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平成29年度10月知事定例記者会見(平成29年10月26日)の要旨について
日時:平成29年10月26日(木曜日)
11時18分~11時35分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
今週末から始まる全国障害者スポーツ大会では、県内の多くの個人、団体、企業などが、ボランティアとして競技の運営や選手のおもてなし等に携わると思うが、今大会で培われたノウハウや機運を、今後の県内の障がい者福祉施策の向上にどのように生かしていくのか。
(知事)
国内最大の障がい者スポーツの祭典となります「えひめ大会」では、全国から67選手団、これは47都道府県にプラスして20の政令市が選手団として加わります。約5,700人をお迎えしまして、多くの県民に障がい者スポーツの魅力や選手の懸命な姿がもたらす感動を味わっていただくだけでなく、ボランティアへの参加や競技への応援等を通じまして、全国の障がいのある方々と直接触れ合うことで、障がいに対する正しい理解を深めるとともに、県民全体で共生社会づくりに取り組む契機となることを期待しています。
特に、ボランティアにつきましては、延べ約2,900人の運営ボランティアに加えまして、約700人の情報支援ボランティアや約1,700人の選手団サポートボランティアなど、多くの県民に参画いただくこととなっておりまして、この経験を糧に、大会後も障がい者の日常生活のさまざまな場面での声掛けや社会参加に向けた支援を行っていただきたいと考えており、県としても手話や要約筆記ボランティアの養成とレベルアップに、これまでも取り組んでまいりましたが、引き続き取り組んでいくととともに、さまざまなボランティアニーズに結び付ける情報発信を強化するなど、支援体制の拡充を図っていきたいと思います。
また、えひめ大会の開催に合わせまして、本年9月から、県内バス事業者による、全ての障がい者を対象としたバス割引制度が開始されました。これまでは対象が知的障がいと身体障がいだけでありましたが、これに精神障がいの割引が加わりました。
県においても、10月から、市町との連携の下に、義足や内部障がいなど見た目で分かりにくい障がい者が援助を得られやすくする「ヘルプマーク」の配布をスタートさせました。今後とも、「ヘルプマーク」や障がい者などの駐車スペースを確保する「パーキングパーミット」制度などの一層の普及定着を図るとともに、学生等を含めた幅広い世代に、障がい特性に応じた支援の仕方などを啓発し、学んでもらう取り組みを進めていくことで、社会全体で障がい者を支える機運の醸成に努めてまいりたいと思います。
障がい者スポーツに関しましては、県障がい者スポーツ協会や競技団体等と連携しまして、「えひめ大会」で培われました育成指導体制や練習環境等を継承することで、引き続き、裾野拡大や競技力の向上を図るとともに、大会を契機として生まれた企業や団体等による障がい者スポーツへの支援の輪をさらに広げることで、2020年東京パラリンピックを目指すトップアスリートへの支援や、次世代アスリートの発掘等の取り組みを強化したいと考えています。
さらに、「えひめ国体」、「えひめ大会」を、障がい者の授産製品のPRの絶好の機会として捉えまして、両大会向けにパッケージのデザイン等を統一した授産製品を、各競技会場の「みきゃん広場」で展示・販売するとともに、県民や企業・団体向けにもカタログ販売を行っているところであり、今後、販売実績等の分析を踏まえながら、販路拡大や工賃の向上に向けた、授産製品の一層のブラッシュアップにも取り組むこととしています。
なお、今回の大会は、国体と違って都道府県対抗ではありませんので、天皇杯・皇后杯獲得というような目標はありませんが、ただ、せっかく地元で愛媛県選手団が輝く機会でもありますので、前回の岩手大会でも50個を超えるメダルを獲得してくれていますので、期待値を込めて倍増のメダルをですね、ぜひ選手団、目標にして頑張ってほしいなと思っています。
(愛媛新聞)
先日の県議会議員補欠選挙の結果についての所感はどうか。
(知事)
そうですね、県議選は衆議院選挙と同じ日程で、まあ、選挙期間は違うんですけれども、投票日が同じという日程で行われましたけれども、なかなか候補者それぞれの方々の政策であるとか知名度が、果たして有権者にしっかり届いていたのかというと、ちょっと限界があったのかなと。それが、無効票の17パーセントですかね、数多くの無効票にも表れていると思っていますので、そういう意味では組織であるとか、そういったところが中心となる投票行動が現実だったのかなという感じはしています。
(愛媛新聞)
落選した愛媛維新の会が推薦していた候補者は、知事も推薦人となっていたが。
(知事)
そうですね。本当にいい方だなと思ったので。ただ、マイクを握ったということまではできていませんけれども、推薦ということで。(議員になったら)しっかりとした活動をされるのではないかなというふうに思って、推薦させていただきました。
(愛媛新聞)
その候補者が落選したことについての受け止めはどうか。
(知事)
まあ、それはもう結果ですから。さっき申し上げたように、大きな衆議院選挙への関心というふうな中での、まあ(衆院選に)本当に関心があったかどうかは別として、大きな選挙との同時開催でありましたので、そういう意味では、真っさらの新人が訴える限界というのはあったのかなというふうには思いますね。
(愛媛新聞)
そろそろ原子力防災訓練の時期だと思うが、今年度の訓練について、何か決まっていることはあるか。
(知事)
そうですね。当然のことながら、原子力関連、安全対策にせよ、終わりのない課題でありますので、しっかりと行いたいと思います。
今年度の訓練は、11月14日でございますけれども、昨年度の訓練の検証結果も踏まえまして、県の広域避難計画等に基づいて、伊方原発から30キロメートル圏内の重点7市町を対象に、住民の広域避難訓練をはじめ、緊急時モニタリング訓練や原子力災害医療活動訓練、オフサイトセンター運営訓練の他、複合災害を想定した道路啓開訓練など、前回と同じ項目であっても、前回の中身を検証した上で、各地域、現場現場で、さらに深掘りした訓練にしたいと思っています。
また、大分県への海路避難も、より多くの住民にご参加をいただいて実施できればというふうに考えております。これまでとは異なる着岸港での避難者受け入れを実施することにもなっておりますので、より実践的な訓練を実施したいと思っております。現在、詳細については、伊方町、大分県と調整中でございます。
新たな試みとしてですね、今年度は、避難経路の迅速な状況把握を目的に、実証実験中のドローンを活用した映像伝送試験、これを行う予定でございます。また、避難中の自家用車等に避難指示等を確実に伝達するため、現在整備中の臨時災害放送局、FM放送になります。この試験放送を実施するのも初めての試みになります。
こういったことも踏まえまして、さらなる実効性の向上に向け、チャレンジをしていきたいというふうに思います。
(NHK)
原子力発電に関連して、先日、運転開始から40年が近付いている関西電力の大飯原発1号機、2号機について、関西電力は決定事項はないと言っているものの、廃炉を検討しているという一部報道があり、また県内の伊方原子力発電所2号機についても、先日、四国電力の原子力本部長が本年度内を目指して再稼働か廃炉かの判断をしたいと発言したが、今、2号機に対する県の考えが、どういう状況にあるのか説明してほしい。
(知事)
他の県のことについては、条件も違いますし、愛媛県は他県と違って、例えば、安全対策でも、唯一、独自に県レベルの要請もしてきた経緯もあります。東日本大震災以降、全てオープンにしながら基本方針を明確にしつつ対応してきたので、他県がどうだということについてよりも、我々がどうするかということが一番大事だと思っています。
その中で、年月の経った原発についての問題につきましては、まずは、法律、制度に基づいて、事業者がどう判断するかが、第一歩だと思います。ですから、それを待つということが今の段階で、それが明確になってから検証するというふうに思っていますので、今の段階でどうのこうのというコメントはないです。
(NHK)
今の段階では事業者の判断を待つということではあるが、2号機については、既に35年が経過して、40年もだんだん近付いてきている。そういった中、今週の会見で、玉川原子力本部長は、「40年を超えた運転についても、技術的な問題というのはないと考えている。」と発言した。伊方2号機についての個別の話が難しければ、一般論としてでも構わないが、40年を超えた原発の運転に関して、中村知事自身の考えはどうか。
(知事)
そうですね、原則はね、40年でというふうになりますけれども、これは、しっかりとした安全対策を施し、それが専門家の皆さんの厳しいチェック、審査を経て、最新の知見の中で認められるのであるならば、(40年を超える運転が)100パーセントないというふうな選択ではないと思っています。
(NHK)
2号機については、四国電力も、さまざまな観点から検討していると繰り返し言ってきているが、事業者による検討の中で、知事が特に大切にしてほしいと考えるポイントというのはあるか。
(知事)
何よりも安全であるか否か、これが全てですので。
原則は、忘れてはいけないと思いますよね。だから、それ(原則40年)を上回るのであれば、それを説得できる理論的な根拠というものがあるのかないのか。それは安全に関わるテクニックの問題だと思いますけれども、そこが明確であるかどうかというのが、一番大事だと思っています。
ただ、理想論で言えば、原発は私はない方が良いと思っていますけれども、繰り返し申してきたとおり、コスト、安定供給、出力等でですね、代わり得るエネルギーが見つかるまでは、向き合っていかざるを得ないと考えております。そのためにも、さっきの3条件を満たした代替エネルギーの確保と蓄電技術の開発は、国の責任でやることによって、初めて本当の意味で原発依存の低下へ結び付けていくことができるのではないかなというふうに思っています。
(テレビ愛媛)
いよいよ来週、LCCのチェジュ航空がソウル線に就航するが、あらためて期待するところはどうか。
(知事)
そうですね。本当にアシアナの休止というものが、私自身にとっても、やはり何とかしたいという思いはありつつも、お金を使って無理やり継続するといった選択肢はいかがなものかという、そのはざまの中で模索をしてきた経緯がございます。
そういう中で、既存のルールの中でですね、就航するというふうなパートナーが見つかったというので、大変うれしく思っています。
一昨日も市町との連携会議でもお話したように、(チェジュ航空は)これまでとは違って、インバウンド7割、アウトバウンド3割でスタートするような考えを持った会社ですので、受け入れがしっかりできるかどうかというのが、これまで以上に重要な要素になってまいります。そこで、全県でのコンテツの魅力の紹介というのが、継続的に(路線を)維持していくためには必要不可欠というふうに思いますので、万全の準備をして就航を迎えたいというふうに思っています。
一方で、(アウトバウンドについても)これだけの国際化の時代でありますから、本当に5,000円から松山・ソウル便に乗れるという、これ以上のない環境が生まれますので、それを十分に多くの県民の皆さんにも伝えて、特に、全国のパスポート所有率が大体平均で20パーセントをちょっと超えているぐらいなんですが、愛媛県は13パーセントぐらいなんですね。全国平均を大幅に下回っているということは、特に若い人のパスポート所有率が低いんですね。これからのことを考えたら、本当にちょっと我慢して貯金すれば行けるような料金体系になっていますので、積極的に見聞を広げる意味においてもですね、ぜひ海外渡航を経験してもらいたいなというふうに思っています。