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平成28年度5月知事定例記者会見(平成28年5月17日)の要旨について
日時:平成28年5月17日(火曜日)
11時11分~11時31分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
四国電力から、国、県、愛媛大学が参画する形での伊方原発1号機の「廃止措置研究に係る検討会」を設置するとの発表があったが、同検討会に対して期待するところについて、県内企業技術の活用といった経済面への波及効果も含め、知事の所感を伺いたい。
(知事)
はい。伊方原発1号機の廃炉が決定をいたしましたけれども、この安全な廃止措置のためにも、この検討会において、国、地元企業、地元大学等と連携して、これまで廃炉実績がない加圧水型の原子炉の特徴を踏まえた、既存の廃止措置技術に係る課題を抽出しまして、その課題を解決するために、必要となる技術を整理し、その技術の開発や高度化に向けて研究開発を行うなど、息の長い取り組みになると思いますが、しっかりと取り組んでもらいたいと期待をしています。
また、本検討会は、四国電力が主体となって設置されるものでありますが、ご案内のとおり、伊方原発に関しましては、国に対して私の方からも要望をいくつか出させていただいております。その中に、実績のない加圧水型の廃炉研究をぜひ伊方でという項目を入れておりまして、そういったことを踏まえて、国も参加をするということになっていると思います。国も、県からの廃炉研究の要請を受けているということを踏まえていると思いますので、その点はしっかりと県の要請を受け止めていただいているのではなかろうかと、現段階では考えております。
なお、県内企業技術の活用といった、経済面への波及効果につきましては、今後、検討会において課題を抽出し、作業手順や方法など、具体的な検討が行われていくものと思いますが、本県には、優れたものづくりの企業が多数集積していますので、こうした県内企業の技術が積極的に活用されて、また経済効果にも結びつくものになるように期待をしたいと思っています。以上です。
(愛媛新聞)
そもそも論になるが、廃炉自体に関して、5月10日に廃炉になったが、そのことに関しての感想、意見というのはどうか。
(知事)
技術的な側面、基本的には法律で原則40年ということなんですが、その段階でどうするかというのは、まず事業者が判断をする。そして、もし存続延長ということになれば、これは専門的な方々がしっかりと検証して、できる、できないを判定していくということになっていると思います。
ただ、原則で言いますと、原発が絶対安全なものかと言えばそうではない。一方で、日本のエネルギー事情を考えたときに、出力、コスト、安定供給の三つの要素を備えた代替エネルギー開発の見込みが立つまでは、その時点での技術を駆使した安全対策を徹底することによって向き合っていかざるを得ないというのが基本でございます。ですから、長い目で見たら、そういったものが見つかったら、原子力発電の依存度を低下させていくというのは、当然の道のりだと思っています。
そういう中で、1号機に関しては、古い原発であったということもあるんでしょうか、これはもう専門家でないと分かりませんけれども、廃炉を決定したということは、そういう流れに沿った判断ではないかなというふうに思っています。
(あいテレビ)
県としても、これまで安全面でいろいろ監視してきたと思うが、今回の検討会、県としては、どういうふうに関わっていきたいと考えているのか。
(知事)
そうですね。なんせ、初めてのことなので、福島で今、廃炉を進めていますけれど、これは全くタイプの違う沸騰水型の原発ですから、これが伊方の廃炉に技術的に適用できるかと言えばそうはいかないので、ともかく新しい研究になりますから、その中で安全にそれを達成するためにはどうあるべきなのかという視点で、県の立場でいろんな角度から検証を積み重ねていきたいというふうに思っています。
その中で、こういう技術があればいいんじゃないかというのがたぶん出てくると思いますから、そのときに、例えばこの分野だったら愛媛県のものづくり企業の技術が使えるんじゃないかというようなことをマッチングしていくのも県の役割なのかなと思っています。
(テレビ愛媛)
1号機については、危険性というか不安というか、マイナスの面もあれば、プラスの面もあるのは事実で、四国初の原発として、地域の産業という雇用の創出という意味では、すごく意味があったと考えられる方も、もちろん地元にはたくさんおられるが、そういった目で見て、地域に1号機ができて、それから40年、地域に残してきた功績というか、そのあたりについては、どのように感じているのか。
(知事)
先ほど冒頭申し上げましたように、日本は資源のない国でありますから、エネルギー資源の多様化というのは、生活の面でいえば電気料金、産業の面でいっても料金と安定供給、そういうふうなことをどうするかということが、豊かな生活や経済成長に欠くことができなかったのは事実だと思います。そういう中で原子力の果たしてきた、この時期における役割はあったと思います。
伊方の場合、幸い大きな事故は起きていませんから、そういう意味で、時折、報告遅れとかはありましたけれども、40年間事故もなく稼働して、ある意味では、県内経済、生活向上に寄与したことは、間違いないと思います。
(愛媛新聞)
今後、廃止措置計画という今後のスケジュールを出していく際に、安全協定を結んでいる県も事前協議に入ることになると思うが、そこで求めたいものは何か。
(知事)
原発の運転に関しては、安全が全てですから、廃炉の作業についても、本当に何十年もかかる話だと思いますけれども、やっぱり安全ということが第一であります。安全に、立つ鳥跡を濁さずではないですけれど、しっかりとした作業を行っていただくということ、そしてまた、その経験というものが、いつか原発は寿命を迎えますので、他の原発がそういったことを迎えたときに役立つような、そんな研究が進めばと期待しています。
(愛媛新聞)
それは全国の原発にということか。
(知事)
そうです。
(南海放送)
市駅前の再開発について、2、3点伺いたい。まず、市長時代から随分と取り組んできたと思うが、現状について、どのような認識をしているか。
(知事)
ちょうど松山市長に就任したときに、今の「高島屋」、当時は「そごう」でしたけれども、ここが店舗の改修を図るということで、それに合わせて市駅前をどうするかという議論が進んでいました。
一番大きな変更点というのは、実は当時ですね、バスのターミナルが、百貨店の中にあったんですね。当時、伊予鉄からですね、ぜひそのバスターミナルを外に出したいと、そこで店舗活用したいというような申し出がありました。しかし、一企業にですね、公の道路を提供するというのは、これは市民の理解が得られないだろうということで、今まあ実際にはそうなってますけれども、その使用面積と同じ面積分を店舗の中に、松山市に等価交換というような形で提供しなければ、それはできないという話をしました。
その結果、今、高島屋に「ハートフルプラザ」というところが、あれが松山市の所有になっているんですが、それを障がい者の共同作業所の販売店に無償貸与するという形でやっていたんですね。そのときに、市駅前全体をどうするかっていう議論があったんですけれども、例えば、そこをですね、車乗り入れ禁止ゾーンにするというプランもありました。それと同時にタクシーの場所をどうするか、当然乗り入れ禁止の議論と並行して行っていたんですけれども、そういった検討もいたしました。
なおかつ、北側ですね、そこの開発も合わせてやるべきじゃないかと、そうしなければ一体感のある再開発ができないという議論があったんですが、当時はですね、北のところの地権者の方々は、決して前向きではなかったです。やはり地元のそういった「やるぞ」というふうな空気が出てこない限り、うまくいかないというふうな判断をしまして、それはもう将来の課題と、まあ地元がなんせ要望しなかったんで、課題ということで、今のような形に落ち着かせたという経緯があります。
(南海放送)
地元の商店主、団体も代替わりして、今は前回反対していた方も引かれており、バブル崩壊後ずっと20年ぐらいあのままだったが、随分と機運も高まってきている。伊予鉄の社長も替わったということで、随分と世代交代に伴う機運の盛り上がりというのはあると思うが、今後、具体的に誰が、どのようにリーダーシップをとって道筋を付けるべきと考えるか。
(知事)
そうですね。まず、機運ということが第一だと思うんですが、それがあるならば、やはりまちづくりの行政責任者である松山市が、それをコーディネートしていくというふうなことが、次なる段階ではないかなというふうに思います。
(南海放送)
その点について、松山市の野志市長のリーダーシップ等については、今どのように見ているか。
(知事)
そうですね、まあちょっと現状が分からないんで、何とも言えないんですが、そういう機運があるならば、当然のことながら、例えばワークショップであるとか、タウンミーティングもやられているようですから、そういう中で、大いに議論をして、姿形を見せていく、道筋を付けていくことが市長に求められていると思いますし、当然それに応えられるというふうに思っています。
(南海放送)
つまり手順的には、市がリーダーシップを取ると。
(知事)
そうです。その中で、県としても、県の立場で支援できるものがあればやっていくというふうな形になると思います。
(愛媛新聞)
現状のバスターミナルとタクシープールの姿を、知事としてはどういうふうに考えているのか。
(知事)
そうですね。まあ、当時を思い起こすと、実は最初、プランとして考えていたのは、完全乗り入れ禁止にできないかなということでしたが、まあ物流の面でのマイナス面とかいろいろあったんで、当時はちょっと理解が得られなかったですね。
ですから、今回、迂回(うかい)の道の問題も含めてですね、それがいいかどうかはまた議論されたらいいと思うんですが、いろんなプランを提示して、いろんな意見を集約していったらいいんじゃないかなというふうに思っています。
僕はどういう形がベストかというと、ベストはないと思うんですね。ベター、よりベターのものを探っていくということで、議論が必要かなと思っています。
(愛媛新聞)
今の姿の課題という点でいえば、どう考えているか。
(知事)
そうですね。まあちょっと、いよてつ高島屋だけの開発も終わってますから、やっぱり北側はちょっと古いイメージがあるので、近代的な雰囲気というのは、まあちょっと中途半端な状況になってるのかなというふうに思います。
(あいテレビ)
東京の舛添知事が、かなり高額の海外出張で問題となっているが、その辺どう考えているのか。
(知事)
これは他の自治体のことですから、それぞれ制度やルールがあるんでしょうし、東京のように財政の豊かなところと愛媛県とでは比較のしようもないので、それは東京都の問題、かつそれがどうかということは、東京都民が判断されればいいんじゃないかなと思っています。
(あいテレビ)
知事自身もトップセールス等で海外に行くと思うが、自身の海外出張については、特に問題はないのか。
(知事)
問題はですね、何のために行くのか、その結果として何をもたらすことができたのか、そこが大事だと思っています。
ですから、私が行く目的というのは、例えばその訪れたところとの交流人口を拡大するとか、特に営業部隊をつくりましたので、ものづくりの技術や1次産品を具体的に売り込むという明確な目標を立てていますので、要は何のために行くのかっていうのが大事だと思っています。
もう一つは、できれば、マスコミの皆さんにも、会社の事情もあると思うんですけれども、必ず、ぜひ一緒に行きませんかと呼び掛けさせていただいていますが、結構、皆さん同行していただいております。同行していただけると、まさに皆さんの目で知事は一体この国で何をやってるんだというのを、はっきりと見ていただけるので、これが実は一番良いチェックしていただける手法なのかなと思っていますので、ぜひ皆さん上層部を口説いていただいて、同行いただきますようよろしくお願いいたします。
(あいテレビ)
明日からも訪台することになっているが。
(知事)
明日からは、もう明確な目標、目的がありますから。一つは、台北市の市長と会いまして、具体的な交流の覚書を台北市と愛媛県との間で結ぶということ、それからもう一つは、隔年で行われている日台観光サミット、昨年は山形で行われました。今年は台湾側で行われます。来年はぜひ四国に持ってきたいということで、最後の詰めを行ってきます。
あさってに、この日台観光サミットが宜蘭というところで行われますので、そこに行って、1県というよりは香川と愛媛で両方関わるような形で仕上げることができないかなという、今、最後の調整を行ってますので、それを具体化させるということが最大の目的になります。
(あいテレビ)
目的に向けて、お金の使い方というのは適正だと考えているか。
(知事)
これはもう全部規定どおりやってますから、皆さんにオープンにしてますので、チェックしていただけたらというふうに思っていますが、ただちょっと最近難しいなと思っているのが、一応、国の基準に基づいて上限額を決めてるんですけれども、例えば東京のホテル代と愛媛県のホテル代とでは、今、すごい差がついてるじゃないですか。外国も国によって、例えば今、高いのは、シンガポールとかスイスとか、でたらめに高いんですよね。ですから、普通の宿を探しても上限超えてしまうような場合があるので、その点はちょっと辛いなという感じです。
(愛媛朝日テレビ)
松山空港の液状化の問題、先日、東亜建設が誘導路について、データ改ざんをした不良工事が明らかになったが、改めてどのように思っているか。
(知事)
そうですね、ちょっと発注者が国なので、具体的にどういう仕様で、どういうふうなことでそうなったかは、私ども分からないんですけれども、松山空港の問題ですから、事実を受けて、非常に憤りを感じています。
県庁でも、第一別館の耐震化で、企業のずさんな工事がございました。県の場合は、ともかくすぐ呼んでですね、全責任を企業に負っていただくと。当然のことながら、問題ないというレベルではないと、工事のやり直しを全て事業者の責任でもってやるべきだというような話を突き付けまして、それは実施されることになりました。
国は、どういう姿勢で臨むのかは分かりませんけれども、ぜひ、これは約束を守ってないわけですから、しかも安全に関わることですから、企業がこれにどう対応するのか、これが無責任な対応に終わるのであれば、もうこの企業は社会的な責任を全うできないという判断を下される可能性もありますので、この企業が、国との交渉に、どのような姿勢で臨むかを十分に注視していきたいというふうに思っています。
(愛媛朝日テレビ)
県としては、工事のやり直しを求めるのか。
(知事)
そうですね、まず、国が発注主体ですから、私どもは権限がない。ともかく予定どおりの工事がなされていない以上は、その企業と国がどういう形で話し合うのかは分かりませんけれども、発注者として、しっかりとした対応を求めたいと思って、やっていただきたいということは、当然求めていきたいと思います。