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平成28年度9月知事定例記者会見(平成28年9月5日)の要旨について

ページID:0011234 更新日:2016年9月6日 印刷ページ表示

日時:平成28年9月5日(月曜日)

 11時27分~12時05分

場所:知事会議室

 

(NHK(幹事社))

 先日、松山市の水資源対策検討委員会において公表された渇水時の不足水量4万トンという試算について、知事の所感はどうか。併せて、今後、県では分水問題の調整にどのように取り組むのか。

 

(知事)

 先日、松山市が新規水源を求める不足水量を日量4万立方メートルとして発表されました。それまでは4万8千立方メートルでしたので、少し減ったということなのですが、今回の長期的水需給計画の検証におきましては、人口の減少や、それからこの期間の節水の進展、こういったものを踏まえた上で、かつ都市リスクの低減や給水圧の改善など、市民サービスの向上を図る必要があるとしておりまして、その考え方は、県としても、同市における渇水の教訓、脆弱な水源等を踏まえれば理解できるところでございます。

 なお、長期的水需給計画の検証結果については、今後、松山市が有識者や市議会、市民の意見を踏まえて決定するものと認識しており、これからの議論の推移を注視していきたいと思います。

 次に、水問題については、これまでに県と西条市、新居浜市、松山市の4者で「水問題に関する協議会」を設置し、西条市と松山市の水問題について共通認識を図った上で、西条の水を守ることを最優先に、事務方で構成する幹事会において、客観的な事実に基づいて、一つ一つ丁寧に協議を重ねてきたところでございます。

 一方、県においては、その議論を踏まえまして、西条と松山両市の水問題の解決に向けて、愛媛県は広域調整を担っていく役割でございますから、昨年8月、まさに広域調整を図る立場から両市への支援を含めた、両市の問題を解決するということを含めた総合的なパッケージとして、六つの提案をさせていただいたところでございます。

 そのような中で、現在、西条市においては、地下水保全管理計画の年度内の策定に向けて、市民説明や学識経験者の意見聴取が行われているところであります。今回、松山市においては、長期的水需給計画の検証について、有識者や市議会における議論がなされたところでございます。

 今後、両市から、それぞれの計画を踏まえて、県の提案に対する意向が示されてくるのだろうと考えておりまして、提案への合意が得られるのであれば、県としては、両市の水問題の解決に向けて、全力で支援をしていきたいというふうに思っております。

 以上です。

 

(南海放送)

 先日、松山市議会で開かれた特別委員会では、委員の発言の9割ぐらいが、4万トンというのは過大評価ではないかという意見だったが、この点についてどのように受け止めるか。

 

(知事)

 そうですね、それは市議会が決めることだと思いますけれども、この問題の将来的な責任を担っての議論を必ずやっていただきたいというふうに思います。

 重箱の隅をつつくように、これぐらい減らしたらいいという単純な問題ではないと。市政を預かった経験からするとですね、何よりも一番大変なのは、松山市っていうのは50万人を超える人口を抱えながら、水源が二つしかないっていう致命的な欠陥があるんですよね。これをどうするかっていうのが、最優先の論ずるべき課題でございます。いわば、地下水に何かがあったとき、石手川ダムに何かがあったとき、もう都市機能は完全に麻痺するというリスクを背負っている、その考えの下にですね、ぜひ議論を行っていただきたい。それが政治の責任だというふうに考えます。

 ただ単に1リットル減らせとか、その次元で考えたら、将来、もしもの事があった時、その方は責任を取る覚悟があるのか、そういうふうな問いに答えられるような議論を期待したいと思っています。

 

(南海放送)

 西条のダムからの松山分水については、10年以上前に策定された長期的水需給計画に基づいて松山市議会で決議されたものだが、水需給計画の見直しは必要と考えているのか。

 

(知事)

 検証されたのだから、当然、市議会として4万8千トン、それを決議して市は動いたわけですね。ですから、その時の議論の背景というのを、やはり継続していますから、どういう背景で今、あの時は、都市リスクの問題も十分に議論されていますから、そういうふうな中で考えられているっていうことを踏まえて、さらに、節水の努力というのを加味して、これぐらいは減らすのもいいんじゃないかっていうふうなところで議論されたらいいんじゃないかなと思いますけれども。

 もう一つは、やはり量を減らすとコストは上がるということも、しっかりと議論されたらいかがかなというふうに思います。工事費は変わらないわけですから、単価は量を減らすごとに、どんどん上がっていきます。

 

(愛媛新聞)

 山下伊方町長の辞職についての所感と次期町長に対して望むことは。

 

(知事)

 そうですね、山下さんは、私が知事の仕事をいただいた時に、もう既に町長さんでいらっしゃいましたから、この6年間、さまざまなテーマについて、やり取りをしてきた経緯がございます。

 そういう中で、非常に信念を持たれてですね、ぶれない姿勢が非常に印象的な方でございました。ですから、本当に信頼できる町長さんだなというのが、個人的な感想でございます。

 ですから、任期半ばにしてですね、体調の関係で退職されたことは本当に残念で、ご本人としても無念だったというふうに思います。ぜひ、体調を回復されてお元気になられることを心から願っています。

 新たな町長さんというのは、これは町民の皆さんが選ばれるわけですけれども、伊方町ともやり取りしながら、地域独自の伊方原発の安全対策、あるいは国への要請というのを行ってきた経緯がありますので、なおかつ昨日も訓練を行わせていただきましたけれども、過酷事故を起こさないための対策と同時にですね、避難の対応もしていかなければいけないので、これはもう県と町との連携が不可欠でありますから、そういう流れというものを受け止めて、連携していただける方が、ぜひ町民の皆さん、地域の安全のためにも、なっていただけたらなと思っています。

 一方で、1次産業が中心の地域でありますから、かんきつや漁業を中心に、そうした振興にも深い見識のある方になっていただきたいと思いますし、また来年は三崎の灯台が100周年を迎えますので、こうした地域の活性化策、特に今、東九州自動車道が開通して、船の利用者も増えているような状況にありますので、こうした流れをしっかり受け止めて、観光を中心とした地域の活性化にもですね、豊富なアイデアをお持ちの方がなられたら良いのではないかと思っています。

 

(愛媛新聞)

 ぶれない方だったということだが、具体的には、どういったところがぶれないと感じていたのか。

 

(知事)

 そうですね。何か大きな問題があるとですね、当然、賛否両論あると思います。で、どちらかといえば政治家というのは、その動きを見ながらですね、迎合とまでは言わないですけれども、流されてしまうような場合も多いと思うんですね。

 でも、それが本当に良いかどうかは別問題なんですけれども、政治家、特に首長の場合はですね、やはりいろんな方々の意見を聞いて、これだと思った方針は、はっきりと打ち出す責任があると思うんですね。

 その方針を独断でやるわけではないですよ。そこに至るまでにいろんな方々の意見を踏まえて、町のために地域のためにという方針を出す。で、当然賛否両論がある。そして、賛否の中、特に否の中には、情報が不足していて賛成されない方もいる。あるいは、ちょっと修正を加えれば、賛成していただける方もいる。そういう方もいらっしゃいますから、理解をいただけるように一生懸命に努力すると。その過程で、ぶれたら、やはり信頼を失ってしまいますので、しっかりと向き合っていくような姿勢というのがすごく大事だというふうに思うんですね。

 それでも全員の賛同を得られるわけではないですから、あるときには、これ以上はもう説得は難しいというふうな段階で、修正も加えていますから、その段階で決断を下さなければいけない、そのステップ全てにおいて、信念の強さが必要になってきますから、そういうようなことを強く感じるような方でした。

 

(愛媛新聞)

 それは、具体的には伊方原発の再稼働合意ということか。

 

(知事)

 そうですね。いろんな意見があったと思います。はい。

 もちろん、僕らもそうですけれども、電力事業者、あるいは国に、県からみんなの意見を集約して、これだけは突き付けなければいけないという項目を、地域独自で要請を行いましたけれども、それはもう信念というのは、それが受け入れられなかった場合は同意はできないという覚悟を持つくらいの、そういう強さが必要ですから、私も持ったつもりですし、山下町長さんにもそれを感じました。

 

(愛媛新聞)

 伊方原発3号機の再稼働にあたって、四国電力の佐伯社長が3号機60年運転を念頭にという発言をしているが、そのことに関して何か。

 

(知事)

 僕は直接聞いていませんから、今はそれを語る段階ではないと思っています。

 

(愛媛新聞)

 公式な会見の場での発言だが。

(知事)

 それは、まだ正式にもらっていないですから、当然のことながら延長というのは、まだまだずっと先の話であって、その段階が来たときに法的には認められているわけですから、どうするかというふうなことが正式な手続きを経てなされて、それで検証され、だめだとか、いいよとかいう判断をするのはその時点になると思いますので、この段階で自分がそのことを論じる気持ちはないです。

 

(愛媛新聞)

 周辺の30Km圏内の市長の中には、原則40年を厳守すべきと言っている方もいるが、そのことに関してはどうか。

 

(知事)

 そういう意見があっても当然だと思いますね。法律が原則40年となっていますから、そこがまずベースになるはずですね。

 

(愛媛新聞)

 知事自身の考えとしては。

 

(知事)

 原則40年で捉えています。そのあと、今のルールに基づいて延長の姿勢が示された場合が、もしあるとするならば、そこで徹底的な検証が必要になるというふうに思っています。

 

(愛媛新聞)

 関連して、伊方原発2号機で、強度不足の可能性がある製品を作っていた会社が入って作っていたことについての所感はどうか。

 

(知事)

 これはフランスの方から出てきた問題だと思うんですけども、ともかく今速やかに、その会社だけではなく、鍛造(たんぞう)という手法で作られたものは、あのメーカーに限らず全部調査しろというふうな指示が、規制委員会のほうから示されているはずですから、ともかく誠意をもって全部チェックをするということを速やかにやっていただきたいと思っています。

 

(愛媛新聞)

 今まさにチェックをする段階で、9月30日までに電力会社が強度不足かどうかを調査して、規制委員会に報告することになっているが、仮に強度不足だった場合、知事としてはどうする考えか。

 

(知事)

 そうですね。その強度不足がどのレベルなのかっていうのは、これはまたしっかりと規制委員会のほうで専門家が議論されると思いますから、ここは専門家の知識が必要になってきますので、その議論を待ちたいと思っています。

 

(朝日新聞)

 昨日の訓練では、台風の影響で船を出すのを取りやめた。その判断自体は理解できるが、実際の災害の場合、複合災害で避難できないリスクが懸念される中、1日だけの訓練でも、こうした事態が重なることを考えると、そのリスクというのはかなり高いのではないかというふうな感想もあったが、今回の件について、知事としてはどう受け止めているか。

 

(知事)

 そうですね。逆に言えば、そういう訓練の中でですね、そういう課題が見えてくるっていうのは、マイナスなことではないというふうに思いますので、それはプラスで見つめていきたいなと思っています。課題として、俎上(そじょう)にあげられる要素が新たに出てくれば、それはそれでよしとすればいいんじゃないかなと思っています。

 先ほども申し上げましたけれども、ともかく今回の課題っていうのは、どちらかといえば、港から他へというよりは、各集落から港までの参集の検証に主眼をおいていましたので、そういう意味では、その目的は、地域の皆さんの参加も、前回と比べるとかなり多くなっていますので、それはもう、全員じゃないじゃないかって言われたら、それまでなんですけれども、伊方で400人の訓練、松山で言えば、人口50万人のうちの5万人が参加するような避難訓練ですから、1割っていうのは、そう少なくはないんですね。その1割の動きの中で、各集落の課題も、集落ごとにチェックができますし、それから、1割の方の移動体制の中から、それを大きく膨らましていく過程の中でですね、さまざまな対策、課題も見つめられますので、それはそれで意義があったというふうに思っています。

 

(愛媛新聞)

 2日後の7日に伊方3号機が営業運転を再開することについての知事の所感はどうか。

 

(知事)

 そうですね、ともかくこの間もですね、ちょっとした問題が起こったときは、きめ細かく公表、報告をしっかりしていただいているというのはチェックできています。こういう時期ですから、本来だったらC区分も速やかに公表はさせていただいているんですけれども、ともかく、何かがあったら速やかに連絡がなされる、それを県の方で公表していくと、ここが生命線であるというふうに思っていますので、営業運転までの期間、もしそれがクリアして営業運転されるとしても、ともかくこのシステム、連絡報告体制「えひめ方式」の仕組みだけはですね、これこそが生命線だというふうな気持ちを忘れずにですね、しっかりと守っていっていただきたいというふうに思っています。

 

(日経新聞)

 再稼働したことによるメリットについてはどうか。

 

(知事)

 そうですね、もう一つ言うとですね、実は再稼働をしても、しなくても、そこに原発はあるんですね。ですから、何かこう議論が極端に振れるときがあるなと感じるのは、再稼働をしたらリスクが出てきて、再稼働しなかったらリスクはないというようなですね、ともすればそんな議論にもなりかねないときがあるんですね。それは全く違うことではないかなということを感じます。

 逆に、ある専門家から言うと、再稼働していないときっていうのは、要は燃料棒というのはプールに移管されていて、水の量が少ない。そこが壊れたときのリスクの方もかなり大きいよと。ですから、再稼働する、しないが直接リスクが発生した、リスクがなくなったということではないということは、まずしっかりと押さえておく必要があるというふうに思っています。

 もう一つはですね、稼働については、当然のことながら、これは民間会社ですから、これは安全対策を施した上での条件付きですけれども、もしそれが認められた場合っていうのは、電気料金への問題が変わってくるだろうということと、さらに言えば、伊方町でのいろんな作業が増えてきますので、そうした地域への影響もあるというふうに思っています。

 

(日経新聞)

 電気料金への影響については、少なくとも今のところは変わっていないと思うが。

 

(知事)

 そうですね、これから電力会社がどうするのか、ぐっとコストが下がって、値下げの余力が生まれるのか、それとも火力のコストも含めて考えて、今度、阿南をどうするかとか、いろんな問題が出てくると思うんですけれど、そういった総合的なコストを考えて、原発が動いたことによって、値上げ要因を抑えられるかとか、いろんな分析をこれからされるのでしょうから、どういう話になってくるのかっていうのは、今後になってくると思います。

 

(南海放送)

 関連して、全体的な電力の供給量を考慮した上で、2号機はどうすべきと考えているか。

 

(知事)

 同じです。その時点、時点での最新の知見に基づく安全対策を徹底的に施して、国の基準、そしてまた愛媛県がこれまで独自に突き付けてきた要請と、部分的には重なっていく部分もありますから、それをクリアしているか。そういうところを必ずチェックしなければ、合意できないということになろうかと思います。

 

(愛媛新聞)

 全国知事会で知事も発言していた原子力損害賠償制度の見直しについて、なかなか進まない現状について、どう考えているか。

 

(知事)

 これはもう本当にやるべきだと思いますし、ぜひマスコミの皆さんも、多分賛同いただける改定ではないかなと思うんですね。どう見てもあの文章では、責任があいまいになっているのは否めませんから、やはりそういうふうな論点は、常に突き付けていく必要があるんじゃないかなというふうに思ってます。

 

(愛媛新聞)

 原子力事業者の責任が、今無限になっているところを有限に直した方が良いと。

 

(知事)

 有限、その辺はまた議論すればいいものですが、ともかく僕が気になっているのは、それを超える場合は、国は援助するというあの文言が気になるんですよね。援助っていうのはあくまでも第三者的な立場にしか見えてこないので、解釈の仕方で、そうじゃないんだっていうふうな話をされる方もいるんですけれども、やはりここは分かりやすくされた方がいいんじゃないかなと、それは法改正でちゃんと整理したほうがいいんじゃないかなというふうに思います。どうすればいいかっていうのは、まさに立法府である国会で、国会議員が議論すべきテーマではないかなと思います。

 

(愛媛新聞)

 国がきちんと責任を負うということを、制度として明確にすべきということか。

 

(知事)

 そうですね。

 

(南海放送)

 首都圏の一流レストランで「愛媛あかね和牛」が扱われることについて、知事も実際に東京で試食してみて、どのような感想か。

 

(知事)

 事前にいろんな売り込みをする過程の中で、こちらにシェフの方を呼んだりもしてましたけれども、非常に皆さんに評価していただいてますね。ですから、その結果として、皆で一斉にやろうかということになった経緯があります。やはり一流店で、一流の腕であの素材が料理されていくこと、かつPRしていただくことによって、「愛媛あかね和牛」の位置、ポジションが上がっていくと思いますから、非常に意義があると思っています。素材そのものは自信のあるものでありますから、それがトップの調理人の手にかかると、これはおいしいものが生まれるというのは当然のことと思っていますので、大いに期待しています。

 

(南海放送)

 あと、去年同時に発表されたスマ、「伊予の媛貴海」も、今後販路拡大が期待できると思うが、こちらについてはどのような戦略を考えているのか。

 

(知事)

 あの、「伊予の媛貴海」については、もう既に3、4年前からいろんな水産関係の会社で「3年後には絶対出しますから」、翌年には「2年後には出しますから」と、ずっとこう、下準備で弾を込め続けてきた経緯がありますので、1年前になると、「いつなんだ、いつなんだ」と、向こうから声が多く掛かるようになっていました。

 いよいよということになりましたので、さらからアタックするのではなくて、既に3、4年かけて下準備してありますから、当初、新たなものをパンと出す手間はなくて、すぐに取り扱い開始していただけるところも多く出てくると思います。

 あとは品質が消費者に受け入れられるかどうかの勝負だと思っていますので、生産現場としては、それはもう間違いなく受け入れられるというふうに確信をして、生産し続けてくれているというふうに思っています。

 

(日本農業新聞)

 前回の記者会見で雨不足による農作物への影響について、いろいろと見通しが示されたが、現時点での状況はどうか。

 

(農林水産部長)

 ご案内のように、だいぶ雨が降りましたので、もう一息ついたという話は聞いております。対策本部等の解消の判断は、まだ確認しておりませんけれども、今後も雨が見込まれますから、もう山は越えたのではないかなというふうに、個人的には思います。

 

(知事)

 あとは、やはりこれだけ夏、雨が降らなかったので、主力商品であるかんきつの玉の太り方がどうかなというのが、ちょっと懸念されていますね。それが値段にどう影響してくるのか。

 

(日本農業新聞)

 まあ、そこはこれからということか。

 

(知事)

 はい。

 

(日経新聞)

 ハウスみかんの台湾への輸出再開について、今後の県としての対応はどうか。

 

(知事)

 台湾はですね、やはり愛媛産のかんきつについて、非常に販売チャンネル、ルートもいいルートができていますので、あちらの方からは、ともかくもっと送ってくれと、取り扱いたいというような状況になっていたんですね。そこで突如、台湾政府の方が農薬基準を変える、しかもこのことについては台湾国内でも関係者もあまり知らなかったそうなんですね。ですから「何でだ」という声は、台湾の市場関係者の中でもありましたから、こちらはこちらで、向こうは向こうで、というふうな声を上げ続けてきているんですけれども、まだそれが解消されるに至ってはいないです。

 むしろ、それに対応するかんきつの生産をこちら側で努力して、クリアしているということでありますから、そのまま行った場合でも、価格がしっかりしているので対応は可能ですし、また、基準が戻れば戻せばいいということ。両にらみで進んでいきたいと思っています。

 

(日経新聞)

 該当する農薬を使わないような生産ができたということだと思うが、台湾政府当局への農薬基準に関する要請についても、今後も続けていくのか。

 

(知事)

 そうですね。

 

(NHK)

 合区の解消を巡る議論について、先日の全国知事会、それから中四国サミットでも決議が出され、国での議論も一部で始まっているが、関係県以外の関心をどう盛り上げるかとか、憲法改正という手段が果たしていいのかどうかという議論がある中、知事個人としては、どういうふうに議論が進んでほしいと考えているのか。

 

(知事)

 そうですね。歴史的経緯を見ると、かつて衆議院は中選挙区で、参議院は都道府県代表的な色彩を持つ選挙区と全国比例という、全く異なる選挙制度で成り立っていましたよね。

 それで、ある時に金権政治の問題が浮上して、政治改革論議が俎上(そじょう)に上がり、その温床が中選挙区制度じゃないかということで、中選挙区の廃止というのが、早い段階で与野党合意事項として決まったと。その結果、小選挙区と比例代表をいろいろ複雑に組み合わせてですね、そんなふうな今の状況が衆議院で制度が確立されました。参議院も、それと同じ方法がいいんじゃないかということで、参議院選挙も同じような制度になっちゃったという、こういう経緯だと思うんですよ。

 その延長でずっとやってたら、一票の較差の問題が出てきた。この問題が出てくるごとに、定数の削減と変更、それでももう、それだけでは対応できなくなったので、今回、合区というものが出てきたと思います。だから、合区も定数削減も、一票の較差の問題、憲法に関わる問題に対する弥縫策(びほうさく)という話だと思うんです。これはいつまでもやれるはずはないと。だから、ここへ来て衆議院の選挙制度、参議院の選挙制度、そもそも衆議院の役割、参議院の役割、これは立法府のメンバーの方が本当に議論するべき大きなテーマではないかと考えます。

 そのときに、元に戻って衆議院と参議院の選挙が、同一である必然性はないと、二院制に着目して別の制度をつくるというのも一つの手だと思うんですね。例えば、衆議院は政権選択ですから小選挙区が必要、今の制度で政権選択も起こった歴史があるので、ベースは今のまま、小選挙区制の弱点は、死票が多いということですから、例えば今の小選挙区と比例代表の比率が6対4になってると思いますが、これを五分五分にする。それから、かつ、これも弥縫策(びほうさく)でやった妥協案だったんですけれど、衆議院の比例代表はブロック制になっているんですけれど、あれを全国区にする。この二つをやるだけで、死票はかなり減るはずなんですね。

 一方、都道府県は、今回の議論でもあったんですけれども、そもそも、同じ選挙制度である必然性はないということで考えるならば、過去の経緯からいって、日本は、アメリカのように分権がまだ進んでいませんから、地方の声が必要な段階に今あると思いますので、参議院を明確に地方代表の府と位置付けて、都道府県枠を一つずつつくっちゃうと。そして残りを全国比例にするとか、そういう制度に変えたらみんなが納得しやすい形になるのかなというふうに個人的には思います。

 ただ、この都道府県枠というのをつくるのは、国会法と公職選挙法だけでできるのかどうか、その法律論では乗り越えられない場合は、憲法改正によって憲法の中に都道府県、参議院の地方の府としての位置付けをしちゃうという手はあると思うので、国会法と公職選挙法で乗り越えられるかどうかは、僕もちょっと分からないんですけれども、そこぐらいの議論はすべきじゃないかなと思います。

 他方、同じ制度でということになるとするならば、かつて比例代表連用制とかいろいろな検討がなされたので、今以上に死票が減るような形を少し考えて、例えば極端な話をいえばですね、昔考えたことがあるんだけど、小選挙区の候補者は全員比例に名前を載せると、それで小選挙区で通った場合は、比例の票からその(当選した候補者の)票を減らしていくと、そして残った票で比例按分するということになれば、死票はずいぶん減るんですよね。そんな選択も一つなのかなと、個人的には思うんですけれど、いずれにしても、今全然議論がないんですよ。

 そもそも、選挙制度って議員の身分に関わるものですから、国会の側から理想論が出てくるというのは、あまり期待できない。かつ既存の制度で通っている議員は、制度を変えたくないんですよね。変えたら不安になりますから。既存の制度だったら通ってきているわけですから。

 だから国会の側から、なかなか火が付かないと思うので、これはもう本当にマスメディア、学者、世論の側から、理想的な選挙制度はこうあるべきじゃないかっていうのを、どんどん世に出して問うていくってことが必要でないかなというふうに思っています。

 

(愛媛新聞)

 民進党の代表選挙が15日に投開票される予定だが、次期民進党代表に望むことはあるか。

 

(知事)

 旧民主党政権時の期待感の裏返しが、今日の政治情勢につながっていると思いますので、やはり何がその期待を裏切ったポイントなのかというのを、もう一回皆で議論をして、そこを改善するというメッセージを強く打ち出せる、生まれ変わって期待できるのだというメッセージを打ち出せる党首の誕生が望ましいんじゃないかなというふうに思っています。

 

(愛媛新聞)

 第1野党ということで、自民党に対する民進党の望ましい立場というのは、どう考えているか。

 

(知事)

 そうですね、そもそも今の選挙制度、さっき言ったように、まだまだ改善点はあると個人的には思うんですけれども、政権選択が可能となるであろうという前提につくられた選挙制度ですよね。かつ場合によっては可能なんだというのも実証されたわけですから、それは取りも直さず国民の期待が集まるかどうかにかかっていると。だから、そこの原点に返れば、おのずから議論のやり方、それから生まれ変わり方っていうのかな、そういうものが見えてくると思うので、そこをやはり政党関係者が、目の前のことだけ、名前を変えるとかそんなレベルじゃなくて、そこまで思いをはせて、今後の民進党のあり方というのを打ち出せるかどうかの勝負だと思いますけどね。


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