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平成29年度5月知事定例記者会見(平成29年5月24日)の要旨について
日時:平成29年5月24日(水曜日)
11時21分~11時36分
場所:知事会議室
(愛媛新聞)
加計学園の関連で、昨日、国の委員会の中で、内閣府が県に国家戦略特区について助言したというのは誤解だという答弁があったが、その点についてはどうか。
(知事)
はい。まず、先ほど今日は(フリー)ジャーナリストの方もいらっしゃっているということなので、ちょっと整理をさせていただきたいんですけれども、そもそも、今治市のあの土地に教育機関を誘致したいというのは、かなり古い話でありまして、そもそもの今治新都市のスタートは平成11年で、その時からの課題ではあったんですね。
当初は、松山大学を県内の大学ということで、何とかならないかということで動いていたような記録が残っていますけれども、これが実現しなかったので、平成19年、私もその時の当事者ではないので分からないんですが、この時に初めて構造改革特区提案を出しています。
なぜ出したかというと、一つには獣医師の確保というのは非常に重要なテーマで、例えば鳥インフルエンザであるとか、口蹄疫であるとか、公の機関でも獣医師の方が常時必要なんですけれども、養成機関が西日本にほとんどないので、(獣医師免許を持った職員の確保に)苦慮しているという実態がございました。
今言った西日本に養成機関がないということが1点と、それからもう一つは、実はあまり知られていないんですが、獣医学部というのは、ほとんど定員オーバーの状態です。しかも、倍率が10倍以上ということで、十分にニーズがあるだろうと。定員オーバーというのは、それだけ定員オーバー分が利益になるんですね。ですからそこがあるので、なかなか新設が認められないという背景が、ひょっとしたらあったのかも知れません。
そういう状況、現実を見ると、十分にニーズがあるだろうというのが、この特区提案をしたいきさつであったと聞いております。平成19年から26年の間に15回、これ1年に2回ぐらい募集期間がある時もあったようなので、15回、今治市からの要請に基づいて、愛媛県が一緒になって、国に対して構造改革特区提案を実施してきた経緯がございます。
ただし、6年前に(私が知事に)就任した時も出してはみたんですが、なかなか岩盤規制の壁、さっきのあの業界の壁が厚くて、とてもじゃないけれど「無理だ。無理だ。無理だ。」という連続だったわけですね。
そこで、平成23年に私の方から、これ厳しいんじゃないかと感じましたので、別の案を考えました。それはご案内のとおり、サッカースタジアムでどうだろうかというふうなことで、県の方から今治市に、まあなかなか実現が難しいようなので、サッカースタジアムで一緒にやらないかという提案をさせていただきましたが、これが平成23年のことであります。
当時は、(現FC今治オーナーの)岡田さんもまだ来県前ですから、FC今治が今のような姿になっていない状況でしたから、今治市でもなかなかサッカーへの熱が上がらなかった。しかも愛媛FCもちょっと愛媛全体でやるということになると拠点を動かすのはどうかという判断もあったんでしょうか、なかなかその提案というのが熟成することがなくてですね、平成25年5月に今治市の方からこれはちょっと難しいというご返事を正式にいただいたところでございます。
これ(サッカースタジアム)はもう無理なんだなというふうなことでしたので、まあ引き続き獣医学部の構造改革特区提案を継続して出すというふうなことになったという背景がございました。
そこで、今のご質問になってきますけれども、助言ということについては、平成25年から27年度の内閣府主催の四国ブロック会議、これは四国各県の担当課職員が出席しています。このブロック会議において、内閣府担当者から国家戦略特区制度の説明がありました。
また、27年春頃に当時の愛媛県の担当課長が、新任あいさつで内閣府を訪問した際に、担当者の方から、構造改革特区の窓口を新たな制度である国家戦略特区の窓口に一体化することになったので、二つの制度が一体化した窓口に提案してはどうかなという助言を受けたものでございます。
まあ、これ国の方の発言は、僕は分かりません。当事者じゃないし、お会いしたこともないので。ただ我々の立場からすると、十数回も10年以上にわたって構造改革特区で出し続けてきた思いというのは、向こうに伝わって、それができる可能性があるんだったら、この窓口が一本化したところに提案する方がいいんじゃないでしょうかというふうな助言というふうなことで、とらえているところでございます。
今申し上げたような、説明会や内閣府訪問までの経緯をもって、内閣府からの助言があったと認識をしております。ということです。
(朝日新聞)
内閣府側から、こういう形で出せば通るとか、出したらどうかとか、そういう具体的な助言があったというわけではないと。
(知事)
そういうわけではないですね。こういう形があるんじゃないでしょうかと。
特に構造改革特区というのは、これはもう、私どもは分かりません。どういう議論がなされたのか。
構造改革特区から国家戦略特区という新しい方向性が打ち出されたので、そういう中で岩盤規制を打ち破るというのも、内閣の政策でもあったので、それは、別に、獣医科大学を想定したのか、他のことも含めたのかというのは、我々のうかがい知るところではないので、コメントのしようがないですね。
(南海放送)
内閣府からの説明、アドバイスを受けた側として、それが「優遇されている」とか、「特に強い働き掛け」があったといった受け止めはあったのか。
(知事)
僕もその場にいたわけじゃないんですけれども、ただ、感じとしてはですね、やはり十年以上の月日、それから15回にわたって出し続けてきた思いというのは伝わっていたのかな、というふうには思います。
だから、それが優遇とかそういうものではなくて、その熱意や良しというふうなことは受け止めていただいたんじゃないかなというふうには思いますけれどね。
(南海放送)
その積み重ねの中での自然な流れ、というような認識か。
(知事)
そうですね。はい。それだけの思いがあるんなら、どうか分からないけど、こういう方法もあるんじゃないですか、というふうなアドバイス。「アドバイス」イコール「助言」というふうに、我々は受け止めているということです。
(南海放送)
それが今、国会であのように議論されていることについては、どう感じているか。
(知事)
だから、これはですね、我々としては十数年にわたる実現への思いがありますから、しかも、昨日今日思い立ったわけではなくて、現実問題、西日本に拠点がない、それから各大学の実態が、定員オーバーしている現実があるというのであれば、絶対にやれるのではないかなという思いで出してきた経緯がありますので、変な風評が広がるのは残念だなというふうには思いますね。
だから、何もかも、どういうことがあったのか僕は分からないけども、正直に、全てがオープンになればいいんじゃないですかね。そんなふうに思いますけれどね。そうしたら、堂々とできるんじゃないかなと思いますけれどね。
だから、愛媛県では、県議会等でもご質問をいただいていますし、皆さんからもお問い合わせがあったときは、全部オープンにしていますので、そういう姿勢が信頼というものをつくっていく大事なプロセスだと思いますので、そのプロセスがクリアになれば、何ら問題ないと思いますけれどね。
(南海放送)
全部オープンにというのは、政府と内閣府、どちらに対してということか。
(知事)
まあ、どちらということもないですね。国に対して。
(日経新聞)
核燃料税について、廃炉の認可を受けた原発に県が課税するという考えはあるか。
(知事)
電気料金との兼ね合いもありますので、今ここでどうするというふうな判断は、まだしていませんけれども。他県なんかの動きもありますから、ここで、我々がどんどん先駆的にやろうとはしていません。
今、申し上げたような要素を十分咀嚼(そしゃく)しながら、そうした先行しているところの動きなども見極めながら決めていきたいと思っています。
今の段階でどうだという結論は出していません。
(日経新聞)
決まっていることはないということだが、四国電力と協議はしているのか。
(知事)
まだしてないです。
(あいテレビ)
加計学園の話に戻るが、一部で加計学園ありきで物事が進んでいるのではないかという指摘もあるが、それも今治市が加計学園と連携しながら進めてきたことが、その積み重ねが国に伝わったんじゃないかということか。
(知事)
逆に言えばですね、名乗りを上げようとされるところは全てオーケーですよね。うちの姿勢っていうのは、加計学園であろうが他であろうが、ともかく獣医学部が来ていただいたら、もうそれはうれしい話でありますから。そこは分かりません、僕らも。
(愛媛朝日テレビ)
国会で色々と話題になっていることが、来年の開学に対して影響を与えるんじゃないかとか、そういった懸念というのはあるか。
(知事)
そうですね、やはりこう誤解が誤解を招いて、おかしなイメージができると影響あるかも知れませんが、たださっき申し上げたように、倍率が10倍以上、しかも定員オーバーという各大学が抱えている実態、西日本に拠点がないという現実、こういったものの要素からとらえていくと、ニーズがあるというふうには思いますけれどね。
(NHK)
資源エネルギー庁が核のゴミの最終処分場を含めたエネルギー政策の説明会、自治体向けのものを愛媛県内で来週月曜日に開くことに関連して、この核のゴミの最終処分に関しては、国が前面に立って話を進めたいと言ってから、まあ3年くらい経過しているが、この間の進捗(しんちょく)状況と、この問題に対する国の取り組みについての知事の所感はどうか。
(知事)
そうですね、実は伊方原発の再稼働の時に、この点には知事という立場の合意をするかしないかで、一つの要素として国に対して率直に申し上げた案件でもございました。
そもそも原子力発電というのは、ない方が理想だとは思います。ただ、今の現実問題、コストと安定供給と出力という3要素を兼ね備えた代替エネルギーがない間は、エネルギーの安全保障の観点からいっても、徹底的な安全対策を施す中で原発と向き合わざるを得ないというふうに思ってきました。
その理想に近づいていくためには一足飛びにはいきませんから、今申し上げたような代替エネルギーの開発、あるいは蓄電技術の発展、こういったものが必要不可欠であると同時に、それに到るまでの中間貯蔵のあり方をどうするのか。そして一番大事なことは最終処分をどうするのか。ここの工程が確立されない限り、脱原発なんかいくら唱えてもですね、現実にはならないと思います。
だからこそ、同意うんぬんの判断を求められた時に、8項目にわたる国へのリクエストを主張したわけであります。その中の一つにこれが入っていました。なぜ入れたかというと、その時点ではですね、(最終処分の問題を)何とかしようという国全体の取り組みが全く見えなかったからですね。まだ遠い将来の話じゃないかというくらいの段階でしたので、そこで言質を取ったっていうのは、一つの大きなきっかけの要因に多少はなったかなというふうには思っています。
それを受けて、今申し上げたような、ゆっくりではありますけれども、国主導で説明会を開催するとか、考えるような空気が生まれてはきているのかなと。ゆっくりではありますけれども、あれ以降ですね、取り組みが進み始めているというような感じはしています。
(NHK)
長年やるやると言いつつ進んできていないという実態について、国に対して何か。
(知事)
そうですね、これは役所だけではなくですね、やはり立法府である国会議員が与野党問わず真剣に議論してほしいと、国のエネルギー政策の根幹に関わる一つの問題としてですね、もっと真剣にやってほしいなというふうに思います。
多分に政治的な要素も絡んでくると思いますから、役所の担当者レベルだけで進めていて何とかなるという話ではないと思いますので、政治家が正面から向き合う姿勢というのが必要だというふうに思います。