですけれども。台中市は、(台湾の)ど真ん中にあって、新幹線が台北まで1時間ちょっと。高雄までも1時間ちょっと。日本の新幹線と違って安いですから、台北-台中がだいたい2,700円くらいだったんですね。非常に移動もしやすいなと。多分、日本だったらあれくらい乗ったらもう8,000円くらいするんでしょう。そういうふうなところが台中は面白いなと思ったんですけれど、エバー自体が台中にそんなに枠が無いみたいなので、やっぱり桃園ということが優先かなという話になっていました。
ただ、問題は機材繰りでありまして、ナショナルフラッグの会社の一つですから、どちらかと言えば、270人とか300人の機材が多いわけですよね。ローカルとなると、やはりどうしても180人乗りくらいの機材じゃないと、なかなかお客さんを獲得できないので、その機材が少ないということが一つのハードルになっていると。機材繰りができるかどうか。持ってはいるんですけれども、少ないということですね。
それともう一つは、LCCが全世界で台頭したことによって、世界的にパイロットの確保が難しくなっているそうです。ですから、新規の路線を組むときのパイロットの確保ができるのか。この2点さえクリアすれば、ぜひ定期便にもっていきたいという言葉はいただいています。
チャーター便もですね、今年の10月までは決まっていたんですけれども、11月も10往復追加だという言葉もいただいていますので、それだけとっても非常に前向きに考えているということは、お分かりいただけると思うんですね。
我々は、やはりその顧客の満足度を高めていくということが重要ですから、今回のチャーター便、どんどん増えていますから、その方々へのおもてなし態勢を充実させることによって、満足度を高めていくという努力を続けていく必要があると思っています。
それと、松山-松山チャーター便、これはいつも入札でやっているんですが、今回初めてエバー航空が、これは是が非でも取るということで正式に取っていただきましたので、これは松山からのアウトバウンドも開放しますので、しばらくしたら旅行会社が、愛媛の皆さんに、松山-松山チャーター便の旅行ツアーのセールスが始まると思いますので、ぜひご活用いただきたいというふうに思っています。
(愛媛朝日テレビ)
加計学園の関連で、今治市の市民グループが、県から今治市への補助金の支出を行わないよう求めていた住民監査請求に関して、県の監査事務局が、棄却する決定をしたが、その件について、一言。
(知事)
そうですね、これは法治国家ですから、法律論だと思うんですけれども。さっきも申し上げたんですが、この段階でですよ、この段階で、我々はちょっとそこの過程は分かりませんけれども、法律に基づいて認可申請がなされ、国が責任を持って審査をし、そして国の責任で認可を下しているという、これは法律論をクリアしていますから、これは当然のことながら補助対象になると。
ただ、ここの問題がおかしくなったり、あるいはよほどのことがあった場合というのは、(補助金を支出しないということも)有り得るのかもしれませんけれども、今、文科省にも先般、加計学園経由で認可に問題はないという確認も取れているので、それはもう通常どおりの判断じゃないかなというふうには思いますけれども。
政治的なパフォーマンスとはまたは違う、やはり法律で動いていかないといけないと思っています。
(朝日新聞)
先ほど加計学園に求めている記者会見の件で、学園側で検討中という話があったが、理事長が会見をするかしないかというレベルでも検討中という意味なのか。
(知事)
ちょっと、先方にぜひ取材してみてください。本当に分からないです。
(朝日新聞)
この状態がしばらく続いた場合、県として対処するなり、何か対応は。
(知事)
そうですね。というか、通常で考えたら、県としても申し上げましたけれど、その後ですね、与党、まあ野党は全員そういう形でずっと言っていますが、与党からもそういった声が上がり、自民党の中からですね。それから公明党さんが正式に記者会見の要請をしていますので、そういったことを踏まえて、どういう形でするのかというのを検討されているのではないかなと推測をしていますけれど。